前書き
夏といえば、何を思い出しますか?プール、合宿、海水浴、帰省といろいろありますが、怪談話というのはどうでしょうか?暑い時期に背筋がゾクッとくるあれは、夏だからこそ語る事が出来る話ですよ。
今からお話する出来事は、うちの学校に少し前にあった幽霊騒動のお話です。まぁ、タネを明かせば納得するお話ですが、さすがに私も最初この話を聞いたときはびっくりしました。あっ、そうそう。恐くはないですから安心して下さい。
ああ。私は、広島市内の小学校で用務員を勤めていました衣笠と言います。もう定年で今は老後を悠々自適に過ごしていますが、この話をすると、その学校でよく私のところへ来てくれたやんちゃな3人組を思い出します。
それでは、ごゆっくり御楽しみください。
プロローグ
それは4年前の夏休みの事。近くのリトルリーグの試合があって、うちの学校がその会場になっていました。何事もなく試合も終わり、やがて夕闇に包まれ、非常灯だけが灯る学校の横を一人の少年が通りかかろうとしていました。
(あーあ、また帰ったら宿題やれ、ってうるさいだろうな)
うちの学校の生徒、東出聡君です。おそらく試合の後、友達の家で遊んでいたのでしょう。その子がちょうどプールの横を通り過ぎようとしていたとき、
(それにしても今日は暑いなぁ。こういう時はプールにザバーンっと…)
「ザバーン」
(??)
ちょうどそのころは、連日30度を超す真夏日が続いていました。聡君がプールに入りたいと思ったその矢先、プールの方から何かがプールに飛び込んだ音がしまして、
(なんの音だ??)
人影の無い学校、ましてはすぐ横のプールから聞こえ、足を止めます。
(野良猫がプールに入ったのかな?それにしては、音が大きかったような…)
聡君は道路とプールの間にある壁の、防火用ホースを入れる窓の隙間からプールを覗いてみました。
(何がプールの中にいるんだろう?)
この日は晴れわたっていて、とても星がきれいでした。学校の非常灯と、外灯のわずかな光りを頼りに目を凝らし、プールを見渡すとそこには…
(なんだ…?)
(……!!)
「ひ、人が…」
(これって、ま、まさか…)
「う、うわーーー!」