第
13話5月下旬。龍一たち1年生は中学に入って初めてのテストを迎えるのであった。中学は今までとは違い、中間と期末という、たった2回のテスト(3学期は期末のみ)で評価が決まってしまうため、1回の失敗が大きな痛手となってしまう。
桜 「ねえ、もうそろそろ中間テストでしょ。ちゃんと勉強やってる?」
龍一 「うーん、今までは『いつでもこい』ってな感じだったけど、こう日にちを気待て来られると、なんかちょっとやりずらいな」
桜 「なにいってんの。そんなに頭良くないくせに」
龍一 「ちぇ、それはお互い様でしょ」
中間テストを5日後に控えた5月21日。下校途中の龍一と桜はいつものように2人で帰っていた。5月に入って陽もだんだん長くなってきた。
龍一 「ところで部活のほう、だんだんなれてきた?」
桜 「うん、女子のほうの先輩たちって、みんな優しいから」
龍一 「いいなあ、うちのほうは先生が厳しいからな。ついていくのに必死だよ」
中学に入って二人は同じバスケットボール部に入った。ただ、練習場所の関係上、男女がいっしょに練習できる時間はそれほど多くはなかった。
龍一 「そう言えば最初の頃、顔面にボールをぶつけて顔赤くして帰ったときあったけど、あれから先そういうことない?」
龍一は、小学校のときからバスケをやっていたが、桜は体育の授業を除けば、バスケの経験はない。
桜 「あっ、あの時は…男の子も一緒に体育館で練習していたでしょ。それで…その…龍一君を見ていたら前からボールが来ちゃって…」
龍一 「『バコッ!』っと顔面直撃、ってわけか。はははっ、ドジ」
桜 「もお、龍一ったら」
もともと桜は部活に入る気はなかった。しかし龍一がバスケ部に入ってしまうと、一緒に下校できなくなってしまうため桜は、龍一と同じバスケ部に入ったのである。 こうして今日も仲良く帰っていく2人であった。
さて、いよいよテスト直前となった5月24日の夜。龍一の元へ電話がかかってきた。
龍一 「はい、もしもし。大神です」
桜 「もしもし、龍一君。私」
龍一 「あっ、桜。こんな時間になに?」
桜 「うん、実はさ、テスト勉強やってて、わかんないところがあるの」
龍一 「ふうん、それで僕に聞きにきたの?」
桜 「そうじゃなくて、明日空いてる。一緒に勉強しよ」
龍一 「う、うん。わかった」
桜 「じゃあ明日1時半に行くから」
第
14話5月25日・テスト前日の朝。龍一と桜はいつも通り2人で学校へ向かっていた。
桜 「どうなの、勉強のほう、はかどってる?」
龍一 「うーん、ぼちぼちってところかな」
桜 「そうだよね。龍一って勉強そんなに得意じゃないから、そう言うと思ってたよ」
龍一 「それってどう言うことだよ」
桜 「ハハッ、そんなに怒らないでよ」
テストの前日ということを除けば、なに変わらぬ1日である。テスト直前ということもあり、授業は午前中で終わり、当然部活もない。
真矢 「おーい、龍一。一緒に帰ろう」
龍一 「真矢か。いいけど」
桜 「真矢くん。こんにちは」
真矢 「やあ、桜も一緒か。俺、ちょっと邪魔かな?」
桜 「そんなことないって。一緒に帰ろう」
同じ時間、隣の教室では、
一郎 「やあ、信二くん」
信二 「あっ、一郎」
一郎 「どう、一緒に帰らない?」
信二 「うん、いいよ」
さて龍一たちは帰り道で、
龍一 「ところで真矢、テストのほう、大丈夫か?」
真矢 「うっ、それは…なあに、大丈夫だって」
龍一 「でもな、これだけ早く帰れるとなると、ちょっくら遊びたくなるな」
桜 「もう、龍一ったら」
こうして歩いているうちに、龍一と桜が、いつも待ち合わせしている場所に到着した。
桜 「じゃあ、龍一君。またあとでね」
龍一 「ああ、わかった」
真矢 「って、ちょっと。
2人でこのあとなにすんの?」桜 「う、うん。ちょっと勉強をしようかな、って」
龍一 「そ、そう。勉強だよ。勉強」
真矢 「いいなあ、彼女と一緒に、って。うらやましいな」
桜 「じゃあ、
1時半に行くから」龍一 「待ってるよ」
ここから先、龍一は桜、真矢と違う道で帰る。しかし、その方向は同時に一郎と信二の家の方向でもあった。
一郎 「あっ、真矢くん」
第
15話真矢 「やあ、一郎じゃあないか」
桜のちょっと前を歩いていた真矢が、一郎とであった。その一郎の横には…
真矢 「えっと…信二君だっけ」
信二 「う、うん。こんにちは」
真矢 「こんにちは、信二君」
そこへ、後ろから桜がやってきて
桜 「ねえ真矢君、ちょっと聞きたいことが…」
桜はそこに信二がいるとは知らずに真矢に声をかけた。
桜 「!」
真矢 「えっ、なに?」
桜 「……(な、なんで?なんであの人がここに?)」
信二 「あっ、あなたはあの時の…」
桜 「あっ…、う、うん(ど、どうしよう。声かけられちゃった)」
一郎 「信二君、この人のこと、知ってるの」
信二 「う、うん…」
真矢 「ところで桜、聞きたいことってなに?」
桜 「あ、あれ、な、なんだっけ?」
信二はちょっと戸惑った表情で、
信二 「一郎くん、悪いけど…ちょっと用事を思い出したから…」
信二は早足で帰っていった。
一郎 「えっ、ちょっと。信二君」
桜 「あっ…」
真矢 「行っちゃった…」
一郎 「どうしたのかな?なにか急いでいるようだったけど」
真矢 「いや、そう言うふうには見えなかったけど…気のせいかな」
桜 「(なにか…あの人、迷ってる。なんとなく、そんな気がする)」
そのあと、残された三人はそれぞれ家路に着いた。
真矢 「(桜、なんかあせっていたみたいだけど、どうしたんだろう)」
桜 「(あの人、本当に女の子を避けているみたいだった。でも彼、何か悩んでいそう)」
信二 「(ご、ゴメン。もうこれ以上…)」
信二の悩みとは、いったい何なのか。次回から怒涛の新展開が… つづく