「あっ、もしもし。私、ひかり」

 

ひかり 「悪いんだけどさぁ、理科の宿題、ちょっと手伝ってもらえないかなぁ?」

 

ひかり 「えっ!、そう。いつなら空いてるの?」

 

ひかり 「わかんないって…、そう。わかったわ」

 

    ガチャッ

 

第4話プロローグ

 

 夏休みもそろそろ終わりに近づいた8月23日。お盆も終わり広島の街は、観光客らしい人の姿がめっきり減ってしまった。

由香里 「まったく、なんで今日が登校日なの?」

亜美  「そうよね。せっかくの休みなのに学校へ行かないといけないだなんて」

江里香 「夏休み中なのに、休みという気がしないわ」

ひかり 「でもいいじゃん。久々にみんなに会えたわけだし」

由香里 「まぁ、そう思うしかないよね」

 この日午前は登校日のため、学校へ行っていた。そしてその後、ひかりは中学校の友達と一緒に、市街地へ出向いていた。

由香里 「んで、これからどうする?」

亜美  「そうだ、カラオケ行かない?」

由香里 「えー、この間行ったばかりじゃん」

亜美  「何言ってるのよ。今日はこれがあるのよ」

 そう言って亜美が取り出したのは、カラオケボックスの1時間無料券だった。

江里香 「あっ、それって昨日、折り込みに入っていた…」

亜美  「そうよそうよ。今日はこれでパーッっと…」

江里香 「それならそうと言ってくれればよかったのに」

ひかり 「ごめん、私も持ってこなかった」

由香里 「なんとなく、そんな気がしたから持ってこなかった」

亜美  「えー、そんなー」

由香里 「でもまぁ、夏休み中には何とかしましょ」

亜美  「わーい」

 4人はいつものように楽しくしゃべりながら、紙屋町にあるファーストフード店に立ち寄り、夏休みの話で盛り上がっていた。その途中、

江里香 「あっ、そうだ」

亜美  「なに?江里香」

江里香 「今日さ、友達から聞いたんだけど、うちの学校に2学期から転校生が入ってくるみたいなんだって」

由香里 「えっ、そうなの?」

江里香 「うーん、本当かどうかはよく分からないけど、3組って言ってたから、ひかりのクラスじゃない」

ひかり 「あっ、そうだね」

亜美  「その子、男の子?」

江里香 「そこまではわからないよ。まぁ、2学期になってからのお楽しみだね」

ひかり 「へぇ、そうなんだ」

 4人は軽く昼食を済ませた後、近くのデパートへウィンドウショッピングに向かっていた。夏休み中ということもあり、学生らしい若者の姿が多く見受けられた。

由香里 「ところで亜美、宿題終わった?」

亜美  「私に聞かないでよ」

ひかり 「いいよねぇ、由香里は頭が良くて」

江里香 「由香里、こういう事はさっさとやっちゃうタイプだから」

由香里 「早く終わらせておいた方がいいわよ」

亜美  「江里香は?」

江里香 「私も終わった」

亜美  「えー、じゃあひかりは?」

ひかり 「うーん、実はまだ…」

亜美  「よかった、仲間がいてくれた」

由香里 「あまりそういう仲間には入りたくないわ」

亜美  「なにか言った?」

由香里 「別に…」

江里香 「ひかり、何かあったの」

ひかり 「ううん、ちょっと理科の宿題でわからないところがあってね。友達に聞こうとしたんだけど…」

江里香 「いいよねぇ、ひかりは友達が多いから」

亜美  「んで、その友達って誰なの?」

ひかり 「うん、ちょっとね…」

 ひかりはその人の名前を言おうとした。その時だった。道路の向こう側に、その人の姿があったのだ。

ひかり (えっ…)

 ひかりの表情が変わる。その人の顔は、友達であるひかりにさえ見せたことのない明るい表情をしていたのだ。そして、その人の隣には、

ひかり 「だ、誰?」

 ひかりは思わず口にだしてしまった。遠くからでよくは見えなかったが、その人の隣には同じ年頃の男の子がいて、どうやらその人と話をしているように見えた。

亜美  「ねぇ、ひかり。どうしたの?」

ひかり 「ううん、ちょっとね」

 亜美の一言でようやく我に返るが、まだ動揺の色は隠しきれない。

亜美  「あっ、わかった。理科の宿題の解らないところがわかったんだ〜」

江里香 「そうなのか?」

 ややあきれた顔で江里香が言う。それに対しひかりは、

ひかり 「ううん、何でもない。でも…、わかったような気がする」

 ひかりはいつもの表情でこう言った。

亜美  「ほら〜、やっぱりそうじゃん」

江里香 「なんか違うような…」

由香里 「まぁいいわ。いきましょ」

 その後4人は、夕方近くまで一緒に遊んでいた。この事は他の3人にとって、些細なことで終わったが、目撃者であるひかりは、

ひかり (な、なにがあったの?優)

 

 そして、夏が終わり、2学期を迎えようとしていた。  本編につづく

 

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