第2章プロローグ
龍一が桜に告白していたちょうどそのころ、信二は文彦の次の勤務地である広島に車で向かっていた。
中国自動車道へ向かう山道の途中で昼食を取るため、国道沿いにある食堂へ立ち寄った。注文を取ったその後、文彦は思い出したかのようにこう言った。
文彦 「そうだ、信二。あとで唯に電話をしてきてくれないか」
信二 「えっ?、お母さんに」
文彦 「ああ、この頃いろいろとごたごたしていたからな。一度落ち着いたところで電話をしようとは思っていたのだが、ちょっと暇がなかったからな。今なら時間もあるし、どうせなら、信二がでたほうが良いと思ってな」
信二 「うん、わかった」
そういって、文彦は信二にテレホンカードを渡した。
食事をとった後信二は、食堂の駐車場にあった電話ボックスにいって東京にいる母に電話をした。
唯 「もしもし」
信二 「もしもし、お母さん」
唯 「あっ、信二。元気してる」
信二 「うん、お母さんも元気そうだね」
唯 「ありがとう。信二、あれから大丈夫?」
信二 「うん。あの時はありがとう」
唯 「フフッ、いいのよ。また困ったことがあったら、電話してきてね」
信二 「うん」
唯 「ところで今どこ?」
…
この後しばらくの間、出雲であった話などで唯と話し合った。その話も佳境に入っていたころ、
信二 「ねえ、お母さん」
唯 「なに?」
信二 「お母さんは、お父さんと、どう出会ったの?」
唯 「えっ…」
信二の不意の一言に、唯は一瞬戸惑った。信二は、多くの女の子と出会っているうちに、自分の母は、どのように今の父に出会ったのか。という疑問を持ち始めた。
唯 「フフッ、信二がそんなことを聞くなんて、どうしたの?」
信二 「いや、ちょっと、聞いてみたかったんだ」
唯 「いいわよ。そう…。あれはね、私が大学生だったころ…」
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