唯  (何か、いやな予感がする。信二に何かなければいいんだけど…)

 唯は信二の危険を察知していた。家にカギもかけずに、自転車に乗り急いで信二の後を追う。

唯  (お願い、無事でいて)

 唯は信二とは違うルートだったが、徐々に近づきつつあった。

 

唯  (えっ、あれは何?)

 唯が大通りに着いたとき、人ごみが広がっているのが見えた。そして、救急車のサイレンがその人ごみの中で鳴り止んだ。

唯  (えっ…、まさか)

 唯の顔が青ざめた。そしてたたみかけるように、その人ごみに加わろうとした人から、

   「おい、トラックが横転したんだってよ」

 思わず耳に届いてしまったこの言葉。

唯  「信二!!」

 唯は自転車を乗り捨て、無我夢中でその人ごみへ向かった。

 

唯  「ちょっと、ちょっとごめん」

 唯は人ごみの中をかき分けていく。その人ごみの中にある真実を見るために。やがて、その真実が少しずつ見えてきた。

唯  「あっ、ああ…」

 そこには、目を覆いたくなるような光景があった。横転したトラック。飛散した窓ガラス。アスファルトに刻み込まれた生々しい傷跡が、その事故を物語る。唯がその事故現場を目の当たりにしたとき、ちょうど救急車が再びサイレンを鳴らし病院へと向かっていった。そして、野次馬たちが徐々に引き始めた。

 

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