星の降る夜に〜今日は何の日??



 
 今日も昨日の続きだと思っていた。さわやかな風が心地よく、カーテンが気持ちよさそうに
たなびいている。ただ、昨日と違うのは彼女のかわいい足音が聞こえるということだけ。
「始ちゃ〜ん?!・・・・・・ここにもいないや。・・・・・ったく、どこに行ったのかしら・・・・・・・。」
 
閂若葉は深い溜息をついた。もうこの廊下を何往復しただろう・・・・・・・・
しかし、彼女はあきらめようとしない。今日は彼女の・・・・・・・・・
「今日が何の日か、ちゃんと覚えててくれてるかなあ・・・・・・」
                        

「ん?若葉ちゃんじゃないか!こんなところでどうしたんだい?」
「えっ?!」
振り返ると都筑と密が不思議そうにたっている。
「あのね、始ちゃん知らない??」
「寺杣って、今日は休みだろ?確か・・・・・・・」
 都筑が記憶を呼び起こしている間、若葉の顔はだんだん赤みを増していく。
「(こ、こわい・・・・・・・・・・)」
(だいたいどうしてパートナーの私に内緒なの?!しかも今日に限って休みですって?!
始ちゃんなんて・・・・・・・・・始ちゃんなんて・・・・・・・・・・) 
 
「・・・・・ということなんだけど・・・・・あれっ?おーい??」
都筑はようやく若葉の異変に気づいてたじろいでいる。
「あ、あの若葉ちゃ・・・・・・・」
「だーいっきらいなんだからー!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「な、なあ・・・・・・密。俺、なんかしたっけ?(泣)」
「馬鹿・・・・・・・」
密は深い溜息をついて、ぼそっとつぶやいた。
「寺杣さん、閂さんに本当のこと言って行けばよかったのに・・・・。」
                         ◆
 いつもなら騒がしい召喚課。しかし、今日は違う。
みんなは恐怖におののきながら(?)仕事をこなしていく。
課長は決まり悪そうにお茶をすすり、巽は原因の人物を観察中。
「た、巽・・・・・・彼女に何があったんじゃ?」
「さ、さあ・・・・・・・寺杣さんが休みだからなんじゃ・・・・・・。」
その原因人物、閂若葉は凄まじいオーラ(?)を発しながら、書類を作成していた。
(・・・・・・・始ちゃんなんて、もう知らない!!)
                 
召喚課だって公務員。もちろん仕事は17時で終了。
「よ、よし。それでは今日はここまでにしよう。おつかれさん!!」
課長のしまりのない号令でこの日の仕事は終わりとなった・・・・・・・・が、閂若葉−彼女だけ
「閂さん、もう帰ってもいいんですよ」
巽は心配そうに彼女に言った。
「・・・・私、残業します。この頃、仕事たまってるし・・・・・・・・」
「しかし・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・いいんです。巽さん、おつかれさまvv」
何かをこらえて必死で笑顔を作っていたのは一目瞭然だったが、あえて追求することなく
彼はその場を去ることにした。
「(あとは寺杣さんに任せましょう)」
 一人残された若葉は、机の上の写真を見ながらこらえきれなくなった熱い涙を頬に伝わらせた。
写真には・・・・・・・・・生前の若葉と寺杣が写っている。
「私にとっては、とってもとっても大切な日なの。始ちゃん・・・・・・・・」
空はだんだんと闇に包まれていった・・・・・・・やがて、空一面に星が瞬き出す。
自分の気持ちとは裏腹な満面の星空を見上げながら、若葉は物思いにふけっていた。
「お、おいっ閂!お前、まだ帰ってなかったのか?!」
いつの間に眠っていたのだろう・・・・・・・時計はすでに20:30をまわっている。
しかしそんなことよりも先に、目の前の人物におどろいて声を失った。寺杣始である。
「は、はじめちゃ・・・・・・・・・」
「な、なんで泣くんだよ?!」
怒りたいのに涙が止まらない・・・・・・・・・怒りよりも悲しみの方が大きいのか?
言いたい文句は山ほどあるのに、声にならない。
そんな若葉に最初はとまどいながら・・・・・・・・しかし、ようやく原因に気が付いた寺杣は乱暴に
彼女の前に小さな箱を置いた。
「・・・・・・何?」
「・・・いいから開けてみろ・・・・・・・・」
寺杣は若葉をそっと促した。言われたとおりに箱を開けてみる・・・・・・・・・・と・・・・・・・・・
箱にはたくさんの砂がはいっていた。しかし、タダの砂ではない・・・・・・・・・・・・・星の砂。
持っている者に幸福を運んでくれるというかなり希少価値のある砂である。
「始ちゃん、まさか有給取ってわざわざ・・・・・・・・・??」
寺杣は何も言わない。いつものようにタバコをくわえて後ろを向いてしまった。
それが照れだということくらい若葉はちゃんと分かっている。
(やっぱり・・・・・・・・始ちゃんだよねvv)
「もう遅いから帰るぞ!明日は早いんだ。」
すたすたと部屋を出て廊下を歩き出す彼に、若葉は涙を拭いて廊下へ駆けだした。」
「始ちゃん!」
「あんだよっ」
「大好きだからね♪」
その後、寺杣の顔がたこのように(?!)真っ赤になったのは言うまでもない(苦笑)
 
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