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−Iga Fantasy−
Chapter 06 真打登場?

国境では凄惨な状態であったが、
その国境近くのとある温泉ではこんな風景が見られていた。

そこに来ていたのは、先程酒場のマスターが噂していた、ディオの愛娘・ユナ。
歳は7・8か、幼い割には落ち着きがみえる。
「お父さんは今頃、大酒呑んでるんだろ〜なぁ〜」
と、隣で熱燗をすするアルタを見て言った。

「そーだねー。いいんじゃないの?たまには。
ユナちゃんがいない時くらい―――」
そんなアルタは少し赤ら顔だ。
歳は20前後の若い女。髪は肩までストレートに伸び、薄茶色をしていた。
身体は華奢だが、スタイルはいい。

そんな中、温泉の後方・街道沿いで、クシャッとくしゃみが聞こえた。
「やっぱ夜は冷えるなぁー・・・オレも酒呑みたいよ」
木陰に剣を抱え座り込んだ一人の男がいた。
男はシドという。アルタと同じくらいの歳だ。

「シド兄ちゃんも入ればいいのに〜」
とユナ。
ユナとシドは従兄弟である。
それを知ったのは、つい最近のことだが、
ユナはシドによく懐いていた。

「なっ」
ふたり赤面して吹きだす。
実はシドとアルタは互いに好きあっていたが、
まだお互いの気持ちを確かめ合っていなかった。
お互い初心なのだ。
だから、なかなか伸展しない。
ユナもそれを知っていて、そんなことを言ったのだった。

ゴチャゴチャ言い合うふたりを尻目に、ユナはふぅとため息をつく。
(このふたりが結ばれるのは遠いなぁ・・・)

・・・そんな時、けたたましい蹄の音がした。
べろん×2に酔ったディオを乗せた、アルの馬だ。
何事かと見やるシドと、カンテラを照らし走るアルと目が合った。

「シドじゃないか!」
アルは馬を急停止させ、かけ寄った。
シドは驚いた様子を見せたが、
アルがディオを乗せているのに気がつき、
「ユナちゃんなら今温泉に入ってるよ」
と、笑って言った。

右大臣と一介の市民の会話にはとても思えない。
それには訳があった。
――ふたりは友人だった。
以前に、ある団体の仲間同志であった。
それは置いといて――――

アルの表情がいつもと違い、焦りをあらわにしていた。
シドは怪訝に思って訊ねると、
「リクが・・・」
そう言ってアルは話をしだした・・・・・・。

2002.07.20