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もしも・・・アンジェの手紙の精霊が電ボだったら・・・


 
ある日の聖地の早朝、学芸館の私室の窓をガンガンと叩く音が響き渡る。早朝ということもあり、周りのことを気にしつつも・・・ご主人であるアンジェリークのお使いの任務を果たさんとしているそれは手紙の精霊・・・電書ボタルである。

「おはようございます。謎の芸術家として名をはせている感性の教官、セイラン様っ!!おはようございますっ!!」

ただでさえ朝に弱い上に今日は土の曜日でお休みであるセイランがこのくらいの音で起きるはずがなかった。その代わりに窓から顔を出したのは隣の部屋のヴィクトールである。

「あれ・・・?お前はアンジェリークのところの電ボじゃないか・・・?こんな朝っぱらからどうした・・・?」

「これは・・・おはようございます!英雄でありながらそう呼ばれることをあえて拒み続けるナイスなミドルの精神の教官、ヴィクトール様でございますね。」

「・・・ハハハ(苦笑)・・・」

「申し訳ございません、このような早朝に大きな音をたててしまって・・・。」

「あぁ・・・ま、俺は毎朝このくらいに起きてジョギングをしているんだ。今日はたまたま目覚しじゃなくお前に起こされたってところだな。それで、どうしたんだ?」

「はい・・・ご主人のアンジェリーク様の伝言をセイラン様にお伝えしようかと・・・。」

「こんな朝早くにか?!」

「はぁ・・・アンジェリーク様が徹夜で伝言をお考えになりまして・・・えぇ、それはもう真剣に・・・それで完成したのがつい先ほど、あんなに真剣にアンジェリーク様がお考えになった伝言ですから少しでも早くセイラン様にお伝えしたくて飛んでまいりました・・・」

「そうか・・・(あいつ徹夜なんかして、ちゃんと職務を果たしてるのか・・・?^^;)しかし電ボ、お前セイランが朝にめちゃくちゃ弱いのを知らんのか?」

「・・・えっ?!それでは、ワタクシが窓を叩いたくらいで起きるような方ではないと・・・?」

「そうだな・・・(^^;、少なくともお前のその非力な腕では無理だな・・・」

「そうでしたか・・・それではどうしたら良いのでしょう・・・」

と考え始めた電ボに心優しく付き合ってくれるヴィクトールであった。

「あぁ、これはワタクシの問題でありますので、ヴィクトール様はどうぞ・・・日課のジョギングにお出かけください。ご忠告ありがとうございました。」

そう丁重にヴィクトールを送り出すと電ボはまたセイランの私室の窓に飛んだ。

「はぁ、どうしましょう・・・。」

途方に暮れた電ボが恨めしそうにご主人の愛する人の部屋をのぞいている・・・しかしこんなことをしていても状況は変わりそうになかった。数分その場で考え込んでいた彼であったが、急に思い立ち学芸館の表玄関へ飛んで行った。表玄関は先ほどヴィクトールが出て行ったおかげで鍵があいており、彼は無事セイランの私室の入り口まで入ってくる事が出来たのである。

「あー、あ〜・・・んっんん・・・あ〜・・・」

急に発声練習を始めた彼の声色は主人のアンジェリークの声であった。ドアの鍵穴まで飛んでいくと、アンジェリークの声で話しはじめたのである・・・。

「セイラン様・・・セイラン様・・・おはようございます・・・うふふ・・・」

早朝に届くアンジェリークの声・・・浅い眠りのセイランは夢の中にアンジェリークを見たのである。

 

〜セイランの夢の中〜

 セイランは常春の聖地の森を一人で歩いていた。そこへ細い静かな雨が降り出したのである。外は温かいので少しくらい濡れても構わないと考えた彼は、森の中で少し開けたところに出てきた。その草原の真ん中にはピンクの花を咲かせた大きな樹が立っている。樹に向かって歩いていくと根元にはアンジェリークが立っていたのである。

「やぁ、こんな所で君に会えるなんてね。何をしているんだい?」

「セイラン様・・・おはようございます!・・・うふふ・・・」

おはようございます!と言われてもそんな時間帯なのかどうか夢のセイランには判らない・・・あいかわらず変わった娘だ・・・なんて思いながらアンジェリークを見た。さっきまで樹には花がついていたのだがそれがリンゴになっている。アンジェリークがそのリンゴを抱えきれないほどもいでいるのだ。

「アンジェリーク・・・そんなにたくさんのリンゴをどうする気だい?いくら食いしん坊の君でも食べきれないだろう・・・?」

「もちろんセイラン様と一緒に食べるんです。それに、このリンゴたちがセイラン様とここで逢えた記念にたくさん食べていきなさいって言うんです。」

「・・・は?(^^;・・・」

そう言われた次の瞬間にはアンジェリークの手に出来たてのアップルパイがあった。

「このリンゴで私が作ったんです。セイラン様・・・甘いもの好きなんですよね?あの・・・これ、よかったら食べてください!」

ずばり甘いものが好きなセイランは季節外れのアップルパイを雨宿りをしながらアンジェリークと食したのである。

セイランには今日の彼女が普段、学芸館で見るのとはかなり違って見えた。学芸館で一緒に勉強する彼女は自分がそっけない性格のせいもあるが、いつも何か言いたげに去っていくような気がしていたのである。言いたいことがあるなら言えばいいと思っていたので放っておいたのだ・・・。その彼女が言いたかったことを夢の中で告げてきた。

「私、聖地に来れて本当によかった・・・セイラン様という方に巡り逢えたことを本当に幸せに思うんです。まだまだ勉強しなくちゃいけないことがたくさんあるので、これからもよろしくお願いしますね!・・・今日は視察に行かなくてはいけないので、明日・・・明日に・・・」

「フッ・・・そんな事を言うために君はここにいたのかい?・・・って・・・あれ・・・?アンジェリーク?自分の言いたいことだけ言ってどこかに消えてしまうなんて!」

 

「ちょ・・・アンジェリーク!!視察って一体・・・?!・・・」

自分の寝言の声の大きさに驚いて目覚めたセイランであった。まだボーっとした目をこすりながら今まで見ていた夢のことを思い出す・・・。

「・・・今日は・・・視察・・・?」

・・・あぁ、アンジェリークが出てきたのか・・・やけに素直に自分の考えをぶつけてきたりして・・・僕の甘いものが好きだっていう好みまでおさえてたな・・・でも、甘い香りに優しい雨が妙にあの子に似合っていた・・・明日、彼女を誘いに行こう・・・

 

ドアの向こうでセイランの大きな寝言を聞き、ほくそ笑む虫が一匹・・・任務が完了したと静かにご主人様の元へ飛んでいくのでした・・・。


クレオさんありがとうございました。
可愛い電ボがアンジェの声を真似ている姿が目に浮かぶわ…(@∇@)キラキラ☆ミ
皆さんもクレオさん宛に感想どんどん寄せてくださいね!
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