angemain page

銀のラトゥラ

<6> 風に舞う羽根

 ロザリアの部屋では、オスカーが連れてきた少女の手当がされようとしていた。
「これは苦しそうね。まずはこれを緩めないと」
 ロザリアは少女の首に巻かれた布をほどきかけた。
「あっ! これは何かしら」
「どうかしたのか?」
 近寄ったオスカーもそれを見て驚いた。
「呼吸器? というわけではなさそうね」
「これは何かの紋章か? 見たことは無いな」
 少女の喉には金色の金具がついており、そこにはうっすらと雪の結晶のような模様が浮き上がっていた。
「調べれば身元が判るかしら。エルンストを呼びましょう」
「・・・! ・・・」
 少女は少しせき込むと、落ちついたのか少しづつ目を開けた。
 アイスブルーの瞳がゆっくりと二人を捕らえだす。
「まぁ。オスカーそっくり」
「そっ・・・そんな。誤解だぜ、ロザリア」
「何をあわてているの。似ていると言っただけですわ」
 少女は起きあがるなり、首もとの布を掻き合わせた。
 その姿を見たオスカーは、スッとひざまづくと少女を真っ直ぐ見つめた。
「さぁ、お嬢ちゃん。恐がらなくてもいいんだぜ。俺は全ての女性の味方だからな」
「まぁ、オスカーったら。でも、あなた大丈夫?」
 二人に敵意がないことは判ったのか、少女の瞳の険しさはなくなった。
 しかし、ロザリアの問いに答える様子はない。
「もしかして、その喉・・・しゃべれないのではなくて?」
 見上げた少女は小さくうなづき、うなだれた。
「それは困ったな、どこから来たのか聞くことは出来ないってわけか」
 流れる沈黙・・・。
「誰か一緒だった人はいるのかしら?」
 少女は小さくうなづく。
「それが誰だか解ればな」
「その方も探しているでしょう」
 また、少女はうなだれてしまった。
「でも、相当動き回っていたのね。服が汚れてしまっているわ。まずはこちらへいらっしゃい、着替えをしましょう」
 ロザリアはひとまず落ちついた少女を連れて次の間へと消えていった。
「そうだな、あとはロザリアにまかせよう。じゃ、遅くなったがテラスへ向かうか」
 オスカーはゆっくりと廊下へ出ていった。
          ◇
 テラスでのお茶会は、そろそろお開きになろうとしていた。
「ルヴァ様。今日はとても珍しいお茶をごちそうになりました」
「いえいえ、リュミエール。これはゼフェルがくれたものですからね。ああ、ゼフェルにはティムカが話してくれたことも伝えなくてはなりませんね」
「でも、ゼフェル様のお役に立てるようなお話だったでしょうか」
「またー、そんなに謙遜しなくてもいいんだよ、ティムカちゃん」
「おや、宴も酣・・・というわけでもなさそうだな」
 何も知らずに現れたのは、オスカーだった。
「オ、オスカー様! さきほどジュリアス様がオスカー様を探してらっしゃいましたよ」
「なんか、ものすごい剣幕だったけど、アンタ何かやったの? ねぇ」
 オリヴィエが興味津々でオスカーをつついている。
「ジュリアス様が!? 俺は何もやってないぜ。でも、どうしたっていうんだ」
「ジュリアス様は、何か誤解なさっているのではないですか」
 心配そうにリュミエールが尋ねた。
「この俺に誤解されるようなことがあるっていうのか?」
「あ・り・す・ぎ」
「オ、オリヴィエ!」
「まぁ、何もないということはないでしょうねー」
「ルヴァまで・・・」
 なんとなく場の雰囲気がおかしくなったせいで、ティムカが不安げに尋ねた。
「でも、オスカー様。誤解だとすれば、早くジュリアス様にお会いになった方がよろしいのではないでしょうか?」
「ああ、ティムカ。そうするぜ。じゃあな」
 結局、休む暇もなくオスカーは聖殿の方へと消えていった。
 後ろ姿が消えないうちにリュミエールが切り出す。
「では、私たちも聖殿へ戻りましょうか」
「そだねー、あんまり執務室を空けてるとジュリアスがうるさいしね」
 いつものことだけど、と続けたげなオリヴィエも重い腰をあげた。
「僕も戻ります。ごちそうさまでした。本当に懐かしい味でした」
「私は王立研究院へ向かいましょう。エルンストにゼフェルの件を依頼しなくてはね」
 そうして、波乱に満ちたお茶会はおわったのだった。

<7> 謎の星


ラトゥの少女、なんとか落ちついたみたいですね。
ロザリア様に任せておけば大丈夫!(^.^)
さて、まだまだお話は続きます。乞う、ご期待!!

こちらはえでぃさんの書かれた小説第6部です。

angemain page