前編

 

 

暑かった夏が終わり、秋のなかばになる。
だんだんあたりは涼しくなってきた。
俺の住んでいるあたりは夏と冬の気温差が大きいため、すぐに寒くなってくる。
今日は一段と冷えていた。
「うぃ〜、さみぃ〜」
俺は情けない声を出しながら学校へと向かう。
俺は「吉田裕介(よしだゆうすけ)」。小学5年だ。
今日はなにやら転校生が来るというのだが・・・、いったいどんなやつだろう。
そんなことを考えているといきなり後ろから何かがぶつかってきた。
「おっはよう!裕介〜!」
「ぐぉっ!!なんだよ太助、朝っぱらから・・・」
「う〜ん、元気ないなぁ〜。しゃきっとしろよ!しゃきっと!」
「・・・お前、寒くないのか?」 「ん?別に、寒くないぞ」
いきなり俺にぶつかってきたのは俺のクラスメイトの「佐藤太助(さとうたすけ)」。
こいつは妙に元気がいい。 寒いのだってお構いなしのようだ。
「そういや今日、転校生が来るんだよな?」 太助が確認するように言ってくる。
「ああ、こんな時期なのにねぇ。どんなやつかな〜」
「かわいい娘だったら仲良くするんだろ〜?」
太助はいたずらっぽく笑う。
「ば〜か。俺を女ったらしみたいに言うな。でもまぁ少しは仲良くしたいけどな」
「ははは。お前らしいや」
そんな話をしながら学校に入っていった。


  俺の住む町はけっこう小さくて住んでいる人も少ない。
学校も一応1年から6年まではあるが、1クラスずつしかなくしかもクラスの人数は10人前後しかいない。
だから転校生がくることは結構大きなニュースなのだ。
たぶん全校生徒全員が知っているだろう。
  俺たちがクラスにはいるのと同時にチャイムが鳴った。
「おう。あぶねぇあぶねぇ」
俺はそんなことを言いながら席に着く。
しばらくしてから先生が入ってきた。
「おはようみんな。ふぁ〜あ」
先生はいきなり大きなあくびをする。
しかもこれはいつものことだった。
この先生はいつも眠そうにしている。何をしてるんだか。
先生は眠そうに出席を取り始める。

しかしみんなはそんなことお構いなしだろう。
早く転校生が見たいんだろうな。まぁ俺もだが。
「よし。全員出席だな」
先生はここで少し間をあける。
みんなはいまかいまかと待ちかまえていた。
「じゃあ教科書の52ページを・・・・・」
その声を聞いたとたんみんなずっこけた。
「せんせぇ!転校生は!?」
一斉にみんなが怒鳴る。
「ん?ああ、そうだった。お〜い、入ってきていいぞ〜」
・・・おいおい、大丈夫かよ、この先生は・・・。
ドアから入ってきたのは肌が白くやせ細った少年だった。
「ええと、今日からみんなと一緒に勉強することになった上野隆史(うえのたかし)君だ」
「上野隆史です。よろしくお願いします」
隆史はまるで女子のような声だった。
「じゃあそこの吉野の隣の席に座ってくれ」
隆史は俺の隣の席に座る。
「俺、裕介って言うんだ。よろしくな」
「うん。よろしく」
隆史は笑顔で応じてくれた。
そして授業が始まった。


  放課後・・・
「あ、そうだ隆史。お前メダロットやってるか?」
「うん、だけどまだよくわからないんだ」
「じゃあさ、これから太助とロボトルするんだけどお前も一緒に来るか?」
「うん、いきたい!」
「そうか、じゃあいこうか」
俺と太助と隆史は近くの公園に行った。
「そいじゃ、始めますか。隆史は見ててくれよ」
「うん、わかった」
隆史はそう言うと近くのベンチに座る。
「メダロット、転送!!」
俺と太助はそれぞれのメダロットを転送する。
俺のメダロットはウォーバニット、太助はスミロドナッドだ。
「ウォーバニット、距離を取ってレンジシューターだ!」
「スミロドナッド、一気に近づいてフレクサソード!」
ウォーバニットはスミロドナッドにむけてガトリングを発射する。
しかしスミロドナッドは左腕で防御しながら接近してウォーバニットに斬りかかる。
その攻撃は脚部に当たった。
「よし!そこにストローハンマー!!」
スミロドナッドは二撃目にかかる。
「ウォーバニット!後方に回避!」
ウォーバニットはスミロドナッドの攻撃を紙一重でかわす。
「いまだ!シュートバレル!!」
その一撃はスミロドナッドの頭部に直撃した。
そしてスミロドナッドの背中からメダルが飛び出す。
「げっ!また負けちった〜、くそ〜」
「まだまだだな。はっはっは!」
すると隆史が駆け寄ってきた。
「すごいね!二人とも!」
「いやいや、そんなんでもないよ」
太助が少し照れ気味に言う。
「すごいなぁ〜、ボクもあんな風にできたらなぁ」
「そういえば隆史はどんなメダロット使ってるんだ?」
俺は思いだしたように聞く。
「え〜とね、メタルビートルだよ」
それを聞いた瞬間俺たちは急に目を輝かせた。
「メ、メタルビートル!?」 「見せてくれ!!」
俺たちは同時に叫ぶ。
「うん。メダロット転送」
そういうと目の前に新品同様のメタルビートルが現れる。
「おお〜〜〜〜〜!!かっこいい〜〜〜!!」
また俺たちは同時に叫ぶ。
俺の住む町ではメタルビートルは売ってなかった。このメダロットは俺たちのあこがれだった。
「でもね、まだよくわからないんだ」
隆史はすこし気を落として言う。
「じゃあ俺たちが教えてやるよ、なぁ?」
俺は太助に同意を求めた。
「おう。教えてやるぞ!」
「ありがとう!」
隆史は嬉しそうに答えた。
「じゃあまずは・・・・」


  俺たちは時間を忘れてロボトルの練習に励んでいた。
そしてあたりは暗くなり始める。
「あ、そろそろ帰らないと」
隆史は気が付いたように言う。
「んあ?もうそんな時間か。じゃあつづきは明日にしよう」
「そうだな、じゃあまた明日!」 そういうと太助は走って帰っていった。
「ホント元気だな〜、あいつは」
俺はあきれながらつぶやく。
「ふふふ、そうだね。じゃあまた明日、学校でね」
「おう!じゃあな〜」
そして俺も家へと向かう。


  それから、毎日のようにロボトルの練習をした。
隆史のうでも日に日にあがっていった。
俺はとても楽しかった。
しかしこのような時間を過ごすことができなくなるとは、俺は予想もしてなかった。

 

後編へ

戻る