トワイライト・パーク
これは「プリンセスGOLD」というミステリー雑誌に
発表した漫画を小説にしたものです。
わたしにしてはかなり恐い話です。(わたしにしては)
その日わたしは最悪の気分で公園のそばの橋の上にたたずん でいました。
理由は簡単、彼氏にフラレた上、テストの結果が過去最悪だったから・・。
「人生って何のためにあるのかな・・。もう死んじゃいたい ・・。」わたしが思わずそうつぶやきいたその時です。
「人生は占いをしてもらうためにあるのよ。」
いきなり後ろからそう答えた人がありました。
わたしがびっくりして振り向くと、そこには20くらいの、いかにも占い師らしい派手なかっこうをした女の人が立っていました。
「悩みのありそうなお嬢さん、わたしが占ってあげるわ。実は公園でお店を広げたんだけど暇なんだもん。」とその占い師はにっこり笑って言いました。
「びっくりした・・。占い・・ですかー・・?」
不幸のどん底だったわたしは、愛想のいいその笑顔につられて占ってもらう事にしました。本当はわたし、今まで占いなんて信じてなかったんですが・・。
占い師が使ったのはインチキ臭そうな水晶でした。わたしは ちょっとがっかりしました。まだ四柱推命とかの方がマシな 気がしたので・・。
すると、お姉さんはは水晶を見ながらスラスラと話り始めました。
「あら、あなた失恋したのね。しかも彼氏を友達に取られて・・・まあ、かわいそうに・・。その上大事なテストで赤点 、・・教育ママがいるのにこれは辛いわねー。」
「ええっ、どうして分かるの?全部その通りよ!!」わたしは本当にびっくりしました。まさか占いでそこまでわかって なんて・・・!
すると占い師はにこにこしながら続けて言いました。
「大変だったわね・・あなた・・でもね、あなたは彼と別れて正解だったのよ。だって・・彼と付き合ってると死ぬところだったんだもの。」
「えっ!ど、どういう事なの・・??死・・死ぬ・・??」 わたしはすっかり気が動転してしまいました。
「そうよ、だって彼、次の日曜日に車にはねられて死ぬんだもの。付き合ってるとあなたまで巻き添えだったのよ。うふふ・・。それから、お母さんももう怒ってないわよ・・。それどころか、今は落ち込んでるあなたを心配してるわ。まぁ、あなたって本当にツイてる人ねぇ・・・!」
黄昏時の公園で、その占い師は無邪気にそう言い放ちました ・・。不幸のどん底のわたしに、「ツイてる」と。
まるで、魔物にでもつかれたような気分でわたしは家に帰りました。もうさっきまでの死にたいほどの不幸気分も消えていました。
「和美ちゃん!どこに行ってたの?」家のドアを開けると、いつもうるさいお母さんが駆け寄って来ました。
「塾も休んであなたは・・・」お母さんがここまで言った時 、お父さんが咳払いをしました。お母さんははっと我に返ったようでした。
「あ・・あの、心配したのよ・・。何かあったらって・・。テストの成績が悪かったし・・。」そして、無理に笑顔を作って続けました。「テストはまた次に頑張ればいいのよ・・。お母さんも協力するから、気を落とさないでね。」
「お姉さんの言った通りだわ・・。」
部屋に帰るとわたしはつくづくお姉さんの占いの素晴らしに 感心しました。そしてこの後に続く恐ろしい事件が気になりました。
「じゃあ、次の日曜日には・・彼は死ぬのね・・。」
高校に入ったばかりの時から一年付き合った彼、ユウ君。いつの間にか親友の百合子と付き合っていた・・。お互いにずっと好きだったと堂々とわたしに言った彼・・。
不思議と恐い気持ちはしませんでした。それどころか、目の前から彼が消えることに、わたしは安心感さえ覚えていたのでした。「次の・・日曜日・・。」
翌日、わたしの心から失恋の痛みは大分消えていました。いまでは堂々と付き合っている彼と親友の百合子は、教室でも平気で二人で会話しているけど、もう前のように心臓がちぎれる感じはしません。
それどころか、心の中でもう一人のわたしが恐ろしい事を考えて笑っているのがわかりました。
『日曜日に・・車にはねられて・・。付き合ってると巻き添えで・・・。わたしが死なないって事は百合子が代わりに死ぬのかしら・・、きっとそうだわ、二人は日曜日にデートするのよ・・そして・・。』
すると、その時百合子がわたしの肩をポンとたたきました。 「和美ちゃん何ぼーっとしてるの? 次は化学室よ。さぁ行きましょうよ。」
百合子はユウ君と付き合い出した後もまだわたしの親友をやっていました。わたしは、百合子が泣きながら「ごめんね和美ちゃん。でも、まだ友達でいてくれるでしょ・・?」と言った時の事を思い出すと、今でも吐き気がして来ます。
しかし、いつもは憂鬱な百合子との教室移動も今日は少し違います。わたしは思い切って百合子に日曜日の予定を聞いて みました。
「日曜日・・? 暇よ。そうだ和美ちゃんたまには映画でも観にいかない・・?」笑って答えた百合子にわたしはどもりながら行くと返事をしました。でも・・・、わたしの代わりに 百合子が死なない・・。それは大変なショックでした。
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