深夜の番人



 夜中にふと目が覚めた。

 再び眠る気にもなれず、ナリヒラはベットを抜け出すと部屋の扉を開けた。
すると其処には、ナリヒラの姉であるナナミと、ジョウイが妹のように可愛が
っていたピリカが何やら揉めていた。

「どうしたの、ナナミ。」

 問いかけるが、ナナミの耳には届いていないようだ。ナナミは一つのことに
集中すると、他のことが見えなくなるという癖がある。

 しょうがないな、と思いながらナナミの横を通り抜け、ナリヒラは下の階へ
と向かった。

 さて、何処へ行こうか。そこら彼処に兵が立っているから、行ける場所は限
られてくる。早く部屋に戻ってくれと眼で訴える兵士を無視しながら、ナリヒ
ラは立ち止まって考えた。

 そこで浮かんだのは、ルックの顔だった。

 いつも素っ気ない態度の彼だが、その実仕事はきちんとこなす。そんな彼の
ことが、ナリヒラは密かにお気に入りだった。いつも石版の前に立っているの
で、会う機会が多いせいかもしれない。

 そう、ルックはいつだって石版の前に立っているのだ。そんなルックが、夜
はどうしているのか気になった。

 急ぎ足で一階へと向かう。そして、そこで見たのは何時もと変わらず石版の
前に立ったルックの姿だった。

「…ルック…。」

 何故夜までこんな所にいるのかと問いかけると、ルックは大げさに肩を竦め
た。

「全く、君は馬鹿だね。僕の持ち場はここなんだよ。ここから離れられるわけ
ないんだ。」

「今、夜だけど?」

「夜だと活動する人がいないとでも言うのかい?現に君は今、夜であるにも関
わらず走り回っていた様だけど。」

 そう言われるとナリヒラとしても困る。今日はたまたま眼が覚めただけだと
言いたいが、それを言った所で無駄だろう。ルックはナリヒラの言うことなど
気に留めてもいない。

 だが、一応言うべき事は言っておいた方がいいだろう。そう判断したナリヒ
ラは、ルックの顔をじっと見つめながら口を開いた。

「でも、夜は寝た方がいいよ。戦闘の時、寝不足で体調不良になられても困る
し。」

 ルックは対ボス戦では貴重な戦力だ。そんな彼にもしもの事があったら、大
変困る。

「自分の健康管理も出来ない馬鹿と一緒にしてもらっては困るね。僕は寝るべ
き時には寝ているよ。だから、心配はいらない。」

 素っ気なく言い放つと、ルックはナリヒラに部屋に帰るよう促した。

 だが、ナリヒラはその場から動かない。じっと、悲しげな表情でルックを見
つめてくる。

「…君は、何が言いたいんだい?」

 軽く肌に触れてくるような視線が気になり、ルックはナリヒラに声をかけた。
ナリヒラは首を横に振ると、その場から立ち去った。

「…一体、何だって言うんだ…。」

 彼が、ナリヒラがルックの胸の内を知っていたとは思えない。だが、彼の態
度は一体何だ。労るような、あの視線は。

 見透かさないで欲しい。自分自身ですら、気づきたくなかった感情に。気づ
いたが最後、後戻りできなくなる。

 自分には、使命がある。果たさねばならない使命があるのだ。

 

 ふと、外に目をやると空が白んできていた。朝が来たのだ。

 今日もまた、忙しい一日が始まる。


 これ、何でしょうね…。どうやら私はルックが好きらしい、というのが最近 の感想。ついでにザムザも好きだ。(同レベルなのか…) 


〔 戻る 〕