死せる友
どうも自分は、戦い方が不味いらしい。その事に速水が気づいたのは舞が死
んだ後だった。
気がつけば機体は尽く壊れ、修理に非常に時間がかかる。まぁ、敵陣の中に
突っ込んでいきミサイルを一発放った後は肉弾戦に持ち込む…という様な無茶
な戦い方だ。壊れるのも仕方がない。
そして壊れた機体を見事整備班や舞が修理してくれていたのだが、舞が死ん
でからというもの、どうも修理速度が下がっているようなのである。自分の修
理の仕方が悪い…云ってしまえばそれまでだが、どうしようもない。
それで、だ。速水は出撃した後何日間もの間だ「お預け」を喰らう羽目に陥
っているのだ。戦闘命!の速水であるから、これはかなりつらい。はっきり云
って、目の前で味方が無様な戦い方をしているのを見るのは拷問に近い。
壊れる機体、傷つく朋友。
それを目の前に突きつけられるのは、自らを傷つけられるより遙かに辛かっ
た。そして、速水は畏れた。
何時か、誰かが死んでしまうのではないか、と。
戦闘だから当たり前のことだし、速水は既に恋人であった舞を見送っている
が、それでも共に過ごしてきた仲間を失うことは恐かった。
戦闘に参加できずにいると、常にその不安がつきまとう。戦闘に参加できさ
えすれば、自分が囮になってでも誰も死なせはしないのに。
そして遂に、速水が畏れていた自体が発生した。
‘滝川の死’
それは速水の精神を揺さぶった。
右も左も解らなかった速水に(別に速水はどうでもよかったのだが)親切に
色々教えてくれたのは滝川だった。その滝川が、死んだ。自分が戦闘に参加し
ていたら、こんな目には遭わせなかったのに。
悔やんでも、悔やみきれない。後悔したところで、滝川は戻ってこないのだ。
気がつくと速水は補給車を出て、滝川機の元に走り寄っていた。
機体の側に、投げ出された滝川の身体があった。かけより、抱き上げる。死
んだかと思われていた滝川だが、微かに息があった。恐らく機体の外に投げ出
されたショックで、センサーも外れてしまったのだろう。
その事に安堵しつつも、まだ滝川が危険な状態である事に変わりはない。急
いで速水は補給車に滝川の息があることを報告すると、応急処置を施すため救
急箱を取り出した。
「……ぁ…はや、み……?」
「そうだ、しっかりしろ滝川!」
滝川の、意識が戻る。けれど視線は定まらず、何処か茫洋としていた。
滝川の意識を繋ぎ止めようと、必死で声を張り上げるがそれは滝川の耳に入
ってはいないようだ。鼓膜がやられたのかもしれなかった。
速水は叫ぶのを止め、滝川の手を握りしめた。
その手を、滝川が握り返す。けれどその手に込められた力は弱々しく、頼り
なかった。
「滝川…。」
呼ぶ声が、掠れる。けれど耳をやられた滝川は、その事に気づきもしない。
「なぁ、速水…俺さ、ずっとお前に憧れてたんだ。」
いきなり何を思ったのか、滝川はそんな事を言い始めた。
「そんで、ずっとお前の事好きだった…っつったらお前信じる?」
傷つき、喋るのも辛いだろう。それなのに滝川は話し続けた。
「トモダチになれて嬉しかったしさ、ホント、お前の事好きだっ…た…。」
滝川が、血を吐く。真っ赤な血を。
「俺、強くなりたかったよ…。お前みたいに、強く……。」
それが滝川の、最後の言葉だった。滝川は速水の腕の中で逝ったのだ。
速水は滝川を強く抱きしめ、静かに口づけた。それが速水を好きだと言った
滝川への、せめてもの餞だと思ったからだ。
気がつけば、速水は涙を流していた。それを制服の袖で拭い、立ち上がる。
これは戦争なのだ、泣いている場合ではない。
自分がしっかりしなければ、これから先幾らでも友の命が奪われるのだ。
生きたい…速水は切実にそう思う。
その為には、為すべき事が山のようにある。
「さよなら、滝川…。」
一足先に逝ってしまった滝川、自分も何れ彼のいる場所へ逝くのだろう。
「出来れば、安らかに…。」
どうか滝川に、祝福を…。
やっぱりプレイ日記。滝川、あんたは何者…?そう思わずにはいられません
でした。ある意味、瀬戸口よりインパクトあるよ…。でも私はこのイベントで、
爆笑しました。滝川と速水、仲が良かったわけじゃないんですよ…。(涙)
ちなみに滝川のセリフ、かなりうろ覚えなので8割方創作です。でも内容は
そんなもんだったと思う…。(ちょっと自信ない)
|