はた迷惑な二人


「お前等、ホント仲いいんだな…。」

 鷹と北村の二人を見て、富永は深く溜め息をついた。

 しかし仲がいいと言われた張本人達は、何故富永が溜め息をつくのか分から
ず顔を見合わせる。

「仲がいいのは十分分かった。だけどなぁ…」

 富永はそこで一息つくと、二人の顔色をうかがった。別に、鷹も北村も普段
と変わった様子はない。その事を確認すると富永は日本代表に入ってから、ず
っと言いたかったことを言った。

「お揃いの寝間着はどうかと思うぞ。」




 鷹と北村は仲良しである。それは日本チーム公認だ。

 二人は同室であったし、試合でも二人のコンビプレイは見事なもので、お互
いがお互いの力を引き出しているといった感じさえも受けられる。

 そんな二人だから、チームの人間は鷹が公衆の面前で北村に抱きつこうとも
別に気にしなかったし、北村の田舎へ当然のように一緒に帰省する鷹を見ても
何も思わなかった。

 けれど、鷹と北村がお揃いの寝間着を愛用しているという噂がチーム内に流
れた時から周囲の視線は一転した。

 二人は仲良し、それはいい。けれど仲が良すぎないか。もしかしたら二人は
そういう関係なのでは…という噂まで流れ出した。

 事の真相を正すべく、チーム随一の情報家である小林に話を聞いてみたとこ
ろの答えは‘不明’。お揃いの寝間着までは事実だけど、それ以上の事は分か
らないと言う。

「だけど、そういう事もあるかもね。」

 そう言って笑った小林は、噂を肯定したも同然である。小林に問いただした
人間が、かなりの噂好きだった事もあって今まで水面かでヒソヒソと囁かれて
いた「鷹と北村は出来ている」との噂はあっという間に広まった。

 おかげで交流を持たぬおかげで噂に疎い富永の耳にまで入ることとなり…そ
れも注意すべく、今に至るのである。



 別に、鷹と北村が出来ていようがなんだろうが富永の知ったことではない。
しかし、チームは男所帯。愛しい人とは別れ、異国にまでやってきたというの
に同じチームの人間に近くでいちゃつかれてみろ、普通の人間なら少しは腹が
立つだろう。

 おまけにこのカップル(断定)、TPOをわきまえない。あっちでイチャイチ
ャ、こっちでイチャイチャ。監督が切れるのも時間の問題だろうと囁かれてい
る。

 しかし短気な人間の多い日本代表チーム、その中でも代表的な短気富永の方
が切れるのが早かった…という事だ。

 けれど富永に遠回しに注意された二人はというと、何が何だか分からないと
いう顔をしている。鷹と北村の寝間着は確かにお揃いだったが、別にそれは二
人で買い求めたもの…とかいうわけではなく、北村のうちで作られたものだ。
布は大量に買った方が安い。まあ、今のご時世布を買うより既製品を買った方
が安いし手間もかからないという事もあるが、貧乏な北村家では出来る限り衣
服のコストを下げるため手作りをしていた。そんな北村の寝間着を見て、豚柄
だった為か鷹も欲しいと駄々をこねたのだ。

 単に、それだけの事。別段騒ぐような事ではあるまいと二人は平然としている。

「別にさー、寝間着くらいどうでもいいじゃん?それとも富永、同じの欲しい
の?」

 鷹に至ってはそんな事を言い出す始末だ。

 そんな事思うわけないだろうと内心腹を立てつつ、富永は口を開いた。

「いいか、お前等。お前達はな、このチーム内でどういう風に見られているの
か知ってるのか?」

 あまりこの話題には触れたくなかったが仕方がない。鷹にはストレートな方
法でなければ伝わらないようだ。北村に至っては、言うまでもない。鈍感を絵
に描いたような小心者には富永の苦悩は微塵も伝わっちゃいない。

 しかし、鷹から返ってきた返答は予想外のものだった。

 人に囲まれることは多いものの、特に親しい人間が北村以外にいない鷹は噂
に疎い。だからきっとチーム内に流れる噂も知らないだろうと富永は踏んでい
たのだ。

「うん、知ってるよ。」

 鷹は無邪気に頷くと、北村の首に腕を回し、同意を求めるように首を傾けた。

 北村も鷹にあわせて僅かに首を傾ける。その顔は穏やかで、幸せそうな表情
をしている。

 ああ、バカップル…。そんな単語が富永の頭を過ぎったか、目の前でいちゃ
つく二人はそんなの知ったことではない。

 幸せそうな二人の毒気に当てられ、富永は二人の部屋から無言でゾンビの様
にグッタリとして出ていった。

 そんな富永の背中を見送り、抱き合ったままで二人は目を合わせた。

「富永、どうしたのかな。」

「さあ?チーム内での俺達、評判悪いのか…。」

「違うと思うよ。だって、小林さん言ってたもん。」

「なんて?」

「俺と北村、親子みたいだって。見てて楽しいってさ。」

 鷹の親しい人間は北村の次は小林。小林から得られた情報は、無条件の信頼
から全て鵜呑みにしてしまう鷹。そんな鷹の言葉を、やはり鵜呑みにしてしま
う北村。

 彼等がチームの苦悩に気づく日は、多分こない…。


 鷹、好きです。北村も好き。けれどこの二人の同人見たことないんです…。 あったら是非とも教えて下さい。  取り敢えず、これは多分ワールドカップ予選か何かでしょう。細かい事考え てないので、荒があるでしょうが無視して下さい。

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