妄執



「ったく、お前はたった一人の女のためにあんな事したのかよ。」

 その時次元は怒ってはいなかったが、かなり呆れていた。何せルパンとは十
年以上に渡る長きつきあいである。馬鹿げた理由で犯罪を起こすことには馴れ
きっていたが、それでも今回の理由はその中でも一段と馬鹿げていた。

 美人ではあるが馬鹿っぽい大学生の「ケネディ暗殺の資料持ってきたら一発
やらせてあげる」というセリフを真に受け、小国であれば国家予算に値すると
いわれる黄金を捨て、その命までも危険にさらしたのだ。 

 結局女には資料はもういらないと言われ、数ヶ月に渡る活動は全てパァ。こ
れが馬鹿でなければなんだというのだ。

「ん〜、どうだろうねぇ。」

「おい、ハッキリしろよ。俺はあんな女のためにお前が死ぬような事があった
ら呪ってやるぞ。」

「…って、俺が死んでたら誰を呪う気なんだぁ?」

「決まってる、その女をだ。」

 愛用の銃を握りしめ、次元はキッパリと言い放った。

 そのあまりに真剣な次元の様子に、ルパンの目が点になる。

「おいおい、何言ってんだか。」

「俺は本気だ。」

 そしてそのまま、手にした銃をルパンの額へと押しつける。

「あんな下らないことでお前が命を落とす位なら、俺が殺してやる。」

「次元、怒ってるのか?」

「怒ってなんかないさ。…ただ、呆れてるだけだ。」

「呆れてるならさっさと俺なんか見切りをつけりゃあいいじゃねぇか。何もお
前までつき合うこたぁないぜ。」

 確かにルパンの言うとおりではあるのだ。気にくわないなら、離れればいい。
ただそれだけの事。

 だが次元にはそれが出来ない。出来るはずもないのだ。

 ルパンの茶化すような視線に見つめられ、次元はそっと銃を下ろした。

「撃たねぇの?」

「撃って欲しいのか。」

「まぁ、お前になら撃たれてもいっかなぁ〜なんてな。」

 ヘラヘラと笑う相棒を見る。その貌から真意はくみ取りがたい。仕事に関し
ては阿吽の呼吸の二人であるが、私的な事はそうは上手くいかないのだ。

「…まあいいさ。どうせ俺はお前に振り回されっぱなしって事だろ。」

 いつもの様に軽くため息をつき、銃を懐に納める。代わりに煙草を取り出し、
口に挟む。

 このモヤモヤした気持ちを納めるためにも煙草を吸うのが一番良い。しかし、
どうしたことかライターが見つからない。

 ポケットに両手を突っ込んだままライターの在処を考えていると、目の前に
ルパンの顔が迫っていた。

「ホレ。」

 火、つけんだろ?言いながらルパンは尚も顔を近づけてくる。次元もつられ
るようにして、ゆっくりと顔を近づけた。

 ルパンの煙草と、次元の煙草の先が軽く触れる。距離にして僅か十センチ余り。
お互いの顔が間近に見えるその瞬間、二人は同時に深く息を吸い込んだ。

 火が、移る。そしてルパンはゆっくりと次元から離れた。

 後はいつもの通りだった。

 ルパンはソファに寝そべり、旧式のラジオに耳を傾けている。次元はそんな
ルパンの横で、愛用の銃を磨くのだ。 
 


 次元×ルパン。…8/3放映のルパンでそう思った人はどれだけいるでしょう か。偶然友人も見ていて同じ感想を抱いたとき、流石心友と思ったさ…。  これは素直な次元ということで。本当はもっとかっこつけてる所が素敵なん ですけどね、海田が書くとヘタレにしかなりません。おまけに細かい設定は知 らないから…。言い訳だらけでスミマセン。何れ精進します。  でも煙草の火を煙草でつけるのってかっこいいですよね。花火の火を花火で つけるのとは全く違います。(あれは単に慌ただしいだけ)  普通のアニメ版はどんな具合でしたっけね。最近再放送やってるのでそのう ち見てみて身の振り方でも決めませう。  

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