思春期の子供達
思春期、それは心身共に変化する時期である。
良い方に変化するか、悪い方に変化するか、それは本人と回り次第。
中には愉快な方向に変化する人間もいたりして、なかなか面白い時期である。
短い思春期。けれどその間の経験は一生もので、だからこそ大切な時期なのだ。
そんな、思春期。
これはとある思春期の少年の話である。
ガラリ
教室の扉を開けた瞬間サスケは固まった。
・・・
教室の中には、胸を顕わにして着替える女生徒の姿。一瞬教室を間違えてし
まったのかとも思ったが、通い慣れた自分の教室を間違えるはずもない。
そう、ここはサスケの教室だ。しかし、中で女生徒が着替えている今、早々
にこの場を去らなければならない。
けれど身体は硬直してしまって、サスケの意志に反して動かない。
(クソッ!!)
サスケは焦った。このまま立ちつくしていたら、明日には立派な痴漢として
サスケの名は里中に広まってしまうだろう。うちは一族の末裔として、そんな
ご先祖様に顔向けできない様な自体だけは避けたい。
けれど、焦ったのが悪かったのか。
サスケは入口の扉を叩いてしまった。立て付けの悪い扉が、大きな音をたて
る。
その音に弾かれるように着替えていた生徒が振り向いた。
その生徒は、何とナルトであった。
ナルトが振り向くと同時に、サスケは脱兎の如くその場を去った。だから恐
らくナルトはサスケの顔を確認していないだろう。
走りながらも、サスケの頭は先ほど見た映像が渦巻いていた。
小振りではあるけれど、ゆるやかな膨らみ。あれは紛れもなく女の胸だ。そ
んなものがナルトにあるという事は、ナルトは女であったというのか。
(…だから、あんなにドベなのか…。)
女の力が男のそれに及ばないと云う事は、自明の理である。サスケ達の年齢
だとさほど顕著に現れているというわけでもないが、それでも徐々に男として
の身体的発達を遂げている少年達に比べて少女の力は劣る。
ナルトが女であったというのなら、何時も授業でドベだというのも多少は納
得が行く。ペーパーはどうなのか、というつっこみはこの際ナシだ。
それに、何よりも胸の膨らみ。
膨らんでいたら、それは確実に女であるという事だろう。
サスケは今更のようにナルトの胸を思い出し、赤くなった。
同年代の少女の胸を見るのも初めてで、その上相手は気になって仕方がなか
った人間だ。これで、赤くなるなと云う方が無理というモノだ。
その晩サスケは、とある決心を固めた。
次の日はアカデミーは休みだったが、いつものように起きると、サスケは早
くに家を出た。
行き先は何時もナルトが修行や密会(…)に利用している里外れの川縁だ。
休みの日は大概ナルトは其処にいた。けれどこの日は時間が早すぎたためか、
川縁にナルトの姿はない。
家の庭に咲いていた花で作った花束を眺め、サスケは「ホゥ」とため息をつ
いた。そんな憂い顔のサスケをサクラ以下、サスケファンの女の子達が見てい
たならば絶叫していたであろう。
けれど残念ながらこの場にはサスケ以外誰もいない。サスケは一人寂しく花
束を眺めているだけだ。
そんなサスケの頭上に影が差した。
「オイ、サスケっ!こんなトコで何やってんだ?」
堤防の上からナルトが叫ぶ。
サスケは声のした方を振り向くと、はんなりと微笑んだ。
いつものサスケならば決して見せない微笑。元々顔が良いサスケだから、微
笑は麗しく、かつ様になっているのだが、サスケの笑顔など見慣れていないナ
ルトにしてみれば不気味以外の何者でもない。
ナルトは口の端をヒクヒクと引きつらせ、固まった。
その隙にサスケが堤防の上、ナルトの横まで移動してくる。
そして、硬直しているナルトに向かって花を差し出すと口を開いた。
「好きだ。」
「はぁ?」
「俺と共にうちは一族復興を目指そう。」
漸く硬直状態から脱したナルトは、サスケに渡された花束を抱えながら顔を
しかめた。
「お前何云ってるんだってばよ。遂に頭イカレた?」
けれど悦に入ってるサスケには、ナルトの言葉は届かなかったらしい。
「ずっとお前の事が気になってたんだ。だから、俺と共に歩んでいこう!!」
ガシッとナルトの手を握り、じりじりと二人の距離をつめていく。
あわや顔と顔が触れ合おうかという距離になって、ナルトがサスケを突き放
した。
「さっきから一体何なんだってばよ!一族ふっこーとか、全然わけわかんない
ってばっ!」
突き飛ばされたサスケはといえば、ナルトに突き飛ばされた為尻餅をついた
状態で叫ぶナルトを見つめていた。
サスケはしっかりナルトにプロポーズをしたつもりであったのに、どうもナ
ルトには伝わってなかったらしい。はて、こういう時はどうするべきだったか。
確かうちは家秘伝の告白方があった筈…。
サスケはスックと立ち上がると、再びナルトとの距離を詰めた。
今度は何をする気だとナルトが身構えていると、サスケはナルトを抱きしめ
た。そして耳元で甘く囁く。
「俺のために毎日みそ汁を作ってくれ。」
「は?」
「…チッ、これも駄目か…。それなら…」
「お、おい?サスケ??」
「一緒に墓に入ってくれ。」
「サスケ、木の葉に墓なんてないってばよ!…じゃなくて、」
「俺と一緒に夜明けのコーヒーを飲もう。」
「だぁ〜かぁ〜らぁ〜…」
サスケの口から紡ぎ出される訳の分からない言葉のオンパレードにナルトは
頭が痛くなってきた。一体サスケは何が云いたいのか。
「云いたいことがあるなら、ハッキリ言えってばよ!!」
「だから、結婚してくれとさっきから云ってる。」
「…俺、男だってばよ…?」
「違う、お前は女だ。」
「俺の何処が女だっていうんだってばよ…。」
今日のサスケと話をすることは、アカデミーでペーパー試験を受けるよりも
頭を使う。いい加減脱力しながら、なげやりにナルトは云った。
「だってお前、胸があるだろ。」
答えるサスケは真剣だ。
けれどサスケの云う内容に心当たりもあったので、ナルトは脱力しつつも頷
いた。
「確かに胸はあるけどさ…。」
そしてそのまま上着のファスナーに手をかける。
ぱさりと上着を脱ぎ捨て、そこから現れたのは女性にしかない胸の膨らみ。
サスケは慌てて目を逸らしたが、ナルトは気にした風もなく続けた。
「俺ってば今成長期だからさ、『ほるもんばらんす』ってヤツが狂ってるんだ
ってばよ。だから、ほら。」
そう言ってナルトは下半身まで見せてくれた。
そして其処には、確かに男の証明。
赤から青へと、サスケの顔色が変わる。
折角ナルトと一族復興ができるかも、という夢が一瞬にして脆くも崩れ去っ
てしまったのだから無理もないだろう。
けれどまあ、ナルトの裸体を拝むことが出来たのだからサスケにしてはもう
けもの、だったとも云える。
嬉しさと悲しみとの間でサスケはしゃがみ込み、葛藤した。
そんなサスケをナルトは暫く眺めていたが、服を着るとさっさとサスケの側
から離れた。
堤防の向こうから、キバの声が聞こえてきていた。
書いていて楽しかったけれど、サスケファンには殺されそうです…。壊れた
サスケは好きですよ、ええ…。
ちなみに「思春期の少年の胸部が膨らむ」というのは割と良くある現象です。
近くにそれくらいの少年が転がっていたら、確かめてみるのもまた一興。(笑)
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