祝い



 神秘的な漆黒の瞳に、魅惑的な容姿。そして家柄、経歴までもが素晴らしい。
ナルトの仲間、うちはサスケとはそういう男だ。

 けれどその人格はというと、素晴らしく崩壊している。




「…なぁ、これは何だってばよ。」

「何だ、ドベ。見ただけじゃわからねーのか?」

「そういう意味じゃないってばよ…。」

 無神経な目の前の男に頭痛がしてきたが、取り敢えず冷静になろうと深呼吸
をした。

 そう、この男は馬鹿なのだ。だから馬鹿相手に真剣に相手をすればこちらが
馬鹿を見る。それはナルトにしては珍しく冷静な判断だ。

 自分自身に冷静になるよう言い聞かせると、ナルトは改めて切り出した。

「俺が言っているのは、なんで俺がお前からお前の家の指輪を貰うのかって事
なんだってば。」

 そう、先ほどナルトが中忍合格祝いと称してサスケから貰ったのは、うちは
の家の家紋がしっかりと入った指輪だった。

 家紋入りの指輪を人に渡すという事は、大概においてその家に入るという事
を意味する。結婚してその家に入るときに渡されたり、養子になった時に貰う
のが通例だ。

 だから何故自分がサスケからそんなものを貰わなければならないのだ、とい
う思いがナルトにはある。

「まさかサクラちゃんに渡しておけとかいう事じゃ…。」

 自分の好きな娘が仲間とはいえ他人の家の家紋入り指輪をはめている、なん
て事になって面白い筈がない。否、仲間であればこそとでもいった所か。

 そんなナルトの心配を余所に、サスケは淡々と言ってのけた。

「それは、お前にやるつもりで持ってきた。サクラにはまた別の物でもやる。」

「じゃあ、これどういう意味なんだってば?俺、装飾品って殆どつけないぞ。」

 それが、高価そうとはいえ他人の家の家紋が入った物なら尚更だ。どんな誤
解を招くか知れたものではない。

「それはだな…。」

 サスケはナルトの手から指輪を奪うと、それをナルトの薬指に恭しく填めな
がら言った。

「例えお前がどんな地位につこうとも、心は俺の物だという事を皆に知らしめ
る為だ。」

 最後に手の甲に接吻をするという事までやってのけた友人に、ナルトは目眩
がした。

(こいつは馬鹿だ。ホントに馬鹿だ……。)

 知らしめるも何も、一体何時ナルトがサスケのものになったというのだろう。
それともこいつは、仲間には指輪を贈るものだと勘違いしているのか。

 友人らしい友人のいなかったサスケだ。それはあり得る気がした。

(…本当に、何なんだこいつは…。)

 第一木の葉の里では同性同士の恋愛は御法度とされている。もし冗談でもそ
んな噂が流れたら、二人とも処罰されかねない。

 けれど、そんな事を面と向かって言ったとしてもはぐらかされるのがオチだ
ろう。その上自ら噂を流しかねない。そんな男なのだ、うちはサスケとは。

 抗う気力の失せたナルトは力無く言った。

「…貰うだけ、貰っておくってば…。」

「そうか。」

 珍しく上機嫌なサスケに、受け取って良かったかなと思うナルトだった。

 だが、この指輪は決して填めまいと心に誓うのだった。

 

《後日談》
「ねぇ、ナルト。」

「何、サクラちゃん?」

「これ、サスケくんから貰ったんだけど、どうしろって事なのかなぁ?」

「…サクラちゃん、それって……。」

「そっ、白衣。サスケくんってば、私に看護婦でもやれって事なのかなぁ。」

「…多分、違うと思う……。」

 サスケが益々分からなくなるナルトだった。 



 これは元々友人の誕生日プレゼントだった、銀河英雄伝説を改良(改悪?) したものです。だから設定も普段とは違います。素晴らしくサスケが崩壊して いるのもそのせいだとでも思っておいて下さい。ナルトが常識家っぽいのもそ の影響。銀英の方もアップしようかと思いましたが、主人公は微塵も出てこな いので止めておきました。(笑)  

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