狐の婿取り



 今までずっと男だと信じていた人物が、実は女だと分かったとき人は一体ど
ういう反応をするのだろう。

 異性としてその人物を愛していた人は落胆するかもしれない。けれど彼女に
は友情を育むという道も残される。

 同性を愛してしまったという事に苦悩していた人は喜ぶかもしれない。その
事により障害が一つ取り除かれたのだから。

 では、同性として友情を育んできた者達はどうだろう。昨日までと同じ様に
その人物を見る事が出来るだろうか。



 …答えは、彼等の中にある。








「婿取りじゃ。」

 火影の言葉に、ナルトは暫し沈黙した。予想もしなかった火影の発言に、何
と返して良いのか分からなかったのだ。

「一週間の猶予をやるから、その間に婿となるべく人物を連れくるんじゃ。」

「ちょ…ちょっと待ってよ、じっちゃん!」

 真剣な火影の様子に、ナルトは慌てて言い返す。

「婿取りって何なんだってば。…俺、まだ子供だぞ?」

「婿取りは婿取りじゃ。お前ももう12、もうそろそろ子供も産めるようにな
るじゃろうて。」

 火影が子供の時分はそうだったかもしれないが、晩婚化が進む今、12やそ
こらで結婚する人間は皆無だ。火影の言うように、ナルトもそろそろ子供も産
めるようになるが、火影に言われるまで結婚についてなど考えたこともなかっ
た。

「…第一、俺の性別の事何て言えばいいんだってばよぉ…。」

 生まれた頃より、男として育てられたナルトである。本人の意識も当然男で
あり、周囲もそう思った上でナルトと接している。

 そんなナルトが婿取りなど、どうして出来ようか。…知り合いの男友達は幾
らか居る。居ることには居るが、それはあくまでトモダチなのだ。結婚など、
考えられるはずがない。

「…お前の性別は知らせるのじゃ。そして、九尾の事も。それでも尚、お前を
受け入れてくれる者を連れてこい。」

 火影はそれだけ言うと、ナルトの頭にそっと手を伸ばし、柔らかなその金髪
を皺だらけの手で、何度も何度も繰り返し撫でるのだった。





 ナルトに婿を。そう考えたのには当然わけがある。

 火影とて、まだナルトが幼いことなど重々承知している。恋だ、愛だなどそ
っちのけで友人達と戯れていたい年頃だ。そして、夢に向かってまっしぐらに
走り続けていける年でもある。

 でも、だからこそ火影はナルトに婿を、と考えたのだ。

 ナルトが任務に夢中になり、そのレベルを上げていくにつれて当然命は危険
にさらされることになる。…もしかしたら、本当に死んでしまうかもしれない。

 それでは、困るのだ。ナルトは九尾の器。器が壊れれば、当然九尾は解放さ
れる。そうなれば、里は十人年前の二の舞だ。多くの人が死に、その何倍もの
人間が悲しむこととなる。 

 ナルトにとって、酷な選択だったとも思う。けれども、木の葉の里の長とし
て、これは民の為になさねばならぬ選択だったのだ。

 ナルトの血脈を途絶えさせてはいけない。血を持ってして行われた封印は、
その子供に受け継がれる。例えナルトが死んでも、その子孫さえ残っていれば、
封印としての役割は果たされるのだ。

 婿は、火影自身が選ぼうかとも考えた。少なくとも火影は、ナルトに好意を
抱く人間を何人か知っている。その者達の中から一人を選び、ナルトに宛って
も良かったが、それではナルトの自由意志は介在しない。

 だから、ナルトに選ばせるのだ。その相手が誰であれ、ナルトが選んだのな
らば自分は祝福してやろう。

 生活の保護も与えてやる。自分に出来ることならば何だって、ナルトの望む
だけ与えてやろう。

 それだけの負い目が、火影にはあった。






『婿を連れてこい』

 火影に命ぜられたナルトはというと、何故自分が婿をとらねばならないのか
という事を全く把握してなかった。

(…取り敢えず、誰か連れていけばいいんだろ?)

 そんな風に考えてしまうナルトは、火影の思いを理解していないといえる。

 単に血脈を途絶えさせない為というのなら、無理にナルトを結婚させる必要
はないのだ。家庭を持たずとも、子供は生む事が出来る。けれど火影は、家庭
を知らずに育ったナルトに、暖かな家庭を築いて欲しかったのだ。そしてそれ
がナルトの為になると考えた。

 独りよがりな自己満足、そう火影を批判する者もいるだろう。だがしかし、
火影は人間としてナルトに抱く情と、里の長としての理性とを、きちんと使い
分けなくてはならない。二つの間で板挟みになり、火影が出した結論がナルト
の婿取りなのだ。

「だけど、婿っていったってなぁ…。」

 何人かの男友達の顔を思い浮かべてはみるものの、婿というのにピッタリ当
てはまるヤツがいない。第一、今まで友達としてやってきたのだから、突然婿
に等と言われても相手は困ってしまうだろう。

「…そうなるとやっぱ、イルカ先生かな♪」

 結婚のなんたるかをよく理解していないナルトではあるが、共にいて一番安
心できるのは旧担任のイルカである。

 そう決めたのなら、後する事は一つだけ。ナルトはアカデミーへと続く道を
元気に歩きはじめた。


 

「…イルカ、だと…?」

 あのうだつの上がらない中忍かと、影でナルトを見守っていたサスケは舌打
ちした。

 サスケはナルトが火影に呼び出されたと聞いて、心配して後をつけてきたの
だ。里の長が住む家にしては警備が手薄な火影邸は、ナルトがあっさり侵入で
きる程のものだ。当然サスケが侵入できないはずもなく、天井裏に張り付いて、
ナルトと火影の話を盗み聞きしていたのだ。

 そこで、ナルトが女だと分かったときはどんなに嬉しかった事か。

 サスケはナルトの事が好きであった。けれど、一族復興の事も考えるのなら
ば女と結婚しなければならない。そこでジレンマだ。サスケにとって一族復興
とは生きる意味であり、どうしても捨て去ることができないものなのだ。それ
は、ナルトを幾ら愛したところで変わらない。一度たてた誓いを破るという事
は自分を欺く事であり、それはサスケの本意とする所ではないのだ。

 まだ若いサスケには、結婚しなくても、そして愛はなくとも血を再興する事
が出来るという考えは持っていないらしい。

 けれど、今サスケは自分にとって大事なものを同時に二つ叶える道を与えら
れたのだ。これをモノにしなければ男が廃る。

「あんな男にナルトを渡してたまるかっ!」

 雄叫びを上げると、ナルトを追ってアカデミーの方へと走り出す。

 自分の数々の不当な行いを棚に上げ、イルカを「あんな男」呼ばわりするサ
スケ。彼は唯我独尊野郎に育ってしまったが為に、自分があまりナルトに好か
れていないという事実に気づいていなかった。



 情報というのは何処からともなく漏れるものである。

 だがナルトに関していえば、自ら必死扱いて情報を集める人間が多いので必
然的に漏れるのだ。

 ナルトが女であると、そして婿取りをするという情報を使役する虫によって
得たシノは、何時もと同じように沈黙していた。

「おい、何辛気くさい顔してんだよ。」

 何時もとあまり表情が変わっていないように思えるシノにこんな事をいえる
のは、シノの幼なじみであるキバだからだ。普通の人間には、シノの表情の変
化など分かるはずもない。

 目の前で手のひらをちらつかせられても、シノは依然として黙ったままだ。

「折角お前、ナルトが女だったんだから嫁にでも何でも貰えばいいじゃん。」

 前に結婚したい相手にナルトって書いていただろう、と言ってキバは笑う。

「なぁ〜に、悩んでるんだよっ。そんなんじゃ誰かに盗られるぞ。…そう、例
えば目の前の人間に、とかな。」

 冗談めかして話しているが、実際その眼は真剣そのものだ。そんなキバの眼
を見たが為か、シノが重い口を開いた。 

「…問題が、ある。」

「何だよ、どんな問題だ?」

「……ナルトの、癖なんだ。」

「?」

「……虫を見つけ次第潰すのが…。」

「………」

「それでは、家中の虫が死に絶えてしまう。」

「…そりゃあ、問題だな…。」

 以前ナルトがシノの身体で飼っている虫を大量に潰していた、という話をキ
バは思い出した。虫使いであるシノの家や身体には、使役する為の虫が沢山い
る。その全てを潰されでもしたら、油女としては堪らないだろう。

「潰さない様に躾ける、ってのはどうだ?」

「今、その最中だ。」

 つまり、まだナルトの虫つぶしの癖は治っていないという。けれど、火影が
出した期限は一週間。

「…まあ、結婚してからでも癖は治せるだろ…?」

 果たして、治せるだろうか。虫を見たら潰してしまうというのは、ナルトに
とっては条件反射故の行動らしい。アリだろうが、蚊だろうが、ナルトは見つ
けるや否や潰してしまう。流石にカブトムシほどの大きな虫になると潰す気も
起きないのかただ眺めているだけであったが、ゴキブリは殺していた所を見る
と大きさというのはあまり関係ないのかもしれない。

 虫を潰したくなるという衝動は、シノには理解し難いものだ。けれど目の前
で冷や汗をかいているこの友人も蚊だとか蠅だとかはバシバシ殺していたし、
アカデミーの少女達も何だかんだと騒ぎながらゴキブリを一撃で仕留める技は
なかなか見事であた事を記憶している。

 どうやら人にとって、虫とは潰さずにいられないものらしい。いわば本能と
も云えるその衝動を、抑えつける事が果たして可能なのだろうか。

「…何とか、するか…。」

 潰されても、虫の繁殖力は強いからなんとかなるかもしれない。淡い期待を
胸に抱き、シノはのっそりと立ち上がった。

「おい、何処行くんだよ。」

 外出しようと身繕いを始めるシノを見て、キバが声をかける。

「アカデミーだ。」

 そこにナルトがいる。そして天敵イルカもだ。とろいように見えて、実はあ
の中忍なかなかやるのである。
 
 サングラスを磨き、気合いを入れる。これからナルトの婿という立場を得よ
うというのだから、その気合いの入り方は相当なものだ。

 そんなシノの気合いに気圧されながらも、キバもゆっくりと立ち上がる。

「まあ、面白そうだし俺もついてくか。」

 そして二人は揃ってアカデミーへと向かうのだった。






 アカデミーにて、イルカは目の前に広がる光景にダラダラと冷や汗を流して
いた。

 この場に、ナルトがいうのはいい。何せ卒業してからも、イルカに会いにし
ょっちゅう遊びに来ていたのだから。だが、ナルトの後ろに控えてイルカを睨
んでくる少年達は一体なんなのか。

 実はその少年達、ナルトをアカデミーへ行かせまいと奮闘したが失敗して不
承不承ついてきたのだが、そんな事イルカが知るはずもない。

 サスケがいる、シノがいる。キバもだ。…彼等も一応よしとしよう。何せナ
ルトと同じように卒業生であるし、たまには古巣が懐かしくなったのかも知れ
ない。

 だが、見慣れない瓢箪を背負った少年は一体何なのだ。眉毛はない上、隈取
りしてあるので睨まれるとかなり恐い。

「…ナルト、この子は誰かな?」

 今にも噛みついてきそうな眼をしている少年を指さし、イルカはナルトに尋
ねた。

 ナルトと同い年位である以上、イルカに見覚えがあってもおかしくない筈だ。
何せ、里の大半の人間はアカデミーに通う。だからイルカに見覚えがないとす
ると、他の里の人間である可能性が高いのだ。

「ん〜?ここ来る途中で会ったんだってば。」

 自己紹介しろよ、とナルトに促され、少年は低い声で名乗った。

「…我愛羅だ。」

 その名前にも、やはり聞き覚えがない。

「ちょっとゴメン、君ってこの里の人間じゃあないよな…?」

 イルカの言葉に、我愛羅と名乗った少年はこくんと素直に頷いた。

「…今の時期試験もないし、他の里の人間は立入禁止だと思うんだが…。」

「あんなもの、屁でもない。」

 フンッと鼻を鳴らし、腕を組む。その動作の何と堂に入ってる事か。年に似
合わぬ風格を身につけている証拠だ。

 けれどイルカは目の前の我愛羅を見て益々慌てる。

 子供ごときに突破される、里の包囲網は一体どうなっているのだ。しかしそ
れより気になるのはこの少年の目的だ。里に侵入してはいるが、堂々とその姿
を現すあたり何か目的があるのだろうか。

 気になるのは先ほどからナルトの背後にベッタリと張り付き、イルカを睨み
続けている事だ。睨んでいるというのならサスケ達もそうだが、やはりイルカ
としては他国の人間の方が気に掛かる。

 けれどイルカが我愛羅に疑問を投げかけようとする前に、ナルトが口を開い
た。

「先生、今つき合ってる人いる?」

 何故突然その様な事を聞いてくるのか、気にはなったが根が素直で単純なイ
ルカはしどろもどろになりながらも律儀に答えを返した。

「…え、あ、いないが…。ホラ、先生も色々忙しいし。」

 言い訳がましくなるのはこの際仕方あるまい。なにせイルカももう結構な年
で、彼女の一人くらいいても良さそうなものだが、忙しい教師生活の上に安月
給とあっては、相手をしてくれる女性はあまりいない。顔も悪くないし、性格
も真面目だが男としての魅力は殆どない。大概の女性は「いい人なんだけど、
ちょっとねぇ…。」と言葉を濁す。誰にでも優しいという事は、長所であると
同時に欠点でもあるというわけだ。

 …閑話休題、話を戻すとしよう。

 とにかくイルカに彼女はいない。その事を確認したナルトは何の前フリもな
く、突然プロポーズをした。

「先生、俺と結婚してくれってばよ♪」

 うみのイルカ、長い教師生活の中でも生徒からプロポーズされるというのは
初めての経験だった。意識を遠くに飛ばしてしまいたくなるが、何とか意志の
力で繋ぎ止めナルトへと向き直る。

「…ナルト、頭大丈夫か?」

 ナルトを男だと信じているイルカにしてみれば当然の反応だ。けれどナルト
としては、一応真面目に頼んだのにそのように言われるとは心外だ。

「俺元気だって!だから先生、俺と結婚して。」

 これじっちゃんの命令だしさぁ…、と言葉を続ける。

 ナルトとしては何気なく言ったつもりの言葉だろうが、イルカにしてみれば
それはかなり重要な事である。今までナルトの戯れ言だと思っていた事が、突
如現実味を帯びてくる。

「…三代目が、俺と結婚しろって?」

「ううん、違う。俺に婿とってこいって。」
 
 一体三代目は何を考えているのかと、イルカは目眩を覚えた。男であるある
ナルトに婿だと?何を非常識な…。

 と、そこで思い当たった。

「ナルト、お前男だよな?」

「ううん、違う。」

 イルカ、本日二度目の衝撃。最愛の教え子が実は女で、結婚まで迫ってくる
とは。

「ごめんよ、ナルト…。俺には荷が重いよ。」

 ナルトの事は好きだけれど、生徒という枠を越えて好きだけれどもそれとこ
れとは別問題だ。それに、まだこんな幼子に手を出すという気持ちが起こるは
ずもない。

「…先生、俺の事嫌い?」

 犬であったら耳を垂らしていそうな表情で、ナルトが訴える。その姿を可愛
いと思うし、抱きしめたくなる。だけど、だ。

「大好きだよ。…だけどなぁ、ナルト。俺はナルトの事を本当に好きな人を捜
して欲しいんだ。」

「本当に好きな人?」

「そうだ。先生もナルトの事大好きだけど、ドキドキはしないんだ。ナルトも
そうだろう?」

 諭すようにイルカに言われ、ナルトは小さく頷いた。

「先生ナルトの頼みなら叶えてやりたいけど、そればっかりは無理だ。」

 苦笑してイルカはナルトの頭を軽く叩いた。それに反応してナルトは顔を上
げる。

「三代目の命令で、婿がいるんだろ?」

「…うん……。」

「期限は?」

「一週間。」

 また三代目は無茶を…と思いながらもイルカはナルトを安心させるために笑
って言った。

「お前のことを、先生以上に大好きな人がきっといる筈だ。」

 後ろでずっとイルカを睨み続けていた少年達。ナルトが女であると発言した
ときも驚かなかった所を見ると、恐らくナルトの性別は既に知っていたのだろ
う。そして、きっと…。

「先生まだ仕事があるから。」

 ナルト達をアカデミーから追い出し、イルカは小テストの採点の為に机に向
かう。先ほどの話は何かと、教員達が聞きたそうにイルカの回りをとりまいて
いたが、イルカは敢えて気づかないふりをして通した。






 拍子抜けした、と云って良い。

 イルカはナルトが大好きなのは見て取れたし、あっさりナルトの申し出を受
け入れると思っていたサスケ達はホッとするというよりも寧ろ落ち着かなかっ
た。

 イルカの言っている事も最もだったが、何かが気に掛かる。

 それが何であるのか、分からない。咽の辺りまで出かかっているというのに、
だ。

 その思いはナルトを除いた全員の思いであるようで、皆何処か余所余所しい。

 不意に、アカデミーを出てから真っ直ぐに歩き続けていたナルトが動きを止
めた。

「分かったってばよ!」

「何がだ?」

 問い返すキバに、ナルトは満面の笑みを浮かべて答えた。

「イルカ先生の言ってたドキドキって事だってばよ♪」

「へぇ。」

 興味深げに呟いて、キバは後ろでウゴウゴしている少年達を見る。

 案の定、ナルトに好意を抱く少年達はナルトの次の言葉を待ちかまえて身体
を固くしていた。

「んで、誰かドキドキする人でもいたのか?」

「そうっ。それってきっとカブトさんの事だってば。」

 嬉しそうに話すナルトに、キバは聞き返す。

「カブトさん…って、あの眼鏡かけたカブトさん…?」

「そうだってばよ。」

「…何であの人…。」

 いいかけて、キバはやめた。一見優しげなお兄さんであるカブトは、何処か
イルカと通じる所がある。違う点といえば、イルカはそれが地であるのに対し、
カブトは偽りであるという所か。

 後ろの三人がどのような形相をしているのか、振り向かなくともキバには分
かった。

「あの野郎ーーー!!」

 一番行動が早かったのは、サスケだった。カブトをよく知る分、恨みも深い。
脱兎の如くその場を後にすると、あっという間に見えなくなった。

「何やってんの、サスケってば…?」

「さあな…。」

 ナルトの疑問に疲れたように答えを返すと、キバはその場に座り込んだ。

 ナルトが好意を抱いた人間に幾らあたった所で無駄であるという事に、どう
してサスケは気づかないのか。否、それはサスケに限ったことでなく、どうし
て直接ナルト本人にアプローチしないのか。

 サスケを追うようにして残る二人も去っていった事を確認してから、キバは
口を開いた。

「…カブトも婿になってくんなかったらどうするんだよ。」

「う〜ん、その時考えるってば。」

「でも一週間しかないんだろ?」

「…うん。そしたら多分、じっちゃんが決めた相手と結婚するんだろうなぁ…。」

 他人事の様に呟くナルトを見ていると、キバは寂しくなる。どうしてこの少
年は、自分の事を大事にしないのか、と。もっと、自分の意志で生きてもいい
だろうに。

 火影になりたい、そう言うのはナルトの意志なのだろう。けれども
 
「…誰もお前を貰ってくれなかったら、俺が貰ってやるから安心しろよ。」 

 キバの言葉に驚いたようにナルトは目を見開いたが、直ぐに表情を崩した。

「えぇ〜、キバがぁ?」 

「そっ、俺じゃ不満か?」

 ナルトはキバをじっと見つめたかと思うと、クスクスと笑いだした。

「…不満じゃ、ないよ…。」 

 ともすれば風の音に聞こえてしまいそうな小さな声であったけれど、キバに
は聞こえた。けれどこの場は聞こえないフリをしてやるのが、お互いの為とい
うものだろう。

 キバは立ち上がると、ナルトの頭を小突いた。

「んじゃ、変えるか?」

「おう♪」

 赤く染まった道を、二人は手を繋いで歩き出した。 


 海田にはよくある、リクエスト崩れ…。女の子ネタを書こうとして三本くら い設定考えて、唯一ものになりそうだったのがコレなのにどんどん方向を外し ていきました…。これをリクエストとして進呈するのはあんまりにもあんまり だったのでこっちにアップ。  しかし、リクエスト崩れは本筋に戻そうと努力も一応はしてみるので、長さ がそれを物語る…。

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