煙草依存症
好かれたいと思うより先に、何かしてやりたいという思いが湧きだした。
彼に対して抱いた保護者に似た感情。
その正体を見極めることなく過ぎていく日々に、満足を覚えていた。
「やめろよ。」
言われて初めて自分が煙草を吸っている事に気がついた。こんなことってあ
るのだなと苦笑しつつ灰皿に煙草を押しつけると、カズマが何やら怖い顔をし
ていた。
はてさて、今日は一体どんな理由でご機嫌斜めなのやら。空腹なのか、鬱憤
が溜まっているのか、それとも単なる寝不足だろうか。今までの経験からカズ
マの不機嫌の理由を検索しながら、アクセルから足を離した。
車は緩やかに速度を落としながら、それでもでこぼこした整備されていない
地面の上を進んでいく。
ガタン
一際大きな石にぶちあたり、車が大きく揺れた。運転席に座っているこちら
は大丈夫だが、助手席のカズマの方はうっかり舌を噛んでしまった様だ。口の
中で舌を動かしながら、思い切り眉を寄せていた。
ここで笑ったら不味いよな。吹き出したいのを堪えながらカズマから視線を
外し、正面を見据えた。何もない、黄土色した広大な大地はいつもと何の変わ
りもなかった。
「おい。」
低い声でのカズマの問いかけに、笑顔で答える。
「これでも喰ってろ。」
そう言って差し出されたのはドロップの入った缶。一体どこに隠し持ってい
たのだろうか?それは並大抵の大きさではなかった。
ドロップなんて一つ舐めたらもう暫くは口にもしたくなくなるのに、その缶
はどう小さく見積もっても二十p四方はある。その中にどれだけのドロップが
詰まっているかなんて想像もしたくない。
「そんなもの…」
いらない、と突き返そうとした時、仄かに赤く染まったカズマの顔を見てし
まった。そしてそれ以上、何を言えば良かったのだろうか。
「近ごろお前、煙草吸い過ぎだ。」
言われるまで自覚は無かった。けれど考えてみれば、一日に三箱無くなる事
があるというのは尋常ではないのだろう。これは驚きだ。一体いつからヘビー
スモーカーになったのか。
そして、カズマがその事に気づいていた事にも驚いた。人の事なんて、大し
て注意を払わないヤツなのに。
「何か、あったのかよ。」
その言葉に、不覚にも泣きそうになってしまった。
何か、あったのかって。十分あったさ。
けれどそれはお前なんだ。
出会った頃に、戻りたいと思ったわけではなかった。
カズマという存在を、独り占めしていた頃に戻りたいわけではなかった。
けれどそれは頭でそう思っていたに過ぎないのかも知れない。
変化していくカズマに、カズマの周囲に時折置いてきぼりを喰らったような
気分になった。カズマが別の世界へ行ってしまった、そんな風に感じる事が増
えていった。
孤独感、疎外感、そして虚無感。
目の前にカズマの顔が迫ってきていた。眉間に寄ったシワが、今日ばかりは
嬉しかった。
「何でもない。」
そう言って、アクセルを踏み込む。
今日から暫くは、煙草を吸わないだろう。
久々に文章打ってみました。のでこんなん。
君島、やっぱ好きだ。
そのうちスクライドのビデオ見直します。そしたら新たな発見あるのだろう
なぁ…。
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