最期の瞬間



 崩れる校舎。

 落ちていく女性。

 彼女は自分の…担任だった。





 龍麻に負けた瞬間、マリアは全てを諦めた。自分が望んでいた、全ての事を。
 
 けれど龍麻に負けることこそマリアの望みだったのかも知れない。

 足下が崩れ落ちる瞬間、もう終わるのだなと思うと寂しいと同時に嬉しかっ
た。それが何よりの証拠。

 驚いた顔で自分を見つめてくる龍麻を見つめる。


 大丈夫よ。そんなに驚かないで。私はこれで満足なのだから。


 そんな思いを込めて微笑む。

 足下はもう完全に崩れてしまった。後はもう、落ちるだけ。

 死を感じた。その瞬間、腕に痛みが走る。

 龍麻がマリアの手を掴んでいたのだ。今にも泣き出しそうな顔をして。

「…龍麻クン…。」

 名前を呼べば、無言で頷く。

「私を助ける気なの…?」

 優しい子だとは知っていた。何時も大切なモノを守るためにと、頑張ってき
ていた子だったから。…ずっと見てきたのだ、それ位知っている。彼が真神に
やってくるまえから…ずっと。 

 繋いだ手から龍麻の鼓動を感じる。

「…マリア先生…」

 滅多に口を開かない龍麻が口を開いた。そう言えば名前を呼ばれたのは初め
てだ。

「なぁに?龍麻クン」

 龍麻は真剣な顔をしていた。彼のそんな顔を見るのは初めてで、少しドキド
キしてしまう。不謹慎かも知れないが、もしかしたら自分はこの少年に恋して
いたのかもしれなかった。

「…先生…。」

 低い、少し掠れた声。

「重すぎます…。」

 その瞬間、二人の手が離れた。

 闇と瓦礫の山にマリアは消えた。そして龍麻の手には、彼女が残した傷が一
筋残っていた。



 …ギャグ…。  でも思うのです。主人公力持ちだろうからマリア先生の一人くらい簡単に引 き上げられるだろうと。だからよっぽど重かったのかなぁ…。  不完全燃焼。

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