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「、つーか元はと言えばお前が原因だろーが」
龍麻の不機嫌な声が響く。
「え ぇー! だってー!」
聞き分けの悪い子供のような口調で京一が反論する。
ここは真神学園の体育準備倉庫。
要するに体育館の裏にあるハードルやら各種スポーツのボールやらが収納されている倉庫だ。
卒業式も間近になると、体育の授業なんて言うものは半分生徒のお遊びになることが多い。
ご多分に漏れず、真神もその様子で最近の体育の授業は、やれサッカーだ、野球だと
ほとんど生徒の提案で好き勝手にやっている場合がほとんどだった。
そこでの話だ。
今日は2時間続きの体育の授業で、「野球をやろう」ということになった。
「おめーらが同じチームにいると誰も勝てねー!」という意見多数のため
龍麻と京一は別々のチームされた。
京一は野手、龍麻はピッチャー。
「おい!ひーちゃん! ぜってー打ってやるからな!」
京一は自信たっぷりの表情でバッターボックスに立ち、バットを構える・・・とおもいきや
そのバットの先をピッ、と龍麻に・・・外野側に高く上げる。それはいわゆる
「ホームラン予告」と言うヤツ。
それを見て龍麻もまた不遜に笑う。
「ほーぉ、打てるもんなら打ってみやがれ」
負けず嫌いな龍麻が京一の言葉に反応した。
むしろ挑発に乗ったと言った方がいいのかもしれないが。
まずは一球。龍麻が振りかぶった。
パァァン!という音が校庭に響いた。
結構な速球がキャッチャーへと投げ込まれる。
おぉー、という声が立った。
「ホームラン 打つんだろ?」
龍麻が京一に声を掛ける。
思わぬ速球に京一は龍麻を睨む。
「うっせぇ!!ぜってぇ打つ!!」
「そぉ、じゃぁ打ってみな」
第二球。
速球を見越して京一が踏み込む。
ブン、という音の・・・だいーぶあとに龍麻の球はキャッチャーミットへ。
超スローボール。
京一のタイミングは思い切り外れ、バットは空を切る。
「ひきょーだぞぉぉ!!!!!」
京一が叫ぶ。男なら直球勝負だとかなんとか言いながら。
「るせぇ サァールゥ! この俺が馬鹿みてーに同じ球投げると思ったか」
しかし勝ち誇ったように、けけけ、と龍麻が笑う。
「くぬやろぉぉおおおおおおっ ざけんなよぉぉおお!覚悟してやがれ!」
犯すぞてめー!などといいながらも、続けて猿猿言う龍麻に京一が激高して怒鳴り散らす。
第三球。
「これで最後だ」
「ぜってぇ、打つ!」
「お前らぁ!倉庫の片づけでもしてろ!!!」
審判をしていた体育担当の教師が怒鳴る。
「えぇー!」
「蓬莱寺、お前は弁償もだ!」
「ぇえええええ!!今月くるしーのに!!」
「先生、俺は何もしてません」
「蓬莱寺を煽った 同罪!!」
その時京一のバットはボールを捉えたのだ。
が。
怒りに震える教師の手にあるのは変わりはてた姿の球とバット。
要するに京一は・・・
「お前 ほんっとーに 馬鹿! なんで球打つのに「気」を使うんだ!!!!???」
んなもん使えばボールもバットも壊れるに決まってんじゃねーか!!と龍麻が怒鳴る。
「しんじらんねー・・・」
「つ・・・ついつい・・・」
そんなワケで倉庫の大掃除もかねて体のいい要員となった龍麻と京一。
ぶちぶち言いながらも手を動かす龍麻。京一はそこら辺にある物を面白そうもなく移動させている。
外で遠くに聞こえるクラスメイトの歓声がまた惨めさを煽る。
「京一、俺ばっか働かせずに真面目に働け」
見かねた龍麻が京一を諫める。
「だってよー・・・」
「だってもへったくれも無い、口じゃなくて手を動かせよ、手を。」
言いながら龍麻は床に散乱したボールを拾い、ネットをまとめる。
「わーったよ」
思わぬくらいに近くで京一の声が感じられ、驚いて龍麻は後ろを振り返り・・・
「!」
声が近くで感じられるはずだ。京一は龍麻のすぐ後ろにいたのだ。
「た・・・っ タチ悪ぃな!気配消すんじゃねーよ!・・・って ど・・・なにしてんだよ!」
京一が龍麻を後ろから抱きすくめる。
あわてて逃れようとする龍麻を両腕で繋ぎ止め、首筋を掠めるように唇で触れる。
「・・っ 京一!何すんだよ・・・っ!」
京一の手が龍麻のTシャツに潜り込む。
「『龍麻ばっか働かせ』ないでおれもしっかり『手を動かそう』と思って」
へへへ、と京一が笑う。
「そ・・・ゆことじゃなくて っ」
龍麻が小さく短い吐息と共に身体を捩る。
京一は龍麻の身体を知っている。どこをどう触れればどういう反応が返ってくるかを熟知していた。
掌で脇腹から胸にかけてを撫で上げるとひくん、と身体が戦慄き、背を反らせた。
「京一・・・ここを何処だと・・・」
「体育用具倉庫」
「知ってんなら・・・っ」
人が来るじゃねぇか、と龍麻が言うが
「好きな奴と誰も居ない部屋にいたら、健全な男子高生が考えることなんて一つだろー?
それにさ・・・知ってるか? 少し羞恥心煽られるくらいのほうが・・・イイって」
指先が立ち上がり始めた龍麻の胸の飾りを何度も嬲る。
「し・・・っしんじらんね・・・っ こんなトコで・・・っ ・・・猿か!おまいは!」
その言葉とは裏腹に龍麻の声が上擦る。
「感じてるくせに」
笑いを含んだ吐息ですら龍麻の身体を貶める。
やがて京一の手が、指が龍麻の下肢を捕らえ、触れるようになると、龍麻は砂に覆われた
コンクリートの床に崩れ落ちそうになり、目の前の壁に手をつく。
「は・・・ぁッ」
濡れた吐息が龍麻の唇から漏れる。
「いいのか、龍麻・・・そんな声出して」
どっかで誰かが見てるかもしんねーぜ?と京一がおかしそうに囁く。
「や・・・だ・・・ も・・・・やめ・・・」
制止の言葉も半分喘ぎ声ならば、それはもはや京一を煽る結果にしかならない。
龍麻は嘘吐きだな、と京一が龍麻を嬲る動きに力を込めると
漏れる声を必死に堪え、倉庫の壁に爪を立てる。
「こっち向けよ、龍麻・・・」
胸を嬲っていた手を離し、龍麻の顔を後ろへと向けさせる。
「ぁ・・・あ、あぁ!や・・・だ・・・ぁ」
京一の責める動きが激しくなる。
龍麻は自分のこんな時に見せる表情がどんなに相手の嗜虐心を煽っているかと言うことをきっと知らない。
普段の彼からは想像も付かないような乱れた姿。
「っあ・・・!」
大きく体を震わせ、龍麻が達する。
その瞬間を見た京一は満足げに笑うと、龍麻のその唾液に薄く光る唇を舐めた。
龍麻の目がようやくまともに京一の顔を捕らえる
「!」
いつもふざけてはしゃいでいる京一とは全く別の表情。
いつもよりももっと、熱っぽくて、野性味があるというか。
一言で言えば非常にセクシーで・・・すごくゾクゾクする。
「オレ、龍麻にハマっちゃってるもんな もうベタ惚れよ?」
体の向きを変えられて、腕の中でそう囁かれる。
でももしかしてきっと龍麻の方こそ・・・それこそ京一にハマっているのかもしれない。
京一の手が龍麻の足を抱える。
やがてそこへ指を含まされて抽挿を繰り返されれば、その感触とそれを増幅させるような音に狂いそうになる。
そうされるだけでも龍麻の身体は確実に火がつく。
やがてそれだけでは飽き足らないと、龍麻が京一を求め、京一もまたそれに応じる。
「こうしてほしいんだろ?」
あてがい、少し身体を進める。
「っく・・・・っ」
息が詰まる。
何度体験しても慣れない感触と痛みに。そして次に確実に自分を貶めるであろう快感に。
片足を抱え上げられると、体勢はどうしても爪先立ちのようになり、京一の首に腕を絡ませる。
「龍麻・・・結構・・・キてんじゃねーか」
熱っぽい吐息と共に京一が囁く。
軽く揺さぶると龍麻は堪らないと言うように、嬌声を上げた。
龍麻の体重を支えるのは京一の首に絡めた腕とそして京一を銜え込む一点。
「あっ・・・あ・・んっ!」
一際高い声が上がり、不意に京一が動きを止めた。
「な・・・んで・・・」
止めるの、と言いたいのか。
京一はつ、と薄暗い部屋の壁に掛けてある時計に目をやり、からかうような口調で言う。
「なぁ・・・もうそろそろ一時限目終わるな・・・」
「・・・!」
「誰か戻ってくるかもしれねぇよな・・・」
見られたらどうする?先生だったらやべぇよなかなり、などと京一が言う。
授業中に高校生同士が学校の施設内で・・・は聞かない話ではないが、事もあろうにこの場合
二人とも男だったりしてみればマズイなんて言うもんではない。
「いや・・・だっ!」
龍麻が京一の体を剥がそうとするが、力の入りきらない体では全くの無駄で。
「『いつも』のときよか、かなり感じてるんじゃねーの? 早いもんな。」
逆に腰をがっちりと腕で固定されて、打ち付けられる。
「あァ・・・あ! は・・・ぁ!」
やがて京一も限界なのか、動きが一層激しくなる。
「龍麻・・・一緒に・・・・」
「京・・・一っ!」
悲鳴のような嬌声で龍麻は京一の名を呼ぶ。
全身を駆けめぐる快感に耐えられなくなって僅かに床に付いていた足を、京一の足に絡めた。
「龍、麻ァ・・・ッ」
龍麻が限界まで押し広げられ、二人が達する。
「ふ・・・あ・・・っ」
未だ快感冷めやらぬ様子の龍麻の額に京一はいつくしむように軽く唇を寄せる。
決まって京一がする事だった。そしてまた、龍麻は震える瞼を閉じ受け止める。
二人は濃密とすら感じられるその空気・・・余韻を暫し味わう・・・
・・・その時。
「おーい!片づけたか!」
その声に二人は反射的に体を離す。
どうやら先程この部屋の片づけを命じた体育教師のようだ。
入るぞ、との声に二人はハッとする。
「あーーー!ちょっと!ちょーっとまった!!! まだでーす!!!」
京一がアワアワしながら妙な返答を叫ぶ。
「なんだー?終わってないのかー?」
入ってこられてはマズイ、それも非常に。
京一はなんとかジャージを上げてどうにかいいとして、一方の龍麻は床にへたり込んだままで
Tシャツは脱がされたままだし、ジャージの下も無い。しかも身動きがとれない。
「ちょっとみせてみろー蓬莱寺」
「ああああああ!!!!まって下さいー!!」
また備品を壊したのかとでも言いたげな教師の声。
問題児はこう言うときに教師の信頼がない。
「先生、いまドア側に物重ねてるんです。開けたら崩れます」
極冷静な声。
こちらは教師からの信頼も熱い生徒、緋勇龍麻。
この倉庫にはドアいっぱいまで重ねるような物等無く、はっきり言って嘘八百だがそれでも
その教師は龍麻を信頼した。
「おぉ、そうか、 じゃぁ2時限終わったらまた来るからな」
スタスタとドアから遠ざかる足音。
それを聞いて、倉庫の中の二人は思わず大きく息を吐いた。
「はぁ〜・・・」
情事の後の甘い空気でもない、妙な空気がその場に流れる。
あえて言うのなら白けたというのが近いのかも知れない。
暫くしてもそもそと着衣を身につけながら龍麻が口を開いた。
「・・・・・・・・・猿・・・」
ぼそっと。
「なっ! なんだよーーー!!!」
「変態・・・まさか学校で・・・・」
「だって!」
「しんじらんねー・・・ここまで本能で生きるヤツだとは思わなかった・・・」
あぁ、人選間違ったかな、などとブツブツ漏らす。
「お前だって結構よさげだったじゃねーか!!!あ、どこいくんだよぉ!」
どうやらそれを言われると耳が痛いらしい、言い終わらないうちに龍麻が立ち上がる。
しかし足下がちょっとガクガクしているのが哀れだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・変態。 しばらくウチくんな つーか俺壬生んチ泊まるわ。」
じろ、と最後に京一を一瞥してヨタヨタしながら龍麻は倉庫を去る。
「えええええええ!!!!なんだよーー! よかったくせにーーー!!!」
叫び終わって、ふと京一の脳裏に閃いた龍麻の最後の言葉。
「・・・まてまてまてまてえええ!!!壬生んちってどーゆーことだぁぁあああ!龍麻ぁ!!」
京一の叫びだけが、その場に空しく響いた。
卒業式間近の、ある日のことである。
読んでやったぞ、と押して下さると激しく嬉しい拍手はこちらです
今書くともうちょっと泥臭いものになると思う魔人 。主受けだがな!