Shut Up And Dance(2001/09/16)
ファルカス[男戦士]、ディーン・エッジ[男戦士]、ダーム[男盗賊]、ローエン[男魔術師]

Talk is cheep, shut up and dance (言葉の大安売り ダマって踊りなさい)
Don't get deep, shut up and dance (深入りせずに いいからダマって踊りなさい)
――『Shut Up And Dance』 (Steven Tyler,Joe Perry,Jack Blades,Tommy Shaw) [aerosmith]


 様々な品物を手に入れた広間から出られそうな出口は二つあった。
 ひとつは鏡の廊下へ入る時に使ったのと同じような両開きの扉。そしてもうひとつは、目立たないように作られた小さな扉だった。
 小さな扉の向こうには、小さな簡易魔法陣があり、壁には古代語で『下級スタッフ専用通路:C-7』と刻まれた金属プレートが貼り付けられている。
 これはこの廃墟がまだ生きていた頃に使われていた移動用ゲートだと見当を付けた一行だったが、魔法陣は作動していないようだった。 どこかに制御する為の装置があるに違いないと考え、彼らはこの部屋を後にした。
 大きな扉の上には、やはり古代語が刻まれており、『社交場』と読みとる事が出来た。
 その奥には、立て看板のある小さな広間と、その奥に華美な装飾の施された両開きの扉が見える。ローエンの見たところ、立て看板には古代語で『喋るなかれ』と書かれているようだ。
 言葉を発してはいけないと悟った一行は、簡単な意志疎通の合図を決め、用心しながら扉を開けた。

 扉の向こうには、かつては美しかったであろう大ホールが広がっていた。
 天井にはシャンデリア、壁には絵画が掛けられ、床には絨毯が敷き詰められていたであろうその部屋には、大量の等身大木製人形が床一面に散らばっている。
 そして恐る恐る足を踏み入れた彼らは、その人形達がまるで何かに引き上げられるように立ち上がり、ぎくしゃくとした動きで近付いてくる事に気付いたのだった。
 身構える彼らの前に、それぞれ一体ずつ近付いてきた人形は、膝を曲げて優美に一礼する。
 その真意を見抜いたファルカスが同じように一礼すると、人形は彼の手を取って踊り出した。見よう見まねで踊るのは非常に骨の折れる事だったが、辛うじて彼らは、踊りながらホールを横切る事に成功した。
(作法に則った挨拶ができず、踊る相手となる人形の見付からなかったローエンは、途中でパートナーチェンジを断って休んだファルカスを相手に踊ると言う暴挙には出たが)

 しかし、ホールから出ても状況は変わっていなかった。同じような立て看板のある小さな広間がそこにあった。今度も古代語が書かれていたのだが、残念ながらローエンには読み解く事ができない。
 彼らは更に用心をして続く扉を開いた。
 やはり扉の先は同じような大ホールだった。同じように木製の人形達が出迎える中、踊る事を諦めたローエンは壁際を歩いて反対側へと向かう。ところが、そうやって歩いていくローエンを遮る人形が居た。
 どうやら、このホールで踊らない者を元の扉へ追い返すように作られているらしい。ローエンはこの人形の制止を振り切って反対側の扉まで辿り着いた。

 だがやはりその先も同じような小さな広間になっていた。この先にも恐らく大ホールが広がっているのだろう。立て看板の文字を何処かで見たような気がしているものの今度も読みとれず、彼らは先へ進んでいった。
 予想通り、扉の向こうは大ホールだった。今度も同じようにダンスを踊りながら先を目指すディーンとダーム。ファルカスは遅れがちなローエンを気にしつつゆっくりと進む。
 ローエンはとうとう踊らずに強行突破する事にしたらしく、呪文を詠唱し始めた。
 しかし、その途端、周囲の人形達はローエンに向き直ったのである。危険を察知したファルカスは咄嗟に剣を抜いてローエンの援護に駆けつけ、ホールを既に横切っていたディーンとダームもまた、 ローエンの元へ駆けつけようとした。
 そして、広間中の人形達が彼らに向かって襲いかかり始めた。
 ローエンは呪文によってホールの出口まで飛び、仲間達が人形を切り払いつつ合流するのを待って、広間の人形達を焼き払おうとしたが、何故か呪文が発動しない。どうやら何かに邪魔されているようだった。
 人形の破壊を諦めた彼らはホールの出口を飛び出した。
 人形達は追って来なかった。

to be continue

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