Fever(〜2002/02/10)
ファルカス[男戦士]、ディーン・エッジ[男戦士]、ダーム[男盗賊]、ローエン[男魔術師]
If you think you're goin' crazy (自分が狂っているのを感じているらしいが)
Well you may be right (それもまんざら嘘じゃない)
――『Fever』 (Steven Tyler,Joe Perry) [aerosmith]
地底湖から続く、曲がりくねった通路を歩いていった一行は、やがて一人の大柄な女性と出くわした。
女性はこちらの言葉を解さず、こちらも女性の言葉を解する事が出来なかった。しかし、ローエンが直接その心に話し掛けると、女性は驚いて平伏し、彼女らの集落の長老を連れて来てくれたのである。
長老との会話が、古代龍刻語で片言ながら交わせる事を発見した一行は、彼らが遠い昔に地上から逃れて地下に隠れ住みついた異種族であることや、地表へ出る出口は知らない事などを聞き出した。
この種族の側からしても、今まで見たことも無い人間達を敬遠している風だったので、彼らは長老の家に厄介になることにし、遠路狩猟に出ている女狩人達が戻ってきて、新しい情報をもたらしてくれるかも
しれない期待を抱きながら待つことにした。
彼らと共に暮らすうちに、彼らは男と女の身長差が人間のそれとは大きく事なり、男は総じて小柄で女は総じて長身であることを確認した。また、男は遠くへ出歩くことはなく、
狩猟などの仕事は女の仕事とされていることなど、大きな文化の違いがあることを知った。そして、彼らが彼ら独自の宗教を持ち、人間とは異なって、神々と密接な繋がりを持って
暮らしている事を聞いた。
彼らは神々から様々な加護を受けて、この地下での生活を続けてきたのである。
人間社会では、神々には軽々しく呼び掛けるべきではない、という風潮があり、神もまた人間に対して簡単に助力をしてくれるものではないとされていた。しかし、ここまでの苦難の道のりを考え、
彼らもまた神々の助力を願う為に、彼らの祭司に神々との契約を結びたい旨を伝える事にした。
この社会では、神々との契約はごく当然のものであったため、祭司の反対を受ける事もなく、彼らは幾柱かの神と契約を結び、その加護を得ることができた。
それから暫くして、大異変がこの集落を襲った。
突然、ゴブリンの大群がこの集落へ攻めてきたのである。ゴブリンの軍勢は、集落の一区画を占領し、長老のいる区画へ通じる唯一の洞穴を封鎖してしまった。
その封鎖の向こうで、何が行われているかなど、ゴブリンの習性を考えればすぐに判る事であった。
ゴブリンとは、生産活動を行うことのない戦闘種族であり、そこにあるものを奪って糧とするのが普通であった。いずれ、ゴブリンの一群がこちらの区画へも攻め込んでくる
のは、火を見るよりも明らかな事だった。
その様子を偵察に行くことを申し出た一行は、ゴブリンの軍勢を率いているのが、予想通りあのゴブリンキングのベルマ・ヘンドリクソンである事を知る。
そして、一行がこの地下都市の住人に力を貸している事を知ったベルマは、唯一魔術を使えるローエンを最大の敵と定め、その為の策を練るのだった。
やがて来るゴブリンの軍勢を待ち受けるため、この地底人らとともに彼らは急場の砦を造り、落とし穴を掘り、ほぼ不休で働き続けた。その甲斐もあって、ゴブリンの軍勢が攻め寄せて来る頃には、
その準備を終える事ができたのだった。
現れたゴブリンは皆一様に、何かに取り憑かれたような勢いで押し寄せてきた。
それは、ゴブリンキングが軍勢に対して掛けた凶暴化の術の効果であった。この術によって、ゴブリン達は味方が傷付くのも構わずに次々と立ち向かって来る。
その気違いじみた猛攻に、異民族側は苦戦を強いられる。撤退と見せ掛けながら、仕掛けた罠のところまで引き上げるのも一苦労であった。
この戦いの中、コブリンキングのベルマ・ヘンドリクソンは、その身を軍勢の中に潜め、魔術師であるローエンを仕留める為の術法を練り上げるのだった。
ベルマは密かに機会を窺い続け、ローエンの姿を見つけだすや行動に移った。必中を期した強力な攻撃魔法の詠唱に入ったのである。このベルマに気付かなかったローエンは、
その恐るべき呪文の力が実際に向かってくるまで、己の身に降り掛かろうとする不幸に気付くことはなかった。彼が気が付いた時には、ゴブリンキングの呪法は完成し、致命的な一撃が
ローエンの身体を打ち据える寸前だったのである。
ローエンは一か八かで、キングの呪法を打ち破るべく解呪を試みたが、彼の術は強大だった。キングの術は情け容赦なくローエンの腕をもぎ取り、ローエンは二度目の死を体験する羽目になった。
ローエンの魔術によって、視界を保っていたダームは、ローエンの死と共に再び視界を失う事になった。ダームは失明しながらも周辺の者に頼み込んでローエンを家の中へ運び込み、
蘇生を試みる。しかし、盲目でそれが叶う筈もなく、彼は地元の治療師を大至急呼び寄せて彼の蘇生に当たらせた。
ローエンの死によって、もはや脅威の無くなったゴブリンキングは、自らが最前線へ出てゴブリンの軍勢を率い始めた。ゴブリンキングは自らの身に強力な防護の術を掛けているために、
一切のダメージを受けないのだった。
ファルカスは、ゴブリンキングに仕える親衛隊長らを落とし穴にはめる事に成功し、高い技量をもつ親衛隊長をその場に釘付けにする事に専念した。
一方、ディーンは剣の通じないキングに対して、その身の自由を奪うべく組み付き、地面へねじ伏せる事に成功した。相手が魔導師であり、魔法を使う事を充分に知っている彼は、
ゴブリンキングの口をこじ開けて拳を突っ込み、呪文の成就に必要な精神集中をかき乱させる。
こうして、戦いは膠着状態に陥った。
その頃、ローエンの手当をしていた治療師が、ようやくローエンの息を吹き返させた。死の淵より再び戻ってきたローエンは、失った精神力をダームから分けてもらい、腕を癒した後に戦場へ駆け付けた。
ローエンはディーンに組み伏せられているベルマを見付け、その身体を護っている術を解くための集中に入った。ファルカスとやりあっていた親衛隊長は、血相を変えて一か八かの攻撃に転じたが、
それは敢えなくファルカスに遮られてしまう。
ベルマの憎々しげな視線を見据えながら、ローエンはベルマの防護の魔法を打ち破り、続けてその命を奪う為、魔法でベルマの頭を焼き尽くした。ベルマが呆気なく息絶えると同時に、親衛隊長の
ゴブリンもまた、その肉体を枯れ萎びさせるように死んで消滅し、熱狂化の魔法を掛けられていたゴブリンの軍勢もまた徐々に沈静化を始めた。
こうして、ゴブリンの軍勢は敗北し、彼らは生き残ったゴブリンらを奴隷として異民族らに与えたのだった。
to be continue
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