それぞれの道(2002/08/25)
マリーナ・フラジャイル[女戦士]、エース・ランナウェイ[男盗賊]、アービン・ファロット[男魔術師]、セラフィナ・ノートン[女神官]、アーシア[女神官]、ウーモン・カンダール[男騎士]
解散し、『騎士団クリムゾン・ヘルカイト』として再出発をした一団は、早急に再編成を行う必要に迫られていた。
また、個々の中にはウーモンの所業に興味を抱き、その技術を学ぶために彼の元へ行きたいと願う者もいた。
それらをはっきりとさせる為にセラフィナは、全ての団員を一同に集め、また当人の希望を聞き出しやすくするための軽い酒宴を開く事にした。
彼女は、ウーモンの許可と協力を得て町の広場を借り、設営の準備を始める。ウーモンは、この設営を何かの祭の為と思って、町の人間にもその設営に協力をさせた。
一方、この酒宴の目的の為に、『クリムゾン・ヘルカイト』の全員に声を掛けるよう、セラフィナが下した指示は、そもそも浮かれ半分で今後の方針を決めるような不謹慎さを受け入れられない
マリーナによって無視され、ひとりその為に駆け回ったアーシアにしても要領よく伝えられなかったが為に、まったく団に伝わることはなかったのである。
結局、設営が進められ、その騒ぎを聞きつけて為に、全員が集まることにはなったものの、詳しい事情を知る者はほとんどいないと言う、奇妙な結果になってしまった。
そんな中、団長であるシモンは、恐らくは隊の上下を無視して屈託のない意見を申し述べる場を作るために、この酒宴が開かれたと判断して、事が始まるのを待っていたが、
結局は、セラフィナの当初の目的は殆ど達せられず、ダレた場を引き締める為のウーモンの演説によって場を締めくくられると言う結果に終わったのだった。
翌日、セラフィナは、自分が『クリムゾン・ヘルカイト』を抜けてウーモンの下へ行くことをシモンに告げ、マリーナもまたウーモンの下へ行きたい旨を申し述べた。
エースもまた、後学の為にウーモンの下で様々な事を学びたいと言い、アーシアもまた同じ事を願い出た。一方、アービンは、師事しているロアーの下に留まる事を表明し、
自分以外が出ていく事に驚きを隠せなかった。少なくとも、マリーナ、エース、セラフィナは、同じ故郷の出身者であり、その彼らと道を違える事に心残りを憶えたのである。
また、エースに共にウーモンの下へ行こうと誘われていた、七本刀の一人ラヴは、迷った後に、共に行く事を決意する。また、ラヴの亡父に忠誠を誓い、ラヴの指揮下に居た猟兵隊20名も
ラヴと共にウーモンの下へ行く事になった。
この様子を見ていた七本刀の一人ヘルブリンガーは、ここまで戦力が低下した『クリムゾン・ヘルカイト』に再起の道は有り得ないと判断し、隊を抜けた。
やって来た一行を、ウーモンは快く歓迎し、求められた技術を教えるべく、自ら彼らに教練を施すことになった。
一行が早朝の遠乗りの訓練から帰ってきた頃、『クリムゾン・ヘルカイト』の七本刀の一人リビングデッドがウーモンの元を訪れる。
騎馬戦術の有用性がどうしても判らないリビングデッドは、その身を以て理解しようと、ウーモンと手合わせをする為に来たのであった。
ウーモンはそれを快諾し、二人は教練場で相対する。
馬を自在に駆けめぐらせるウーモンに対し、リビングデッドは一歩も動かずにこれを待ち受けると言う戦法に出る。元来、そういった戦い方に秀でていたリビングデッドだったが、
その指揮下に居た若者達でさえ、その技術を目の当たりにするのは初めてのことだった。
かつての小競り合いで頭部に重傷を負い、すっかり槍の腕も鈍ったと言われるリビングデッドだったが、馬上のウーモンに対して一歩も引く事のない槍捌きを見せる。
今の今まで、彼が七本刀の一の太刀の座に居ることに疑問を抱いていた一行だったが、それを払拭して有り余るほどの勇姿を彼は見せた。
一方、ウーモンの戦い方もまた、彼らの目を引いた。
人馬一体となった彼の動きには全くの無駄が無く、駆け抜けざまに振るわれるハルバードの連撃に、リビングデッドは当初防戦一方に追いやられたのだった。
一撃離脱を繰り返すウーモンに対し、リビングデッドはひと槍を付けるのが精一杯で、最後には右腕と愛用の槍を叩き折られて敗北した。
この後、リビングデッドは、自らの腕を磨き、ウーモンを破るだけの強さを身に付けてから戻ると言い残して『クリムゾン・ヘルカイト』を去って行ったのだった。
しかし、その日の夜に、惨劇が街を襲う事になる。
以前、ウーモンの父を処刑する為に現れた黒騎士の率いる悪魔の軍勢が、アッパーホースの街を襲ったのである。
折しも、夜間騎乗の教練の為に遠出していた一行は、街で上がった爆炎によって異変を知り、対応に出遅れる。
駆け付けた時には街中に異形の悪魔が溢れ返り、罪もない人々を襲っている所だった。不意を突かれた街の衛士たちと男達が個々に応戦をしているものの、統制は全く
取れていなかった。騒ぎを聞きつけ、駆け付けた『クリムゾン・ヘルカイト』の指揮官クラスのメンバーが援護をしていたが、どうやらこの悪魔の群れには剣が全く効かないようで、
いくら傷付けたとしても倒れる事は無く、何の成果も上げられずにいた。
駆け付けたウーモンは、無駄を承知で悪魔に斬りかかったが、やはり悪魔の動きに鈍りは見えなかった。遅れて駆け付けた呪文使いらの援護を受け、幾度と無く切り結ぶも
この状況を覆すのは絶望的に思われた。
そんな中、街の広場の奥の方で、悪魔とやりあっていたシモンとクリムゾンの元に、黒騎士が現れ、彼らと対決を始めた。
首領である黒騎士を倒せば、悪魔の群れもどうにかできると考えたウーモンはその場に参じたが、黒騎士の技量は彼の予想を遥かに超え、一筋ほどの傷さえ付ける事は
敵わなかった。黒騎士は、瞬く間にクリムゾンに深い手傷を負わせ、駆け付けたウーモンを無視して、シモンに熾烈な攻撃を浴びせかけた。
一方、ウーモンの元に駆け付けたセラフィナは、ウーモンのハルバードに如何なる鎧も楯も切り裂く呪文を掛け、彼を援護。同じく駆け付けたアーシアは、
以前から抱いていたクリムゾンへの確執を捨てて、彼の治療にあたった。
やがて、ウーモンのハルバードの一閃が黒騎士の楯を打ち壊したが、それでも黒騎士はウーモンではなくシモンに斬り掛かっていった。長い戦いで疲れていたのか、
シモンはその一撃を受け止めようとしたものの、間に合わない事は誰の目にも明らかだった。この時、咄嗟にウーモンが彼の身体を馬で蹴り倒さなければ、間違いなく
シモンは兜ごと頭を叩き割られて即死していただろう。
まさにその時、悪魔の姿を見たときから、その悪魔の特性を殺すための術法に取り組んでいたロアーとラヴの呪が成就し、いくら傷付いても動けるようにかけられていた悪魔の
呪文が破壊された。傷ついていた悪魔はその瞬間に傷に耐えかねて死に、術が破られた事に気付いた悪魔達は一斉に撤退へと移りだした。
それに気付いた黒騎士は、剣を収め、引き上げに掛かる。目的と騎士の主を問われた黒騎士は、その問いに応える『権利』が無いと返答を拒絶し、主についてはウーモンの
想像通り――悪魔の山脈の魔法使いザラダン――であることを示唆して去って行った。悪魔に混じって来襲していた人間の兵士を捕らえて尋問し、得た応えもまた、それを
裏付けた。
ウーモンは、傷付けられた領民と領地の復讐を誓うのだった。
負傷者の手当と秩序回復に努める中、『クリムゾン・ヘルカイト』の四天王の一人ウィンドは、撤退する軍勢の後をつけて根城を突き止めるために離脱する。
被害の状況を確認していく中で、『クリムゾン・ヘルカイト』の七本刀の二人、フェイトとスラッシュの死が確認され、ロアーとグランパの重傷が確認された。エースは、残る負傷者の中に、
ラヴの姿を捜したが、見付ける事はできなかった。彼女は忽然と姿を消していたのである。
ラヴが悪魔に攫われたと見当をつけたエースは、最後にラヴと共にいたロアーに、ロアー達を襲った悪魔について事細かに聞き出し、一人街を抜け出すのだった。
to be continue
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