為すべき事を(2002/09/22)
マリーナ・フラジャイル[女戦士]、エース・ランナウェイ[男盗賊]、アービン・ファロット[男魔術師]、セラフィナ・ノートン[女神官]、アーシア[女神官]、ウーモン・カンダール[男騎士]
悪魔の軍勢によって大打撃を受けたアッパーホースの街だったが、領主ウーモンの采配とその部下らの尽力、そしてマリーナらの助力や、クリムゾン・ヘルカイトのシモンらの協力によって、
徐々に落ち着きを取り戻す。
夜を徹しての救助活動の間、彼らは一睡もせずに働き続けた。そのかいもあって、夜が明けた頃には負傷者の救助と火災の沈静化を終えることができていた。
この救援活動の最中、一人の旅の騎士が、アッパーホースを『盗賊団クリムゾン・ヘルカイト』が襲ったと言う噂を聞きつけて訪れる。ウーモンは、盗賊団は殲滅したと応え、騎士シュリークはこの
惨状を見て救助作業に協力することを決め、この後暫く逗留することになった。
一方、夜の内に街を飛び出したエースは、悪魔が飛び去ったと思われる方角へ向かい、脇目もふらずに馬を走らせていた。
クリムゾン・ヘルカイトの魔導師であるロアーは、その先回りをし、ラヴを連れ去ったと思われる悪魔の行方は既に四天王の一人であるウィンドが追っていることを告げ、一人で悪魔の後を
追うことの無謀さを戒めたが、エースはこれを聞かなかった。エースの意志が固いことを悟ったロアーは、彼を説得することを諦め、愛用の魔法の小剣をエースに貸し与えて行くことを許したのだった。
そのエースの不在に気付いたセラフィナは、彼を連れ戻す為の出立をウーモンに願い出るが、ウーモンはこの状況下でのエースの独断専行を愚行と見、それを許可しなかった。それでも
エースを連れ戻したいと考えるセラフィナは、ウーモンに願い出て3日の休暇を貰い、その間に連れ戻す事を決意する。セラフィナはその足で、マリーナとアービンの元へ向かい、
共にエースを追おうと持ち掛ける。二人共それに賛同したが、マリーナは同じようにウーモンに外出の許可を求めた時に、一集団としてエースを連れ戻すことがエースの行動を正当化してしまう
事や、領主としてのウーモンの立場を考えねばならぬことを知り、エースを追うのはセラフィナひとりに任せる他無いと判断した。
結局、休暇を取ったセラフィナと、クリムゾン・ヘルカイトに残留したために独自の行動を取りやすいアービンが、エースを連れ戻す為に出発するのであった。
旅立つセラフィナとアービン、そして彼らを見送るマリーナが街の外まで出た頃、入れ替わるように一人の異国人がこの街を訪れた。
霧耶と名乗るその男は、遠く南方に住む八俣人で、全く異なる異文化を持つ民族の出身だった。彼は、ウーモンの師である騎士ギャラントを捜して旅をしていると告げる。
騎士ギャラントの技を学ぶ為だと言う。
しかし、ウーモンにしても師ギャラントが隠棲したあとの行方を知らず、霧耶の求めに応えることはできなかった。
そんな中、急に街に生臭い風と血の雨が降り始める。その雨の中から、悪意の神スラングに仕えていると思しき女戦士と異形の魔狼の群れが忽然と姿を現すのだった。
霧耶は、この女戦士に付け狙われているらしい。
ウーモンは咄嗟に騎士を召集し、狼を騎馬で蹴散らし殲滅せんと、霧耶に助力する。
異変に気付いたアーシアがその場に駆け付け、負傷者の援護に入り、街の外で異変を察知したマリーナとアービンが遅れて駆け付け、この魔狼の群は瞬く間に殲滅された。
自らを武芸者と名乗るだけの事はあって、戦いの中で、霧耶は南方独自の技を見せた。この辺りでは耳にしたこともない様な技に、ウーモンは素直に感心したのだった。
戦いが終わった時、スラングの女戦士は忽然と姿を消しており、街中を捜しても見付ける事はできなかった。霧耶によれば、女戦士はいつも魔物を差し向けるばかりで
決して自分では戦わないのだと言う。
霧耶はいらぬ迷惑を掛けた事を詫び、そして再び騎士を捜すための旅へ出ていくのだった。
その頃、クリムゾン・ヘルカイトの内部では、シモンとクリムゾンの間でちょっとした諍いが起きていた。
ウィンドの報告を待ってラヴを連れ去った悪魔の後を追い、急襲して彼女を取り返す事を強く主張するクリムゾンと、悪魔を指揮する黒騎士の実力を危惧して
対決を避けようとするシモンとで、意見が分かれていたのである。
シモン、クリムゾン、ウーモンの三人がかりでさえ敵わなかった黒騎士に、自分らの手勢だけで立ち向かったとしても到底勝てはしないとシモンは考えていた。
しかし、そのシモンの慎重さを、臆病さと感じたクリムゾンはその不甲斐なさに怒りを憶えたのだった。クリムゾンはシモンを殴り、そのままクリムゾン・ヘルカイトの
本拠地へ戻り、ウィンドが戻り次第出立する為の兵の編成に取りかかったのだった。
一方シモンは、悪魔の一団に襲われた時から、漠然と狙いが自分たちであることを悟っていたため、アッパーホースを立ち去ることをウーモンに告げる。
そして、黒騎士の使う剣技が、故国カルバーンの教練で習い憶えさせられる基本技と同じものであった事を語り、故国復興の意志が僅かに揺らいでいる素振りを見せた。
故国が滅びたのが、騎士団の何者かが裏切ったせいではないのか、との疑念が芽生えていたのである。
自らの行動自体に疑問を感じ、迷いの生じたシモンは、そのせいで消極的になっていたのだ。
自分たちでは黒騎士に敵う筈がないと言い切るシモンに向かい、ウーモンは、過保護も程々にしてもう少しクリムゾンを信頼するように忠告するのだった。
クリムゾン・ヘルカイトが西へ去った後、このアッパーホースに留まっていた騎士シュリークがウーモンの元を訪れる。
そして、彼は自分が実際には騎士では無い事を明かし、『盗賊団クリムゾン・ヘルカイト』を街に匿っていた真意を問い質す。
彼は西方の大都市ボートブラックサンドの密偵だったのである。『盗賊団クリムゾン・ヘルカイト』を捕らえ、処罰するつもりのブラックサンドの主によって、この地へ使わされたのだ。
ウーモンは、『盗賊団』は既に滅び、今いる『クリムゾン・ヘルカイト』は別物であることを主張した。
シュリークはその返事に、ウーモンの真意を読みとる事はできなかったが、ひとまず引き上げていった。
この間に、クリムゾン・ヘルカイト残留の神官であるアーシアは、亡くなったフェイトの遺品を受け継ぎ、また神官の務めとして、街を襲った悪魔の遺骸を処分する為に
魔術を用いて土へと還す。大地の神を信奉するアーシアにとって、それは極めて自然な行為であり、また大地の神々の力を借りる意味合いもあった。
しかし、この一見理に適った方法が、後に大きな影響を及ぼす事になろうとは、誰一人として気付かなかった。
悪魔の行方を追い求めるエースは、アッパーホースを出て三日後、隣街のハーパノースに辿り着く。
実際にはあと僅かに追い付いていたセラフィナらは、三日の休暇以内に戻る為に(あと半日追えば追い付いたところを)引き返す羽目になっていた。
街に入ったエースはハーパノースの領主に悪魔崇拝の噂があることや、黒い騎士の目撃談などを聞きつける。更には、このハーパノースの領主が、領主を失ったカランダの
街を狙って兵を差し向けようとしている事を知る。
更なる情報を求めて、エースはこのハーパノースに一時腰を落ち着ける事にした。
そして、アッパーホースの襲撃から1週間、ついにウィンドがラヴの行方を掴んで戻ってきた。
ラヴは魔王の要塞の山の麓に広がる密林の中にある、城塞都市跡に囚われていると言う。この城塞都市ヘルハンは既に滅びたとは言えども、その城塞は残っており、
また、いつも指揮を執るクリムゾンに攻城戦の経験のない事を聞いたウーモンは、この城塞を攻めるのは無理だと判断した。
ウィンドにしても、何故ラヴが魔王の要塞へ連れ去られずに、わざわざヘルハンに囚われているのかが、腑に落ちなかった。
何らかの理由があると見たウーモンは、その城塞都市の詳細な情報を求め、勝機さえあれば力を貸す事を約束する。
ロアーはこの情報をハーパノースに居るエースに伝え、代わりにハーパノースの領主がカランダを狙っている事を聞く。そして、ロアーはその情報をウーモンに伝えさせるために
エースをアッパーホースへ連れ戻したのであった。
カランダの領主の息子であるウーモンは内心、このカランダの街を狙う勢力が出る事を密かに心待ちにしていた。
この勢力を武力でもって退け、正真正銘カランダの領主として名乗りを上げ、また実力の程を世に示そうとしていたのである。
しかし、エースのもたらした情報は、ウーモンにとって内容の足りないものだった。エースはその事を知って、その足りない部分を補うべく、再びハーパノースの街へと戻るのだった。
ウーモンは騎兵を引き連れてカランダへ急行し、歩兵にその後を着いてこさせた。
しかし、辿り着いたカランダでは、一人の青年を長とした自治が始まっていたのである。
『クリムゾン・ヘルカイト』に襲われ壊滅した街を放置していたウーモンを、その青年ヴァンは領主とは認めなかった。街の住人が力を合わせて何とか復興させたカランダを
横取りしに来たとしか思えなかったからである。
だが、青年の知恵袋である、流浪の南方人小紹は、ウーモンが領主となる事が正当であることを説き、ヴァンを説得する。
不承不承にウーモンを街の主として認めたヴァンを、ウーモンはこの街の再建に最も尽力した者として認め、改めてこのカランダを預けるのだった。
神官であるアーシアは、この苦境に喘ぐカランダの状態を見かねて、貧民街の住人で病に伏せている者達があればこれを癒す許可をヴァンに求める。
しかし、ヴァンは無償で益を与える事を良しとせずこれを許可しなかった。見返りを得る為にはそれなりの代価が必要であり、代価を支払う事の出来ぬ者は何の見返りも得られぬことが当然だと考えていたからである。
また、それは、ヴァンがこの街を立ち直らせる為に執った政策のひとつでもあった。
アーシアもヴァンも、己の持論を正しいと信じていた為、二人の会話は平行線を辿る。
ウーモンは二人の言い分を耳にして、アーシアの貧民の救援を認めた。そして、ヴァンに、先に与え、後に戦力として代価を得ると言う考え方をほのめかしたのだった。そして、
迫り来るであろう隣街ハーパノースとの戦いに、参加するか否かをヴァンに尋ねた。
己がカランダを預かるに当たって、その力量を問われていると考えたヴァンは、一も二もなくそれに応と答える。
その返事を聞いたウーモンは、ヴァンの身柄をマリーナに預け、一人前の戦士として鍛えるように命じたのだった。
to be continue
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