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異能使い Online Session ver.ATM

【竜の呼び声】
cast:未定



Opening Phase:ある学者の手記 [予兆あるいは事の始まり]

 戸来村にキリストとイスキリの墓があるというのは全くの荒唐無稽だが、かならずやそう伝えられるに至った原因がある。
 人知れずこの島国までたどり着き、キリストという概念をもたらした何かがある。
 この地方には、生まれた赤子の額に十字を書き記す習慣がある。それがあるゆえに、キリストがここに渡ってきたなどという世迷言がまかり通っているのだが、 十字架とその意味を伝えるのがキリスト本人でなければいけないというワケはない。
 神を讃えるヘブライ語の詩句が、民謡の中に織り交ぜられていると言うが、これも同じである。

 私はここにひとつの仮説を立てている。

 この地に渡ってきたのは、キリストの教えではなく、キリストの敵ではなかろうか。
 敵が渡ってきたからこそ、それから身を守るために、この地の人々はキリスト教の神に祈り、その加護を願ったのではなかろうか。
 赤子の額に十字を描き、大切な我が子を"悪魔"の手から守ろうとしたのではなかろうか。
 日々、神の御業を讃える歌を歌い、"悪魔"を追い払おうとしたのではなかろうか。

 私がこんな仮設を立てるに至った理由がひとつある。
 この村で見つけた、古い西洋の本。
 村に大雨が降り続き、山の斜面が崩れたときに見つかった古い石室の中から見つけ出されたものだ。
 何を恐れたのか、厳重に封の施された木箱の中に収められていたもので、奇妙なことに何も書かれていない。
 腐ったような異臭を放つその本の中央の頁には、蝙蝠の羽と蜥蜴の身体を持つ怪物の絵だけが描かれていた。
 それは、まさに"悪魔"の絵であった。
 何故、キリスト教の断片が伝わる地に、悪魔の絵がついた本があるのか。
 人々を諌める寓話として、その本があるのならば、こんなことは思いつきはすまい。
 その悪魔の絵を見たときに、私はひらめいた。
 逆なのだ。
 その西洋の悪魔に対抗しうる手段として、キリストの教えが伝わっているのだ。

 恐らく、それは正しい。
 なぜならば、その本は私を追い掛けてきたからだ。

――昭和三十年二月 空知太郎 記










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