このページは、異能使いオンラインセッションを円滑に進めるためにATM@GMが試行錯誤してつくったページなのです。みぃ☆
異能使い Online Session ver.ATM
【竜の呼び声】
cast:未定
Opening Phase:血の繋がらない祖母と孫の会話。[波紋あるいは事件の拡大]
頼み込まれると、断りきれなかった。
後ろめたい気持ちが無かったと言えば嘘になるが、別にどこかへ横流しする訳でもなければ、返してくれるかどうかも危うい相手に貸すわけでもない。
そもそも、その手の代物に関しては、自分よりも自分の職場の連中よりも一枚も二枚もそれどころか数十枚は上手のベテランの専門家が相手なのだから、今後の捜査の助けになりこそすれ、邪魔になるとは露ほども思わなかった。
証拠品の保管庫から、その一冊の本を取り出して鞄の中に隠し、何食わぬ顔で表に出る。
電車を乗り継いで永田町へ向かい、かつて一時は勤めていた国会図書館の門をくぐる。本来ではまだ開館していない時間帯であったが、それはそれ、入り方ぐらいは憶えている。
受付嬢は見知った人で、自分が来たことに少し驚いたようで目を丸くしたが、何か思い出したように微笑んだ。
「司書長のお客様って貴方のことだったんですね。地下5階へどうぞ」
祖母は、その地下5階の司書室で待っていた。
「あぁ、ありがとうね。おまえはいつでも優しい子だね」
本を手渡すと、いつもどおりの優しい微笑みを浮かべて祖母は礼を言った。祖母の本狂いは今に始まったことではない。本と見れば開いてみたくなるその習癖は、確実に自分にも受け継がれていると思っている。
尤も、この本に関してはどうしても開く気にはなれなかったのだが。
どうせ開いたとしても見えるのは膨大な白紙の頁と真ん中の竜の木版画だけ。そう知っているからこそ、開く気分になれなかったのだろうと自分に言い聞かせていた。
だから、祖母がためらうことなく本を開き、真ん中の頁を探し当てるまで、その光景を視界から締め出していた。
「……これこれ、間違いないよ」
本当に嬉しそうな祖母の声が聞こえた時、今までの全ての警鐘がようやくひとつに結びつき、嫌がる首を無理やりに捻じ曲げて祖母を振り返った。
視界の中に見える祖母は、いつもどおりの優しい微笑みを浮かべて、片手で古臭いその本を胸に抱きしめ、残る片手を伸ばして子供の頃によくしてくれた仕草でそっとこちらの頬に触れる。いつもどおりに暖かい掌だったが――
何かがおかしい。
その疑問と不安を口にしようとした時、まるで殴られたような衝撃が頭の芯を貫いた。
圧倒的な"何か"が自分の身体のコントロールを奪ったかのように、身体が言うことを聞かなくなって床の上に崩れ落ちかけ、辛うじて片膝を突く。
"どうして"
そう言おうとしたが、舌が凍りついたように痺れて言葉にならない。
「ごめんね、騙してしまって。だけどね、この本がどうしても必要なんだよ」
引きとめようと伸ばした手の先で、祖母は一瞬の雷光と変じて消えうせた。
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