このページは、異能使いオンラインセッションを円滑に進めるためにATM@GMが試行錯誤してつくったページなのです。みぃ☆
異能使い Online Session ver.ATM

【竜の呼び声】
cast:風間慧,風間勇一,武田円造,御影信,レイチェル=沙門



Opening Phase:憂鬱な狂気 [誰一人知らない暗闇]

 お前はヒトではないのだとただその忌むべき事実だけを教え込むというより刷り込むためだけに拘束されていたあのわずかの間に壊れてしまったのはそれだけではなかった。
 あの家は酷く薄暗かった。
 そこが居場所なのだと何度繰り返されても薄闇の中は酷く居心地が悪くてそれなのに心地よかった筈の陽のぬくもりは指の隙間から逃げていくように思い出せなくなっていく。
 あの家のあのぬるい闇の中に居ると感情までが底なしの沼の中へ沈んでいくような気がして――
 あの生ぬるい泥のような闇の中で出会ったあの女が語りかけて来さえしなければまだ幾つかの大事なモノは壊れずにこの手の中に――

 ――憂鬱なことを考えると、きりがないので、いい加減やめよう。そもそも、柄じゃない。そう、柄じゃない。もしもあいつらが知ったら、まず間違いなく笑うだろう。なぁ?

 今、隣にいるのは、"あの女"。望月の家で出会った、ユアと名乗る女。
 守屋ユアと名乗る、大神の血を守護するモノと名乗る、金色の瞳を持つ、すなわちヒトではない、半獣半人の、女。
 ユアが言うには、俺はある古い一族の長の血を引く最後の一人なんだそうな。
 正直、どうでもいいんだが。
 簡単に言えば、その昔、その長の一族を皆殺しにしようと目論んだ連中がいて、間抜けなことに、俺だけ仕損じた、と言うことらしい。
 正直、どうでもいい。親の記憶はないし、ユアがしきりと言い聞かせようとする惨劇のシーンも記憶にない。

(本当は嘘だ。ひとつだけ、憶えていることがある。大人たちがみんなが寝こけている中で、身体中が痛くて痛くて、たまらなくて、大声で泣いても、それでも誰一人として目を覚ましてくれなくて、そのうち、酷く疲れて寒くて怖くて……そして無力にどうでもよくなったことだけは憶えている。痛みを感じなくなることだけが、寒さを感じなくなることだけが、恐怖を感じなくなることだけが、嬉しいはずなのに何も感じない。今思えば、きっとあの時寝ていたように見えた大人たちは、全部、全部死んでいたのだろう)

 そう、本当にどうでもいいことだ。記憶も定かではない昔のことより、はっきりと記憶に刻み込まれた今のことのほうが、ずっとずっと大事なのだから。
 そう、記憶にも残っていない生みの親よりも、はっきりと記憶に残っている育ての親の方が(……どっちが大事なのか)、いや、大事に決まっている(……本当に?)。

 ユアは言う。
「……何故、そんなにまでして追おうとなさるのですか。所詮はヒト、しかも、あの天老院の人間を」
 あの金色の、ヒトではない目でじっと見詰めながら。
 その目が言っている。"あなたも人間じゃないのよ"と。
「……お前には関係ない」
 心の中がささくれ立つ。一番ムカつくことを、この女は無言のまま平気で言う。……殺してやろうと何度思ったことか。(でも、それをしたらオシマイなことぐらいはまだ判ってる。だから)
「第一、お前の言うことを鵜呑みにしたわけじゃない。お前らが勝手にそう思い込んでくっついて来てるだけかもしれねぇだろうが」
 それでも、ユアは笑う。金色の瞳で。

"あなたは人間じゃないのよ"と。

 あぁ、この女を殺してやりたい。そんな目でもう二度と俺を見ないように。だが、それをやってしまったら、それは俺が本当にバケモノになってしまった証。俺はヒトではないかもしれないけれど、人間だ。だから、決してそんなことはしない。しない。しない。しない……(……本当に?)

(でも、同じ種を殺すというのは、ニンゲンだけが行う行為だと言う。誇り高き狼は、決して同族を殺したりはしない。ならば、ここでこの女を殺してしまった方が、むしろ、俺がニンゲンであることの証明になるのだろうか?)

 ――憂鬱なことを考えると、きりがないので、いい加減やめよう。そもそも、柄じゃない。そう、柄じゃない。もしもあいつらが知ったら、まず間違いなく笑うだろう。……なぁ?









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