このページは、異能使いオンラインセッションを円滑に進めるためにATM@GMが試行錯誤してつくったページなのです。みぃ☆
異能使い Online Session ver.ATM

【竜の呼び声】
cast:風間慧,風間勇一,武田円造,御影信,レイチェル=沙門



Opening Phase:欲望の顎 [其ハ誰ガ為ニ?]

 邪魔なモノでも見るような目で、あの人は私を見ている。
 それは、ただ単に、今まで真実だと思わされてきたことが、嘘であったということを、騙されていたのだということを、未だ飲み下すことが出来ないだけで、咽の奥のその不快感を押し込んだのが私なのだと思い込んでいるだけのこと。
 真実はいつでも苦いもの。
 異国の神だってそう言っている。"その書は、口には苦いが、腹には蜜のように甘い"と。
 そう、真実はいつだって苦い。
 その昔には、あの人は私をそんな目で見たりしなかった。
 言葉も喋れないぐらいに幼かったあの人の、遊び相手を務めていた頃には、こんな未来が来るだなんて思いもしなかった。

 その頃の私は、守屋の名を背負うことを許されて、その果ての無い重みを誇らしく感じていた。
 だから、私が、幼いあの人の遊び道具を手に入れるために、一人で山へ分け入ってしまったことは、本当に誤りだったのだ。
 ほんの30分ほどで帰るつもりだった。
 そして実際私は25分で帰ってきた。

 起きたことをまず悟ったのは、私の鼻腔だった。
 夥しい血の臭いがして、耳には何も聞こえなかった。
 同じ守屋の仲間たちが、たくさん死んでいて、私たちが在る理由、守屋を守屋と在らしめている最大の理由、大君は、引き裂かれて死んでいた。
 その瞬間、私たちは"守屋"ではなくなった。
 私は、それを認めたくなくて、あの人を探した。私が、守屋であるためには、あの人が必要だった。

 気が狂ったように(事実半狂乱で)、山に逃げ、隠れ潜んだ者たちに私は尋ねて回った。
 守屋の一人が、あの人を連れて逃げたことをようやく聞き出したとき、私は泣いた。本当ならば、その役目は、私が負うべきものだったからだ。
 私は駆けた。間に合うことを祈りながら。
 
 もちろん、私は間に合わなかった。だから、あの人は今、邪魔なモノでも見るような目で、私を見る……。

 私が、尾瀬の近くのあのニンゲンの屋敷を探し当てた時にはもう、私たちの知るあの人はそこには居なくて、"人間"になったあの人が居た。
 あの、煩わしい、天武八家などと言うご大層な名を乗る、愚かしい、人間に。
 返り血を浴びて、力無い様子で、運び出されてゆくあの人を取り戻すために、ニンゲンの異能者たちの中へ飛び込もうとした私を、止めたのは、結応だった。
 結応は言った。
 たった二人の守屋では、あの人を守りきることができないと。だから、私は、屈辱に耐えて、天武八家に近づいて、結応は、屈辱に耐えて、魔性の力を取り込んだ。
 いつか、還ってくる大君の血の為に。
 私たちの全ては、あの人のためにあるのだから。

 ――「私たち」?

 いや、もう違う。
 結応は、死んだ。結応の声はもう聞こえない。
「私」がきっと、最後の"守屋"。
 私の全ては、あの人のためにある。

 それでも、あの人は、邪魔なモノでも見るような目で、私を見ている……。









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