このページは、異能使いオンラインセッションを円滑に進めるためにATM@GMが試行錯誤してつくったページなのです。みぃ☆
異能使い Online Session ver.ATM

【竜の呼び声】
cast:風間慧,風間勇一,武田円造,御影信,レイチェル=沙門



Opening Phase:スナゴフ湖の夜 ――PC用OP1

 ルーマニアにおける三大修道院のひとつ、スナゴフ湖上の修道院に着いたのは、陽も沈みかけた頃のことだった。
 ツアーの団体客を乗せた船が湖上の小島から帰ってくる中、これから島へ渡ろうとするのは自分たち二人だけだ。修道院の僧にはとても見えない極東人の二人連れに、奇異な目を向ける者も多い。
 うら若き聖騎士殿の根回しのお陰で、二人の修道僧が迎えに来てくれている。その恭しいとさえ言える仕草と格好を見ていると、観光フェリーよりも手漕ぎの小船と頼りないカンテラの灯りで向かうことの方がより相応しいように思えた。――何よりも、今追っているモノを考えれば、考えるほど。

 晩課の勤めを終えた修道院長は、用件を聞くと少しだけ迷惑そうな顔をした。
「……始めにお断りしておきますが」
 修道院長は言った。
「これはあくまでも噂の域を出ないお話であることを了承していただきたい。それと、この地が動乱と共にあったことを理解していただきたい」
「この地は、常に神の教えと共にあったわけではない。オスマントルコの領地であったとき、人は生きる為に唯一の神に叛かねばならなかったこともあった。だから、これは、私の独り言だと思って聞いていただきたい」
 そして、彼は目を逸らして"独り言"を話し始めた。
「その時代、この修道院は、ヴラド公の庇護下にありました。公は学問にも造詣が深く、遠征から戻られるたびに様々な異国の貴重な書物を寄贈して下さいました。今でも、その幾つかは残っておるかと思います」
「ですから、そう言った異国の文化に触れる機会は、私どもには充分にあったのでございます」
「異国の言葉を理解し、文化を理解し、風習を理解し、あるいは信仰を理解した。そうでなければ、この地に生きる人々が、この地を支配する者の信仰に左右されたことを、許容することは出来なかった」
「――私はそう考えます。何故ならば、神は許し給う存在だからです。神が愛するが故に許し給うた人々を、神に使える我々が許さぬ訳には参りますまい」
「公がお亡くなりになられた後、トルコ軍に持ち去られた公の首を取り返し、きちんと埋葬するために、数人の修道士のグループがここを旅立ったという噂もございますが、あくまで噂に過ぎません。彼らが誰で、何処へ、何をしに行ったのか、或いは、その旅が如何なる結末を迎えたのか、それは誰も知りません。――そもそも、その噂が真実であるかさえ定かではありません」
「真実、と言うならば、公の墓は、確かにここにあります。熱心な彼のファンが――救国の英雄としてではなく、大衆小説のモンスターとしての彼のファンが、世界各国から押し寄せてまいりますから」
 修道院長は、言葉を切り、殊更、無関係・無関心を装うように背を向けて、再び語りだした。
「……もうひとつ、噂がございます。公の墓は一度暴かれたという噂。十八世紀の末、ワラキアの大主教フィラレトの命により、墓は一度掘り返され、再び埋葬されたという噂が」
「一体、大主教が何を確かめたかったのか。私ごときに高徳の方々のお考えは推し量ることさえできません」
 そして、修道院長は話せることは全て話し終えたと言うように、微笑みながら振り返った。
「失礼いたしました。歳を取ると、愚痴が増えまして。貴方がたのご滞在を、快いものにするように言い付かっております。どうぞ、こちらへ。お部屋にご案内いたしましょう」

 果たして、この湖上の小さな僧院へ来たことが、無駄足ではなく、何かしらの結果に結びつくのか。
 その疑問に対する答えの一端は、案内された石造りの部屋で訪れた。

「失礼するが」
 自分たち二人以外居ない部屋で、不意に禍々しい気配が扉の外に生まれたかと思うと、厳しい口調の古めかしいとさえ言える硬い英語が聞こえた。
 扉の向こうに生まれた気配は3つ。人ならぬ気配を発するその何者か達は言葉を続けた。
「日本の、"テンロウイン"の方々でいらっしゃるか」
 次に聞こえたのは、驚いたことに日本語だった。
「喋りは俺に任せろ、ブリューナク。――おい、聞こえているんだろう、天老院の。俺たちは、お前たちを殺しに来た。ただ、教会の中で荒事はするなと厳命されている。だから、お前たちがここから出た時にもう一度来ることにする。俺たちは騙まし討ちは好きじゃないが、俺たちを振り切って逃げようとすれば、それだけ被害は増えることになる。 場所はそっちが好きに決めればいい。では、またその時に会おう」
「……つまらん。ムラマサは甘いんだ、今やってしまえばいいものを……」
 ぶつくさ言っているのは、3人目の陰鬱な米語だ。
「黙れ、ヘッドバッシャー。お前には誇りと言うものがないのか。さあ、一端引き上げるぞ」
 これは最初の厳しい声。そして、再び禍々しい力の気配が強く漂ったかと思うと、扉の外の何者かの気配は唐突に消え失せた。









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