Lolipop 1280.

Part2 亞里亞 ロリポップ1280

2003/03/21

 さて、トップバッターは亞里亞だ。亞里亞に関しては冒頭、驚愕の事実が暴かれた。亞里亞が学校に通っているというのだ。よく考えたらごく当然のことなんだが、猛烈な違和感を感じずにはいられない。誰があいつの面倒を見てやれる? 誰があいつの歯を磨いてやる? なにやらオーデルを心配するラマーの気持ちが今ならよくわかる気がする。嗚呼。

 街をぶらついていると、ふと僕のことをつけてくる足音に気がついた。四葉だな、と思って振り向けば予想通り、妹が看板の陰から顔を出していた。ええい尾行術は探偵の基本中の基本だろうが! 緋色の研究の老婆尾行シーンを百篇読み直してこい、と説教してやると「じゃあ夏休みの間は兄チャマを徹底尾行するデス」とかなんとか言われてしまった。正面切ってのストーカー宣言かよ。

 夜、じいやさんからの襲撃を受けた。あいかわらず外に出るときはメイド服なのですねじいやさん。さりげなく夏服になっていて似合ってますなあ、という社交辞令もそこそこに、本題に入る。なんでも亞里亞が「夏休みは兄やと二人で過ごすからてめーらの顔なぞ見たくもねえーッ」と立てこもりを開始したんですと。またかよ! 立てこもるの好きだな亞里亞。というわけで、明日僕に来て欲しい、とじいやさんは言った。ここで拒否しようものなら速攻で気絶させられ誘拐同然な格好で亞里亞宅に連れていかれるであろうことが目に見えていたので、もちろん行きますともハッハッハッ、とすぐさま答えておいた。いつぞやはあさま山荘並の大騒ぎになったからな。

 で、翌日向かってみたら、亞里亞は玄関先で待っていた。うまいことじいやさんが連れ出したらしい。じいやさんの亞里亞保護者スキルは着実に上達しているのだなあ、と実感した。あなたのような人なら亞里亞をまかせられると思うよ。

 鳥取砂丘より広い邸宅の庭を二人で散歩する。じいやさんは日射病を心配していたが、亞里亞は「ぽかぽか、大好き」(意訳:この程度の日差しでオレが倒れるとでも思ってんのかボケーッ)と言って取り合おうとしない。が、少し歩いたらさっそく亞里亞の様子がおかしくなった。よく考えたら亞里亞は日本の夏ははじめてか!? 亞里亞がフランスのどこに住んでいたのかは知らないが、少なくとも日本より夏は暑くないような気がする。日射病で倒れられたらじいやさんに殺されまんがな、と僕は亞里亞を担いで死に物狂いで屋敷に戻ったのだった。途中怪しい人影をみたような気がした。多分いつぞやの工作員がまだ道に迷っているのだろう。

 その後は室内でアイスを食べたりお人形遊びをしたり。クーラーが効いていて涼しいなあ。実はつい昨日僕の部屋のクーラーが爆発したばっかりなので、生き返るような心地だった。残念ながら鈴凛にも直せなかったので、修理業者が来るまでは炎熱地獄の日々だ。つうか爆発はないだろ。リコールものだ。いっそ亞里亞宅に住み込めればいいのになあ、と思った。

 河原でじいやと散歩している亞里亞と遭遇。前回の教訓を生かしてか、しっかりと日傘を被っている。じいやさんの気配りぶりはたいしたもんだなあ、と思ったのもつかの間、強い風が吹きつけて傘が吹っ飛んでしまった。幸い遠くまで飛ばず壊れてもいなかったのだが、問題は傘を持って帰った後だ。亞里亞が「傘さんは空を飛べるんだ」と言い出したのだ。現実主義者であるところのじいやさんが「傘は風に飛ばされただけだ」と教えても聞こうとしない。えーと、亞里亞には賛成できない気がするな。君の言葉には夢があると思うけど、本当に空を飛ぼうとして傘持って歩道橋から飛びおりでもされたら困るからね。実際そういう事故があるらしいし……

2003/03/22

 亞里亞からメールで召喚を受けた。たまにはおみやげでも持っていこうと思い立ってみる。で、何を持っていけば亞里亞が喜ぶか考えてみた。
1:お菓子
2:お菓子
3:お菓子
 ……えーと、考える必要などなかったかな。昔「亞里亞、ショコラ、好き。親指ぽきんする」とかいうメールを受け取ったこともあるし、チョコレートを買っていくことにした。
 しかし僕は夏の日差しのことをすっかり忘れていた。門前で待っていた亞里亞に渡そうとしたとき、チョコレートはすっかり解けてしまっていた。引っ込めようとしたのだが、それより早く亞里亞が僕の手からチョコレートを奪い取った。やめろって! と制する暇もなく亞里亞はチョコレートを食べ出した。当然おてても服も汚れてしまい、じいやに怒られる羽目に。相変わらず亞里亞は食べ物のことになると意地汚いなあ。「今すぐおふろに入っていただきます」とじいやは亞里亞を連れて行ってしまった。
 僕は特になにもせず帰る羽目になった。これはいわゆる門前払いという奴だな。僕にも責任の一旦はあるので、仕方がない。正直、怒っているじいやさんに逆らうのは得策ではない。親指折られたくないもの。

 全員で海水浴に行くことになった。駅に集合中、雑談を交わすうちに「最後に千影と一緒に海に行ったのいつだったっけ」という話になった。えーと、最後に海に行ったのは……ペルラの後を追って崖から飛びこんだとき……じゃなくて……思い出せない。千影は「いずれ思い出すときが来る」と言ってくれた。僕はひょっとして記憶DISCを抜かれているのか?

 亞里亞の水着は僕が選んであげたわけだが(僕のような年頃の男子が亞里亞のような年頃の女子の水着を選ぶのはどうしようもない変態行為だと思った)、実際着ているのを目の当たりにすると、似合ってるんだか似合ってないんだかよくわからない。まあ本人はしあわせそうだから気にしないでおこう。
 あと、やはり花穂は泳げないようだ。当然ではあろう。

 亞里亞が夏休みの宿題に困っているのだという。たしかに、「人、痛めつける、亞里亞、それする。」という言語能力では一苦労だろうなあ。フランスから来たばかりだし。と思っていたら、宿題とは普通の勉強ではなく歌だった。休み明けに歌の発表会があるのだが、亞里亞は人前で歌うのが恥ずかしいんだって。目に見える人間をすべてジャガイモだと信じこむ、というのが一般的対処だと思うが箱入り娘の亞里亞のことだ、ジャガイモなんて見たためしがないと言い出しかねない。色々思考錯誤するうちに、僕が手を握ってあげるとうまいこと歌えるということが判明したので、歌っているうちに徐々に僕の手を離していく、ということで問題を解決することができた。まるで自転車の練習のようだな。
 手をつなぐついでに、降霊術でどうやって隣の人と手をつないだままテーブルを動かすか、ということも教えてあげようと思ったがじいやさんに「それは結構です」といわれてしまった。ちぇ。

 新しいお友達を探すのを手伝ってください、といわれて一緒にベティーズに向かった。新しいペットでも飼うのか、と思ったら新しいお人形さんを買うのだという。亞里亞らしいね、と微笑ましく彼女を見守っていたのだが、やがて亞里亞は店頭の人形と会話し始めた。えーと、その行為は肯定しがたいな。人形がしゃべるわけがないなんていうつもりはないけれど、ホロウィルスに感染したリマーのような姿を一般市民にさらすのはどんなもんかと思うんだ。グリブルもそう思うだろ? あーでもこの間も千影が海と会話してたしなあ。先天的に脳内にトランジスタが組みこまれてるとか思っておくことにしよう。

2003/03/23

 妹たち全員と夏祭りに行った。亞里亞も当然浴衣を着ていたが、普段頭部に装着しているボンネットもつけたままだった。違和感こそあったものの、迷子になったときものすごく目立つ目印になるであろうので特に何も言わずにおいた。金魚すくいをしてみたりいっしょに盆ダンスを踊ったりした後、最後に花火を見た。その最中、亞里亞は「花火、たべる」とか言い出した。いい加減食い物から離れろ。
 千影は相変わらずの調子で「死者の魂を怒らせてはいけない」とか「遠い昔にも一緒にこんな空を見た」とかわけのわからないことを言っていた。ずっとこんな調子なので、こっちもつられてなにやら元禄時代の記憶を思い出しそうになった。なあ千影、君ひょっとして前世で綾って名前じゃなかったか?

 夏休みの宿題を見てあげる、ということで鈴凛の家に行った。部屋に通された後、鈴凛はコーヒーを入れに台所へ向かった。どっかで見たことのあるシチュエーションだぞ、と思ったら、いつぞや鈴凛が僕のパソコンからメモリを抜き取ったときと逆の立場じゃねえか! よーしあの時の復讐だ、とばかり鈴凛の端末に飛びついた。が、鈴凛が戻ってくる前にネジを全部緩めてケースを開けてメモリを抜きとって元に戻して、なんてマネはとてもできそうにないと悟って諦めた。鈴凛のことだし内部にはパーツがみっしり詰まってそうな気もするし。それこそ、何枚かカードを外してやらんとメモリが抜けない、とか。何も手が出せない。完全敗北だ……。ちょっとむかついたので、鈴凛の宿題に一部間違った答えを書いておいた。ま、100パーセント正答を書いておいたらリアリティに欠けるものね。

 屋敷の中でもっとも涼しい場所があるという。というわけで僕は亞里亞に北の塔へと連れていかれた。鎧が飾ってあるその部屋は、なるほど涼しかった。というか真夏なのに寒い。なんか霊でもいるんじゃなかろか? で、かくれんぼをして遊んでいたのだが、途中で亞里亞がどっかに隠れたきり見えなくなった。どこを探しても見当たらない。うわお。狭い塔の中だし、と思って油断しとったわ! すぐさまじいやさんに報告し(親指ぽきんされずにすんだ。助かった)、二人で塔内を捜索していると、隠し扉が見つかった。その奥で亞里亞は幸せそうに昼寝していた。じいやさんもこの隠し部屋の存在は知らなかったのだという。おいおい。ここは浜岡代議士の別荘か。きっと自衛隊の装甲車で攻められてもいいように隠し通路とか山ほどあるのだろうな……。この家でかくれんぼするのは死を意味する……

 おうちでダービーをやるので馬に乗ってください。と言われた。マジですか!? 馬なんて乗ったことねえですだよ、とは思ったが、それどころか亞里亞は兄やがダービーで一位になることまで期待していらっしゃる模様。ちょっと待ておまえはキャンディキャンディ見たことねえのか! フランスだったら日本のアニメも結構やってるはずだろ!?
 本番はあさって。……やるしかないのか……

 ダービー当日。僕のほかの騎手は、じいやさんを始めとしたこの屋敷の使用人の皆さんだ。財力にあかせてプロの騎手でもつれてこられた日にはどうしよう、とも思ったのだが、些か希望が持てた。
 ピストルの号砲一発でレース開始(馬がビビると思うのだが大丈夫か?)。ラッキーなことに先頭に踊り出ることができた。このまま最後まで先頭を守りきるぞ、と第一コーナーを回ろうとしたら、そこの柱に何故かでっかいハンマーがぶら下がっていた。本能的にキャッチしてみたが何に使うんだろう、と思っていたら、耳のそばを鉄球がすごい勢いで風を切って飛んでいった。後ろを見たらじいやさんが馬上でボウガンを構えてこっちを狙ってるじゃねえか! えーと、その行動は肯定できないな。これはダービーとはいえないんじゃないかな、という言葉が届くはずもなく、僕らは古式の決闘方式にのっとった死の戦車戦を繰り広げる羽目になったのだった。シィィザァァ〜〜!
 途中経過ははしょるが、最終的には鉄球ボウガンを曲撃ちしてじいやさんの胸にぶち込み、勝利を収めた。途中、気持ちの切り替えと称してじいやさんが自分の目を潰した時はぞっとしたけどね。

 二人で別荘への泊まり旅行に出かけた。高原で二人っきりになるのカシラ、と思っていたら、別荘ではじいやさんが待っていた。ハテ僕らが出かけるときに見送っていたはずでは、と不思議に思って聞いてみれば、なんでもじいやさんの双子の妹なんですと。なッにィィ――ッ。はじめて知った……

 二人で高原をぶらついていると、草むらの中から野ウサギが顔を見せた。途端、「うさぎさん、おうちにつれて帰る」と亞里亞は言い出した。野生の動物を連れてかえるのはどうかと思うよ、と説得はしてみたものの亞里亞は頑として聞かない。となれば、僕にどうして反対することができるだろう。やむなく連れて帰ったのだが、じいや妹がさくっとウサギを野に放ってしまった。僕もあの人のように妹たちに強く言うことができたらなあ、と思ったのもつかの間、亞里亞がウサギを探しに姿を消してしまった。う、うああーっ! この広大にすぎる高原で亞里亞をさがさなあかんのかい! ラビット鈴木人形でおびき出す作戦も無理っぽく思われ、僕はあてもなく高原をさまよう羽目になったのだった。

 幸い、亞里亞はあまり遠くまでは行っていなかった。しかし、ウサギさんにクッキーをあげるという約束をしたから、約束を果たすまでは帰れないと言い張って戻ろうとしない。こりゃ処置なしだ、と僕は最後の切り札を切った。出かける前、じいやさんから教えられた事実を突きつけたのだ。実はね、僕たちは血の繋がった本当の兄妹じゃないんだ。その言葉に混乱している隙をついて、僕は亞里亞を担いで帰ったのでした。

 義妹エンド。なんか、前作に比べ知能的にかなり成長したようだ。少なくとも、兄の存在は馬→馬に乗る人と格段にアップしている。相変わらずオーデル風味ではあるが、いずれまっとうな人間になれることであろ。

 その他、ファーストプレイのインプレッションを箇条書きにしてみる。
・シナリオの最後は二人で旅行→一緒にお風呂、というのが標準装備されている模様。かようにエロくていいのか……?
・鞠絵が前作よりもひどいハミ子状態に。妹全員が集まるイベントにも出てこねえし、出番があったと思ったら回想シーンのみ。まるで故人のようだ……
・鈴凛がリピュア風味に性格改造……じゃなくて成長している。衛のような後ろ向き属性が加味されて萌え度倍増。万年Bクラスからの脱出もありえるか。
・春歌が誰も殴らねえ。のだがこれは春歌がおとなしくなったのではなく、町全体が若き日のドン・コルレオーネが作り出したような「暴力の下の平和」状態になっている模様。図書館で騒いでるガキに睨みを効かせただけでみるみる静かに。
・千影はまるで「久遠の絆」からはみ出してきたかのようだ。あるいはプッチ神父風味というか。実は十二人の妹ってのも千影が見せてる幻覚じゃねえのか、と思えるくらい一人だけ毛色が違う。

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