笑う大天使 篇 |
| 2002/01/30 魔界の扉がポカリと開くという衝撃的な千影エンドから、現時点における世界観の謎に対する仮説を述べてみたい。 |
| 2002/02/02 翌日、さらに「あの頃は元気で楽しかったのに……」というタイトルのメール。まるで過去を懐かしむ老人のような調子であるな。なんでそんなに人生に対して後ろ向きなの? |
(註1)CATCH=22(ジョーゼフ・ヘラー、早川文庫NV)で出てくる謎の病気。医師たちが大慌てするかなりヤバい症状らしい。 (註2)機動武闘伝Gガンダムの登場人物、謎の覆面ファイターシュバルツ・ブルーダーが使う謎の流派。その起源はまったくの謎。 (註3)「死の猟犬」(アガサ・クリスティ、早川ミステリ文庫)所載の短編「死の猟犬」に出てくる能力名。目に見えない犬を操るシスターが登場する。その犬に噛み付かれたものは爆死する、らしい。 |
| 2002/02/03 鞠絵心の病説は、これまでの出来事と照らし合わせてみるとなるほどと思わせるものがある。 まず、バレンタインデーに病院からタクシーでチョコレートを持ってきた件。そのときはどうとも思わなかったが、主人公の住んでいる街と鞠絵の入院している病院の距離が電車で二時間、という新事実の発覚でここに新たなる解釈の余地が生まれる。電車で二時間ということは、距離にして約100〜150キロくらいは離れているものと思われる。実際の例でいうなら北上〜仙台間くらいか(註1)。 普通、そのような距離をタクシーで往復しようなんて考える奴がいるだろうか。兄にチョコレートを渡すという行為に病的な強迫観念を持っている、と考えられる。まあもっとも、単に鞠絵が世間知らずなだけ(何しろ病室に天蓋つきベッドがあるのだ、ブルジョワであることに間違いない)とも考えられるのだが。 もう一点、鞠絵が自分の日記をメールで送ってきた件について。主人公は「きっと書いた日記のファイルを間違えて添付してしまったに違いない」と考えているようだが、そんなメールにわざわざ「鞠絵の日記」などというタイトルをつけるだろうか。そもそも間違えてメールを送るなどという初歩的なミスを彼女がするだろうか。オレもパソコンで日記を書きつづけて三年になるが、そんなミスはしたためしがない。そのときは明らかに鞠絵は意図的に日記メールを送りつけてきたのだ、と判断したのだが、しかし彼女の言行不一致を見ると、どうも本当に事故であったような気がしてきた。鞠絵の心の闇に潜む別人格がそのようなマネをやらかしたのではなかろうか。 そんなこんなで、鞠絵の病は心の病である、と解釈したほうがいろいろな事象に説明がつくのである。なんか「エクソシスト」みたいだな。犬の名がミカエルってのも暗示的である。まあそれはそれで問題あるまい。エクソシストは愛の物語なのだ(註2)、ギャルゲーでそのテーマについて語ることは何ら不自然ではない。 今日の春歌さん。主人公を轢きそうになった車に腹を立て、足で追いかけていって事故らせた。それはもう武術に優れているとか肉体的能力でどうこうできる問題ではないぞ。近距離パワー型のスタンド使いで決定であろう、こやつ。 千影とデパートで遭遇。お茶でも飲まないか、と誘われて千影宅に向かったところ、千影が二人に見えた。よく見なおすと一人に戻ったが。そのことを話してみると、それは私のドッペルゲンガーだといわれた。そうなんだろうか。実は千影双子だったりして。妹が12人いたら、もう一人くらいどこかからわいて出てきても不思議ではない。 鞠絵からメール。妹たちがこぞって鞠絵の見舞いにいったらしい。鞠絵自身はそのことを感謝しつつも、「こんなかわいい妹たちが兄上様のそばにいるなんてッ! 兄上様の心が揺らいでしまうッ!」と嫉妬しておられる模様。人の好意は素直に受け取っておこうよ、といってみても無駄か。さすが、健康に対する執着は尋常でない。 四葉の昔話を聞く。四葉が常に探偵モドキなまねをしているのは、幼少時にグランパからホームズの本もらったのがもともとらしい。それ以来ホームズみたいな人間になるべく努力してきたのだとか。なるほど。ではいつぞや、三階の教室に窓から入ってきて窓から降りていったのは、バリツ奥義が一クレイジークライマー(註3)か! やるな……その年でバリツ使いとは……! ひな祭りプールイベント。鞠絵も来ている。のはいいが、ミカエルとその子供も一緒だった。プールに犬を連れてくるんじゃあないィィ――ッ! ジステンパーって知ってるか? その晩四葉からメールが届いた。ひな祭りとはプールに入ることだったのか、と帰国子女の妹は信じ込んだ模様。でも敢えて間違いを指摘しないことにした。世の中には仙台県(註4)の存在を信じている人だっているのだ、その程度の間違い、何ら恥ずかしいことではない。 昼休み、白雪がこけて僕の弁当をひっくり返してしまった。すきっ腹をかかえていたら花穂がやってきて、調理実習で作ったというおにぎりと味噌汁をくれた。これがまた絶望的にまずい。花穂は丸出ダメ夫なみにダメな奴だなあ、と言いたくなるのを必死にこらえねばならなかった。バトンは振れないしすぐこけるし手袋を編もうとして指を六本生やすし、君のとりえは一体何なんだ。 河原で謎の箱を持った四葉に遭遇。ホームズと箱、といえば……スマトラリバー熱病原菌がたっぷりぬったくられたビックリ箱(註5)か! もしくは塩漬けの耳が入ったボール箱(註6)か!? う、うああーーーっ! と思ったら単なる嘘発見器らしい。なんでそんなものを持って外をぶらついているのだ。わからぬ奴。 パソコンの処理が妙に重くなる。何事か、と思い調査してみたところ、積んであったメモリがなくなっている。そういえばついこの間、突然特に用事もなく鈴凛がやってきて去っていったということがあったっけなあ。おまえか! おまえなんか僕のパソコンのメモリを抜き取る権利はないんだッ! 謝れェェ――――ッッ!! 最近咳が出なくなってきた、という鞠絵のメールが来る。体の病説にポイント1。 というわけで鞠絵がこっちに来ることになったので街を案内してまわる。夕刻頃、河原にたどり着いた主人公は独白をはじめた。「父は外交官」「ちゃんとした母親もいない」「僕はこういう運命の中で生きていかなきゃいけない」……等々。世界観のヒントになりそうな発言である。運命という単語を持ち出すほど深刻な環境なのか。その後主人公は「でも僕はかわいい妹がたくさんいることを誇りに思って生きていく」と締めくくっていた。前向きだな…… ところが最近咳が出なくなってきたというのは大嘘で、翌日ミカエルが120キロの距離を走破して鞠絵の危篤を伝えに来た。心の病説にポイント1。いや犬が来るより先に電話で教えてくれよ、と思ったのだがそれは置いておいて病院に向かう。病室で鞠絵は死にかけていたが、すんでのところで助かった。 その後なんだかんだあって僕と鞠絵は婚約した。父がやってきて、実は鞠絵は養子だったと伝えたらしい。テメェで育てられないんだったら養子取るなよ、と思った。がそこにこそこの13人兄妹という環境の謎が隠されているのだろう。 クリア。結局病気の正体はわからずじまい。記憶と行動の不一致、病の体をおして主人公のもとにやってくるといった限界を超えた肉体の酷使、といった事実から鑑みるに、鞠絵は悪魔憑きではなかろうかという説を提示してみたい。 千影が実は魔界のプリンセスだった、という事実を考えればそれほど突飛な発想ではあるまい。まあ、クロスプレイをしたりブリッジして階段を降りたりというマネはしなかったので、断言はできないが。でもどっちにせよ側頭葉に原因があるような気がする。主人公の父親がリーダーとなって推進していると思われる謎の13人兄妹計画の実態を推し量る手がかりの一つとして覚えておきたい。 で、鞠絵自身なのだが、萌え度はまあまあ。上記の通り心の裡に底知れぬ物を抱えているような気配がなきにしもあらずでそこのところはちょっとイイ感じなのであるが、それは明らかにオレの見方が穿ちすぎというのが原因と思われ、あくまで病弱属性メガネッ娘属性の枠をはみでるものではない。というか妹である必然性がない。 次は四葉にする。シャーロキアンなヒロインは、少なくともオレが今までプレイしてきたギャルゲまたはエロゲの中にはいないような気がする。意外と斬新な設定なのか。 |
(註1)北上〜仙台間:ワタクシ仙台県民なものでこのような喩えしか思いつきませぬ。大阪スタートだったら名古屋にあと少しで届くくらいか? (註2)エクソシストは愛の物語なのだ:いやマジで。ホラー映画ゆえ現象面に目が行きがちではあるが、しかしテーマは愛である。原作小説も読んだ私としてはそう主張したい。 (註3)バリツ奥義が一クレイジークライマー:バリツとはホームズが会得し、モリアーティ教授を葬った謎の格闘術である。ライヘンバッハの滝の途中の岩棚に落ちたホームズは、上からモラン大佐が岩をぽこぽこ落としてくるという悪条件のもと、岸壁をおりきった。これがバリツ奥義が一クレイジークライマーである。 (註4)仙台県:ええと、僕は仙台県民ですよ? (註5)スマトラリバー熱病原菌がたっぷりぬったくられたビックリ箱:「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」所載「瀕死の探偵」に出てくる。 (註6)塩漬けの耳が入ったボール箱:同じく「ボール箱」より。 |