IN THE YEAR 1875 |
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今日は私とお兄ちゃんが再会するという、彦星&織り姫の逢い引きたる「七夕」を100万倍は上回る素晴らしい日だったんだけど、出だしは最悪だったわね。このカワユイ仔猫ちゃんである私を固い椅子に縛り付けたまま夜を明かせるなんて、神をも恐れぬ所業だわさ。間違いなく、あの二人には天罰が下るわね・・・ってゆーか、下れ!って感じ? それから忘れちゃいけないのがあのヴァカ・ロミ夫!何を血迷ったか、突然煙突から姿を表すなりアルフレドの居場所と勲章の在処をペラペラ喋った挙げ句、それをトンマウリツィオに聞かれてるんだもの!!バカよ!馬鹿!あの後、もしアルフレドの身に何かあったら、ヤツ(ロミ夫)の家族を草の根分けても探し出して八つ裂きにしてやる!って思ったわ。 それにしても愚ラゼーラが「トンマウリッツォの銃の腕前はピエモンテで一番」って自慢していたのには笑っちゃうわね。本当は“銃(銀玉)”だってコト、知ってるんだけど・・・。本物の銃は反動が強すぎて、的に当てたこともないって言うのはマルティーニ家では有名だったし。にも関わらず、愚ラゼーラが「アハハハハハハ」てバカ笑いが止まらなくなった時はマジで脳にサナダムシでも入り込んだかと思ったわ。ちょっと恐かったよ。 そしたら、煙突から今度はボロとチビとノッポが出てきて(自己紹介してたけど名前忘れちゃった)、愚ラゼーラをススまみれにしたのには溜飲が下がったわね。この時のボロのセリフ「ナニ言ってんのオバサン?」は“真実”という名の的を寸分の狂いなく射抜いていたわね。彼女、若作りしてるけど、もう36歳だから(笑)。・・・・で、何だっけ?「黒い兄弟」だっけ?ダッサイ名前!誰が付けたのかしら。センスを疑うわね。 そして・・・この後・・・ついに、ついに会えたの!お兄ちゃんに!アルフレドに!! |
この後、ホテルを脱出したんだけど、追いかけてきていたはずのトンマウリツィオの姿が途中から見えなくなってるのよね・・・。子供の追跡すら満足に出来ないなんて、なんて無能な男なのかしら・・・。例えるなら「穴のあいた花瓶」くらい使えないわ。つまりは粗大ゴミね。カスが!! で、すぐにアルフレドの所に案内してくれると思ったのに、何を血迷ったのかロミ夫の奴、「ビアンカを秘密基地へ!」とか言ってんのよ!?何よ秘密基地って!私をそんな怪しげな場所に監禁する気!?もちろん無視して、アルフレドがいるという教会に向かったわ。そして、そこには・・・そこには・・・アルフレドの姿が!! お兄ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!! 涙、涙の再会!!ひしと抱き合うアルフレドとビアンカ!その瞬間、茫漠たる砂漠のようだった全てが、満ち足りた豊饒(ほうじょう)の大地に変化し、実りある果実が香(かぐわ)しく世界を包み込み、永久凍土と思われた時は永遠を刻んだのよ!!まさしくお兄ちゃんは、太陽のように光り輝くアポロンの再来!それに対するミューズ(美の女神)のように可憐な私! やっぱりお兄ちゃんは最高なのよ。アルフレドより素晴らしい男の子なんているわけがないんだわ!昨日から会ってる男子連中がゾウリムシみたいなのばっかりだったから、よけいに感じるし、確信したわ。 |
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お兄ちゃんと劇的な再会を果たしたのも束の間・・・ってゆーか、その直後、アルフレド倒れる!し、しかも口元を押さえた手の平に血がッ!!これ、どーいうコトっ!?・・・まさか・・・まさか、あの黒いゾウリムシどもッ、私のお兄ちゃんに変なことしたんじゃないでしょうね!?も〜、だから一人でミラノに行かせるのは反対だったのよォ〜〜〜!! それにしても・・・倒れたアルフレドを運び込んだ家の、あのカセラとかいうヒゲ親父は一体何者なのよ!イキナリお兄ちゃんの服をムリヤリ剥ぎ取ったりして!変態よ、ヘンタイ!強姦魔よ、ゴーカン魔!!おまけに私がアルフレドの様子を見に部屋に行った時には、あのヒゲ男、半裸のお兄ちゃんをムリヤリ押さえつけて見つめ合ってたのよ!?私、思わず「ごめんなさい・・・」とか言っちゃったけど、よく考えれば・・・なんで私が謝らなきゃなんないのよっ! ・・・怪しい・・・あのヒゲ男、怪しすぎるわ。私のことを「小さな看護婦さん ムヒョ!」とか言ってるし!そういう趣味があるのかしら・・・。とりあえず、診察させるためにガマンしたけど、トンマウリッツォを始末したあかつきには、あの変態教授を何とかしなきゃいけないみたいね。あんなのが『教授』だなんて・・・ミラノって魔界ね・・・。 それなのに・・・それなのに、お兄ちゃんッッ!!私を変態教授に預けるって、どういうコト!?しかもヘンタイ教授は「今日から置くぞ。ムヒョ!」とか言ってるし。下心ミエミエじゃん!お兄ちゃんは、私が何かされてもいいっていうのォ!?やっとの思いで、トンマウリッツォ達の所から脱出して来たっていうのに・・・今度はヘンタイ教授の家に居候だなんて・・・。酷い、ヒドイよ〜!え〜ん(T_T) |
それからこっそり変態ヒゲロリコスプレマニア教授の家を抜け出した私とお兄ちゃんは、前にロミ夫が私を監禁しようとした秘密基地とやらに行ったわ。んも〜大ショックだわよ!だってすっごく汚いの!いつからアルフレドったらこんな怪しい場所に出入りするようになったのかしら!?間違いなくあの黒いゾウリムシ連中のせいね。これ以上アルフレドが変な事に巻き込まれないように、私がしっかりしなきゃ! で、秘密基地とやらに入ったのはいいんだけど「ワガママな妹は仲間になりたいって聞かないんだ」・・・って、お兄ちゃんッ!いつ私がそんなコト言ったのよ・・・ッ!!むしろ私はお兄ちゃんに「黒い兄弟」を抜けてもらいたいくらいなのにぃ!・・・でもお兄ちゃんの顔を潰さないように「私、煙突掃除もするわ。努力して男の子みたいにだってなる」なんて心にも無いことを言ってのけた私って、とってもケ・ナ・ゲ♪髪までかき乱してさ。女優になれるかもねっ。 もちろん単細胞生物である彼らに私の絶妙な演技を見抜けるはずもなく、ヒナが親鳥にエサをねだるみたいにポッカリ口を開けて「さんせーい」って叫んでいたわ。馬鹿ねぇ・・・ホンっトに馬鹿ねぇ・・・私が煙突掃除なんぞするはずがないし、ましてやあんた達みたいな薄汚い男子になぞ、なろうはずもないわ!全く「身の程を知れ、このゾウリムシが!」・・・と心の中で叫んでおいたわ。ね、お兄ちゃん♪ でもね、こんな基地でも一ついいことがあったの。そう、私とアルフレドの無実を証明するために、晩餐会に乗り込んで国王の前で真実を訴えるのよ!それを黒いゾウリ・・・じゃなくて兄弟が“しもべ”となって助けてくれることになったの。みんな「野郎!野郎!」ってすごく乗り気よ。男の子同士の友情もちょっぴりイイかなぁ〜・・・って思っちゃった。ま、私とアルフレドの愛にはとうてい及びもしないんだけど・・・ね。 |
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