小マリア 「・・・・・・」
マリア 「どうしたの?マリア。一人で考え込んで」
小マリア 「・・・分からないことがあるんです」
マリア 「あら、今度はなあに?言ってごらんなさい」
小マリア 「はい、マリア先生。・・・お父さまは海軍の大佐で潜水艦の艦長だったんですよね?」
マリア 「ええ、そうよ。この前の戦争(第一次世界大戦)でお手柄をお立てになって、男爵を授けられたのよ」
小マリア 「でも負けたんですよね・・・オーストリア」
マリア 「ええ・・・そうよ。そして海軍は無くなってしまったの」
小マリア 「どうして国は負けて所属する組織まで消滅したのに自分はちゃっかり貴族になって出世してるんですか?」
マリア 「マ、マ、マ、マリア・・・!お、お、お、お父さまに聞こえたらどうするの!?」
小マリア 「それに変だわ。この前の戦争って、1914〜1918年にあったんですよね・・・?」
マリア 「え、ええ・・・そうよ。マリア、よく勉強してるのね」
小マリア 「今、お父さまは38歳だわ。だから計算すると、戦争中は16〜20歳になるわ!」
マリア 「ええ・・・そういう事になる・・・わね・・・」
小マリア 「どうして10代で大佐で艦長なんですかっっっっ!!!!????」
マリア 「そ、それは・・・」
小マリア 「それに潜水艦の艦長には少佐がなるって、ご本に書いてあったわ」
マリア 「そんな事まで・・・」
小マリア 「おかしいことだらけよっ!!どうして!?マリア先生!!」
マリア 「あ〜〜〜う〜〜〜」
小マリア 「答えられないんですかっ!?」
マリア 「ん〜〜〜〜〜〜〜」
小マリア 「お父さまは本当は少佐なのに大佐で英雄の男爵になって艦長なんだぁ〜!うわ〜〜〜〜〜ん!!」
マリア 「マ、マリア、落ち着いてっ!!」
小マリア 「マリア先生、何でも答えてあげるって言ったのにぃ!大人は嘘つきよぉ〜!」
マリア 「・・・マリア、よく聞いて。これはね、大人の世界の話なの」
小マリア 「大人の・・・世界・・・?」
マリア 「そう。暗黙の了解で、決して突っ込んではいけない部類の話なのよ。これは」
小マリア 「それが答えなんですか?マリア先生」
マリア 「そうっ!東洋では「それを言っちゃあ、お仕舞ぇよ」って言うんですって」
小マリア 「そういう事にしておけばわたしも大人なんですか?マリア先生!」
マリア 「うふっ・・・そうね。また一つ成長したわね、マリア」
小マリア 「うふっ、でもヘートヴィッヒにはきっと理解できないわ。聞き分けがないもの」
マリア 「あらっ・・・!いやだわ・・・!!あははははっ・・・・・・・!!」
小マリア 「うふふふふっ」
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扉の陰で聞いていたトラップ男爵 「助かりましたよ、フロイライン・マリア・・・!感謝します!!」