五人の男の話


 ある村に大変美しい娘がいた。
 村の男達はみな、彼女を妻にと願ったが、ある時現れた旅の男に娘は恋をして、ついに男に連れられて村を出てしまった。
 男と娘は旅を続け、やがて居を構えて幸せに暮らし始めた。
 しかし、三ヶ月ほどすると、ふいと男がいなくなってしまった。
 娘は半狂乱になって男を捜すのだが、男は翌日になって何事もなかったように戻ってきていた。
 娘は安心し、再び以前の生活を続けるのだが、なにやら男の様子が以前と違っている。
 だが、それはごく些細なことであったため、やがてはそれも忘れて幸せな暮らしを取り戻した。
 しかし、また三ヶ月経った頃、男がふらりと消え、翌日戻ってくるということがあった。
 それからも、三ヶ月ごとに同じことが起き、その度ごとに男はどこか違うようになって戻っていたのだ。
 さすがに不思議に思った娘が、そろそろ男がいなくなる日の前日、男の足に夜光虫の粉を塗りつけ、
夜になってその後をたどっていったところ、森の中の空き地にたどり着いた。
 そこで娘が見たのは、全く同じ顔の男が五人いて、次は誰が娘と暮らすか議論しているところだったという。
 娘はおどろき、驚いた拍子に木の枝を折ってしまうと、物音に気がついた男達は娘の方を振り返り、娘を捕らえてしまった。
 そして、男達は娘を少しずつ分けて持とうと話し合い、とうとう娘を五つに裂いて殺してしまったという。

<研究雑記>

「全く同じ顔の男が五人」というのが業なのだろうが、寡聞にしてアーキタイプは特定できていない。