HMリプレイ ネオ=アップル篇 #2
悪夢、ふたたび
1 禍の都市
GM :場面は前回のラストシーンから続いている*。
2154年初冬の深夜、ネオ=アップル市内各地で連続
テロが発生し、都市管理AI《アカデミア》による
戒厳令が発動された。
君たちは《ワイルド・ギース》のカウンターで緊急
ニュースを見ている。
レイファ:外の様子はどう?
GM :まだ静かなもんだよ。
ここ(マホロバ・ストリート)はテロのあったネオ=
アップル・セントラルシティからはかなり離れているし、
深夜ということでニュースを見ていた人間も少ないようだ。
現場も混乱していると見え、ニュースは同じ情報を
繰り返すばかりだが、オールドギースがネットワークを
駆使して、現時点で判明していることを教えてくれる。
この事態に乗じた他都市の軍事行動に備えて、ネオ=
アップル・アーミー(シンクレア常備軍)および
GMTフォース*はネオ=アップル周辺に集結して外敵の
排除に当たることになった。
そして、市内滞在中のハスラーやバウンサーといった
戦闘技術/経験のある者への「治安回復協力要請」という
依頼が非常に高額で提示されている。
レイファ:ふうん…
GM :しかし、君たちも知ってのとおり、ここしばらくネオ=
アップルでは儲け話がなく、ハンターたちはこぞって
他の都市や荒野に出掛けてしまっているから、思いっきり
人材不足だ。
また、帰って来ようとしても、軍がネオ=アップルを
包囲中で近づけない。
おまけに、ここ数カ月間の密輸取り締まり強化の影響で
ブラックマーケットにも武器のストックがほとんどない
状況だ。
エンジュ:鎖国だ…武器もだけど、食糧なんかはどうなってるの?
GM :市民の分だけは保証できる。
エンジュ:僕ら「市民」じゃないし(笑)*
僕らみたいな「非市民」って正規の「市民」の何倍も
いるんだよ。
うわ、この街ヤバいな…
GM :すでに治安の早期回復は絶望的と見られている。
混乱に乗じてバンデットたちも暴れ出しているし、今まで
鳴りを潜めていた賞金首たちが、ここに来て一気に
ネオ=アップルのあちこちで目撃されているという情報だ。
そして、彼らの間には大量の<BLOOD>*が出回って
いるという噂もある。
レイファ:犯罪者だらけなのね?
GM :バウンティハント*はやりたい放題だ。
だけど、のこのこ出て行ったら返り討ちにあう可能性の方が
はるかに高いね。
レイファ:賞金首を狩るよりおもしろい仕事もたくさんありそうね。
GM :それはもうよりどりみどり。
要人の警護依頼なんかも殺到してる。
レイファ:うふふ〜。どれにしようかな〜♪
エンジュ:前回、戦闘がなかったんで飢えてるよ*(笑)
それより僕は犯罪者の一斉蜂起の方が気になるな。
この夜更けに、シティ中心部で起きたテロに呼応して、
あちこちで暴れ出したってことは、彼らは事前に、この日
この時間にネオ=アップルでテロが起こることを知って
たってことだよね*?
GM :状況からしてそうだろう。
エンジュ:バンデットじゃなくて、もっと上のレベルの−−ここの
《ピンキー・ソルジャー》やチャイナタウンの《青龍幇》、
《ヴェツィーニ・ファミリー》みたいにテリトリーを
持ってる連中*はどうしてる?
自分のシマに立て籠もる気?
それともバンデットと一緒に略奪に走ってる?
GM :組織によりけりだ。ただ、今、君が名前をあげた3つに
関しては縄張りを護る方向で行くらしい。
オールドギースに連絡を取ってきて、食糧等の生活必需品を
確保する方法はないかと模索している。
エンジュ:ネットはどれだけ生きてる?
GM :ネットテロリズムを警戒して、主要なシステムはAHP*が
完全管理態勢を取っている。
ものによってはハッカーの侵入を防ぐためにウェブから
切り離した。
エンジュ:AHPが動いてるってことは、市内では警官が動いてる
んだね?
GM :当然だ。ただし、暴動の鎮圧が目的ではない。
あくまでも彼らの任務は都市機能の維持にある。
ゲートや行政施設の警護に当たっており、略奪に遭って
いる地区やダウンタウンは見捨てた。
エンジュ:それは誰の判断?
GM :《アカデミア》だ。
エンジュ:今回のテロについて、オールドギースは事前になにか
掴んでいた?
GM :いや、まったく。
エンジュ:バンデットにまで指令が届いてるのに、オールドギースが
まったく感知できなかった?
GM :理由は不明だが、実際、そういうことだ。
…まったく、情報解析のフェイズになると、とたんに
エンジュは「お子様」じゃなくなるな(笑)
エンジュ:はは。ともかくこれはシリウスが仕掛けたことじゃない
んだね?
GM :それは違う。
「ただひとつ考えられるとしたら…このワシともあろう
者が、誰かの流したディスインフォメーションに乗せ
られたに違いない」
レイファ:ディスインフォメーション?
GM :第6話であんたがやっただろ。
偽情報によるコントロールだ。
レイファ:ああ。…それってなんか、すごいヤな予感がするわ。
エンジュ:<BLOOD>が出回ったっていう情報もあったよね。
<BLOOD>は確か、後暗示性の高いドラッグだった
はず。
テロに呼応して一斉に暴動が起きたのはそれを使った
可能性があるな。
レイファ:後暗示性って?
エンジュ:「Hunt the wolf」だよ。*
あのときみたいに、キーワードとか特定の波長を耳にした
瞬間に、暗示が発動して暴徒化したのかも。
レイファ:わたしのはもう直したけどね。
ところでさ、オールドギースを情報戦で騙せるテクニックを
持った奴って、わたし、身近でひとりしか知らないのよ。
で、彼には動機がなきにしもあらずなのよ。
エンジュ:誰?
レイファ:ジョーカーよ。
エンジュ:ええっ! でも−−
レイファ:「オールドギースに勝ってみせる」って意志が暴走したと
したら敵側につく可能性もあるんじゃない?
エンジュ:うーん。あの人の場合、父親につくかシリウスに
つくかっていう状況*はあっても《ナイトメア》に
つくことはないと思うんだよね。
レイファ:ま、直感で言ってるだけだから特に根拠はないわ。
これ以上考えるのはレイファの性に合わない。
そろそろ行動しましょう。
ホークを叩き起こす。金儲けに行くわよ!
GM :「お嬢ちゃん。そういう考えなしの突撃をこそ、
グレンディは戒めたはずじゃぞ。
今、この状況で自分が何をすべきか、それを判断せい。
それが出来んうちはおまえをひとりで行かせるわけには
いかん」
レイファ:ええ〜、このじーさんが「行かせない」と言ったら
物理的にこの店から出られない気がする(笑)
うーん、考えるのは苦手なのよう。頑張ってみるけどさ。
ええっと…まず、この状況になって得するのは犯罪組織
よね。後は政権を狙ってる野党とか…
GM :そういう推理を求めているわけじゃない。
持てる技術と道具でレイファが今、何をすべきか、だ。
レイファ:やっぱりわたしは実力行使しかできないからさ−−
暴徒を鎮圧して治安を回復するってとこかな。
GM :方向性はいいだろう。だが、ネオ=アップル全体を君
ひとりでカバーするのはどう考えても無理だ。
レイファ:それじゃここ? 足場を固めろってことかしら?
GM :そうだな。だが、防衛拠点をこのマホロバ・ストリート
だけに絞るにしても、暴徒を追い払っているだけでは
治安が守られているとは言い難い。
ネオ=アップルの混乱は数日で収まる規模じゃないんだ。
その間の、食糧をはじめとする生活必需品やエネルギーの
確保、あるいは入手経路の開拓まで視野に入れないとだめ
だろう−−
って、解答言っちゃったよ(笑)
あとは具体的な方策だな。
レイファ:よし、エンジュ。テキサナに行った連中に連絡を取って
ちょうだい。彼らに物資を運び込んでもらうわ。
エンジュ:外からの搬入は難しいよ?
レイファ:でも、都市機能がダウンしている今、ネオ=アップル内
ではダウンタウンにまで回すほどの物は生産できない
はずだわ。
外から物資が届かない限り、やっていけない。
だけど、わたしたちが外に買いつけに行ったら、それこそ、
ここを捨てることになるでしょ。
だから、運んでくるのは他の連中の仕事よ。
エンジュ:先に聞いておいていい? レイファ。
どうしてここを守るの? 自分が住んでいるから?
レイファ:そうね。
エンジュ:オールドギースはああ言ったけど、レイファには他にも
たくさん出来ることがあるよ。
守るにしたって、王大人のいるチャイナ・タウンに
行くって手もあるはずだ。レイファは華僑なんだから。
それなのに、どうしてここなの?
レイファ:ここならアーヤたちが戻って来やすい。
ま、理由って言ったらそのくらいかしらね。
それで充分でしょ?
エンジュ:ストリートとは言うけど、8,000人住んでる街なんだよ。
そのマホロバの住民、全員をレイファが護るつもり?
レイファ:ひとりじゃ無理でしょうね。
だけど、できるかぎりのことはするわ。
エンジュ:あなたのしようとしていることは間違っちゃいない。
だけど、現実を直視すればそれがどれだけの困難を
要することか−−って、あ…僕は今、シリウスと
ジョーカーの会話を追体験してしまった気がする(笑)
そして、シリウスと同じで、レイファにもこれを言っても
無駄だってこともわかっちゃった。
GM :おまえねぇ。
レイファ:わたしは自分を護る力のない人たちのために戦いたいの。
エンジュ:うわ…《ケルベロス》だ。
GM :まさにその発想だな。
エンジュ:僕、華僑ビル脱出のときのこと、忘れてないよ。
王大人やレイファは言ったでしょ。
「皆を助けるのが基本で、自分の力はそのために使うもの
だ」って。
僕、あのとき自分たちだけのことしか考えてなかったから、
心臓が痛かったよ。
レイファ:そんなことあったかしら(笑)
エンジュ:意識してないとこがスゴいんだけど(笑)
改めて−−今回も…同じことをするんだね?
レイファ:もちろんよ。
エンジュ:僕ももう同じ後悔はしたくない。
マホロバを守る方向で話を進めよう。
だけど、やっぱり性格上、いくつか指摘をさせてね(笑)
ここまで物資を運んで来てもらったとして、代価はどう
やって払うの?
アヤコさんたちにならツケもきくかもしれないけど、
他はそうもいかないでしょ。
それに、テキサナやサン=アンジェルスは本心では
ネオ=アップルの弱体化を望んでいるはずだから、
こっちに物資が行かないよう検問を強化するだろうし、
運送業者も値を吊り上げてくることは予測がつくよ。
レイファ:確かに資金のことは考えてなかったわ。
だけどさ、ハンターたちはネオ=アップルの中に入れば
いくらでも仕事があるんだから、こっちが彼らを中に
入れてやるのと引き換えに物資を運んでくれ、という
交渉は成り立つはず。
エンジュ:でも、それじゃ1回限りだ。
それにハンターがすべてネオ=アップルに協力してくれる
とは限らない。
こんな状況なんだから、テキサナやサン=アンジェルス
政府が先手を打ってハンターを雇ってしまうことも
ありえる。
GM :そうだな。現在、ネオ=アップル所有のレアメタル鉱山や
栽培プラントの警備についている常備軍までも呼び戻さなく
てはならない状況だ。
他のシティが好機とばかりに資源を奪取する作戦に
ハンターを駆り出す可能性はある。
エンジュ:恒常的な物資搬入ルートを確保するためには、こっちに
支払いが可能だという証明ができないとダメだと思う。
レイファ:う〜ん。
GM :すると「金ならあるぞ」と声がして《ワイルド・ギース》
にシリウスが入ってくる。
エンジュ:どういうこと?
GM :「賞金稼ぎをすればいい」
ネオ=アップルの政情がどうであれ、ユニオンの機能は
麻痺していない。
バンデットを倒し、その証拠をギルドに提示すれば即座に
電子バンクに賞金が振り込まれる。その金を取引に使えば
いいんだ。
「少なくとも、今、この街には賞金という札ビラを首に
かけた連中が溢れているのは確実だからな」
そしてシリウスはオールドギースに弾薬をオーダーする。
エンジュ:了解。ただ、レイファとシリウスだけじゃ、この街を
守るにも手が足りないと思うよ。
地元の自警団に協力を要請すべきだと思うな。
《ピンキー・ソルジャー》のリーダーに連絡取れる?
GM :それはオールドギースがやってくれる。
レイファ:できれば地元だけじゃなくて同じようにテリトリーを
護ろうとしている王大人やマリオおじさん*のとことも
連携を取りたいわ。
GM :オールドギースが彼らと電話で話し合う。
まずは暴徒の襲撃から縄張りを死守し、それから物資
補給路を確保するということに決まったそうだ。
ついては、君たちに依頼がある。
「オーダーが入った。
《青龍幇》と《ヴェツィーニ・ファミリー》の下にこの
弾薬を届けに行ってくれ」
レイファ:ラジャー♪
エンジュ:レイファ、出掛ける前にもうひとつだけ。
市内にいる両親のことは放っておいていいんだね?
レイファ:あの人たちが住んでいるのはファーストセキュリティ
エリアよ。
もう警官が配置されてると思うわ。心配してない。
エンジュ:わかった。
あとは−−この状況になってもジョーカーから連絡は
ないの?
GM :ないね。
レイファ:生きてたらそのうち会えるわよ。
エンジュ:じゃあ、動こうか。
僕はまずアヤコさんたちに連絡を取ろう。
レイファ:テキサナからトンボ帰り?
GM :いや、アヤコとアビスに関しては向こうで用事があるから
戻ってこないでしょう。
ただ、ルーレルとセンゴクは帰ってくるんじゃないかな。
おまけにルーレルは《V》だのハリー・陳の工房用機材
一式だのを運ぶために大型トレーラーで出掛けている。
大量の品が輸送できるぞ。
レイファ:まさにこの事態のためと言わんばかりなのね(笑)
GM :当然。後はサン=アンジェルスの《三銃士》に声を
かけるとかね。
レイファ:《三銃士》?
エンジュ:ああ、レイファは会ったことないんだよね。
レイファがアンナに攫われたときに、サン=アンジェルスで
知り合いになった運び屋のチームだよ*。
うーん、これまでの出会いがひとつひとつ生きてくるねえ♪
レイファ:そっちの手配はあんたに任せるわ。
わたしは仕事ができたからさ、とりあえず家に帰って
《ワイルドキャット》*を持ってきて、チャイナタウンに
向かうわ。
GM :待て。
出て行く前にここの防衛ラインを固めてからにしろ。
レイファ:えー、まだ何かあんの〜?
GM :オールドギースがこの街の主だった者を招集している。
彼らを説得してマホロバの治安維持に協力してもらう
必要があるだろう。
レイファ:わたしが説得するの?
GM :NPCにやらせてもつまらんだろ。
レイファ:苦手なのよね、そういうの〜
GM :こいつわ。そんなだからグレンディは…
レイファ:それ言われたら文句言えないけどさ。
早く動きたいのよね。
GM :仕方ないなあ。
では(地図を広げて)、最終防衛ラインはシリウスと
オールドギースが協議して決めた。
《ピンキー・ソルジャー》には班を作って前線に出て
もらうことになるだろうし、ブラックマーケットの
顔役には現在ある物資の分配管理を頼めるだろう。
エンジュ:どこかに本部を作ろう。
外との交戦と、内部での生活維持とを統括する本部が
あれば、皆も安心すると思うよ。
GM :オールドギースが事務所代わりになる機材一式を
積みこんだトレーラーをひとつ提供してくれる。
レイファ:本部はブラックマーケット前の広場にでも設置しとけば。
それならわかりやすいでしょ。
エンジュ:そこに事務のできる人手を集めて、と。
僕としては、皆の自発的な協力に期待したい。
守られるだけじゃなくてさ、自分でも何かこの街のために
できることがあるはずだ、って方向に持っていきたいんだ
けどな。
レイファ:炊き出しの手伝いとか?
GM :ま、それは長期的な方針だな。代表者との話さえつけば、
そういった組織作りまでは君たちが考えなくてもいいよ。
オールドギースが示した防衛ラインについては代表者たち
の了承を得ることができた。
後は、敵に対してどういう作戦をとるかを決めよう。
レイファ:賞金にもなるし、片っ端からやっつける。
GM :君の戦闘力はズバ抜けてはいるが、それでも何百人もの
バンデットを相手にはできないだろう。
武器弾薬にも限りがある。
レイファ:うーん…
GM :ここはローマ軍式ではなく、三国志の戦術で
やってほしい。
エンジュ:はは。バンデットのボスと一騎打ちだってよ。
GM :そういうことだ。リーダー格が目の前でコテンパンに
やられればバンデットは恐れをなしてしばらくは手を
出してこないだろう。
レイファ:いいわよ。やるわ。一旦、家に帰って武装を整える。
2 イレギュラーズ
GM :シリウスと一緒にクライスラーズ・ビルを出ると、
向こうから12、3歳の少年が駆けてくる。
「兄貴!」
レイファ:なに?
エンジュ:あなたは「姐御」じゃないのか(笑)
GM :少年が声をかけたのはシリウスだ。
「言われた通りに見張り台を作ったぜ。
オレが兄貴との連絡役だ」
レイファ:誰これ? シリウスの子供?
GM :シリウスは26だと言ったろうが!
エンジュ:このビルに住み着いてるストリートキッズじゃない?
GM :そうだよ。
「オレたちは兄貴から《マホロバ・ストリート・
イレギュラーズ》って立派な名前をつけてもらったんだ。
これからはそう呼んでくれよな」
エンジュ:…確かに由緒正しい(笑)*
GM :「オレの名はキッド。
姉ちゃんたちも《ワイルド・ギース》のマスターに認め
られてるらしいけど、このビルじゃオレの方が先輩
だかンな」
レイファ:あらぁ〜、小憎らしいガキね☆
エンジュ:僕だって《キッド》だ。シリウスがそう言ったんだぞ*。
GM :「オレのが先に言ったんだからな。
ビリー・ザ・キッド*のキッドだぞ」
エンジュ:じゃあ、ビリーでいいじゃん。
GM :「よくないっ」
レイファ:あんたたち、なに揉めてんのよ?
GM :まったくだ。エンジュがますます低年齢化してきてるぞ。
さっきまでとはえらい違いだ(笑)
シリウスの指示で、《イレギュラーズ》が交替で
防衛ラインの見張りにつくことになったそうだ。
キッドは「兄貴」と慕うシリウスとの連絡役を命じられた
のを誇りに思っている様子。
彼は将来はシリウスみたいなハスラーになるんだと
言ってる。
エンジュ:やっぱりノンサイバー?
GM :まだ12歳だし、ストリートチルドレンだしね。
で、シリウスがドラッグもタバコもやらないというので
自分も止めたらしい。
「健康に悪いからな」
エンジュ:「止めた」って(笑)
GM :彼を見るシリウスの目はとても優しい。
エンジュとキッド、どっちがシリウスの好みかは
一目瞭然だろう。
エンジュ:なんで〜、僕だってタバコ吸わないよ。
レイファ:あんた、シリウスにも懐く気?
エンジュ:僕、前からシリウスのこと好きだよ。
ジョーカーとも仲良くしてもらいたいなぁって思ってる
んだ。
レイファ:いいけどさ、わたしは武器を取りに行ってくるわ。
ホーク、車回して。
GM :酒が入っているんだが…
レイファ:《ワイルドキャット》とLMGとサイボーグライフルと
SMGとATライフル持ってくるのよ。
あと、替え弾倉ありったけ。
GM :そりゃ、車がないと無理だな(笑)
エンジュ:差し支えなかったら、僕は《ワイルド・ギース》の端末を
使わせてもらおう。ネオ=アップル内外の動きを集めたい。
どこの都市もこの瞬間、偵察衛星をネオ=アップルに向けて
情報収集しようとしているはずだから、それをこっそり
傍受させてもらって、マホロバ近辺の状況もモニター表示
しておくよ。
バンデットが近づいてきたらわかるようにね。
ひとりで手が足りないなら、ユニオンを通じて協力者を
募集しよう。
GM :そうだな。ネットでの協力なら地球の裏側からでもできる
からな。
まあ、そんな手配をしているエンジュのところにオールド
ギースが戻ってきて、「おまえさんにも肉体労働して
もらうぞ」と言っている。
エンジュ:ふへ? 肉体労働?
GM :「《青龍幇》へのトレーラーはおまえが武装担当だ」
レイファ:あんたに操縦できんの?
エンジュ:サイバーリンクシステム*が積んであるってことでしょう。
サイバーリンクを使えば、最低でも1発は命中させられる
から。
うーん、だけど、僕が行っていいのかな?
ここでネット担当しているより、その方が有効だって
オールドギースは言うんだね?
GM :「ちょいといいモノ仕入れたんじゃ」とオールドギースは
言う。
「こいつはAIIF(アクション・イメージ・インター
フェイス)と言って、本来はアクトポッド*で使う
もんだ。
【イメージファイト】の技能値がそのまま火器統制の
技能として使用できる。
それをおまえさんが乗るトレーラーに接続してやろう」
エンジュ:あ、それは強い♪
レイファ:わたしは《ワイルドキャット》を着て突っ込んでいけば
いいわけね。
GM :それがしたくて仕方ないみたいだからな(笑)
エンジュ:悪いけど、出掛ける前にもうちょっと情報収集させて
ちょうだい。
レイファ:今、何時なの?
GM :そろそろ夜が明けるな。
レイファ:エンジュがなんかやってる間に仮眠しとくわ。
エンジュ:どこで寝るの?
GM :家に戻らないんなら仮眠室を用意してくれるよ。
一応、女性なんだし。
レイファ:「一応」は邪魔(笑)
GM :オールドギースはAIIFの取り付け工事にかかる。
エンジュは何を調べたいって?
エンジュ:バンデットたちが連絡を取り合っているかどうかだね。
一斉蜂起はやっぱり気になる。
シリウスに賞金が懸けられたとき*に「犯罪組織の
コングロマリット化現象」というのがあったでしょう。
すべてのバンデットが誰かの指示の下で動いているんじゃ
ないかって気がするんだ。
<BLOOD>を使うなり、秘密の指令伝達ルートを
築くなりして。そこを探りたい。
GM :犯罪シンジゲートはまだしも、バンデットにまで連合の
動きはないよ。
ただ、荒野に基盤をおいていたバンデットたちまでが、
昨夜の同時多発テロと同時にネオ=アップル入りしたと
いう情報は掴んだ。
と、そこにシリウスが戻ってきて「ハスラーギルドに
アクセスして賞金首の最新情報をリストアップして
くれ」と頼んでくる。
エンジュ:いいよ。こんなとこかな*。
GM :すると、大勢の賞金首が現在ネオ=アップルにいることが
わかるが、《ブラウン・ベレー》の目撃情報が見当たら
ない。
エンジュ:所在不明だ。
GM :そういうこと。
好き放題できるこの時期に何故か鳴りを潜めている。
エンジュ:うーんと、目撃情報の中に《ナイト・ゴーンツ》や
《シャンタク・バーズ》とおぼしき連中はいないんだね?
GM :皆無だ。今のところは。
エンジュ:《ブラウン・ベレー》って何人くらいの集団なの?
GM :150人くらいと推測されているが、バンデットの
構成員は流動的だし、詳しい情報はわからないよ。
情報を受け取るとシリウスは礼を言い、「疲れたら
休んでおけ」と勧める。
エンジュ:うーん、まだ眠くないからいいや。
GM :興奮してて眠れないのか。子供だな。
あまり無理すると《SUV》*チェックさせるぞ。
まあ、エンジュの見る限りシリウスも寝ずに動いている。
で、夜が明けた。人々が起き出してくるにつれ、混乱も
広がってくる。
オールドギースが「本部へ行こう」と誘う。
レイファ:起きる。
じゃ、《ワイルドキャット》を着込んでLMGを抱えて
行きましょう。
GM :広場に集まった人達の顔には不安の色が濃くなっている。
どうなっているのか情報不足のせいもあるし、食糧不足や
電力低下に対する不安もある。
わいわいがやがやと憶測で話し合って余計に不安を
煽り立てている感じだ。
レイファ:静かにしな!
GM :オートプロテクター着てLMG担いだ人間に言われたら
押し黙るよ。
レイファ:じゃあ、皆に状況を説明するよ。
GM :包み隠さず?
レイファ:そうだね。ネオ=アップルの状態と今まで打った手に
ついて、それとこれからの作戦、全部話そう。
で、出て行きたい人は出て行ってもいいけど、この
エリアを離れた後の保証まではできないよ。
GM :「本当に自分たちは助かるのだろうか?」という
声が強い。
このマホロバ・ストリートは治安はいいが、生産プラント
がひとつもない。物資の枯渇は大きな問題だ。
レイファ:よし…じゃあ、一週間だけ耐えてちょうだい。
その間に手段は講じるわ。
GM :おお、背水の陣を敷いたね。
レイファ:人間、期限つきなら我慢できるものよ。
それに実際問題として、一週間たっても補給のメドが
立たなかったらマホロバは内部崩壊するわ。
オールドギースはなんて言う?
GM :にやにや笑って君の演説を聞いてるよ。
シリウスも一歩引いて見ている。エンジュは?
エンジュ:アジ*をやるにはカリマスがないとね。
僕みたいな子供が壇上に上がって演説してもあまり効果ない
と思うな。
だったら、一生懸命、働いてる姿を見せて「あんな子供まで
頑張ってるんだから」って方向で「子供」を利用するよ*。
GM :了解。
では、レイファの演説が終わったとき、《イレギュラーズ》
から連絡が入る。
「バンデットがやってきた!」
レイファ:なぬ?
GM :「ちょっとヤバいよ。援軍頼む」
レイファ:すぐ行く。
じゃ、皆に、あんたたちも自分にできることをしなさい、と
言い捨てて防衛ラインに向かうわ。
3 生物兵器
エンジュ:僕は先に行くよ。
防衛ラインに設置してある監視カメラにアクセス!
GM :では迫ってくるバンデットの旗印が確認できる。
《INT》チェックしてごらん。
エンジュ:えっとねぇ、あれは《シルバーウルフ》だ。
レイファ:わたしも手配書で見たことあるわね。
GM :主な生息地域は北米中部域の荒野。
エンジュ:生息って…ほとんどモンスター扱いだね(笑)
GM :ちなみに彼らは荒野で捕まえたミュータントを
飼い馴らし、それを使って獲物を襲わせるのが得意だ
ということを君たちは知っている。
レイファ:ミュータントタートル*?
エンジュ:そんな可愛いもんじゃないよ(笑)
GM :コヨーテやバイソンあたりは入手もしやすいし、大きさも
手頃だろうな。
ちなみに彼らは捕まえたミュータントにさらに薬物投与を
したり、サイバー化までしたりするらしい。
今回も先頭に巨大な生き物の姿がある。
レイファ:やだな、何?
GM :体長2mを越すゴリラ。見るからにサイバーパーツで
強化している。立派な生物兵器だ。
レイファ:2mっていうと、オートプロテクター着たシリウス
くらい?
GM :まあ、間違っちゃいないが*(笑)
横幅はシリウスの3倍はあるよ。
レイファ:サイバーゴリラ。
あんな奴らに使われてかわいそうにねー。
サイボーグライフルで行きましょ。
GM :銃弾の届く範囲には《シルバーウルフ》は入ってこない。
「それ行け、ゴリバー!」
エンジュ:相手はゴリラだからさ、きっと果物は好物だよ。
レイファ:パイナップルとかね♪*
GM :こいつは肉食です。
レイファ:うーん、筋が堅そうね*。
こんな奴に突っ込まれたらバリケードも役に立たないわ。
エンジュ:落とし穴とかあればよかったね。
レイファ:今からAT弾で掘っとく?
GM :こら。
レイファ:でもあんまり真っ当にぶつかりたくはないよねえ。
エンジュ:廃墟に誘い込んで、天井崩して生き埋めにしちゃうとか。
レイファ:でも、それくらいじゃ死なないような気がするわ。
シリウスと一緒で「あんぎゃー」って復活してくるわよ*。
GM :いい加減、黙れ(笑)
レイファ:しょうがない。迎え撃つけど、《イレギュラーズ》や
《ピンキー・ソルジャー》は何もしてないの?
GM :撃ってはいるが、ゴリバーは遮蔽をとって避けている。
レイファ:なに? ゴリラのくせに生意気な。
エンジュ:指令は電波で受けてるの? そこに割り込みは可能?
GM :それは不可。《シルバーウルフ》の指示しか聞かない。
レイファ:防衛ラインに到着したら距離を確認するよ。
GM :50m。遮蔽があるので【重火器】判定1/2。
レイファ:う〜ん、フルオートなのに1発しか当たらない〜
GM :ゴリバーはまだ遮蔽の裏にいる。
レイファ:もう一回、撃っとく。
あー、なんか今日は奮わない〜。
相手が遮蔽とってなきゃクリティカルも出てるのに〜*。
仕方ない。弾倉交換してから*バリケードを越えて相手に
近づくわ。
あまり接近戦したくないけどさ、いざとなったら電磁
ナックルもある。
エンジュ:《ワイルドキャットA》にはそんな機能まで(笑)
レイファ:さあ来い。
GM :銃を持ったままなら遮蔽から出てこないよ。
レイファ:ええ〜。撃っとくけど…ダメだ。
今日は全然当たらないわ。
GM :派手に土煙が上がる。
《PER》のチェックをしてごらん。
レイファ:6ゾロよん♪
GM :ゴリバーが、君を馬鹿にしている気配。
レイファ:(ぴし)アタマ来た! アタマ来たよ! 怒りゲージ〜!
ええい、その皮剥いでわたしのバッグにしてくれる。
まだ遮蔽は捨てないの?
GM :こっちは有効な射撃武器もないしね。
レイファ:もう構わない。撃つよ。
でも当たらない〜! しかもファンブル〜*
GM :よし、このラウンドで弾切れだな。
遮蔽を捨てて近付くぞ。
さすがに足は遅いんで、このラウンドでは格闘に
持ち込めないが。
レイファ:その間に弾込め。距離が近くなったなら命中率も上がる。
GM :それは予期しているんで、遮蔽は取るぞ。
レイファ:また? でも2発当てた。
GM :傷は負っているがまだ平気。痛みを感じていない模様。
レイファ:ドラッグね? 撃つよ。ええ、またファンブルだ〜*
GM :このラウンドで突っ込んでくる。
次のラウンドは「至近」だ。
レイファ:格闘はしたくないな、距離はとれる?
エンジュ:援護射撃してもらえないの?
GM :この近さだとレイファにあたる可能性もあるんでね。
レイファ:ブースターレッグ*を使おう。
【0G機動】は…失敗だ〜
GM :ふふふ〜命中判定にプラスさせてもらおう。
ゴリバーの腕から鉄のパイプが生え、それで殴り掛かって
くる。【格闘回避】1/2。
レイファ:これは01で絶対成功よ〜ん♪
エンジュ:コケそうになったけど、そのままムーンサルト(笑)
GM :さすがに弾倉交換までは許可しないけどね。
さて、次のラウンドは?
レイファ:距離を取って弾込めだよ。
GM :では、二ラウンド目の【0G機動】。
レイファ:今度はっ…と成功。ガチャコン。
GM :ゴリバーの踵の毛が燃え上がった。
こっちもブースター点火で一気に距離を詰め、
殴りかかる。
逃がす気はないようだ。【格闘回避】しなさい。
エンジュ:うっわー。生物兵器ってよりほとんどサイボーグ?
レイファ:こんなのに捕まりたくないわね。避けたよ!
よし、こっちの攻撃。遮蔽効果はもうないでしょ?
だったらファンブル以外、外さない。
88、93、35、95。
エンジュ:それって遮蔽取られてたら1発しか当たってないよ(笑)
レイファ:今日はダイス目が走るのよぅ。
GM :しかし、その出目で命中した上に火力70がプラスか。
さすがにキツいな。
このラウンド、ゴリバーは君に掴みかって吼える。
その口の中から、高圧ガスで数千本の針が打ち出された。
エンジュ:短針銃だ。僕の持ってるのと同じやつ。
レイファ:【格闘回避】?
GM :いや、これは銃器なんて回避判定は不可だ。
《ワイルドキャット》に針の束が突き刺さり、
君の身体も引き裂かれた。
ボディにHW(重傷)ダメージ。心理判定を。
レイファ:うっわー、20だけど。
GM :ペナルティはなし。
エンジュ:山猫じゃなくて針鼠になっちゃった〜
レイファ:うるさい(笑) エンジュからの通信を切る!
エンジュ:ああっ、そんな…
じゃ、カメラで実況中継してよっと。
レイファ:こっちの攻撃、撃つよ!
エンジュ:短針銃の攻撃範囲だってことは5m以内だよね?
レイファ:その距離なら外さない。
GM :っていうか、格闘距離で2mを越す武器を取り回すのは
無理があるよな。
エンジュ:でも、ルール的には何のペナルティもないはずだけど*?
GM :いや、よりリアルに演出しよう。
レイファ:ダメならロケットブースターで距離を取るよ。
【0G機動】は…失敗だぁ。
GM :足元が定まらないからうまく照準できない。
【重火器】1/2で。
レイファ:また1/2〜?! ええい、やるしかない。
31! やっとでたよ〜ん、クリティカル〜!
GM :ゴリバーは目を潰された。
エンジュ:このラウンドでケリつけようよ。
レイファ:だけど、当たらないの(笑) 次はまた弾込めだわ。
GM :ちょっと待て。弾倉そんなに持てないだろ?
レイファ:9コ予備があるからさ。
GM :ストックじゃなくて、ENCだ。
サイボーグライフル替え弾薬のENCは…ええと、10も
あるぞ。
レイファの《STR》は18だろ? それに《ワイルド
キャット》の増加分を加えて、現在、君の《STR》は
30だ。
ハスラーだから限界所持ENCは60になる。
で、サイボーグライフルが弾丸装填時でENC20ある
から…
エンジュ:他に何の武器も持ってこなかったとしても、持ち込める
のは4つだね。
レイファ:ええっと、もう3回弾倉交換したから、これがラストね。
やだな。弾切れになったらコイツと格闘すんの?
エンジュ:サイボーグライフルでブン殴れば、ENC+《STR》
ボーナスがそのまま火力になるよ。
GM :【大型武器】の技能持ってたか?
ま、とにかくこっちの攻撃。
視力はなくなっているが、レイファは銃で撃っているしな。
位置はつかめるはずだ。鉄柱で殴る。【格闘回避】。
レイファ:ダメだ〜
GM :頭部にMW。激痛。《WIL》で心理判定を。
レイファ:これがイヤなのよね〜。でも19だ。
GM :なら問題ない。そっちのアクションをどうぞ。
レイファ:距離を取って弾倉交換。
GM :ロケットブースターもこのラウンドで燃料が切れたな。
レイファ:今度は制御成功。弾込め。
GM :ゴリバーは君の所に突っ込んで行って殴る。
レイファ:避けた。
GM :きれいに避けているならすぐさま撃って構わないだろう。
距離は至近。
レイファ:69、次がクリティカル♪
GM :それはさすがに耐えられない。ゴリバーは倒れた。
レイファ:なんとか倒したわね。
エンジュ:フルオートで2発、残ってるんでしょ?
《シルバーウルフ》に威嚇射撃でもしといたら?
GM :エンジュは通信切られてるって。
レイファ:《シルバーウルフ》の出方はどうなの?
まだ攻撃してくるようなら、残りの弾、ブチ撒けるよ。
GM :ゴリバーが君ひとりに倒されたのを見て、さすがに
浮足立ってます。
「あのゴリバーがやられるなんて…」
「こ、ここはマズいんじゃないか」
エンジュ:「女ゴリラだー!」
GM :「うわー、逃げろー! 殺される!」
レイファ:エンジュ!!
エンジュ:僕じゃない、僕じゃない。
《シルバーウルフ》その1だってば(笑)
GM :固唾をのんで見守っていたマホロバの住人たちからも
歓声があがる。
レイファ:ま、いいわ。戻りましょ。
GM :振り向くとシリウスが立っている。
「上出来だ」
レイファ:さすがにすぐには戻って来ないと思うけど、後よろしく。
ちょっと治療してくるわ。
GM :シリウスが【応急手当】をしてくれるので、
負傷ランクは1ずつ下げていい。
ただ、《ワイルドキャット》はオールドギースに直して
もらわないとダメだから、一旦、《ワイルド・ギース》に
戻るべきだろう。
《ワイルドキャット》はここで脱いで…*
エンジュ:ひゃあ♪
レイファ:なによ。センサースーツまでは脱がないわよ。
4 伏竜
GM :ではレイファは現在、治療中。エンジュはどうする?
エンジュ:レイファがゴリバーを倒した映像をネットに流して、
「マホロバに手を出すとヤバいぜ」という噂を広め
とく(笑)
それと、テロ発生から半日たったんだから、行政側の
公式見解も出てるでしょう。その辺をチェックだね。
GM :特に、どこからも犯行声明は出ていないようだ。
エンジュ:《ブラウン・ベレー》の動きは?
GM :まだない。
エンジュ:ふうん…何が目的なんだろうな。
これだけの大掛かりな作戦となると、差配したのは
《ナイトメア》のネオ=アップル支部長だっていう
《ジャックド・エッジ》じゃないかと思うんだよね。
個人的には断定してもいいくらいだけど(笑)、
エンジュはグレンディの遺言を聞いてないから*、
そういう人間がいることを知らないし。
仮に《ジャックド・エッジ》という名前まで
辿りついたとしても、彼が何を考えて動いているかは
現時点では読めないな。
GM :では、バンデットたちの動きを探っている最中に、
こんな情報を入手した。
《江南的九龍》*のふたりがネオ=アップルにいるそうだ。
レイファ:そろそろ起きていい?
GM :全快とまでは言わないが、もう行動に支障はないくらいと
いうことにしておこう。夜になったところだ。
エンジュ:また香港から暗殺者が来たって。
GM :暗殺…というより、今回のふたりは破壊型だな。
レイファ:うーん、ある意味、どっちもすごいわね(笑)
エンジュ:このお姉ちゃん、水着だ♪
GM :ハイレグと言え(笑)
エンジュ:防御力あるの? なんかいっぱいトゲトゲ出てるから
攻撃力はありそうだけど。
GM :ちなみにこの単分子ニードルは服についてるんじゃない。
全身のあちこちから出てくる。
彼女の別名は《アイアン・メイデン》*だ。
エンジュ:死の抱擁ね。
レイファ:こっちの奴の手は何?
GM :アイアン・クローで相手の頭を掴み、パイルバンカー*を
打ち込むんだ。そのまま握り潰すこともできる。
レイファ:確かに、暗殺者ってよりもハカイダー*なのね。
GM :《江南的九龍》に下された命は、まず間違いなく
「王大人の抹殺」だ。
フェイク・シリウスの一件で王大人は、先々代からの
付き合いがある《ハイカラット》ではなく、シリウスの
援護に回った。
シリウスに幹部を殺されたと思っている《ハイカラット》に
してみればそれを許しておくわけにはいかない。
レイファ:じいちゃんが危ないのね?
GM :だが、今のところ彼らが中華街を襲ったというデータは
ない。
好きなだけ破壊を楽しめるこの状況の真っ只中にあって、
この連中が何も行動しないというのは解せないとオールド
ギースは言っている。
レイファ:ちょうどいい。これからチャイナタウンに行くんでしょ?
わたしたちが様子を探ってくるわ。
エンジュ:今から行くの?
GM :マホロバ・ストリートからチャイナタウンまでは、
トレーラーで行くとなると8時間くらいはかかるかな。
どこで道路封鎖が行われているかわからないしね。
エンジュ:僕、昨日、ここで居眠りしてからもう24時間近く、
まともに寝てないんだ。そろそろ休まないとマズい
かなって。
レイファ:移動中、車の中で寝てていいわよ。
エンジュ:誰が運転してくの?
レイファ:ホークに頼むわ。どうせ、あんた運転出来ないでしょ?
エンジュ:AIIFってどうなの? 操縦も可能?
GM :いや、火器限定。
エンジュ:じゃあ敵に遭遇するまでは寝てられるね。
5 同盟者たち
GM :では出発しよう。
鈍重なトレーラーということもあって、ホークはなるべく
敵を避けるようなルートを選んでいる。
そのせいもあって、大規模なバンデットとの遭遇はなく、
チャイナタウン付近まで来た。
エンジュ:そろそろ起き出しておこう。
ホーク、ずっと運転で可哀想だけど、もうすぐだからね。
レイファ:気を抜かないでよ。
GM :前方にチャイナタウンが見えてくる。
バンデットの襲撃を受けているようだ。
レイファ:蹴散らす! 距離は?
GM :200m。
エンジュ:ええっと、トレーラーの武装は何が積んであるのかな?
GM :20mmバルカン砲だ。
エンジュ:MAX−7と同じだ♪ もう撃っていい?
GM :200mなら充分に届く。
射撃モードはフルオートのみで1ラウンドに9回判定
できる。
エンジュ:で、技能は【イメージファイト】か。すごいや。
GM :人間を狙うのか?
エンジュ:いや、武装車両を中心に当ててく。行くよー。
当てて、外して、当てて、当てて、当てて…
レイファ:あんたもクリティカル出ないわね。
エンジュ:まあ、ファンブルも出てないから。
で、何ラウンド撃てるんだっけ?
GM :20ラウンドだよ。
もっとも、背後からの攻撃に慌てて、チャイナタウンを
襲撃していたバンデットは逃げていった。
レイファが出るまでもなかったね。
レイファ:まあいいや。
オールドギースのところから荷を持ってきたよ、と連絡
しよう。
GM :ゲートを開けてもらえる。
ホークは「やっと休める」と。
レイファ:しばらく休んでていいわよ。
わたしはじいちゃんに会いに行ってくるわ。
GM :王大人は無事だ。もっとも車椅子であることには変わり
ないが。
レイファ:チャイナタウンは大丈夫?
GM :何度かバンデットの襲撃を受けているが、その都度、
撃退しているそうだ。
この町にはレイファやシリウスのようにズバ抜けて
戦闘力の高い人間がいないんでね、ひたすら消耗戦に
なりがちではあるが、守り切っているよ。
危険を侵して武器を運んでもらったことを非常に
感謝している。
レイファ:いいの。じいちゃんに会っておきたかったし。
九龍のことを話しておくよ。
GM :オールドギースから警告は受けているそうだ。
ただ、今のところ、相手の動きはないという。
レイファ:ちょっと遠いのがネックだけど、なんかあったらすぐに
飛んでくるわ。変な動きがあったらすぐ知らせてね。
それから、物資のことだけど、こっちではどうしてるの?
GM :「我々華僑はどこに住もうと、非常時を想定して
自分たちを守る手段を講じることを怠らない。
これまでの長い歴史から学んだことだ」
チャイナタウンの人間が暮らしていけるだけの生産
プラントは町の中にあるそうだ。消耗品の備蓄もある。
ずっと外部と交渉を断ったままというわけにはいかないが、
しばらくは自前でやってゆけるそうだ。
レイファ:さすが中国人ね。
だけど、これからもチャイナタウンとの協力体制は維持して
ゆきたいんだけど。
GM :それは快く受けてくれる。
荷物の受け渡しが済んだという報告を受けてレイファが
トレーラーに戻ると、カーゴには予定外の食糧が積み
込まれているよ。
「こちらの生産ラインもギリギリの線で稼働しているので
大盤振る舞いとはいかないが、高カロリー食を5,000食
分、用意させた。持って行ってくれ」
レイファ:ありがとう。感謝します。
よし、ホーク、行くよ。
GM :「また運転か」
レイファ:文句言わないの。で、次は?
GM :ヴェツィーニのシマだ。
ここからだと3時間くらいでつくかな。
レイファ:ほら、今度は近いじゃない。気合いれてくのよ。
GM :では出発。
途中で見かけたダウンタウンはすでに住民の姿が消え、
廃墟のようになっている。先日までの活気が嘘のようだ。
レイファ:対応が遅れた街はどこもこんななんでしょうね。
エンジュ:逃げてきている人はいない?
GM :今のところは見かけないな。
退避するにしても、バンデットに見つからないように
してるよ。ブラブラ出歩いてる奴はいない。
ホークが用心深くルートを選んでいるせいか、今回も
道中で襲われることはなかった。
レイファ:足が遅いからね。それに越したことはないわ。
GM :ヴェツィーニのシマが見える。
たった今、激しい戦闘があったようだ。
負傷者の手当やバリケードの修繕で皆が駆け回っている。
チャイナタウンに比べて、相当、苦戦しているようだね。
レイファ:まだ敵が残っているなら手伝うよ。
GM :いや、戦闘は終わっている。
エンジュ:どうしたんだろう?
こっちの方がチャイナタウンの人より武器の扱いは
慣れてそうなんだけどな。
GM :敵の武器が普通じゃなかったんだそうだ。
レイファ:ゴリバー?
GM :違う。アレがそんなにいてたまるか(笑)
さっき攻めてきたバンデットの武器、見た感じは普通の
小銃なんだが、弾が装甲板を突き破ってきたそうだ。
エンジュ:特殊徹甲弾?
GM :今、犠牲者の遺体を解剖して弾丸を取り出して調査して
いるそうだが、常識的に言って、装甲板をブチ抜くような
弾は小銃からはできない。
火薬の量も馬鹿にならないから、手持ち武器になんかで
きないんだ。
それと、負傷者の中には出血が止まらなくなってしまった
者がいるという。
エンジュ:血友病だ…
レイファ:なにそれ?
エンジュ:そういう病気があるんだ。
血がなかなか止まらなくなっちゃう。
レイファ:伝染病なの?
エンジュ:いや、遺伝病だよ。
色盲なんかと同じで、ほとんど男性のみに発症し、
ヨーロッパではこれで王統の絶えた国も−−
レイファ:遺伝ならこれとは関係ないでしょ?
エンジュ:いや、人工的に血友病とよく似た症状を引き起こす薬が
ある。
ワーファリンといってね、経口投与で、効果は数日持続…
GM :おまえはどうして無駄にそういう知識を持ってるんだ。
エンジュ:なんででしょう(笑)
まあ、僕の知る限りなら、凝血剤の投与をお勧めする
けど−−*
GM :そんなものの在庫はない。それに、ワーファリンは経口
投与だが、彼らは撃たれただけだ。
レイファ:弾頭に仕掛けがしてあるのかしら?
分析待ちね。それは専門家に任せるわ。
エンジュ:マリオ*は無事?
GM :ああ、ケガはしてないが、これまでずっと陣頭指揮して
いたもんで、だいぶ疲れは溜まっているようだ。
エンジュ:特殊武器を持ってたバンデットは何者?
有名な部隊だったの?
GM :いや、特に名の知れた奴らじゃなかったそうだ。
エンジュ:うーんと、これはマリオじゃなくてオールドギースに
連絡を取って聞こう。
バンデットが正規軍の武器庫を襲撃して、かくかく
しかしかの武器を入手したって情報、入ってきてる?
GM :「いや、その様子はないな。
その武器の出所、確かに気になる。
だが、今回、おまえたちの仕事は運びだ。
寄り道せんで帰ってこい」
レイファ:そうね。食糧もあるしね。
マリオおじさんのとこは食糧、大丈夫?
GM :困窮はしていない。
街の中にある水素ペレット工場で作る燃料と引き換えに
外から買い付ける交渉もしているそうだ。
レイファ:こっちにはエネルギープラントがあるのね。
何もないのってうちだけか。
GM :ゴリバーと一騎打ちできる怪獣がいるじゃないか。
エンジュ:そうそう。貴重、貴重(笑)
レイファ:ええい、うるさい!
まあいいわ。マリオおじさんにも、これからも
協力していきましょうって頼んどく。
武器のことはこっちでも調べてみるわ。
無理して戦わないようにね。
エンジュ:敵の新兵器のこと、チャイナタウンにも知らせて
おこうか。
レイファ:そうね。
GM :まだそんな武器を持ってきた奴らはいないが、注意は
しておくそうだ。
で、マリオからは$200,000のマネーカードを武器の
代金として渡される。
「この状況じゃ、本当は金なんかより現物の方が
役に立つんだろうが…」
レイファ:大丈夫よ。外との交渉に金は必要になるわ。
こんな状況もいつまでも続かないわよ。
GM :今から出発すれば、深夜にはマホロバ・ストリートに
戻れる。
レイファ:行きましょう。
GM :「また…」
レイファ:マホロバについたら寝かせてあげる。
エンジュ:状況が許せばね(笑)
僕は今のうちに寝ておこうっと。
6 集いくる者
GM :マホロバ・ストリートまで帰ってきた。
レイファ:攻撃されたらたまんないわね。先に連絡しとくよ。
通して。
GM :では、無事に任務完了だ。ホークは自宅に戻って寝る。
レイファ:お疲れ。
じーさん、食糧とお金、預かってきたけど、どうする?
GM :「食糧は本部にいるブラックマーケットの顔役を通して
分配してもらうといい」
レイファ:わかった。渡してくるよ。
で、こっちはどう? あれからバンデットは来た?
GM :来たには来たが追い返された。
《イレギュラーズ》か《ピンキー・ソルジャー》に話を
聞くなら、「20世紀の映画のアレさ。ホントに
見られるとは思わなかったな」だって。
レイファ:なんの映画? 『ゴジラ』?
GM :それはおまえだっちゅうに(笑)
「『ランボー3』だよ」
レイファ:ああ、100人殺し! シリウスがやったのね。
GM :防衛ラインの外側、焦土と化してます。
エンジュ:死体の山?
うーん、そういう映画は見ないからわからないなぁ。
GM :ああ、それから君たちの知り合いが訪ねて来てるってよ。
レイファ:誰かな? センゴクたち?
GM :さすがにそんなに早く戻って来れんわ。
ミック・ミーガンだよ。
エンジュ:うわぁ♪ 久しぶり…っていうか二カ月ぶりくらい?
レイファ:えっと…
GM :やっぱりレイファは覚えてないな。
ルーレルが《ブレイクダウン・ラリー》に参加したとき
のメカニックだよ*。
レイファ:確か孫がいたよね?
GM :そうそう。ジェイも一緒に来てるってよ。
エンジュ:ぱたぱたぱたぱた♪(←何の擬音かは不明だが嬉しそう)
GM :今回は両親もね。
「ブレイク・タウンはヤバくなったんで、こっちに身を
寄せさせてもらった」
エンジュ:ギャンブルでもってた街だからね。
確かにバラバラになっちゃいそうだな。
GM :このミックのように、マホロバ・ストリートなら安全
だろうと流れてきた難民が1,000人ばかりいるそうだ。
レイファ:二日で1,000人か。食糧はちょっと切り詰めないと
ならないかもね。
エンジュ:ちょうどいいや。メカニックとしてのミックの意見を
聞いておこう。
装甲板突き破る小銃弾があるらしいんだけど。
GM :ミックはあくまでもメカのエキスパートであって、
ブラックスミス*じゃないからな。
「実物を見せてもらわんことには何とも言えんが、
小銃で徹甲弾というのは、通常、無理だろう」と
答える。
「武器の方が壊れちまう」
レイファ:よくわかんないけど、《ピンキー・ソルジャー》や
《イレギュラーズ》にも注意するよう呼びかけとくわ。
他に用がなかったら帰って寝たいんだけど。
エンジュ:僕は車の中で寝てたからまだ元気だな。
ちょっと端末いじってよう。
GM :すると、ルーレルたちから連絡が入ってくる。
テキサナで物資を買い付けているんだが、予想通り、
値上がりしているそうだ。
手持ちの金だと足りないって。
エンジュ:ネットで送金できる?
GM :オールドギースに言えば手配してくれるだろう。
積み込みが済めば、ルーレルの腕なら4、5日で戻って
来られるはずだ。
それと、《三銃士》からはサン=アンジェルスを
発ったという知らせが届いている。
二連コンボイ2台で来てくれるそうだ。
物資は満載しているが、その分、移動力は落ちるので、
到着は10日後くらいになるかな。
レイファ:期限内に着くのは無理ってことなのね。
少なくとも一度は自力で食糧調達してこないとならないか。
どのみち明日以降ね。おやすみ。
7 不協和音
GM :エンジュは《ワイルド・ギース》にいるんだな?
シリウスとオールドギースはこんな時間になってもまだ
深刻な顔でし合いをしている。
別に、君に聞かせまいとしているわけじゃないから、
その内容は耳に入ってくるよ。
エンジュ:悪い知らせ?
GM :今日、流れ込んで来た難民の中に<BLOOD>中毒の
男がいたらしい。
エンジュ:バンデットが混じってたの?
GM :いや、ちょっと治安の悪い地区に暮らしていた人間だ。
以前、君たちが<BLOOD>の生産プラントを突き止めて
警察に知らせたことによって、一時、ネオ=アップルから
<BLOOD>は姿を消していたんだが、この男の話に
よると、しばらく前に「どこかの倉庫に隠されていた
ブツを略奪してきたぜ」というバイヤーが現れて、
安く<BLOOD>を売り始めたそうだ。
エンジュ:略奪してきたっていうのはきっと嘘だね。
《ナイトメア》が故意にバラ撒いたんだよ。
GM :依存性の高いドラッグだし、禁断症状が出始めると何を
しでかすかわからないから、中毒患者はとりあえず隔離
したそうだ。
エンジュ:暗示をかけられている可能性もあるからね。
GM :難民の受け入れについては慎重な対応を要することに
なりそうだ。
エンジュ:ううん…確かにちょっと暗い話題だな。
ほとんどの人は本当に命懸けでここを頼ってきてるんだ
ろうし。
人を疑わなければならない状況っていうのはイヤだな…
…ほんの何日か前まではこんなじゃなかったのに、
ジョーカーも皆もいなくなっちゃって、何もかも
おかしくなっちゃった。
GM :「人を疑わずに過ごせるのは幸せなことだ。
だが、相手が黙って姿を消したからといって泣き言を
いっているようでは、そいつを信じているとは
言えないだろう」
エンジュ:……そうなんだろうね……
GM :いきなり沈むな。いかんな、エンジュも。
エンジュ:…元気を出して情報の整理に戻ろう。
中毒患者への対処方は、とりあえず隔離ということだね?
GM :ドラッグ依存症だからな。
ここに留めておくには他に手立てもないだろう。
後は難民の持ち込み品のチェックを強化してゆく方向だ。
レイファ:朝になったら出掛けたいんだけど。
GM :何処へ行く気だ?
レイファ:じいさんの残してくれた弾薬を回収に行くわ*。
GM :ダメとは言わないが、戦力的に言って、あまり長く
マホロバ・ストリートを離れてもらいたくないのが本音だ。
レイファ:回収したらすぐに戻ってくるわ。
GM :足はどうする?
レイファ:もちろんホーク(笑) 一晩、寝たんだから平気でしょ?
GM :ホークには彼なりの用事がありそうな気もするんだが。
レイファ:何よ、それ?
GM :奴はなんかいろいろマメな男だから、(PCだと)ひどく
細かい行動方針たててくるんだ。
たいていは計画倒れだけど。
でもまあ今回はNPCだし、奴の考えは俺には想像も
つかん。
行っていいよ。
9 魔人たちの巣
GM :今回はホークの《イダテン》に乗ってゆく。
最寄りのセイフハウスで武器を回収した帰りの移動中。
《PER》のチェックを。
レイファ:23。バンデットに遭遇した?
GM :いや。頭上を飛んでゆく奴らがいる。
レイファ:あいつらね! 撃つ。
エンジュ:せめて飛んでく方向を確認するとか(笑)
GM :相手は三人。武器はどれを使う?
レイファ:サイボーグライフル。ひとりを狙うよ。
GM :こっちは飛行中だから−30%。
レイファ:当ててる。でもダメージは低いかな。
GM :彼らは近くのビルの上に降り立った。
小銃を構えて反撃してくる。
狙われたのは…可哀想にホークだ。
運転手を先に片付けておこうという判断だろう。
イダテンはちょっと変わった戦闘バギーで、座席が
タンデム仕様になっているんだが、その前方座席で
ホークが悲鳴を上げる。
「うわっ! 天井貫通したよ?!」
レイファ:例の新兵器ね。
GM :「ヤバい…戻ろう」
ホークはアクセルを踏み込む。
レイファ:待ちなさい! あの銃を一梃分捕ってから…
GM :「ダメだ。あの弾は《ワイルドキャット》でも防げない」
レイファ:そうなの?
GM :「足を撃たれたんだ。裏側まで突き抜けた」
ちなみにホークも《プロト・シグマ》*を着ている。
レイファ:わかった。運転代わる?
GM :「いや、いざとなったらサイバーリンク使うから」
エンジュ:それも危ないような…*
レイファ:オールドギースに連絡を取るよ。
《ナイトメア》がいた。ホークが特殊弾で撃たれたから、
治療の準備をしておいてちょうだい。
GM :逃げるなら《ナイト・ゴーンツ》は追ってこない。
エンジュ:テロ以降、初めての目撃情報だよ。遭遇地点を教えて。
追撃してこないってことは何かの作戦遂行中かも。
偵察衛星で行方を突き止められない?
GM :廃墟だからな。
都合よくそちらを向いてる衛星があるかな?
シンテムジャックするか?
エンジュ:やってみよう。えい。失敗だ〜
GM :見失った。
レイファからの連絡を受けて、シリウスはMAX-7で
飛び出してゆく。
エンジュ:うーん、MAX-7の装甲は大丈夫なのかな?
GM :入れ違いにレイファたちはマホロバに戻ってきた。
レイファ:ホークは治療タンクに放り込んでおくわ。
一日寝てれば平気?
GM :貫通したのが逆に幸いしたな。
一日で完治は無理だろうが、命にかかわることはない。
しばらくするとシリウスも帰ってくる。
《ナイト・ゴーンツ》は既に姿をくらましていたそうだ。
エンジュ:あのグライダーって、どのくらい航続距離が
あるんだろう?
それがわかれば行く先が絞り込めるんだけどな。
GM :その辺はシリウスも弁えてるよ。
だが、見つけられなかったと言っている。
エンジュ:ふうん。そうだ、イダテンの修理をミックにお願い
しとこう。
ほら、これがその新式の銃で撃たれた箇所だよ。
GM :「確かに口径は拳銃弾のレベルだな。
あとは火薬の量と質、弾頭の素材、力の加え方なんぞに
秘訣があるんだろうが、それをモノにしているとなると、
相手の防御力の方も新技術で向上していると思った方が
いいな」
レイファ:サイボーグライフルで撃ったけど、効いてなかったの
かしら?
エンジュ:武器もシールドも強化されてるのかぁ。それは困ったね。
GM :オールドギースが言う。
「敵はこちらの抵抗を予測して、新兵器の投入まで計画して
おったんじゃろう。
あくまでも周到に準備されたシナリオというわけじゃ。
このままでは、ここを守りきることすらおぼつかないぞ。
次の手を打たねばならん」
レイファ:何か作戦があるの?
GM :「ネオ=アップルの行政機能をどう復旧させてゆくか、
それはワシらが騒いでも仕方ないことだ。
お偉方に勝手にやってもらうしかない」
エンジュ:ちょっと待って。
オールドギースはそういう意味では体制維持を望んでいる
の?
マホロバが革命前のように、ネオ=アップルのいわば衛星
都市として存続するつもりでいるのか、それともネオ=
アップルの傘下を離れて、独自の新しい体制を取ってゆく
のかで、取るべき道は大きく違ってくると思うんだけど。
GM :まだそこまで先を急がなくていい。
それは、ここを守りきることができて初めて意味をなす
議論だ。
君たちがまず為すべき決断は、戦闘力を増した敵にどう
対処するかだ。
やってくる敵を片っ端から撃退するという方法は、
すでに痛みなくしては済まなくなっている。
レイファ:こっちから出向いて敵のアジトを潰す。それしかないわ。
エンジュ:うーん。これも《ナイトメア》の巧妙なところで、
あくまでも前面に出てきているのはバンデットだからね。
彼らを操っている《ナイトメア》に行きつく方法をまず
見つけださないと。
ただ、レイファたちが《ナイト・ゴーンツ》を見かけたって
ことは、彼らも動き始めてる。
実際の動きがあれば情報も動いてるはずだからね。
その辺を探ってみよう。
GM :ヒントはこれまでのシナリオですでに提示してきたぞ。
レイファ:え? 敵のアジト?
GM :それに類するものだ。
レイファ:なんだろ? 今回、起きたことって…
GM :いや、このシナリオという意味じゃなくて、これまでの
キャンペーン全体での話。
レイファ:うーん、そうなるとレイファは覚えてなさげ。
GM :いきなり諦めるな(笑)
エンジュはあの伏線に多少、引っ掛かってたな。
エンジュ:んー、どれだろう?
今回、昔のネタがたくさん出て来てるからわからない(笑)
レイファ:じいさん、何か言ってたっけ?
GM :仕方ないな。ではオールドギースが言うよ。
「《NASS》だ」
エンジュ:《ナイトメア》が合法的に運営している会社だね?
GM :職種は覚えているか?
エンジュ:警備会社。
GM :そこまでヒントをやればわかるだろう。
今回のテロで、真っ先に火の手があがったのは、
《NASS》が警備していた場所だったそうだ。
エンジュ:襲われたんじゃなくて、自分たちで爆破したってことか。
GM :で、その《NASS》所有の不動産で、怪しい工場が
あるそうだ。
そこで新型兵器の生産をしているのではないか−−
レイファ:場所まで突き止めたのね?
GM :ああ。だが、オールドギースは「これは罠かもしれん」と
言っている。
「あまりに簡単に、その工場の情報が手に入った。
これまでの《ナイトメア》の動きからすると、
信じられんほど杜撰だ」
レイファ:危険は承知よ。それなりの準備と覚悟はしてゆくわ。
GM :おっと。
さすがにPCがふたり、しかもそのうちのひとりが
ネットライナーとあってはこの先のシナリオは辛い。
プレイヤーを集めて再開しよう−−
第9話END
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