このシナリオはキャンペーン世界を使った別GMによる外伝です。

 MHリプレイ シリウスソロ #1 
  焼かれた傷

                   >>>キャラクターについて
                   >>>章の目次

    1 懸賞生活

GM  :このシナリオ、時期的には…そうですね、レイファたちと
     知り合って間もない頃になります。
シリウス:本編第2話と3話の間くらいか?
GM  :それでいいでしょう。
     ジョーカーから「お渡ししたいものがあります」と連絡を
     受けてオフィスに来たところです。
シリウス:わざわざ俺を呼び付けて、つまらんモノ出しやがったら
     タダじゃ済まさんぞ。
GM  :この人はもぅ、ジョーカー相手になると端からテンション
     高いですね。
     出掛けて行くと、オフィスの応接スペースではエンジュが
     端末に向かっています。
     「あ、シリウスだ。いらっしゃーい」
シリウス:もう入り浸っているのか。
     でもまあ、まだエンジュに甘い顔するほどの付き合いじゃ
     ないしな。
     ジョーカーは?
GM  :「向こうの部屋」と奥の事務室を指さして、エンジュはまた
     画面に視線を戻します。
シリウス:入る。
GM  :すると、ジョーカーは花柄のティーカップを傍らに置いて
     作業中。
シリウス:他に客がいるのか?
GM  :いや、ジョーカーがひとりでお茶してるんです。
シリウス:花柄のカップで? 
     いや…奴の趣味については言及すまい。
     で、何の用だ?
GM  :「ご期待に沿えそうな情報が手に入りましたよ」
シリウス:ほう。で、見返りに何をさせるつもりだ?
GM  :「……喜んでいただこうと思ってしたことですが、取引に
      しないと落ち着きませんか?」
シリウス:ジョーカーに借りは作りたくない。
GM  :ええと、今回、この情報と引き換えに何かをさせるつもりの
     シナリオではないので、ジョーカーからの依頼は特に
     ありませんが。
シリウス:じゃあ、この情報が以前、別の仕事を受けた報酬代わりと
     いうことにしていいか?
GM  :構いません。
シリウス:なら受け取ろう。
GM  :渡されたのは『ジューダス・メルリッヒ』という男のデータ
     です。GMTの軍事産業部門の研究主任。
     「あの事件のおりに《ブラウン・ベレー》に開発中の武器を
      提供して、実戦データを取るのに利用した男です」
シリウス:《ケルベロス》関係*の情報だったのか。
     いきなり核心にきたな。
GM  :ソロシナリオですから(笑) 
     あの日、《ケルベロス》を壊滅させるために、タウンひとつ
     制圧できるほどの武器が投入されていました。
     その出所と理由を探っていたジョーカーが辿り着いたのが
     この男だそうです。
シリウス:研究者ってことは開発担当か?
GM  :《ケルベロス》を新兵器実地テストのモルモットに
     したんです。
     そして、彼らの公表されなかった本物の検死データは
     分析され、新兵器の改良のために使われた。
     その計画を主導したのが彼です。
シリウス:…復讐対象のひとりであるわけだな。
     価値のある情報だ。ジョーカー、感謝する。
     で、この男は現在、何をしている?
GM  :「そのままGMTの軍事産業部門に留まっています」
シリウス:《ナイトメア》との繋がりは?
GM  :「表向きは何も」
シリウス:一般社員となると、いきなり乗り込んで行って撃ち殺す
     わけにもなあ(笑) 
     この時点では手の出しようがない。
     ジョーカーに、継続してその男に関するデータを集めて
     おいてくれるよう頼んで帰る。
GM  :では、オフィスを出て行こうとする君をエンジュが
     呼び止めます。
     「これあげる」
シリウス:なんだ?
GM  :使い捨てカイロ×5。
シリウス:……なんのつもりだ? 
     エンジュの、いやGMの意図が読めん。
     とんでもない伏線なのか? 
     しかし、使い捨てカイロを使って切り抜けなきゃならない
     危機って…(笑)
GM  :「これねぇ、懸賞で当たったの」
シリウス:懸賞?
GM  :「〇〇社の製品についているポイントを5点集めて応募して
      ください、っていうのとか。クイズに答えて賞品を当て
      ようとか」
シリウス:メタルの世界にもそんなものがあるのか(笑) 
     まあ、普通の市民もいるんだからあるんだろうなあ。
GM  :「僕、最近、いろいろ応募するのに凝ってるんだ。
      おもしろいよ。それ専用の情報サイトとかもあるんだよ」
     エンジュが示した画面を見ると、確かにいろんな公募が
     並んでいます。
シリウス:俺が覗いてわかるもんかな?
GM  :文字情報ですから読むのは問題ないでしょう。
     「ポイントを集めてオリジナル賞品を当てよう」といった
     類いのものから、「子供の目玉5つと引き換えに$5,000
     プレゼント」なんてサイコな企画もある。
シリウス:犯罪じゃないのか、それは。
GM  :「インディーズだからね、なんでもアリなんだよ。
      でも、僕、こういうのは応募しないけど」
シリウス:実害のないところで止めておけよ。
GM  :ここで《PER》のチェック。
シリウス:23だ。
GM  :たくさんの懸賞広告に埋もれて『ジューダス・メルリッヒを
     殺してくれた方に$100,000差し上げます』という募集が
     あるのに気づいた。
シリウス:いきなりだな。あのメルリッヒなのか? 
     エンジュ、この記事の詳細を見たいんだが。
GM  :「これ?」 
     エンジュが操作すると画面が切り替わって−− 
     君が先ほどジョーカーから受け取った資料にある男の顔写真
     が掲載されており、『この男を殺害したという証拠を提示で
     きる方は連絡をください。報奨金を支払う準備があります』
     というような文章と共に連絡先のアドレスが記してあります。
シリウス:どこだ? 誰の名前になってる?
GM  :アドレスと言ってもネットのアドレスです。
     「これはレンタル用だね。昔の私書箱みたいなもんだよ」
シリウス:誰がその伝言板を借りているかまではわからんか。
GM  :「知りたいの? 僕が調べてみようか」
シリウス:頼む。
GM  :では、エンジュはハッキングを試みます。面倒なので技能
     チェックはしませんが、データの盗み出しには成功した
     らしく、店の名前とおぼしきものが表示されます。
シリウス:なんの店だ?
GM  :「えっとねー、レストラン」
シリウス:レストラン? そこで依頼人と落ち合うということか。
GM  :店の名義でレンタルされています。
シリウス:どこにある店だ?
GM  :ピッピッ。
     「セカンダリィセキュリティエリア*の商業地区だね」
シリウス:セカンダリィってことはマトモな店なのか? 
     イタリア料理店とかじゃないだろうな(笑)
GM  :「ドイツ家庭料理って書いてあるよ」
シリウス:とりあえずシシリアン・マフィアとは関係なさそうだな。
     オーナーのデータは引き出せるか?
GM  :「ちょっと待ってて−−えい。
      エリザベート・アムスターって人だって」
シリウス:名前からすると女か?
GM  :「そうみたい」
シリウス:エンジュ、今日の礼は何がいい?
GM  :「え、何かくれるの?」
シリウス:役にたってくれたからな。
GM  :「うーん…と、モノじゃなくて何かしてもらうほうが
      うれしいかなぁ」
シリウス:妙なお願いでなければ聞いてやる。
GM  :「じゃあ−−ホバイク。あれ乗ってみたい♪」
シリウス:ホバイク? なんでまた急にそんなものに興味もったんだ。
GM  :「宙に浮いて走るんだよ? スゴいじゃない」
シリウス:振り落とされたら死ぬぞ。
GM  :「ダメかなあ?」
シリウス:他に今、思いつかないなら後でもいい。俺は出掛けてくる。
     とりあえず、カイロはもらってゆこう(笑)
GM  :「また何か当たったらあげるよ。
      ジョーカーとお揃いの花柄カップとか」
シリウス:なんだ、あれは奴の趣味じゃなかったのか。

   2 依頼人

GM  :行く先はセカンダリィセキュリティエリアです。
     武装の申請を。
シリウス:.357マグナムに45cal拳銃。ナイフと単分子ワイヤーは…
GM  :結構、重装備ですね。
シリウス:そうか? ならナイフは置いて行こう。
     ワイヤーは隠してゆく。
GM  :申請しないで持ち込もうとするなら【カモフラージュ】を
     振ってください。
シリウス:ENC1の装備だ。隠蔽度も高そうだし、おまけして
     くれない?*
GM  :では、×2でいいです。
シリウス:それなら…っていきなり<大失敗>だよ。
     ここは《LUC》で振り直しておく。
GM  :そこまでして持ち込むんですか(笑)
シリウス:さすがにいつものロングコートはやめておこう。
     防弾ジャケットのみにする。
GM  :MAX−7*は?
シリウス:セカンダリィなら公共バスやタクシーが走ってるだろう。
     MAX−7はゲートパーキングに預けておく。
GM  :では往復の交通費で$5くらい減らしてもらいましょう。
シリウス:細かいな。
     だけど、俺、アクセスファイバーないから逆に面倒かも。*
     プリペイドカードで支払っていいか?
GM  :小さい子供なんかだと、まだアクセスファイバー埋めて
     なかったりしますから、バスもプリペイド使用は可能です。
     サイバーアレルギーなんかの人もいますから、運転手に
     同情されるかもしれませんね。
シリウス:よけいなお世話だ。
GM  :エンジュが割り出したところによると、表通りから一本
     入った路地にある店だそうです。
シリウス:店に入る。
GM  :「いらっしゃいませー」
     バイトらしいウェイトレスの女の子が席へ案内してくれます。
     「ご注文がお決まりになりましたら卓上ベルを鳴らして
      ください」
     テーブル席が10かそこらのこじんまりとした店で、遅い昼食
     をとっている数組の客がいます。
シリウス:怪しげな客は?
GM  :買い物帰りの女性グループが多いようです。
     むしろ、ひとりなのは君くらい。
シリウス:店の調度を確認しよう。
GM  :シンプルで特に面白みもない造りです。プリント地の壁紙に
     パステルタッチの額縁、チェック柄のテーブルクロスと白い
     プラスチックの椅子。
シリウス:そうか。警戒心を喚起されるものがなければ、適当に
     料理を頼む。
GM  :フロアを取り仕切っているのはマネージャーらしい男性と
     ウェイトレスの女の子。それで人手が足りないと、厨房の
     コックがテーブルまで料理を運んできたりします。
シリウス:えらくアットホームな店なんだな。
     …ううむ、予想と違うんでどうしていいか。
GM  :料理は不味くはありませんが、特別光るものがあるわけでも
     ない−−《ワイルド・ギース》での食事に慣れている君には
     そう感じられます。
シリウス:あのじじい、店に出すものにはこだわりあるからな。
     オーナーはここにはいないのか?
GM  :それらしい女性の姿は店内には見当たらないようです。
シリウス:特に動きがなければ、食事を済まして外へ出よう。
     次は周辺の人間に聞き込みする。元刑事だから、その辺の
     テクニックは慣れているはずだ。
GM  :でも、実際に刑事だったのって1年もないんじゃない
     ですか?
シリウス:そうだけど、ポリスアカデミーでも訓練してたし。
GM  :では、誰にどのような質問をするのか決めてください。
     ここはショッピング街の一角で、周囲には各種のフードコート
     があります。通行人もいます。
シリウス:通りすがりの客に聞いても仕方ないしな。
     近所の店の従業員に話を聞こう。
GM  :アルバイトとその店のオーナー、どちらに?
シリウス:両方聞いておくか。
     なるべくおしゃべり好きそうな相手を選ぶぞ。
GM  :ここは《SYM》のチェックですね。
シリウス:【尋問】じゃダメか?
GM  :一般市民を【尋問/拷問】してどうするんです(笑)
シリウス:《SYM》能力が一番、低いんだって…
     バイトに15。オーナーには…お、やったね、6ゾロだ。
GM  :では、アルバイトは警戒して何も話してくれません。
     カフェのオーナーは暇だったのか、カウンターでコーヒーを
     飲む君としゃべってくれます。
     さて、何を聞きます?
シリウス:メルリッヒの写真を出して、この男を知っているかどうか
     確認する。
GM  :「いや、ここらに来たことはないねえ。
      メルリッヒ? 初耳だねえ」
シリウス:そこのレストランのオーナーであるエリザベートについては
     知っているだろう?
GM  :「できて半年もたたん店だ。そんなに付き合いがあるわけ
      じゃないがね。なんというか、変わった人らしいな」
シリウス:どういう意味だ?
GM  :「わたしの趣味じゃないねえ。フルボーグの女ってのはさ」
シリウス:フルボーグ?! それは確かに変わっているな。
     爆弾テロにでもあって死にかけたんじゃないかぎり、
     一般市民がフルボーグになることはないはずだぞ?
GM  :「そんな姿のせいだろうけど、めったに家の外には出て
      こないのさ。
      どうしても出掛けなきゃならないときは素肌を晒さない
      ような格好をしているね」
シリウス:ということは、見るからにガチガチのフルボーグなんだな?
GM  :ファッションサイバーではないようです。
シリウス:こうなってくると店というより、その女の方が怪しいな。
     メルリッヒ暗殺の依頼を出したのはそいつなのか? 
     外に出て、公衆端末からジョーカーに連絡を入れるぞ。
GM  :「はい。こちらオフィス・ジョーカー♪」
シリウス:まだいたか。
     エンジュ、そこの主を出してくれ。
GM  :「ジョーカー、シリウスから電話ー」と呼びかける声が
     して、事務室に転送されたようです。
     「替わりました」
シリウス:先ほどの件だが、エリザベートという女の情報も合わせて
     調べてみてくれ。詳しいことはエンジュが知っている。
GM  :「エリザベートとジューダス・メルリッヒ。
      どちらも東欧系の名前ですね」
シリウス:そうか。とにかく頼む。帰る前にそちらに寄る。
     それまでに探れるか?
GM  :「ジョーカーの名にかけて」
シリウス:言ったな。よし、ゲートパーキングに預けたMAX−7を
     取り戻してオフィス・ジョーカーへ向かおう。
GM  :「おかえりなさーい♪」
シリウス:今、何時だ。
     セカンダリィまで往復したんだから、そこそこ時間は
     たってるはずだぞ。
     こいつは他にすることないのか?
GM  :ないから懸賞生活してんでしょう(笑)
シリウス:まあいい。エンジュは放っといてジョーカーの意見を
     聞こう。
GM  :「殺人依頼の掲示は確認しました。
      メルリッヒはユニオンが承認した賞金首ではありません
      から、ハスラーに依頼する方法がとれないというのは
      わかりますが、それにしてもあんな場所に告知するとは
      大胆というか無謀というか」
シリウス:そうだな。当局に知られたら殺人教唆で逮捕だろう。
     まあ、他にもいろんな怪しい掲示のあるアングラサイト
     だったから、あれだけでAHP*が逮捕に踏み切るかは
     何とも言えないけどな。
GM  :「マフィアやその筋の組織にコネをもっていたら、あんな
      ことはしないと思います」
シリウス:素人が思い余って、ということか? 
     そう考えると一般市民のような気もするな。
GM  :「ただ、エリザベートという女性については不可解な
      部分もあります。
      市民登録に記載されているデータが少なすぎるのです」
シリウス:どういうことだ?
GM  :「普通の市民なら、プロテクトを外せば、通っていた学校なり、
      その類いの経歴がわかるものなんですが、彼女の場合は
      それが何も掴めない」
シリウス:偽造IDか? 
     フルボーグなら顔はいくらでも変えられるしな。
GM  :「まだ確証は持てません。
      引き続き、調査しておきましょう」
シリウス:頼んだ。今のところ進展がないというなら俺は帰る。
GM  :「あ、僕ももう帰ろうかなー♪」
シリウス:なんだ、その物欲しそうな目は。
     俺は何も言わんぞ。
GM  :「帰ろうかな…って思ってんだけど」
シリウス:して欲しいことがあるならはっきり言うがいい。
GM  :「……またね」
シリウス:帰るぞ。
     別にエンジュを嫌ってるわけじゃないんだがな。
     あまり馴れ合いになるのもシリウスらしくないだろう。
GM  :では、セイフハウスに着きました。
     ここでしておきたいことはありますか?
シリウス:いつも通りだな。
GM  :トレーニング?
シリウス:それと銃の手入れ。あとは…そうだな、最近の記事で
     武器開発に関するニュースがないかチェックしておこう。
GM  :判定は【アクセス】ですよ?
シリウス:だから、俺は足で稼ぐ以外の調査は出来ないんだって。
     オールドギースに調査を依頼するって手もあるが、
     そんなことしてたら金がいくらあっても足りん。
GM  :判定不可とまでは決めつけませんが、ネットを使わずに
     日付指定なしで目指す記事を探すとなると、えらい手間が
     かかります。
     図書館で一カ月分の新聞を引っ繰り返すくらいなもんです。
シリウス:エンジュにやらせりゃよかった。
     キャンディでもやっときゃ、喜んでやるだろう。
GM  :どっちかというとチョコレートの方が♪
シリウス:はいはい。
     ニュースの検索を自分でやると、どれくらい時間がかかる?
     《LUC》で判定していいか?
GM  :うーん、そうですね。今回は《LUC》+《INT》なら
     代用可能ということにしときましょう。
シリウス:やっておこう。18だが。
GM  :時間は食いましたが、関連のありそうな記事が見つかります。
シリウス:ほう? 教えてくれ。
GM  :半月後に、サン=アンジェルスで各企業の専門家を集めた
     武器開発研究シンポジウムが開かれるという記事です。
     特に誰が出席するかまでは書かれていませんが、メルリッヒの
     現在の地位からして出席する可能性は充分にあります。
シリウス:サン=アンジェルスまで片道10日だ。
     あまり余裕はないな。
GM  :目に留まった記事はそれくらいです。
シリウス:なら今日は寝る。

   3 リベンジャー

シリウス:朝になったらジョーカーに連絡を入れよう。
     新しい情報は手に入ったか?
GM  :「ええ、なかなか興味をそそられる話が拾えました」
シリウス:言ってみろ。
GM  :「簡単に探れるネタではありませんよ。
      少しは有り難がっていただきたいところですが」
シリウス:内容を聞いてから判断してやる。
GM  :「(溜め息)…メルリッヒをGMTからヘッドハンティング
      しようという動きがあります」
シリウス:引き抜きか? いきなり企業サイドの話だな。
     交渉先は?
GM  :「恐らくはシンクレアかと。
      シンクレアは、内政担当であるGMTがこれ以上、
      強力な武装を持つことを警戒しています」
シリウス:シンクレアが欲しがっているのはデータか? 
     それとも、奴自信の才能なのか?
GM  :「メルリッヒが移籍に応じれば、どちらも手に入ることに
      なります」
シリウス:で、GMT側の対応は?
GM  :「ヘッドハンティングが進められていることすら察知して
      いないはずです」
シリウス:打診があったことを上司に報告していないのか…
     となると、メルリッヒの方も、移籍の条件にまったく興味が
     ないわけじゃなさそうだな。
GM  :「そう考えてもよいかと」
シリウス:企業間の引き抜き工作となると、現時点で俺が口出しできる
     問題でもなさそうだが、覚えておく。
     エリザベートの方はどうだ?
GM  :「ひとつ、関連のありそうな記事を見つけました。
      12年前に住宅地で爆発火災があり、その家がアムスター
      宅となっています」
シリウス:爆発事故か。
     それならフルボーグになっていてもおかしくない。
GM  :「事故の後、長期間、入院していたとなれば学歴が空欄
      なのも頷けます」
シリウス:そういうことか。
     だが、それがどうしてメルリッヒ暗殺依頼に繋がるんだ? 
     12年前となると、《ケルベロス》ともまったく関係ないしな。
GM  :「ちょうど、あなたのお父様が亡くなられた頃でしたか。
      あなたはあれから…」
シリウス:くだらない回想につきあっている暇はない。
     ジョーカーとの通信を切る。
     だが、このままじゃ埒があかないな。
     よし、依頼人に直接、聞こう。
     なんだかレイファ*並に直球勝負だが(笑)
GM  :アポイントの電話をしますか?
シリウス:そうだな。ジョーカーを夜中に叩き起こす分には躊躇しない
     が、相手は一般人だしな。
GM  :店を知ってるんだし、電話番号はわかっています。
     かけると、当人が出ます。
シリウス:メルリッヒ暗殺の件で、と切り出そう。
GM  :エリザベートはあなたが直接、店に連絡をしてきたことに
     驚いています。
     まあ、フルボーグなんで合成音声ですが、驚いた調子だった
     ということで。
     「どうして、ここがわかったのですか」
シリウス:説明はしない。
     ただ、それだけの捜査能力はある、とだけ言っておこう。
GM  :「これは警告ですか?」
シリウス:道理を説けば依頼を引き下げるつもりか?
GM  :「あなた、受けてくださるのね?」
      頑なだった声の調子が一転します。
シリウス:ハンターとして暗殺依頼を受けるつもりはない。
GM  :一般人にとって、ハンターはヒーロー、あるいはエキスパート
     なんですよね?
     ハンターであれば腕は信用していいだろうという理解は
     しますが、この人には依頼の相場が判断できないようです。
     「賞金額が不満ですか?」
シリウス:確かに$100,000は一介の研究者殺害にかけるにしては
     高めの設定だよな。
     だが、別に金額の問題じゃない。むしろ、あの男ならタダで
     殺してやってもいいと思っているくらいだ、と言おう。
GM  :それを聞くとエリザベートの反応が変わります。
     「どうして? あなたはメルリッヒとどういう関わりが
      あるの?」
シリウス:答える必要はない。お互い様だろう?
GM  :エリザベートはしばし考える様子。
     「引き受けてくださるおつもりがあるのなら、一度、
      お会いできませんか」
シリウス:会おう。住所はわかっているんだよな?
GM  :昨日のレストランの二階です。
シリウス:外出は嫌いだと言っていたな。
     こちらから出向いた方がいいだろう。
     武装は昨日と同じ。
GM  :武装してくんですね?
シリウス:フルボーグ相手だからな、一応の用心だ。
GM  :では、レストランに着きました。
     従業員に、エリザベートと面会の約束があることを告げると
     二階へ通されます。
     二階にいるのはエリザベートひとりだけ。
     極力、肌を露出しない格好にしていますが、それでも
     フルボーグであることは一目瞭然です。
     ただし、戦闘用のフルボーグではありません。
シリウス:医療用というやつだな。
GM  :「どうぞ、おかけになってください。ミスター…」
シリウス:シリウスだ。
GM  :「わざわざ来ていただいてありがとうございます。
      なにか飲み物でも運ばせましょう」
シリウス:いや、挨拶を済ませたらさっさと本題に入るぞ。
     まず、どうして暗殺依頼をネットで流したのか聞こう。
GM  :「あれなら大勢の人が見てくれるから、誰かしら依頼を
      果たしてくれるのではないかと。
      他に方法も思いつかなかったので… 
      これほど早くわたしのことを突き止められてしまうとは
      思っていませんでした。
      あの公募は取り下げた方がいいでしょうか?」
シリウス:そうだな。どこでAHPが覗いているか、わかったもんじゃ
     ない。
GM  :「メルリッヒはあなたが殺してくださるんですね?」
シリウス:ああ。殺す理由はあるんだが、殺す方法についてはまだ
     検討段階だ。
     なにか奴についての情報を持っていたら教えてほしい。
     狙いやすい生活習慣があるのかとか。
GM  :「そういうことはこちらで調べないとならないんで
      しょうか?」
シリウス:なにかチャンスがあるのを突き止めて公募したんじゃ
     ないのか?
GM  :「いいえ、ようやくまとまったお金が出来たので、
      これなら依頼ができるだろうと思って」
シリウス:ううむ、時期を狙ったわけじゃなかったのか。
     奴について、他に掴んでいる情報はあるか?
GM  :「あの男はわたしの家族を殺したんです」
シリウス:そういう話じゃなくて…
     いや、話してくれるならそれも聞いておこう。
GM  :「12年前、家で起きた爆発事故で両親は死に、わたしの
      身体も黒焦げになりました」
     植物人間状態が長く続き、最近までずっと病院にいたそうです。
シリウス:一応、知っているが口は挟まない。
GM  :「あの爆発事故は父が会社から無断で持ち出した危険物の
      取り扱いミスによるものだと報じられましたが、本当は
      メルリッヒが仕組んだものだったのです」
シリウス:何故、メルリッヒがそんなことをした?
GM  :「わたしの父はGMTで、あの男と同じ部署にいました。
      わたしは幼かったので詳しい事情まではわかりませんが、
      おそらくはメルリッヒと意見が対立していたのでしょう」
シリウス:そういう繋がりか。
GM  :「わたしたちはメルリッヒが作った新しい爆薬の実験台に
      されたのです」
     その言葉に、《ケルベロス》の最期の場面がフラッシュバック
     します。
     体重が変わるほどの鉛弾を撃ち込まれて死んでいった仲間
     たち。
     あれもまた、新兵器の実地テストだった−−
シリウス:…殺すに値する理由だ。
GM  :シリウスの表情を見て、エリザベートが尋ねます。
     「あなたも、彼の開発した武器でご家族を亡くされたの
      ですか?」
シリウス:ある意味、家族以上のものを−−とだけ言って席を立とう。
     先ほども言ったように、奴は賞金首でもなんでもないから
     金はいらない。結果を待っていてくれればいい。
GM  :「わたしも、彼のスケジュール等について、できるだけ
      情報を集めてみます。
      それをお伝えするにはどうすればいいですか?」
シリウス:折を見てこちらから連絡する。
GM  :「方法は問いませんが、確実にメルリッヒが死んだのだと
      わかるようにしてください。
      それだけがわたしからの希望です」
シリウス:尊重しよう。
     よし、帰るぞ。そうだな、ジョーカーの所に寄って行こう。
GM  :ちなみに、時間帯は?
シリウス:エリザベートを訪問してからだから午後だろうな。留守か?
GM  :いえ、いますよ。
     「あ、シリウス。また来てくれたんだ♪」
シリウス:こいつに用はない。奥に行く。
GM  :ジョーカーは端末で作業中です。
     ジャックインしているわけではないので会話は可能です。*
シリウス:朝からどれだけ進展があったか聞きにきてやったぞ。
GM  :「焦っているのですか?」
シリウス:別にせかしているわけじゃあない。
     ここに閉じこもりっぱなしで、どれだけの情報が集められた
     のか、自慢の程を見せてもらいたいと思ってな。
GM  :「そちらは何か掴んだようですね」
シリウス:俺は足で稼ぐと言っただろう。
     エリザベートに会ってきたぞ。
GM  :「人嫌いと聞いていましたが、よく会ってもらえましたね。
      それで、どんな話をしたんです?」
シリウス:おまえが見つけてきた記事の<アムスター>は彼女の家族に
     間違いなかった。
     彼女がメルリッヒを殺したい理由も聞いた。
     で、おまえの方はどうなんだ?
GM  :「サン=アンジェルスでの研究展示会に、メルリッヒの
      論敵・マークスが月面都市から参加するようです。
      おそらくメルリッヒはスケジュールを調整してでも
      マークスに会いに行こうとするでしょう」
シリウス:月面の研究者が降りてくるとは珍しいな。
     メルリッヒはサン=アンジェルスに行くのに亜空間シャトルを
     使うんだろうな。
     となると、この街では空港に行くまでの間しかチャンスは
     ないということか?
GM  :「少なくとも、その時には研究施設の外へ出てくるはず
      です」
シリウス:いつになるか調べておいてくれ。
GM  :「シャトルのチケット予約者名簿を盗み出しておきましょう」
シリウス:他に情報がないようなら帰るぞ。
GM  :「待ってください」
     ジョーカーはいつになく強い調子で制止します。
     「もうひとつ、気掛かりなことが」
シリウス:何だ。
GM  :「ネットで《ハンター・シリウス》の情報を集めている者が
      います」
シリウス:誰だ? ここに問い合わせが来たのか?
GM  :「ここのデータファイルにあなたのプライベートな記録は
      ありません。
      あなたがそう望んだでしょう」
シリウス:ジョーカーのプロテクトを破って、データバンクを覗ける
     奴もそうはいないと思うがな。
GM  :「向こうの部屋の子は試しかねませんね」
シリウス:エンジュが?
GM  :「あなたに興味はもっていますよ」
シリウス:あれにそこまで立ち入らせるな。危ないぞ。
GM  :「何か考えていそうなときは、別の話題を振って気を逸らし
      ます。すぐ引っ掛かって、やろうとしていたことを忘れて
      くれますよ」
シリウス:それでいいのか(笑)
GM  :「失礼。危うくあなたの気も逸らしてしまうところでした。
      ともあれ、誰が探りにこようとも、ここにあなたの情報は
      ありません。
      私の−−胸の中を除いては」
シリウス:…それも消してやろうか、肉体的に。
GM  :おっと…(笑) 
     「窓口になっているのは街の情報屋と思われます。
      誰かがあなたについての調査を依頼をしたのでしょう」
シリウス:向こうが掴んでいるのは俺の名前だけか?
GM  :「いいえ。ネオ=アップル在住のハンターであること、
      そして立体化ソフトで加工した最近の容貌画像も載せられて
      いました」
シリウス:それで? 相手は俺の居場所を知りたがっているのか?
GM  :「いいえ、経歴です」
シリウス:ふん…
GM  :「何か偽情報を掴ませて、適当にあしらっておきますか?」
シリウス:まだ手を出すな。
GM  :「しかし、このまま放置して《ハンター・シリウス》に
      対する注目を集めてしまうのは危険ではありませんか? 
      《ハンター・シリウス》が《デューク・レッドフォード》と
      同一人物であると知られるのはまだ早い」
     ジョーカーは手を伸ばして君の顔に触れます。
     「あなたはサイバー手術を拒んで、あのときのままの姿で
      いるのですから。
      7年前のあなたの面影を誰が…」
シリウス:過去に言及した時点でジョーカーの襟首を掴んで吊るし
     上げるぞ。
     おまえにあのことを語る資格はない。
     そのよく回る口を閉ざしておけ。
GM  :「……すみません」−−と視線を落とす。
シリウス:突き放してオフィスを出るぞ。
GM  :「シリウス、ジョーカーとお話し終わり?」
     リビングにいるエンジュは暇そうにしてます。
シリウス:そうだな…
     エンジュ。俺のことを嗅ぎ回っている情報屋がいるそうだ。
     どこの誰だか逆にしっぽを捕まえてくれ。
     首尾よくいったらコロニー産のミルクをやる。
GM  :「お砂糖♪」
シリウス:おまえミルクに砂糖入れるのか? 
     まあいい、砂糖もつけてやるから、オールドギースに頼んで
     ホットミルクにでもしてもらうといい。
     明日の朝になったら連絡する。それまでに調べられるか?
GM  :「頑張る」
シリウス:帰るぞ。

   4 張り込み

GM  :特に動かなければ朝になります。
シリウス:エンジュに連絡を…って、ジョーカーのオフィスにかければ
     いいのか?
GM  :多分、そこにいますけど、携帯の番号も聞けば喜んで教えて
     くれますよ。
シリウス:どっちでもいい。とにかくエンジュを呼び出す。
GM  :「は〜い〜」
シリウス:起きてるか?
GM  :「あ、うん。昨日のね。ちゃんと調べたよ。
      情報募集の掲示出してるの、僕と同じでネットを中心に
      活動している情報屋だね」
シリウス:ネオ=アップルの人間か?
GM  :「うん、今のところはシティ内からアクセスしてるよ」
シリウス:どこに行けば捕まえられる?
GM  :「う〜ん。ああいう人たちって、あんまり自宅の端末は
      使わないよ。
      あちこちの端末を移動して、足がつかないようにするんだ」
シリウス:そういうもんなのか。
     だが、そいつの癖みたいなものはあるだろう。
     よく使う店とか。
GM  :「それなら…」どこそこの店、というのを教えてくれます。
     「次はいつ、そこを使うかまではわからないけどね」
シリウス:その店の側で張っている。
     そいつがその店からアクセスを始めたらわかるようにして
     くれないか?
GM  :「了解。シリウスは携帯もってないんだっけ? それなら、
      店の近くで公共端末のあるところにいてよ。
      そこのベル鳴らすから」
シリウス:MAX−7を移動させて張り込むぞ。昔とった杵柄だ。
GM  :すぐに行くんですね?
シリウス:まだ朝のうちか。
     ハッカー連中は夜の方がよく動くんだろうが…
GM  :そこのネット喫茶は24時間営業です。
シリウス:一旦、店に入って間取りなんかを確認してから車に戻って
     待機だな。
GM  :シリウスみたいなノンサイバーがネット喫茶に入ったら
     めちゃくちゃ怪しまれますよ。
シリウス:それは仕方ないな。
GM  :シリウスの情報を集めてる掲示板に「そいつなら、今、
     この店にいるぜ」って書き込まれたりして(笑)
シリウス:それで相手が動きを見せるなら手間が省けるってもんだ。
     とにかく、店内の状況を把握したらMAX−7に戻るぞ。
     後は情報屋がアクセスを開始したらエンジュが知らせて
     くれるんだろ?
GM  :そういう手筈になってます。
     しかし、なかなか連絡は入って来ません。
シリウス:待つしかないな。
GM  :シートを倒して過去のことでも回想していると−−
     午後になって街角の公衆端末が鳴ります。
シリウス:よし、来たか。どの端末を使っている男だ?
GM  :対応したのはエンジュではありません。
シリウス:ジョーカーか?
GM  :はい。
     「どういうつもりです。あなたのことが敵に知られても
      いいのですか。そんなことをしたら…」
シリウス:エンジュを問い詰めて聞き出したのか?
GM  :「ええ。エンジュを事務所で好き勝手させていたのは、
      あなたを危険に晒すためではありませんよ。
      あなたの情報を集めているサイトは私が潰します」
シリウス:勝手なことをするな。
GM  :「ですが、あなたの…」
シリウス:誰が俺の過去を隠せと言った。
     おまえのオフィスにはファイルを置くなと言っただけだ。
     俺は彼らの仲間であったことを誇りこそすれ、隠していたいと
     思ったことはない。
GM  :「……そう…でしたね。
      私はただ、あなたに危険があってはと…」
シリウス:俺は相手が動くのを待っているんだ。
     奴の尻尾を掴んで、逆に引きずり出してやる。
GM  :「そこまで考えているのであれば、私としてもこれ以上は…」
シリウス:わかったら手を出すな。帰れ。
GM  :「…どうか無理は……いいえ、失礼します」
     ジョーカーとの通信は切れました。
シリウス:うるさい真似を。
GM  :また待機時間になりますが、エンジュからの報告は
     ありませんね。
シリウス:ジョーカーに脅されて放棄したんじゃないだろうな(笑)
GM  :一晩たちましたが、何も言ってきません。
シリウス:待つしかないのか。ええい、くそ。
GM  :で、昼過ぎになってまた呼び出しがあります。
     「ねぇ、シリウス、捜査終了しちゃったよ」
シリウス:なんだと?
GM  :「情報を募集してた掲示板が解約されちゃったんだ。
      もうアクセスできないよ」
シリウス:まっとうな「解約」なんだな? 
     ジョーカーが壊したんじゃなくて。
GM  :解約だそうです。
     君にああまで言われたらジョーカーは手を出しませんよ。
シリウス:ネット上で姿を消されたんなら、俺にはどうしようもないな。
GM  :「これまで寄せられた情報見とく?」
シリウス:それは確認しておこう。
GM  :では、「それらしい人間をマホロバ・ストリートで
     見かけた」とか「バンデットの◇◇を潰したのは彼だって」
     などという噂話が続いた後で「昔の話だけど、この人、警官
     じゃなかったかな。よくダウンタウンの繁華街をパトロール
     してた人のような気がする」という書き込みがあり、
     その後しばらくして掲示板は解約されています。
シリウス:警官とわかって捜査を中止した? 
     依頼人はやはりメルリッヒか。
GM  :どうしてそう思います?
シリウス:GMT内部の人間なら、過去に溯って警官のデータを
     閲覧することもできるだろう*。情報屋に頼るまでもない。
GM  :そうですね。
シリウス:時間を無駄にしたな。
     さて、次はどうやって奴を燻り出そうか…
GM  :あの、もう二晩ほど、エリザベートと連絡取ってませんが。
シリウス:あ? こっちから連絡入れるって言ったんだっけ?
GM  :他に方法ないでしょうが(笑)
シリウス:それもそうだ。遅ればせながら連絡するぞ。
GM  :「よかった。手を引かれたのかと思いましたわ」
シリウス:奴を殺したい理由はこっちにも充分にある。
     それは心配しなくていい。
GM  :「彼の開発した武器で、大切な人を殺されたのね?」
シリウス:それには答えない。
     メルリッヒの方はこっちの動きに感づいているようだぞ、と
     警告しておこう。
GM  :「え、それはどういう…」
シリウス:情報屋を雇って、俺のことを嗅ぎ回っている。
     だが、あんたの名前までは突き止めないで調査の手を引いた。
     ちょっかいをかけてくる心配はないだろう。
GM  :「…そうですか。手回しが早くて驚きましたわ。
      教えていただいてありがとうございます」
シリウス:そっちから、何か伝えたいことは?
GM  :「メルリッヒのスケジュールについて、情報を得ることが
      できました。
      彼はサン=アンジェルスに行くため、近いうちに研究室を
      出る機会があるようです。
      これはまたとないチャンスでは?」
シリウス:その情報はこっちも掴んでいる。
GM  :「あなたはなんて素晴らしい能力をお持ちなのかしら。
      わたしを助けてくれる騎士様のよう」
シリウス:なんだ、その少女趣味は(笑) 
     エリザベートって一体、いくつなんだ?
GM  :12年前の記事に「幼い少女」と書かれてましたから…
シリウス:下手するとハイティーンか?! 
     なんでそんな若い娘がセカンダリィセキュリティエリアに
     自分の店なんか持てるんだ。
GM  :ま、まあ…理由は考えてないこともないんですが(汗)
シリウス:遺産でも入ったんだろうな。遺族年金か? ま、いいや。
     エリザベートには、奴がシャトルの空港に行くところを襲う
     つもりだと言っておく。
     奴の乗る便の調べはつくはずだからな。
     ここでジョーカーの名は出さんが、そういうことのできる
     魔法使いに心当たりがあるとだけ伝えておこう。
     まさか、メルリッヒを殺すシーンを見たいとか言わないよな?
GM  :あんな姿なので、外には出たがりません。
シリウス:そうだったな。
GM  :「確実に死んだとわかるようにしてください」
シリウス:それもなかなか怖い物言いだが、事情は理解しているしな。
     約束しよう。

    5 待ち伏せ

シリウス:それじゃあ、魔法使いに働いてもらおうか。
GM  :ジョーカーに連絡するんですか?
シリウス:いないのか? 拗ねてるんじゃないだろうな。
GM  :落ち込んでないと言ったら嘘になりますが。
     オフィスにいますよ。
     取り次いだエンジュが「シリウスが来ないから、ジョーカー、
     寂しがってるよぉ」と。
シリウス:そんなのは勝手に寂しがらせとけ。
     で、奴の予定は掴めたのか?
GM  :「依頼はきっちり果たしました。
      断れば他の人に任せるだけでしょうからね」
シリウス:わかってるじゃないか…って、俺もなんか都合よくNPC
     使いまくってるよな(笑) 
     俺自身はなるべくなら足で調査したいんだが、このシナリオだと
     そうもいかない情報が多いし。
     NPCにやらせるのが一番、てっとり早そうだ。
GM  :うーん、そうですね。ちとシリウス向きではなかったかな?
シリウス:いや、メルリッヒという敵役の設定は悪くないよ。
     シリウスの復讐対象として説得力を持っている。
GM  :それはどうも。
     ではシナリオの続きを楽しませていただきましょう。
     ジョーカーの調査により、メルリッヒが乗るシャトル便は
     突き止められました。
     宙港まで、おおよそ、どのルートをいつ通るかというのも
     シミュレーションできています。
     この先の具体的な襲撃作戦はシリウスの考えでどうぞ。
シリウス:どう考えたって、フリータウンは通らないだろう。
     武器の持ち込みから手配しないとならないな。
GM  :そうですね。ご都合主義になりますが、研究所から宙港までの
     間にエリザベートの店があるエリアを通過するということに
     しましょう。
     事前に持ち込んだ武器を店に隠しておくことは可能です。
     その日は店を休みにして人払いしておいてくれます。
シリウス:うむ。だけど、よく考えたら、相手は一介の研究主任なんだ
     よな? まさか、装甲リムジンで来たり、護衛がついている
     わけでもないだろう?
GM  :派手にドンパチしたいなら護衛つけてあげましょうか? 
     「あんた、どうやら狙われてるらしいぜ」って匿名でチクれば
     いいんですよ。
シリウス:そんな、わざわざ襲撃の難易度あげてどうするんだ(笑) 
     バンデットやマフィアならともかく、普通のボディガード
     までは巻き添いにしたくないぞ。
     下手すると警官が護衛につきかねないんだから。
GM  :それもそうですね。
シリウス:コミューターで移動するなら拳銃でもタイヤを撃ち抜ける
     だろう。それで足を止める。
     あとはメルリッヒを無力化して…
     殺す前に聞いておきたいこともあるしな。
GM  :そのつもりなら、エリザベートは「店に連れて来てはいかが」
     と言います。
     何を聞き出すつもりか知りませんが、第2級保安区の路上で
     訊問してたらマズいことになりますよ?
シリウス:そうだな。なら、店を使わせてもらおう。
GM  :「わたしも、見届けたいですわ」
シリウス:まあ…自分の手で殺したいというなら武器を貸してやるが。
GM  :襲撃に使う武器類を申請してください。
シリウス:.357マグナム。それなら護身用で通るはずだ。
     あとは防弾ジャケットに耐弾コート。
     武器はとにかく、防具まではゲートインスペクターもとやかく
     言わんだろう。
GM  :「市街地にまで防弾コートとは、ハンターってのは神経質
     なんだな」って思うくらいです。
     では、それで準備はいいですか?
シリウス:ジョーカー、奴が研究所を出たら教えろ。
GM  :どうやって?
シリウス:そうか。《シリウス》*着てくわけにはいかんのか。
     今回ばかりは通信機を持とう。ジョーカーから借りればいいな?
GM  :では、ジョーカーがメルリッヒの車の接近状況をナビゲート
     して随時、教えます。
シリウス:邪魔の入らなそうな場所を選んで待ち伏せる。
     一般道だな。こんなときにファーマーやHiPのガキ共*
     喧嘩してるわけにもいくまい。
GM  :ガキ共って、オネストは君よか年上ですが。
シリウス:年下なのはアクターだけか? 
     まあいいや、とにかく場所は選んだ。
     事前に走ってみて、様子は確認しておくぞ。
GM  :OKです。では、当日になります。
     相変わらず、ネオ=アップルの上空は曇ってはいますが、
     雨や細菌霧の心配はないようです。
シリウス:それは助かる。
GM  :予定通りにメルリッヒが出発したことをジョーカーが知らせて
     きます。
     しばらくたつと「あと5分でRVポイント*に到達します」と
     報告があります。
シリウス:トラブルになりそうな状況はないな?
GM  :《LUC》でよほど悪い目を出さないかぎり問題ありません。
シリウス:銃を構えておくぞ。
GM  :メルリッヒの車が来ます。
シリウス:命中判定は?
GM  :【狙撃】できましたっけ?
シリウス:ないんだな、それが。
GM  :では【小火器】1/2です。
シリウス:確実を期して《LUC》を使っておくぞ。
     バーストモードで撃つ。成功だ。
     火力ボーナス+81だから、防弾仕様のタイヤでも撃ち抜け
     るぞ。
GM  :では、急にハンドルを取られてメルリッヒの車は路肩に乗り
     上げます。
シリウス:ドアを開けて奴を降ろす。
GM  :《PER》チェック。
シリウス:あまり高くないんだが…
GM  :掴んだ手の感触。生身ではありません。
シリウス:サイバー化?
GM  :武器開発の主任ですから。
     その手のパーツはいくらでも入手可能です。
シリウス:となると、見た目、丸腰でもどんな武装を隠し持っているか
     わからんな。ここで無力化してしまおう。
     だが、その前に言っておく。  
     ようやく会えたな。
     さんざっぱら、俺のことを嗅ぎ回っていたようだが、自分が
     殺される理由は思い出したか?
GM  :「何を言ってるんだ? 君は」
シリウス:メルリッヒじゃないのか?
GM  :「わたしはジューダス・メルリッヒだ。
      だが、君の言っていることはよく理解できないでいる」
シリウス:情報屋を雇ったのはこいつじゃない?
GM  :これ以上の対話を続けるのなら…
シリウス:わかってる。無力化してMAX−7に放り込むぞ。
GM  :行く先は?
シリウス:泥酔してるとかなんとか、ごまかしようはあるんだろうが、
     ゲートインスペクターにこいつのことを勘ぐられるのはマズい。
     まずは予定通り、エリザベートの店に行こう。
GM  :店には臨時休業の札が下がっており、従業員はいません。
     人目を避けて、裏口から入ることができます。
     エリザベートの居室は二階です。この前、通された部屋ね。
シリウス:メルリッヒを担いで連れてゆくぞ。
GM  :鍵はかかっていません。扉を開けて入ると−−誰もいません。
シリウス:なに?
GM  :《PER》のチェックを。
シリウス:う…なんか、ここは絶対にイイ目を出さないとマズい気がする。
GM  :勘の鋭い人ですね(笑)
シリウス:《LUC》を1ポイント消費してダイス+5にしておく。
     出目も走った。31だ。
GM  :31! 
     それでは、爆弾が作動する前に1アクションだけ
     許可しましょう。
シリウス:爆弾?
GM  :そう。あなたが入ると、この部屋は爆破されます。
     許された1アクション、何をしますか?
シリウス:メルリッヒを盾にするぞ。
GM  :では爆発物周辺ダメージに遮蔽効果…と。
     まあ、おまけして防具の装甲判定も許可しますよ。
シリウス:何なんだ、一体!
GM  :叫んだ瞬間、あなたは家ごと吹っ飛んで路上に叩きつけ
     られます。
     生身ですからね、全身ダメージでMOになります。
シリウス:こんなところで死んでたまるか。
     《LUC》を使って致死ダメージは阻止するぞ。
     くそっ…MAX−7まで戻る。
GM  :あ、心理判定も忘れずに。
シリウス:鬼畜な(笑) 《WIL》は27叩き出したぞ。
GM  :25越えてれば支障なしですね。
     MAX−7はオートドライブ機能付いてるんでしたっけ。
     なら操縦判定は要りません。どこへ行きます?
シリウス:《ワイルド・ギース》だ。このままじゃ動けん…

   6 人間消失

GM  :車内で簡単に応急手当をしましたが、それでも全身ズタズタ
     ですね。
     なんとか《ワイルド・ギース》に辿り着いたあなたを助け起こし
     ながら、オールドギースが「ワシの知らんところで随分と
     派手にやっとったようだの」と横目で見ます。
シリウス:なんだ? 一枚咬ませなかったから拗ねてるのか? 
     じじいにまでヘソ曲げられたら始末に負えないぜ。
GM  :「減らず口をたたきおって。さっさと寝てしまえ」
シリウス:やっかいになる。
GM  :では、細胞活性剤を塗布された後、治療タンクへと送り込まれ
     ます。
シリウス:治療費払えるかな(笑) またじじいに頭が上がらなくなる。
GM  :意識ははっきりしているので、オールドギースと話をする
     ことは可能です。
     「ジョーカーとツルんで何をしとったんじゃ?」
シリウス:これまでの事情を話しておこう。
     くそ、完全にハメられた。
     誰がエリザベートを攫って、あの家に爆薬を仕掛けていった
     んだ?
GM  :「女が攫われる心当たりは?」
シリウス:わからん。これもメルリッヒが仕組んだことなのか? 
     とにかく、エリザベートは容姿を気にして自分からは外には
     出ないんだ。攫われたとしか考えれない。
     あの家から死体は見つかってないんだろ?
GM  :「調べておいてやる。何か掴んだら教えてやろう」
     ということで、まあ少なくとも数日間は治療に専念ですね。
シリウス:動けないのか…
     くそっ、ここはオールドギースに任せるしかない。
GM  :では、なんとか起き上がれるくらいには回復しました。
     オールドギースが報告書をカウンターに乗せます。
シリウス:何を掘り出してきたんだ、じいさん?
GM  :「あれだけ派手な騒ぎを引き起こしたんじゃ。
      セカンダリィセキュリティエリアでの爆発事件はニュースに
      なっとるわい。
      焼け跡から遺体…というか人体を形成していた部品が一体分、
      見つかったこともな」
シリウス:俺が盾にした奴だな。さすがに壊れたか(笑)
GM  :爆風の直撃くらってるし。
     「それと、メルリッヒが白昼堂々、襲撃を受けて殺されたことも
      報道されとる。
      どっちの記事にもおまえのことは出てこんが」
シリウス:跡は辿られなかったということか?
GM  :「それで安心するか。まだまだ甘いの」
シリウス:くそっ、さすがにこのじじいには反論できん(笑)
GM  :「明らかに不審人物であるおまえが容疑者として指名されて
      おらんのは、スケープゴートを用意する必要がないからじゃ。
      これを仕組んだ者はすでに望みを遂げたということよ」
シリウス:望みを遂げた?
GM  :「ワシの言ったことをもう一度、よく整理してみろ。
      爆発があって、死体がひとつ。そして、メルリッヒが
      殺されたというニュースがひとつ。
      わからんか?」
シリウス:あの死体はエリザベートのものってことになってるのか?
GM  :「フルボーグならDNA鑑定もできん」
シリウス:ちっ、それも計算のうちか。だが、メルリッヒの方は…
GM  :「死んだという記事だけだ。
      つまりだな、ひとつの死体がいつの間にか、二人分の死亡通知
      になっておるのよ」
シリウス:エリザベートは何処に連れていかれたんだ…
GM  :「やはり、おまえはショーン*の同類だの。
      ある意味、“馬鹿”がつく」
シリウス:悪いか。
GM  :「ワシは褒めたつもりだぞ。
      おまえのことだ、女の過去話を聞いて、復讐という言葉に
      自分をオーバーラップさせおって猪突猛進したんじゃろう」
シリウス:う…そのとおり。
GM  :「ジョーカーも未熟者だが、おまえもまだ“情報の裏を取る”と
      いう意味がわかっとらんようだな。
      いいか。おまえがメルリッヒを殺そうと考えたウラの事情は
      今更、確かめるまでもない。
      だが、女の話した《理由》は“裏”にはならん。
      その《理由》を洗うのが“裏をとる”ということじゃ」
シリウス:調べがついたのか?
GM  :「誰にものを言っとる。
      アムスター家がメルリッヒによって爆破されたというのは
      事実じゃ。
      だが、その家の少女は爆炎の中から救出された後、
      しばらくして生命維持装置を外されて死んでおる。
      意識回復の見込みがなく、治療費を払う者もいないという
      理由でな。担当医師を突き止めて確認をとったわ」
シリウス:12年前に死んでいた、という意味か?
GM  :「そうじゃ」
シリウス:なら、エリザベートと名乗ったあの女は誰だったんだ? 
     家族を殺された少女でないというなら、どうしてメルリッヒを
     殺そうとしたんだ。
GM  :「わからんか。あのままメルリッヒを生かしておくわけには
      いかん理由が」
      ここまでにいろいろと情報は提供してますよ。
シリウス:…ヘッドハンティング…? 
     あの女はメルリッヒが社外に情報を持ち出す前に殺そうと
     したのか?
GM  :すべてのピースが嵌まるまで、どんどん考えたまえ。
シリウス:だとするとエリザベートはGMTのイリーガル*? 
     いや、それならメルリッヒを研究施設の外に連れ出して殺す
     必要はないし、そもそもGMTはまだヘッドハンティングの
     ことを知らないとジョーカーは言っていた…
GM  :言っていたとも。
シリウス:くそっ、だったら何なんだ。
GM  :エリザベートが「被害者の少女」と別人であるのなら、
     切り離して考えるべき要素がもうひとつあるでしょう。
シリウス:……事故にあっていないなら、どうしてフルボーグになって
     いた…って…
GM  :…(にやり)
シリウス:わかったぞ!! ハメやがったな、貴様っっ!!
GM  :誰に向かって怒鳴ってるんですか(笑) 
     さあ、そろそろいいかな。思うところを述べよ。
シリウス:ああ、わかったさ。
     エリザベートがメルリッヒだったんだろう。
     フルボーグに男も女もないからな。
     声だって合成だし、いくらでもごまかしが効く。
     あとは自分で自分の暗殺依頼を出して、殺されたことにすれば、
     そのままGMTから消えられるってわけだ。
GM  :よい答えです。
シリウス:だが…そうなると、俺が盾にした男は誰だったんだ?
GM  :君の相棒にもいるじゃありませんか。
シリウス:AIか。フルボーグのボディにAIを積み込んでたんだな。
GM  :君はメルリッヒ本人の癖や性格まで把握しているわけでは
     ありませんでしたからね。
     わずかな時間なら人間であると偽ることは可能でしょう。
     外観からはサイバー化した人間と見分けがつかないんですから。
     AIが多少、ちんぷんかんぷんな返事をしても「事故で動転
     していて」と言えばすみます。
シリウス:で、偽物ごと俺を爆殺しようとした?
GM  :メルリッヒとしては、公募を出したときには引き受けてくれた
     人間まで殺そうとは思っていませんでした。
     しかし、あなたに「タダでも殺したい」なんて宣言されて、
     どういうことかと驚いて身元調査をしてみたところ、
     あなたが《ケルベロス》の生き残りだということは突き止め
     ましたし、それなら放置しておいてはマズいと。
     《ケルベロス》にしてやったようにオーバーキルしてやろうかと
     思ったんですが、逃してしまったのはちとツメが甘かった
     ですね。
シリウス:この野郎。俺を虚仮にしやがったな(笑) 
     おまえがどこに隠れようと追い詰めて殺してやる!
GM  :ま、現時点ではメルリッヒを追う方法はないので、シナリオは
     とりあえずここで終了です。
シリウス:首を洗って待っていやがれ。
GM  :また火に油、注いじゃいましたね(笑)

                    END

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