MHリプレイ#7
 
   フェイクの日  Side-A 炎熱回廊
             
>>>前回までのあらすじ
                  >>>章の目次
                  >>>キャラクター紹介

  1 欺瞞的平穏

GM  :では、サン=アンジェルスでの一件*の後、君たちがネオ=アップル
     に戻ってきてから二カ月がたつ。
     この期間にしておきたいことがある者はその旨、申請するように。
     特になければ、現在のネオ=アップルの状況を説明しておく。
ラルフ :俺ら、前回参加してないからな。
アヤコ :聞いておきましょう。
GM  :ここしばらく、ネオ=アップルでは犯罪が減っている。
     情痴絡みの刃傷沙汰や交通事故までがなくなったわけではないが、
     《ナイトメア》はもとより、他のバンデットたち*による事件は
     まったくといっていいほど起きていない。
     ドラッグバイヤーたちも鳴りを潜めている。
     卵が先か鶏が先か、警官たちも治安維持活動を積極的に行っている
     ので、シティ内はこれまでにないほど平穏だ。
     その一方で、シティへの出入りを管理するゲートインスペクター
     たちの検問も厳しくなっているので、他都市から密輸品を持ち
     込んでブラックマーケットで売りさばくのが困難になっている。
     特に武器関係は品薄だね。
エンジュ:食糧危機なの?
GM  :いや、この時代、「市民」の食糧はシティで完全自給できるように
     なっている。むろん、合成物*でだが。
     行政側に言わせれば勝手にホワイトエリアに住み着いている君たち
     の分の食糧までは保証の限りではないが、それでも食糧をギリギリ
     しか生産していないということはない。
     そういう意味では、日常生活に関して心配はしなくていい。
     生活費*も特に値上げはしない。
アヤコ :よかった。
レイファ:そうね。わたしもだいぶ貯金がなくなってきたな。
ラルフ :おまえは豪勢に使いすぎるからだ。
GM  :そんなわけで、ハンターの仕事も激減しており、ジョーカーから
     仕事を斡旋されることもない。
エンジュ:オフィスを閉めてるの?
GM  :いや。仕事はしているようだけど、行くとたまにいないこともある。
エンジュ:あれ? ジョーカー、留守だ…じゃ、勝手に入ってようっと。
     僕、入り口のセキュリティ解除コード知ってんだ。ピッピッ
アヤコ :知ってんの?
エンジュ:この前、バイトしてたとき*にね。僕用のパスワードを設定して
     あるんだよ。
GM  :まあいいや。どうせ電話番だ。
     さて、本編に入る前に、この二カ月間にイベントのある人が何人
     かいるので、ソロプレイにしよう。
     まずはアヤコから。

   2  テキサナからのメッセージ

GM  :この前、ラスベガスで昔の仲間と会ってアドレス交換したと思う
     けど。彼はレオという名前にしたから、覚えておいて。
アヤコ :オーケイ、レオね。
GM  :ちなみに、彼に教えたアドレスは自宅? それともジョーカーの
     オフィス?
アヤコ :自宅はレイファと一緒だから、オフィスの方にしておく。
GM  :了解。
     では、ネオ=アップルに戻ってしばらくたった頃、ジョーカーの
     オフィスにレオから連絡が入る。
     君はジョーカーから、その知らせを受けてオフィスにやって来た。
     通信手段はヴィジホン*だ。小さなモニターに映ったレオは、
     この前よりいささか痩せた感じがする。
     「姐御、相談したいことがあるんだ。電話じゃマズいことで。
      テキサナまで来れないっすか」
アヤコ :今から?
GM  :「いや、こっちもまだ準備ができてないんで、もうしばらく待って
      ほしいんスけど、いつでも出られるように準備だけはしておいて
      もらえたらありがたいっす」
アヤコ :わかった。そっちの準備ができたら連絡してよ。
GM  :「うぃす。あと、この前、教えたアドレス、足がついたんで
      もう使えません。エースと、ゾフィーの分もです*
アヤコ :そうなの。わかった。連絡はどうすればいい?
GM  :「新しいアドレスをゲットしたら暗号化して送ります。
      そいつが届いたら連絡ください」
アヤコ :わかった。あんたたち、気をつけてね。
GM  :「テキサナで待ってますよ」
     とまあ、そんなことがあった。暗号データの方はまだ届いてない
     けど、一応、心の準備はしておくように。
アヤコ :テキサナ…ね。やっぱり戻ることになるのか。

   3  大佐

GM  :ではアビス。君は今、中華街にあるハリー・陳(チェン)の工房で
     オリジナルCSの打ち合わせをしている。
     「装甲重視、対レーザー防御、ハッチバック式のコックピット…
      試算してみたけど、これは相当、重い機体になるよ。ロケット
      ブースターは非効率的だよ。装甲と飛行機能、どっちを取る?」
アビス :飛ぶことにはこだわらない。
GM  :ハリーには、何故、オリジナルCSをこのような仕様にするのか
     説明しておくかい?
アビス :最初からは公言しないが、要望書を見ればハリーもある程度は
     どんな敵と戦うつもりか推測できるだろう。
     後はこの数カ月間で親しくなってゆく過程で、酒の席ででも
     過去話*をしたということで。
GM  :暗いバーのカウンターでしんみりと…か。いいね。
     では、ハリーもその目的に則した助言をしてくれる。
     「足回りはダッシュローラーかホバーをお勧めするよ」
アビス :両方を組み合わせることは可能か?
     例えば、斜面をきっちりグリップしながら走行するとか。
GM  :「ふうむ。試してみよう。
      まあ、案を練ってる分にはいいんだがね…」
アビス :開発費用か?
GM  :「いや、資金は最初に預かった分でまだ足りる。
      だが、あんたも知ってのとおり、ネオ=アップルは今、
      徹底的な品薄だ。装甲板ひとつ、手に入らない。
      悪いが、完成まではまだかかりそうだよ」
アビス :こちらも奴の行方を突き止めたわけじゃない。
     おまえとおれと、双方が納得のゆくものを頼む。
GM  :「是(YES)」
     では、ハリーの工房を出たところでジョーカーから連絡が入る。
     「お客様がおいでです。オフィスまで来ていただけますか?」
アビス :おれに客? 行こう。
GM  :では、ジョーカーのオフィスの前でセンゴクと鉢合わせる。
     「なに? おまえもジョーカーに呼び出しくらったのか?」
アビス :そうだが。
GM  :「じゃあ、女の子からのお誘いじゃないのかよ」
アビス :用件は聞いてない。
GM  :「そうそう旨い話もないとは思ったけどよ。あー、つまんねー。
      ほいほい来るんじゃなかったぜ」とぼやいているセンゴクを
     伴ってオフィスへ行くと、待っていたのは《シュツルムカイゼル
     突撃隊》の先代隊長だ。
     こちらも今の−−といっても部隊共々行方不明になっている−−
     隊長と同じく《大佐》とだけ呼ばれていた。
     ちなみに彼は君がまだロイスと名乗っていた頃の隊長で、その後、
     息子(現大佐)にその地位を譲って引退している。
     もう70は越えているが、かくしゃくとした、いかにも退役軍人と
     いった老人だ。
     大佐は敬礼をし「元気そうでなによりだ、ふたりとも」と挨拶する。
アビス :お久しぶりです。
GM  :「では、こちらをどうぞ」
     応接用スペースを君たちに明け渡し、ジョーカーは奥の事務室に
     引っ込む。
     すでに大佐から事情を聞いているのか、あるいはプライベートな
     話を聞かないよう遠慮しているのかはわからない。
     で、ジョーカーが立ち去ると、君たちに席につくよう指示して、
     大佐は話を始める。
     「単刀直入に言うと、おまえたちの力を借りに来た」
アビス :はい。
GM  :「《シュツルムカイゼル突撃隊》が姿を消して三カ月余り--
      少しずつ事件の概要が見えてきてもいる。その最後の段階では、
      おそらく武力行使が必要になるだろう。
      そこで、わしはかつて部隊に所属していた者で、今も現役のCS
      乗りである者たちにこうして声をかけて回っている。
      わしの招集に応じてくれるかね?」
アビス :わかりました。
GM  :「作戦の時期は追って連絡する。
      それまで招集に備えて機体を整備し、待機のこと」
アビス :Yes,Sir。
GM  :「快諾を感謝する」

   4  呪縛

GM  :では、次はレイファ。ネオ=アップルに帰ってこの方、君は毎晩の
     ようにある男の夢を見る。
レイファ:じいさん? どこに居るの〜、助けるよ〜、死なないでよ〜って?
GM  :ちと違う(笑) 違う男。
レイファ:うーん、なんとなく予想はついたけど…
     やだなあ。彼が出てくるの?
GM  :そう、シリウスだ。それはそれはいやな夢だ。
     夢の中で、君は何度もシリウスを殺す。ありとあらゆる方法で。
レイファ:あー、LMGとかサイボーグライフルとか手榴弾とか。
GM  :単分子ナイフとか鉄パイプとか、そりゃもう手当たり次第。
レイファ:ゾンビね。
GM  :いや、違うって(笑) 毎晩、全力を尽くしてシリウスを殺すの。
レイファ:性懲りもなく(笑)
GM  :ときには、君が殺されることもある。
     撃たれたり轢かれたりワイヤーで首を飛ばされたり…
レイファ:うーっ、どっちにしろヤな夢ね。
GM  :そして、最後に「Hunt the wolf」という声が聞こえ、
     君は悪夢から覚める。
レイファ:あー、やだやだ。
     サン=アンジェルスでサイバー手術したときに何かされたかしら?
     ちょっと気になるから医者に看てもらおう。
GM  :では君は出掛けた。
     サイバークリニックに向かってブラックマーケットを歩いている。
     《PER(知覚力)》のチェック*を。
レイファ:27。
GM  :では、後方に殺気を感じる。
レイファ:殺気? いきなり穏やかじゃないわね。
GM  :周囲には一般人が大勢います。
レイファ:誰だか特定できないってこと?
GM  :銃を乱射するな、ってことだ(笑)
レイファ:じゃあ、人通りの少ない方へ歩いて行くわ。
GM  :では、ブラックマーケットの外れまで来た。
     前方、および側方からスタンバトンを持った3人組が襲撃してくる。
     後方の奴も間合いを詰めてくる。
     囲まれているので【格闘回避】1/4で4回*
レイファ:1/4〜? ダメだ。善戦したけど、とても全部は避けきれない。
GM  :では電流を食らう。《WIL(意志力)》のチェックを。
レイファ:味をしめたな〜、GM。わたしがスタン攻撃に弱いの知って〜
GM  :もちろんだ(笑) さあ、気を失ってください。
レイファ:なんで、なんで、わたしばっかり捕らわれの身になるのよ〜
GM  :そりゃ、あんたが一番、逆らっちゃいけないトコに牙剥くから
     だろうがっ
レイファ:反論できない〜(笑)
GM  :では、冷水を浴びせられて頬を二、三発平手打ちされて、意識を
     取り戻します。
     どこかの地下室のようだ。例によって椅子に縛られ、ライトが顔面
     に向けられているので相手の状況はわからない。ただ、複数の人間
     に囲まれているようだ。
レイファ:女の顔に手を出したわね。
GM  :「ゲイル・クロフォード。
      そう言えばこちらの用件はおわかりかな?*
レイファ:ゲイル…って、ああ、覚えてるよ。
     ムカツく男だったわ。人をイヌ呼ばわりしていい気でいられると
     思ったら大間違いよ。彼が死んだのは自業自得だと思うけど。
GM  :「上の方に顔がきくようだがな、お嬢ちゃん。事件はもみ消せても、
      心の傷は消せないことを覚えておけ」
レイファ:なにをっ
GM  :「聞け。
      ゲイルには妻がいた。重い病気で入院していた。ゲイルが
      死んで治療が続けられなくなり、死んだ。
      後には子供がふたり残された。8歳の男の子と4歳の女の子だ。
      ふたりは別々に里子に出された。
      男の子は言っていたよ。
      『強くなって、父さんの仇を討つんだ』と。
      おまえが何をしようと自由だろうが、その子たちのことだけは
      忘れるな」
レイファ:… ! 
     子供のことはいい。だけど、CBI長官の威を借って、
     勝手気ままにやっていると思われてるのが癪だわっ
GM  :実際、ゲイル殺害を闇に葬ったのはリチャードだしね*
     そう取られても反論はできないでしょう。
     「我々はおまえを殺しはしない。
      だが、おまえがゲイルにしたように、おまえをゴミ同然に
      扱ってやる」と言われ、君はまた失神させられる。
レイファ:うーっ
GM  :目が覚めたのは鉄製の簡易ベッドの上。見知らぬ部屋だ。
     コンクリート剥き出しの天井に弱光量の裸電球。地下室のようで、
     窓はない。いや、一カ所あるが、外に向かって通じてはいないよう
     だ。そちらの方から、ぎしっぎしっと重い音がしている。
レイファ:なんとなく、ここがどこだか予想がついてヤなんだけど(笑)
     窓の所に行くわ。
GM  :窓から覗くと、そこはさらに一段掘り下げられた吹き抜けの
     地下室だ。壁から突き出した鉄柱に足をかけて、上半身裸の
     シリウスがトレーニングをしている。
レイファ:声をかけよう。
GM  :シリウスは筋トレを続けながら言うよ。
     「気がついたか」
レイファ:どうしてあんたの所にわたしがいるの?
GM  :「さあな。俺は、たまたま、おまえが路地に倒れていたのを見つけ
      たから拾ってきただけだ。おまえがそこにいた理由は知らん。
      だが、ミュータントマウスに齧られるより早く、俺に発見されて
      よかったんじゃないか」
レイファ:それは礼を言うよ。
GM  :「テーブルの上にコーヒーがある。それを飲んだら帰ってくれ」
レイファ:ちょっと時間くれない? わたし、あんたに話したい…いや、
     相談したいことがあるんだけど。
GM  :「なんだ?」
レイファ:ここのとこ、妙な夢を見るの。
     あんたの夢。わたしとあんたが互いに殺しあってる。
GM  :「そう言われても、おまえの夢の内容にまで責任は持てん」
レイファ:それが、一度じゃないのよ。もう何度も見てる。
GM  :シリウスはトレーニングをやめると、身体の汗を拭ってレイファの
     方に近付いてくる。
     「真面目な話なんだな?」
レイファ:なんか、気になるからさ。ねぇ、心当たりないの?
GM  :「おまえの見る夢に俺が干渉できるはずもないだろう。
      だが…妙な話ではあるな」
レイファ:この後、医者に行ってみるつもり。
     一応、あんたも気にかけといてよ。
GM  :「わかった」
レイファ:じゃ、帰るけど…ここ、どの辺り?
GM  :「地上に出ればわかるはずだ」
レイファ:ま、いいや。それじゃ。
GM  :では、階段を上がってゆくと、古ぼけたビルの中に出る。
     表通りに顔を出せば、ああ、ここか、という程度の土地勘はある
     場所だ。家に帰るのに迷うことはない。
レイファ:ふうん、ここがシリウスの隠れ家なのね。
     それじゃ、地上に出たらまずは街の情報屋を捕まえる。
     顔見知りの奴、いない?
GM  :《LUC》で判定を。
レイファ:能力値はあまり高くないけど…ほりゃ。18にはなった。
GM  :では、ブラックマーケットで馴染みの情報屋を発見した。
レイファ:ちょっと、調べてもらいたいことがあるんだけど。
GM  :「なんだい、姐さん」
レイファ:二カ月前、サン=アンジェルスで殉職したCBI局員のゲイル・
     クロフォードって奴の遺族について。子供がふたりいるらしいから、
     その子たちの現在の状況を追ってちょうだい。
GM  :「わかったよ。手付けに$100もらえるかい?」
レイファ:渡す。なるべく早く調べて。
     情報屋が去っていったら、サイバークリニックに向かいましょう。
     なければ精神科のカウンセリングができるような所。
GM  :精密検査をするなら、それなりの手間と時間がかかるけど?
レイファ:頼むわ。
GM  :ふうむ。検査の結果、インプラントしたサイバーパーツに異常や
     故障は見当たらないそうだ。うだつのあがらない若い医者に、
     「あんたさ、女の子のクセに戦争の真似ゴトなんぞするから、少し
      パラノイアになりかけてるんじゃないかい」と言われる。
レイファ:この薮医者。あんたの腕じゃわからないならわからないと認めな。
     勝手にこっちのせいにするんじゃない、と言い捨ててクリニックを
     出ます。
GM  :では、しばらくして街の情報屋から連絡がくる。
     「ご依頼の件、仕上がってますぜ。後払いの料金は$300」
レイファ:要求通りに払って調査書を受け取るよ。
GM  :だいたい、君が聞いたことを裏付ける内容だ。
     ゲイルの息子・カイルは8歳、娘のレイチェルは4歳。
     それぞれ、別の親戚に引き取られている。レイチェルはまだ幼い
     んで、里親は「実子として育てる」と言っているそうだが、カイル
     の里親は経済的に苦しく、カイルを引き取るにも一悶着あったとか。
     カイルの方はこの先、苦労しそうだ。
レイファ:カイルとレイチェルね−−。
     GM、わたしは以後の収入のうちから彼らにいくらかを回したい。
     こっちの名前がわからないよう、振り込み手続きを取ることは
     できる?*
GM  :必要なのは単に事務的な手続きだけだろう。
レイファ:では、今すぐ手配を。
GM  :了解した。では、ソロプレイを終了するよ*

   5  雨

GM  :ネオ=アップルの短い夏が終わろうとしている*
     この時期、ネオ=アップルでは南からの強い風が、海上の湿った空
     気を運んでくる。灰色の空から降り注ぐ雨はひどく冷たい。
     だが、それは珍しく汚染されていない雨でもある−−
ラルフ :雨だ…こっちまで憂鬱になる。
アヤコ :これじゃ洗濯物乾かないな。
GM  :いきなりそうくるか(笑)
アヤコ :だって、ハンターの仕事ないし(笑)
     ついつい平凡な日常生活送っちゃうわよね。
アビス :《メタル・コロッセオ》*で試合に出るのは可能か?
GM  :いや、そういった武力行使行為全体が、ネオ=アップルでは
     停滞気味だ。ハンターの仕事があるとしたら、トレジャー
     ハント*や企業関連の正規の輸出入品の護衛くらい。
ラルフ :どうして、こんな状態になったんだ…?
     犯罪が減るのはいいことだが、なにかひっかかるな。
アヤコ :どうも嘘くさい平和だよね。
GM  :そんな晩夏のある日。
     レイファは中華街にいる。前に王大人*に紹介してもらった中華
     レストランだ。今日は特に王大人に呼ばれているわけではない。
     ちょうど近くまで来たんで、昼食を食べに寄ったところ。
     君はレストランの客と従業員の会話から、王大人の下に
     遠方からの客が訪れているということを知る。
レイファ:遠方?
GM  :詳しい話を聞こうとするなら《SYM》のチェック。
レイファ:うう、《SYM》は低いんだけど。強引に割り込もう*
     じいちゃんの客って誰?
GM  :「それがさ、香港マフィア、《ハイカラット》の連中なんだ」
レイファ:そいつ、何なの? じいちゃんの敵?
GM  :「一応は賓客だよ。青龍幇の先々代とハイカラットの先々代は
      義兄弟だからな。だけど、王大人自身はハイカラットの連中や、
      今のボス・張翔雲(チャン・シァンユン)をあまり買っていない。
      奴らは血を流し過ぎるのさ」
     同じ頃、アビスもハリーの工房でこれに類する話を聞く。
     ハイカラットの連中が《グレート香港*》からやってきたこと。
     その目的はネオ=アップルにハイカラットの縄張りを得るためだ
     そうだ。
レイファ:じいちゃんに喧嘩売ってるわけ?
GM  :いや、彼らが狙っているのは別のダウンタウン。
     かなり強引にシマの切り取りを始めており、そちらの地元マフィア
     から、王大人に対して、「お宅のお客さんはちょっと行儀が悪すぎ
     るんじゃありませんかい」と文句が出ている。
     だが、王大人の方も、祖父の代から百年に渡る付き合いの賓客を
     手打ちに差し出すわけにもいかず、板挟みの窮状だ。
     ハリーは「ハイカラットの奴ら、さっさと田舎の島に帰りやがれ」
     と悪態をついている。
アビス :ここは部外者の我々が出る幕じゃないだろう。
レイファ:じいちゃん、困ってるんだったらわたしに声かけてよ。
     力になるわよ。
GM  :王大人にそう言うなら、「おまえさんの気にすることではない。
     だが、その気概は頼もしいな」と答える。
レイファ:あたりまえよ。わたし、じいちゃんのためだったら喜んで戦うわ。
GM  :青龍幇の構成員たちも皆、レイファ同様に士気は高い。
     この状況では、いかにハイカラットでも王大人や青龍幇に手出しは
     できないだろう。
ラルフ :おまえ、ハンターやめてそっちの人間になるか?
     俺と手を切ってさ。その方が似合いなんじゃないか?
レイファ:なに言ってんのよ。それとこれとは話が別よ。
     わたしが華僑であることとハンターであることは矛盾しない。
GM  :では、青龍幇を巡るそんな状況を聞いてから数日後−−
レイファ:あ、待って、GM。ハイカラットについてもう少し情報を集めて
     おきたいんだけど、いい?
GM  :では、行動を。
レイファ:中華系の情報屋に依頼するわ。
エンジュ:ええっ?! 僕は〜
ラルフ :おまえじゃ信用できないんだよ。
GM  :では、グレート香港の情報屋とアクセスした。
     「こっちの情勢に関するネタで、とっておきのがある。
      安くはないが、買うかい?」
レイファ:いくら?
GM  :「$1,000。身内の割り引き価格でだぜ」
レイファ:振り込むよ。情報を送って。
GM  :では、現在のグレート香港の裏社会の勢力図に関するデータが
     送られてくる。
     グレート香港では、《ハイカラット》《ネオ14K》《竜頭幇》と
     いうチャイニーズマフィアが鼎立していた。
     ところが、最近になって、新しい勢力が台頭し始めているらしい。
     そして、ほぼ同時にハイカラットは遥か海を越えたネオ=アップル
     に進出してきた。
     加えて、ハイカラットの張は配下の暗殺部隊《江南的九龍*》を
     ネオ=アップルに送り込んだということだ。
     「どうだい。$1,000の価値はある情報だろう」
レイファ:じいちゃん…やっぱり辛い状況なんじゃない?

  6  今宵、血の海を渡れ

GM  :では、現在、時刻は18時12分。
エンジュ:やけに細かい…なんだなんだ?
アヤコ :あからさまに事件の起きそうな雰囲気。
GM  :先読みするなと言っても無理があるか(笑)
     君たちが自宅なりバーなりでくつろいでいると、ネオ=アップルの
     ローカル放送、あるいはインディーズのニュースサイトに緊急
     ニュースが入ってくる。
     「本日、午後6時。セカンダリィセキュリティエリアにある
      会員制レストラン《黄山》で殺人事件が発生」
ラルフ :誰が殺された?
GM  :まさにリアルタイムで入ってくる情報が次々に読み上げられる。
     「殺されたのは香港貿易商会の呉玄持(ウー・シュアンチィ)氏と、
      同席していた許克錬(ウー・クーリャン)氏、それとボディガー
      ドの3名です」
レイファ:ボディガードは…
GM  :中国人。では、《INT》チェックだ。
     レイファとアビスは+5で判定していい。
レイファ:+5してようやく人並み(笑) あ、でもなかなかいい目だ♪
GM  :では、許というのが王大人の客人のひとりだったというのを思い
     出します。
アビス :つまり、ハイカラットの者か?
GM  :その通り。ニュースは続く。
     「犯人は、あらかじめ客として店に入っており、呉さんたちが席に
      ついたところを待ち伏せて射殺しました。
      これは、店内の防犯カメラに残された犯人の映像です−−」
     俯瞰位置から映されたロングコートの男。その顔は…シリウスです。
ラルフ :なにやってんだ、あいつっ…!
エンジュ:いやもう、やってることは明白に殺人なんだけど(笑)
GM  :画面の男は被害者に向かって言う。
     「俺の名はシリウスだ。地獄に落ちても忘れるな」
アビス :死んだ奴に向かって名乗った?
GM  :そして、シリウスは画面に正対し、唇の端をひいて不敵な笑みを
     浮かべる。
アヤコ :カメラ目線ってこと?
GM  :完全に。ではもう一度《INT》チェックをしてもらおう。
     難易度20。
エンジュ:成功。分析してみるよ。
GM  :ああ、エンジュは【写真/映像】も取ってたんだっけ。
     では、画面に映っている男だが、手にした銃器、そして床に倒れて
     いる人間との対比からして、身長は2m以上ありそうだ。
アヤコ :あれ? シリウスって、背の高さどれくらいだっけ?
GM  :ジョーカーより掌ひとつ分くらいは長身だが、それでも2mと
     いうことはない。
     ちなみに、画面の人物は肩幅もシリウスより一回り大きく見える。
アビス :太ったか?(笑)
レイファ:オートプロテクターじゃないんでしょ?
アヤコ :兄弟とか?
GM  :いや、顔は完全にシリウスだ。
アヤコ :でもシリウスじゃないよね。特殊メイクかな。
ラルフ :誰かがシリウスに罪をかぶせようとしてるってわけか。
エンジュ:あれ見てよ、ジョーカー。
GM  :なんだ、エンジュはジョーカーのところにいるのか?
エンジュ:うん。オフィスのソファでテレビ見てたの。
GM  :まあ、いいだろう。
     では、ジョーカーは蒼ざめた−−というより、凍りついたような
     表情になる。
     「皆を《ワイルド・ギース》*に招集してください」
エンジュ:わかった。ここじゃなくて、《ワイルド・ギース》でいいんだね?
GM  :ジョーカーはコートを掴んで出て行きます。
エンジュ:え、ええっ?! ジョーカー、僕も一緒に連れてっ……
     あああ、行っちゃったぁ。はぁ。皆に連絡するよ。
     ジョーカーが《ワイルド・ギース》に集まってくれって。
     それから、誰か、オフィスに寄って僕を拾ってって。
アビス :拾おう。
GM  :では、各自《ワイルド・ギース》へ向かうこと。
ラルフ :車を出す。
アヤコ :レイファ、一緒に乗ってくでしょ?
レイファ:おねがい。あ、でも、わたし、《ワイルド・ギース》より先に
     寄りたいところがあるんだけど。
アヤコ :いいよ。どこ?
レイファ:シリウスの隠れ家。
アヤコ :いつの間に、家まで教えてもらう仲になってたの(笑)?
レイファ:なりゆきでね。
アヤコ :ま、ホントのこと言うと、あたし、あんたとシリウスって
     けっこうお似合いだと思ってるんだ。
     どっちもパパ(グレンディ*)に好かれてるみたいだし。
     応援するわよ。
レイファ:そんなんじゃないわよ。
     気がついたら彼ン家のベッドに寝かされてただけなのよ。
ラルフ :おい。それ、すごい発言に聞こえるんだが…
アヤコ :いつの間にそんなコトになってたの〜(笑)
     おめでとう、って言った方がいいのかしら?
GM  :誤解だ〜! 誰がこんな男女っ
レイファ:なんですってぇ!
ラルフ :いいから早く《ワイルド・ギース》に行けよ。
     ジョーカー、待ってるぞ。
アヤコ :はいはい。行くよ。
GM  :では全員、クライスラーズ・ビルに着きました。
     現在6時半。屋上のバーまでは直通のエレベータで行くように。
     店に入ると、キッチンではいつものように小柄な老人がグラスを
     磨いており、その前のバーカウンターでシリウスが食事をしている。
レイファ:ああ、こっちに来てたんだ?
GM  :「ここにいたんだ。昼からずっとな」
     ネオ=アップルで暮らして、少なくとも何カ月かになる君たちには
     わかるが、事件のあったレストラン《黄山》のあるエリアからから、
     このマホロバ・ストリートまでは100km以上あります。
ラルフ :完全な不在証明ってわけか。
エンジュ:ジョーカーはどこ?
GM  :ジョーカーは入り口の脇に立っている。
     そこに立ち尽くしている感じだ。シリウスの背中を見つめたまま、
     なにか思い詰めたように唇を閉ざしている。
アビス :あの偽物の正体はわかっているのか?
GM  :「わからん。
      だが、奴を送り込んで来たのが何者だかは承知している」
アビス :《ナイトメア》。
GM  :「そのとおりじゃ」とオールドギースが言う。
     「これで、王大人は決断をせねばならなくなったな」
レイファ:じいちゃんが? どうするの?
GM  :「許は王大人の客だった。客人に義理立てするならば、王大人は
      青龍幇にシリウス討伐を命じなければならん。王大人がシリウス
      を庇えば、ハイカラットを敵に回すことになる。
      どのみち、奴らは好機とばかりに青龍幇の縄張りを荒らすだろう。
      おそらく、それこそがネオ=アップル入りしたハイカラットの
      真の目的であり、ひいては…」
ラルフ :《ナイトメア》の作戦ってわけか。
エンジュ:ずっとここに隠れてやりすごす−−つもりじゃないよね、
     シリウスなら。
GM  :「偽物が誰だろうと、青龍幇がどちらにつこうと構わん。
      奴は俺が倒す−−奴の挑戦を受ける。
      シリウスはシリウスが殺す」
     シリウスはそう言って、戦闘準備を整えるために階下へ向かいます。
レイファ:待って…!
GM  :レイファが立ち上がるより早く、ジョーカーが入り口に立ち塞がる。
     「私に時間をください。適切な手段を講じます。
      あなたを殺させはしません」
     だが、シリウスは歩調も緩めず、ジョーカーの胸倉を掴んで脇に
     投げ捨てる。
     「俺は俺の戦いをしている。貴様に生かされてやるつもりはない」
      そして、そのまま出てゆきます。
エンジュ:ジョーカー…
アビス :シリウスがその気なら止めはしない。
レイファ:じーさん、いいの?
GM  :「フェイクの次の標的はわかっておる。
      ネオ=アップル入りしているもうひとりのハイカラット幹部・
      崔斉徳(クェイ・チードウ)。
      ハイカラットと青龍幇を完全に追い込むために、《ナイトメア》
      はフェイクに崔を殺させるだろう。
      許が殺されたことで脅えた崔はファーストセキュリティエリアの
      ホテルに居を移した」
アヤコ :ファーストセキュリティエリア!
     うちのロブちゃん*じゃ入れない所だ。
GM  :「だがな、たとえ、ハイカラットの精鋭部隊が待ち受けていようと、
      使用可能な武器が限られていようと、フェイクは崔暗殺を実行に
      移すだろうし、シリウスもまた、フェイクを追ってゆくだろう。
      そして、今ではネオ=アップル中の警察が、シリウスを殺人犯と
      して捜し回っている。
      なかなかに厳しい状況じゃろうて」
レイファ:シリウスが見つかるより前に、わたしたちがフェイクを警察に
     突き出して、「これが真犯人です」と教えてやればいい。
     そうでしょう?
GM  :「簡単に言ってくれるな、お嬢ちゃん。
      フェイクが許たち3人を殺した場面をビデオで見直してみるが
      いい。奴は相当に場数を踏んだファイターだ。
      シリウスに勝るとも劣らん技術を持っている。
      今回、もっとも手ごわいのはハイカラットでも警察でも青龍幇の
      連中でもなく、あのフェイクという男だとワシは見ておる」
レイファ:ふうん。でもシリウスはやる気よ?
GM  :「まさにシリウスを殺せるのはシリウスのみ、といったところ
      かの」
アヤコ :あたしらじゃ何もできないってこと?
     引っ込んでた方がいいのかな?
GM  :「皆さん、シリウスを助けてください…」
     腕をついて身体を起こしたジョーカーが震える声で言うよ。
     「これは仕事です。依頼人は私。
      任務はシリウスを支援し、無事、生還させること。必ず…
      連れ戻すこと」
レイファ:いいわ。わたしはどうせ行くつもりだったし。
アヤコ :舞台がファーストセキュリティエリアだと、戦闘車両持ち込めない
     のよね。車なしで、どれだけお役に立てるかわからないけど、
     ジョーカーの依頼は受けるよ。
アビス :CSもダメだろうな。となると、おれもいつもの戦術が使えない。
エンジュ:あの…僕、ジョーカーの機嫌を損ねるの承知で言うけど、
     その依頼、シリウスは余計なお世話だって言うと思うよ。
     ジョーカー、シリウスに嫌われることしたいの?
GM  :嫌うも何も、シリウスは元から、ジョーカーなんぞカケラも
     好いちゃおらんが。
アヤコ :あ、ひど〜い(笑)
GM  :ジョーカーはエンジュに何と言われても、ただ「シリウスを
     死なせないでください」と繰り返すだけです。
     こんなにうろたえたジョーカーを見るのは初めてです。
レイファ:うーん、珍しい。ビデオに録画しとこうかしら(笑)
エンジュ: …ジョーカー…(←うろたえ伝染)
ラルフ :ジョーカー、落ち着いてくれ。俺たちは全力を尽くす。
     ちゃんとシリウスを無事に帰らせるから。
GM  :すると、ここでオールドギースが口を挟みます。
     「ワシもあんたらの勝率がいくらか上がるよう、協力してやろう。
      隠し収納庫のついた車両の手配や武装の強化をしてやる。
      それと、警察無線を傍受できるシステムの組み込みだな。
      さすがに今回の作戦にCSを使うのは無理だが、アビスよ、
      おまえさんへの報酬として、《銀のフルボーグ》に関する情報を
      ワシのネットワークで拾っておいてやろう」
アビス :悪くない。手を貸そう。
GM  :「エンジュ。おまえさんはジョーカーのサポートをするのに
      否やはないな?」
エンジュ:う、うん。ジョーカー…心配。側にいて手伝うよ。
GM  :「よかろう。エンジュとジョーカーはコンピュータ・ルームへ。
      残りはワシの工房へ移動するぞ」

   7 ホテル・ニューシンクレア

GM  :では、作戦を決めてゆこう。
     まず、エンジュとジョーカーの調査により、崔が泊まっている
     ホテルとルームナンバーは把握できている。
     ファーストセキュリティエリアの高級ホテル・ニューシンクレアの
     14階スイート。
アヤコ :14階がスイート? あまり高さのあるホテルじゃないのね?
GM  :広い敷地に低層の建物というのが贅沢さを演出しているらしい。
     VIPを泊めることも多い、設備と警備と配慮の整ったホテルだ。
     崔はワンフロア貸しきりのスイートにいる。ほとんど籠城状態と
     あって、部屋に近付くのは困難だ。
     襲撃のチャンスとしては、最上階のラウンジバーに出てくるとき
     のみとの分析結果が出ている。
     むろん、ラウンジも窓は防弾仕様で狙撃は不可能。
     しかし、消去法で言うと、フェイクもここで崔を狙うしかない。
     というわけで、シリウスはホテルに潜入してフェイクを待つ。
     皆はシリウスにもフェイクにも知られないようホテルの周辺に張り
     込み、退路の確保、追っ手や警察の撹乱を担当してほしい。
     使用する車両はカモフラージュしたアヤコのワゴン、ラルフと
     ホークのコミューター*
     センゴクは今回、機動性を重視してバイクで行くそうだ。
     ルーレルはシェルキャリアにセンゴクとアビスのCSを積んで
     エリア外で待機。戦闘がエリア外に持ち込まれるようならCSを
     届けに向かう。
     アヤコのワゴンにはエンジュとジョーカーが乗り込んで、情報
     収集と作戦の現場指揮にあたる。
     オールドギースは店に残ってより広い範囲での戦略担当だ。
     一台の車にあまり人が乗り込んでいるのも怪しいので、アビスと
     レイファはタクシーや路線バスなどの公共機関でホテルに向かう
     こと。ちなみに服装は考慮してね。
レイファ:チャイナドレスかしら?
GM  :いや、ホテルに客として入るわけじゃないんで正装の必要はない。
     ただ、ファーストセキュリティエリアなんだから、都市迷彩の
     コンバットスーツなんか最初から着ていかないように、ってこと。
レイファ:武装の持ち込みは?
GM  :II類*以上の火器はアヤコのワゴンに隠してゆくことになる。
     身につけてゆけるのは拳銃くらいだ。
レイファ:足の手榴弾もOKよね*
GM  :それに関してはもう何も言わないから(笑) 持って行きなさい。
アビス :おれは銃は持たない。単分子ナイフのみで。
GM  :では、車に積み込んで行く武器の申請を。
アビス :7.62mmバトルライフル。
ラルフ :それ何だ? ルールブックにないけど。
GM  :ああ、拡張ルールブック《サイクロン》に出てくる新しいII類
     武器だ。火薬を増量した自動小銃。火力20で追加シフト1。
     発射方式がS/B/Aで切り替えられる。
ラルフ :ふうん…シーンに合わせて発射方式が変えられるのはいいな。
     俺もそれにしていい?* 後は、予備の武器としてSMG。
エンジュ:あ、僕も予備の端末をラルフの車に載せておいてもらう。
     アヤコさんの車から降りても使えるようにね。
GM  :了解。
レイファ:わたしはどっちにしようかなあ…
     サイボーグライフルかLMGか…
アヤコ :レイファはやっぱり重火器から離れらんないのね(笑)
レイファ:だってパワーが違うもん(笑)
ラルフ :第1級保安区であまり派手なことするなよ。
レイファ:決めた。今回は7.62mmLMGにする。
     持ってゆける替え弾丸に限りがあるから、攻撃回数の多い方が
     いいや。火力の差40は命中精度とダイスでなんとかする。
エンジュ:替え弾薬? 僕、そんなの持ったことないや(笑)
     ちなみに僕の武器は短針銃とフォールディングナイフ*ね。
GM  :またなんか物騒なものを持ち込んでいるな。まあいいや。
     レイファとアビスは、武器を入手するためには、ホテル付近に
     侵入後、一端、アヤコと合流しなくてはなりません。
レイファ:位置は携帯電話かなんかで確認しあえるよね。
GM  :それと、アヤコ。シリウスのオートプロテクターを積んで
     行ってやってくれ。
アヤコ :オッケー。
GM  :あとは、全員に、小型の発信機兼通信機が配布される。
     シリウスの服にもオールドギースが同じものを設置したそうだ。
     これで準備はいいかな? 出発するぞ。
アヤコ :はぁい。
GM  :ファーストセキュリティエリアへの侵入は成功。
     崔がラウンジに出てくる時間を狙うので、すでに夜も更けている。
エンジュ:雨は?
GM  :天気予報では、明日の朝まで雨になることはなさそうだ。
     シリウスは客を装ってラウンジに入る。
     崔とその取り巻きはいるが、フェイクらしき人物は確認できない
     ようだ。
ラルフ :どこに隠れている…
GM  :と、しばらくしてボーイらしい若い男の声がシリウスのマイクに
     入ってくる。
     「お客様、お電話が入っております」とコードレスフォンが
     渡された模様。そして、シリウスが受話器を耳に当てた気配。
     次にマイクに入ってきたのは受話器の向こうからの声だ。
     「先日のショーは楽しんでもらえたかな? ミスター・シリウス」
レイファ:出たわね! ホテルへ向かうわ。
エンジュ:レイファ、武器、武器!
レイファ:あ、そうだった。アヤコのとこに向かわなきゃ。
GM  :では、スピーカー越しの会話が続く。
     「フェイク」とシリウスが呼びかける声がする。
     「今夜はどんな趣向で楽しませてくれるつもりだ?
      おまえに会うために、わざわざ最前席まで出張ってきたんだ」
     「勘違いをするな、シリウス。そこは観客席ではない。
      そして、今夜の主役はわたしではなく、君だ。
      わたしは今夜、君がその席に座ると確信をもっていた。
      まさにハイカラットの喉元だ。もっとも意表をつく場所であり、
      なおかつターゲットを監視するにベストのポジションだからな」
     フェイクの言葉に、シリウスの歯ぎしりが重なる。
     「そろそろ、ハイカラットの連中のもとにあるメッセージが届く」
     その言葉とともに、ラウンジ内で慌ただしい足音と中国語が飛び交
     うのが聞こえてくる。
ラルフ :なに? 何て言ってる?
エンジュ:マイクで拾った音はすべて録音。分析するよ。
レイファ:同時通訳して皆に伝えるわ。
GM  :中国語の大意はこうだ。
     「このラウンジに暗殺者が入り込んでいると、匿名の通報が
      ありました」
     そして電話の向こうの声が告げる。
     「今夜の主役である君の居場所を告げるメッセージだ。
      それから、君のテーブルの下にわたしからのプレゼントがある。
      ぜひ、受け取ってくれたまえ。
      GOOD LUCK、シリウス」
     テーブルの裏面に隠してある銃にシリウスの指が触れる気配。
     同時に、崔の部下たちはフリー客のシリウスを不審人物=暗殺者と
     みなしたらしく駆け寄ってくる。
アヤコ :武器を持ってちゃ言い逃れができないよねぇ(笑)
GM  :「フェイク! 
      このショーのフィナーレは必ず貴様の死体で飾ってやる!」
     シリウスはテーブルを蹴倒して、飛びのいた模様。
     直後に、いくつもの銃声が交錯する。
アビス :おれはこのままホテルに向かう。
エンジュ:武器なしで?
アビス :ナイフがある。敵がいれば、そいつから奪う。
GM  :「逃げたぞ、追え!」と中国語で叫ぶ声がして銃声が
     遠ざかってゆく。
アヤコ :遠ざかる?
GM  :そう。で、「おケガはありませんか、崔大人」
     「うむ。危ないところだった。奴がこんな近くに潜んでおった
      とは」という中国語の会話が聞こえる。
ラルフ :通信機を落としたな!
GM  :で、ふたたび崔の声。
     「九龍を呼べ。奴らにシリウスを追わせろ」
エンジュ:奴ら…って、ひとりじゃないみたいだ。皆、気をつけて。
GM  :ホテルでの銃撃戦はすぐに警察に通報された模様。
エンジュ:あ、そうそう。警察無線傍受だ。
GM  :すると、ホテル・ニューシンクレアでの銃撃戦に対する出動要請の
     他に、こんな通信が飛び交っているのを聞きつけた。
     「エリア×××のショッピングセンターに爆発物をしかけたという
      匿名のタレコミです」
エンジュ:今度は爆破予告? どこだ?
GM  :このエリアではない。で、無線交信は続く。
     「またか。今日だけで一体、何回目だ」
     「ですが、実際に爆発物が発見されたりもしていますし、無視する
      わけにはいかないでしょう」
     「わかっている。だが、これ以上、そっちに人手を割かれたら、
      誰が銃撃戦の犯人を捕まえにいくんだ」
レイファ:これも何かの陽動? エンジュ、調べてみて。
エンジュ:わかった。予告のあった場所をリストアップするよ。マップ表示*
GM  :すると、今、君たちのいるエリアを囲むように爆破予告が出され、
     警察が集まっているのがわかる。
ラルフ :シリウスが逃げられないようにってわけか。完全に囲い込む気だな。
GM  :このエリアの警官も爆弾処理と住民退去の応援に向かっていて、
     いつもよりは警備が薄手のようだ。
レイファ:じゃあ、銃ぶっ放しても捕まらない?
GM  :捕まりにくくはあるかもしれないけど、警官がまったく出払って
     いるわけじゃないんで。
アヤコ :包囲の中心はホテル・ニューシンクレアなの?
GM  :いや。その点に注意して見ると、ホテルではないのがわかる。
     現在、警備がもっとも手薄と思われる地点にあるのは
     《ポトマック・ナチュラリウム》だ。
     半円形のドームで覆われた敷地の中に、人工河川やベンチ、
     プラスチック製の草木等を配置した公園施設。
アヤコ :なんかあたし、そこがすごい気になる。
GM  :アヤコの指摘にジョーカーはマップを見つめながら答える。
     「あなたの推測は正しい。おそらく、ここが今夜のメイン
     イベント会場になるでしょう」
エンジュ:植物園? うわあ、今回はジャングル・コンバットだ。
GM  :いや、そこまで鬱蒼とはしていないけど。
アヤコ :そっちに向かってもいい?
GM  :公園の中に車両は入れないよ。
アヤコ :うーん…じゃあ、このワゴンはジョーカーに任せる。
エンジュ:え? ホントに行っちゃうの? ひとりじゃ危なくない?
アヤコ :でも、どうしても行っておいた方がいいような気がするんだよね。
レイファ:わかった。わたしがアーヤと一緒に行く。
アヤコ :ありがとう、レイファ。
ラルフ :待て。おまえたち、シリウスはどうするんだ?
レイファ:まだホテルの中でしょ?
     ひとりで入っていったんだから、ひとりで出てこられるわよ。
ラルフ :おいおい、ジョーカーの依頼を忘れるなよ。俺はホテルに向かうぞ。
GM  :では、アビスとラルフがホテルに向かい、アヤコとレイファは
     ポトマック・ナチュラリウムへ。
     それぞれ《PER》のチェックをしてもらおうか。

   8 三龍

GM  :まずはアビス。
     君はホテルへ向かう途中で、車を乗り捨てたホークと合流した。
アビス :ホーク、武器は積んであるか?
GM  :「ええと、SMGとバトルライフルなら持ってきてる」
アビス :バトルライフルをもらおう。
GM  :では、ホークはSMGを装備。ホテルの敷地内に入ると、車寄せに
     東洋系の男たちが銃を持って厳戒態勢をとっているのがわかる。
アビス :距離は?
GM  :50m。
アビス :命中修正−20くらいは問題ない。
     まずはここから先制攻撃。フルオートでいく。
GM  :見張りは6人だ。
アビス :外さない。89。火力を足して109。追加シフト1。
GM  :それは倒れてます。目標を変更するなら【小火器】−10%。
アビス :ふたりめにクリティカル。チャートは0。
GM  :即死。さらに技能値−10%。
アビス :距離修正とあわせて−40になるか。
     外しはしないが、さすがに火力が落ちてくるな。33。
GM  :それは耐えている。
アビス :ラスト1発。目標変更なしで、68。
GM  :それは致死ダメージだ。三人目も倒れる。
     ホークの方だが、SMGのフルオートで2回のクリティカルを出し
     た。全弾きっちり当てて、この方面は1ラウンドで戦闘終了だ。
レイファ:ホークがクリティカル2回?
     どうしたのかしら。いつもは当たりやしないのに。
ラルフ :それは違うぞ、レイファ。
     ホークはいつもおまえに運転ばかりさせられてて、攻撃に
     参加する機会が少ないだけだ。
アヤコ :レイファがいなくて伸び伸び戦ってる?
ラルフ :ついでに言えば、今日はGMからのプレッシャーもない(笑)
GM  :俺はプレッシャーなどかけてはおらん。
     奴が勝手に脅えているだけだ。
アヤコ :そーいう口調で言うから脅えちゃうのよねえ(笑)
アビス :で、そいつらの武器は?
GM  :9mmSMGだ。バトルライフルは特殊弾丸を使用しているので
     補充はきかない。
     で、所持品を調べていたアビス。ホークが何か叫んでいる。
アビス :どうした?
GM  :「う、上。あれを!」
     ホークが指さす先、暗い夜空に溶け込むようにして黒い皮翼を
     広げた者たちが飛んでいる。
     「《ナイト・ゴーンツ》だ!」(イラストを見せる*)
     ホークの声に気づいた1機が進路を変え、アビスたちの方に
     急降下してくる。
アビス :撃ち落とせ! 
     フルオートだ。ふたりで固まらないようにして迎撃。
     火力は…112、76、88。
GM  :ストップ、そこまででいい。さすがに堕ちるわ。
アビス :残り2機は?
GM  :すでに視認できない。
アビス :《ナイト・ゴーンツ》の武器を探る。
GM  :右手がパイルバンカー*になっている。
     これはサイバーパーツで、銃器sの類は持っていない。
     くうぅ、完全格闘仕様の《ナイト・ゴーンツ》でさえなければ
     応射できたんだが…
アビス :バトルライフルの残弾数は1か。
     その1発を《ナイト・ゴーンツ》の頭部に叩き込んで完全に
     破壊しておく。
     ここでバトルライフルは捨ててゆこう。
     代わりに中国人の9mmSMGを拾い上げる。
GM  :ではエントランスホールに入った。
     避難命令が出ているのか、すでに従業員の姿もない。
     明かりだけが煌々と周囲を照らし出している。
アビス :エンジュ、ホテルのセキュリティを探って、シリウスの
     現在位置を割り出してくれ。
エンジュ:オーケイ。
GM  :さて、アビスにそんな暇があるかな?
     正面階段の踊り場。置物だとばかり思っていた甲冑が動き出す。
     《江南的九龍》の三龍だ*
エンジュ:ってことは全部で9人いるのっ?!
GM  :さあね。三龍は2メートル半はあろうかという巨体。
     それが地響きをたてながら階段を駆け降りて突進してくる。
     サイバー化しているのか、それともドラッグの効果か、
     巨漢にしては恐ろしく素早い。
アビス :散開。SMGを掃射する。
GM  :腕をかざして目を庇いながら、スピードを落とさずに突っ込んで
     くる。SMGの拳銃弾はカケラも効いていない模様。
ラルフ :目を庇うってことは、オートプロテクターやフルボーグじゃない
     のか?
GM  :オープンヘルメットは被っている。頭部は鍛えられるものじゃ
     ないからな。
     君たちが左右に分かれたので、一瞬、考えてから…ターゲットは
     ホークだ。
     重戦車のように突っ込んでゆく。ちなみに両手に武器はなし。
アビス :背中にSMGを掃射。
GM  :お、それはちょっと効いた。
     「なんだ?」という感じで振り返る。
アビス :SMGを投げ捨て、ナイフを抜いて挑発。
GM  :「ガハハハハァ!」と笑って突っ込んでくる。
アビス :ホーク、わかっているな?
GM  :「こ、この隙に逃げる?」
ラルフ :違うだろっ! 撃て!
レイファ:さすが、ホークだわ(笑)
GM  :ホークは慌てながらもSMGをフルオートで掃射する。
     だが、今度は三龍は止まらない。アビス、《STR》勝負だ。
アビス :37。
レイファ:えええっ? なにそれ?!
アビス :筋力はサイバー化してるから、元値が28ある。
ラルフ :レイファもサイバー化すれば簡単に人間やめられるぞ?
GM  :アビスは37…と。吹っ飛ばされた。
アビス :…だろうな。
GM  :全身に重い衝撃。《WIL》チェックを。難易度20で。
アビス :問題ない。
GM  :では、三龍はくるりと方向転換して、今度はホークに向かって突撃。
     ホークはSMGを乱射。
アビス :側におれがいるのに乱射はマズくないか?(笑)
GM  :しかし、銃声はすぐに止んで、カチッカチッとトリガーを引く音
     だけがする。
ラルフ :馬鹿、弾切れだ!
GM  :ホークがSMGに目を落とした瞬間、三龍のボディブローが決まる。
     皆のマイクに、みし…っという湿った音が入ってくる。
アヤコ :う…可哀想。
GM  :アバラの2、3本は折れましたね。
     吹っ飛ばされたホークはかなり苦しそうな様子。
     「い、痛…ア、アビス、逃げよう」
アビス :仕方ない。走れるのか?
GM  :「なんとか」
アビス :車まで戻るか?
GM  :「い、いや。あいつがまっすぐに突っ込んでこれないような…
      障害物のあるところがいいよ」
アビス :それはどこだ?
GM  :エンジュ、シナリオ的に君の言うべき台詞はわかっているな?
エンジュ:ふたりとも、ポトマック・ナチュラリウムへ(笑)!

   9  四龍

GM  :一方、ラルフだが…
ラルフ :《PER》はクリティカル。
GM  :ではホテルへ向かっていた君は、道路の脇の暗い遊歩道を歩く
     大柄な男に気づいた。
     くたびれたロングコートに軍用ブーツ。
     その姿は君の見知った男に酷似しているが…
ラルフ :フェイクだな。
GM  :フェイクは遊歩道の闇に消えてゆこうとするが?
ラルフ :車を降りてフェイクを追う。
GM  :武器は?
ラルフ :バトルライフルはOK?
GM  :警官に見とがめられないよう、隠してゆくのがベターだろう。
ラルフ :じゃあ、布かなにかで包んで。
     一応、報告しておくぞ。フェイクを見つけた。このまま追跡する。
     奴の向かっている方向は−−
GM  :ホテル・ニューシンクレア。
ラルフ :…だ。
エンジュ:了解。充分、気をつけて。
GM  :フェイクはホテルの裏手へ回る。
     と、今しも非常口が蹴り開けられて、中からシリウスとカマキリの
     ように細長い男*−−四龍が転がり出てくる。
ラルフ :距離は?
GM  :50m足らず。シリウスと四龍はまさに交戦中だ。
     すでに弾切れなのか、銃声は聞こえない。
     刃物が空を裂く音と、肉のぶつかる音だけが聞こえる。
ラルフ :取っ組み合ってるとなると…ちっ、狙撃ができれば…!
GM  :君の見ている前で四龍の投げナイフがシリウスの肩に突き立った。
     そのナイフにはワイヤーのようなものがついている。
     四龍が手首を返すとシリウスの身体が不意に跳ね上がった。
     ワイヤーに高圧電流が流れるようだ。
レイファ:うわ、ヤな武器だ(笑)*
GM  :倒れたシリウスが手をついて立ち上がろうとすると、四龍はふたた
     びスイッチを入れる。死なない程度には電流を調整してあるらしい。
     シリウスの身体が否応なく踊るのを楽しんでいる。
ラルフ :ワイヤー接続ということは、ある程度、両者の距離は離れているの
     か? 銃で撃って、巻き込まない程度には。
GM  :ファンブルしない限りは大丈夫だ。
ラルフ :なら、バトルライフルをフルオートで撃ち込む。
     36、29、43…と火力が低いなあ。最後にようやく66。
GM  :四龍はふわりと倒れた。
ラルフ :シリウスに駆け寄る。
GM  :一応、言っておくが、この銃撃戦の間にフェイクのことは
     見失ってしまうよ。
ラルフ :それは仕方ない。シリウスの怪我は?
GM  :外傷だけでもかなりのものだ。
     だが、シリウスは歯を食いしばりながら、一息に肩のナイフを抜く。
ラルフ :待っていろ、今、【応急手当】をする*
GM  :君がシリウスの側に膝をついて治療しようとすると、シリウスは
     不意に君の手首を掴んで引き寄せた。
ラルフ :なっ…!
GM  :同時にシリウスは手にしたナイフを投げる。
     その切っ先が、君の背後にゆらりと立ち上がっていた四龍の眉間を
     貫いた。四龍は仰のいて倒れる。
ラルフ :…生きていた…のか。
GM  :確認するならば、こんどは確実に死んでいることがわかる。
     で、振り返った君は、前庭の植え込みの奥に立っている
     フェイクに気づく。
ラルフ :フェイク、何故…
GM  :そう、充分なチャンスがありながら、フェイクは君たちを撃たない。
     侮蔑するような笑みを浮かべ、背を向けて去ってゆく。
     その方向には…
ラルフ :ポトマック・ナチュラリウム、だな。

   10  二龍

GM  :では、ひと足先にポトマック・ナチュラリウムに向かったふたり。
     公園は夜間、閉鎖されています。もっとも、簡単な電子ロックがか
     かっているだけだが。
レイファ:エンジュ、開けて。
エンジュ:わかったよ…と、ごめん。大失敗だ。
レイファ:こんなカギも開けられないの? 仕方ないわね、と言ってぶち壊す。
アヤコ :早い早い。だけど、いいのかしらね(笑)
GM  :では、園内に入った。
     ドーム型の天井は、開園時間中には青空や流れる雲、虹や夕日の
     映像をプログラムで流しているのだが、今は何も映っていない。
     非常灯がぽつりぽつりとあるだけで園内はかなり暗い。立ち木や
     東屋が点在していて、視界も効かない。
     さて、ふたりとも、夜間装備は?
アヤコ :あたし、何もないわ(笑)
ラルフ :そうか。アヤコさん自身はほとんどサイバー化してないもんな。
     IRビジョン*がないんだ。
レイファ:IRビジョンって…ああ、そうか。レーザーサイトとは別物なのね。
     だったら、わたしもないよ。
ラルフ :もしかして、一番マズいふたりが先に行ったんじゃないか?
GM  :ふたりとも、ほとんど手探り状態で進むことになるね。
レイファ:エンジュ、照明をつけてよ。
GM  :サイバーテロの標的になりそうにもない場所ではあるが、仮にも
     ファーストセキュリティエリアだしね、プロテクションは相当、
     手ごわいと思ってくれ。
     ついでに言えば、この時間にいきなりドームが明るくなったりした
     ら、間違いなく警察が駆けつけてくる。
レイファ:仕方ないわね。管理人室を探して、懐中電灯でもみつけましょう。
GM  :では、君たちは暗闇の中をそろそろと進んでゆく。
     《PER》のチェック。
アヤコ :これはそこそこいい目かな。25。
GM  :レイファの背後に人の気配。大柄な男。
アヤコ :あっ…
レイファ:フェイクっ?!
GM  :不意打ちだ。【格闘回避】1/4で。
レイファ:そんなの避けられないよぅ〜
GM  :頭部に打撃。《WIL》チェックだ。
レイファ:またぁ? 倒れるよ。これじゃっ…夢のとおりだっ…
エンジュ:夢? なんのこ…
GM  :レイファからの返事はない。
アヤコ :レイファ〜
GM  :フェイクは気絶したレイファを肩に担きあげる。
アヤコ :やめて! レイファを放しなさい!
GM  :銃を向けられても*動じた様子はない。《PER》チェック。
アヤコ :え?
GM  :アヤコの後方から別の気配が接近している。殺気だ。
     で、そちらに意識を向けた瞬間に、フェイクは薮の中に消える。
アヤコ :ダメよ! レイファを返して!
ラルフ :アヤコ、まずは後ろの敵に集中しろ。
GM  :造花を踏み折って現れたのはチャイニーズ離れした肢体の持ち主。
     グラマラスな女暗殺者−−二龍だ。
アヤコ :あ、ホントに色っぽい*。でも凶悪そう。
     ホークはダンプ男よりこっちと戦いたかったでしょうけど(笑)
GM  :二龍は片足を前に出して身構える。なにか拳法を使うようだ。
アヤコ :ええ〜、格闘勝負?
アビス :近づかせる前に撃つべきだ。
アヤコ :じ、じゃあ撃ちます。こっちの方が速い?
GM  :アヤコさんは車を降りてもけっこう速いんだな。
     そちら先攻でどうぞ。武器は?
アヤコ :44マグナムみたい。
アビス :みたい、って…(笑)
アヤコ :拳銃は使ったことないのよ〜
ラルフ :それ、すごく命中率の悪い武器だぞ? 基本で−20%だから。
     アヤコの技能だと、当てるのが難しいかも。
GM  :2ラウンドで弾切れだし。
アヤコ :確か、名前と火力だけで選んだ気がする。
GM  :そんな、レイファみたいなこと(笑)
     まあ、それしか持ってきていないんだから、使うほかないね。
     ちなみに夜間装備がないので、命中率はさらに−30%。
アヤコ :そ、それは当たらないかも。《LUC》を使います。41。
GM  :41はクリティカルだよ。
アヤコ :あ、ラッキー♪
GM  :二龍はアヤコに飛び掛かろうとジャンプしたところを撃たれた。
     確実に手ごたえを感じる。
     こいつと四龍はアーマー値が0なんで、当たると痛いな。
アヤコ :まだ攻撃してくる?
GM  :いや、地面にうずくまってます。
     で、かすかにシャリシャリ…という音が聞こえてきます。
     なにか、齧っているようです。
アヤコ :戦闘中になに食べてるの〜。なんかイヤ〜
GM  :で、立ち上がった二龍は大量の出血にもかかわらず、
     「くすくすくす…」と笑ってます。
アビス :ドーピングしたな。
アヤコ :ヤク中の相手なんてイヤすぎ〜
GM  :二龍は無防備に近づいて来ます。
     「くすくすくす…シャー(殺)!」
アヤコ :撃つ、撃つ! また《LUC》使うね。49。これで弾切れよ〜
GM  :49だと頭部命中だからな。
     おまけに44マグナムで撃たれると心理判定−3*だし。
     戦線復帰不能だ。アヤコは無傷で済んだね。
レイファ:すごいわ! アーヤ。
アヤコ :ありがと〜…って、レイファはいないのね(笑)
     フェイクを追いかけなくっちゃ。
     あ、その前に二龍の使ってたドラッグ、拾ってっていい?
GM  :地面に錠剤がいくつか落ちている。
アヤコ :じゃ、それをポケットに突っ込んで、フェイクを探しに行きます。
GM  :そのとき、ドームの向こうを暗い影がよぎる。
アヤコ :なに…?

   11  悪魔の声

GM  :警察無線を傍受中のエンジュ。グローバル・ガードがポトマック・
     ナチュラリウム周辺に集結中だ。
     「武装した殺人犯がポトマック・ナチュラリウムに潜伏している
      模様。至急、出口を封鎖せよ。相手に投降の意志がない場合、
      射殺を許可する」
エンジュ:なんだ? 誰がそんな情報を流したんだ?
GM  :飛び交う電波の海をかき回しているうちに、君はある周波数に気づ
     いた。ごく微かで不明瞭な電波だが、明らかに警察とは系統の違う
     交信が混入している*
エンジュ:その無線帯を増幅するよ。なんて言ってるか聞き取れる?
GM  :「こちら《シャンタク・バーズ》*、現場上空に到着。オーヴァ」
エンジュ:《ナイトメア》だ。武装ヘリが来てる!
     レーダーには何も反応してないんだよね? 多分、ステルス仕様だ。
アヤコ :今なんか、空を通ったよ。多分、あれがそう。
GM  :上空からの通信に対して、作戦本部と思しき交信相手の応答が入る。
     「Einverstanden」
     ここで【言語学】のチェックだ。
エンジュ:ええと、わかった。これは…*
GM  :ドイツ語のようだ。
ラルフ :通訳してやる。こっちに回せ*
GM  :では、通訳つきで進行しよう。
     「標的は確実に追い込んである。作戦を続行せよ」
     「サーモセンサー良好。目標を捕捉次第、ナパームを用いる*
      オーヴァ」
エンジュ:焼夷弾?! 公園ごと焼き払う気だ。皆、急いで退避して!
GM  :公園の周囲は警官隊が包囲している。
エンジュ:あ、そうだった。こっちで何か騒ぎを起こして警官の気を逸らす?
GM  :「それでは確実性に欠けるし、おそらく間に合いもしない。
      脱出にはメンテナンス用の地下通路を利用しましょう」
エンジュ:それ、どこにあるの?
GM  :「メガ=シティの地下を網の目のように走っているはずですが、
      テロを警戒して詳細は公開されていません」
エンジュ:わかった、僕が調べるよ。
GM  :「情報の保安レベルは相当高いはずですが、この地区に限定した
      データでいいので、入手してください」
エンジュ:ふんふん、地域限定データか。
GM  :まずは情報の在りかを突き止めるのに【サーチ】1/4。
エンジュ:いきなり1/4かあ。でも、ここで失敗したら皆、死んじゃうし。
     《LUC》を…2ポイント使っておこう。
GM  :オールドギースが貸してくれたのはカスタマイズされた端末です。
     +20%していいよ。
エンジュ:はいはい…と。うわわ、失敗だよ。
     《LUC》使って、今の失敗なかったことにする(笑)
     で、再挑戦…は成功だね。
GM  :パスワード偽証は【コードワーク】1/2。
エンジュ:それは一発で成功。
GM  :中のプロテクションソフトも手強いことは予想がつく。
     【データブロー】で先制しておくか? 判定は1/4。
エンジュ:1/4はキツいなあ。かと言って、ここで《LUC》を使い
     果たすのもどうかと思う。
     いいや、僕は【イメージファイト】の方が得意だから、
     ここは真っ向勝負。
GM  :では、目の前に現れるのはデーモン・プログラム、一体。
     その容量のすさまじさを、君はサイバーイメージの巨大さ
     として認識する。
     念のため、持ち込んだソフトを確認させてもらおうか。
エンジュ:分身のアンジュ君が防御ソフトとマジックソフト。
     僕はダメージ追加と防御ソフト、ドレインソフト、アイスオーブ。
GM  :ジョーカーの《アラクネ》*をサポート用に貸してやろう。
     防御/攻撃、どっちを命じる?
エンジュ:ここは急ぐ。攻撃で。
GM  :ではエンジュからどうぞ。
エンジュ:アンジュ君は毎ラウンド命中だからまず3ダメージ、
     僕が当てて5ダメージ。
GM  :アラクネの攻撃はこちらで振らせてもらおう。命中。
     デーモンの攻撃は…エンジュだな、9ダメージ。
エンジュ:4ポイントまでは防御可能だから5ダメージだね。このまま行くよ。
     ええと、アンジュが2ダメージの、僕は…やった! クリティカル
     で12ダメージ*
GM  :アラクネは外した。デーモンは…アンジュに。
     こっちもクリティカルが行くぞ。27ダメージ。
エンジュ:うわっ、そんなの防げるはずない。回線が焼き切れた。
     アンジュ君消滅*
     3倍ダメージで27ってことは攻撃力は2D6くらいかな…
GM  :「エンジュ、急いでください」
エンジュ:あ、ごめんね。こっちの攻撃行くよ。5ダメージ。
GM  :アラクネが攻撃。これで、デーモンは警報を発して消滅する。
エンジュ:警報?
GM  :HPが0になると自動的にAHPに通報する仕組みだ。
エンジュ:うひゃ。早くデータを探さないと。
GM  :【サーチ】で1/2。
エンジュ:それは成功。
GM  :1/4だと?
エンジュ:さすがにそこまでは無理だね。
GM  :では、データは入手できたが、AHPに発見された。
     《WIL》を消費して逃げるように。
エンジュ:じゃあ、10ポイント消費して追っ手をまく。
     ジョーカー、データの読み出しお願い。
GM  :では、ジョーカーは携帯端末にデータを移し、SMGを取って
     立ち上がります。
     「これから、地下道に潜ります」
エンジュ:え? 無線で開口部に誘導するだけじゃダメなの?
GM  :「メンテナンスハッチはカモフラージュされていますから、
      場所を指示しても地上側からでは見つけられないでしょう。
      あなたはどうしますか?」
エンジュ:うーん…車に残ってても運転できないし、ジョーカーと
     一緒に行くよ。
     

   12 大龍

GM  :さて、場面を転じて…ラルフ。
     シリウスはフェイクを追ってポトマック・ナチュラリウムに
     入ってゆく。
ラルフ :何故か入り口の鍵は壊れてるんだな(笑) もちろん、ついてゆく。
GM  :暗い公園を前にして、シリウスは「ここからはひとりで行く」と
     言うけど?
ラルフ :おまえを守れというのがジョーカーの依頼だ。
GM  :「俺が護衛を頼んだわけじゃない。
      俺は戦いの場では誰とも組まないことにしている」
レイファ:誰があんたと組むなんて言ってるのよ。
     わたしはわたしのやりたいようにやっているだけ。
GM  :おいおいおい(笑) レイファはここにいないだろ。
レイファ:…ってまぁ、わたしだったらそう言って勝手についてく
     だけってことよ。
ラルフ :ここはこのとおりの暗闇だ。
     ノンサイバーのおまえが不利なのはわかりきっている。
GM  :「俺は必ずしも不利だとは思っていない」
ラルフ :そりゃ、NPCは戦闘自動処理かもしれないけど…
GM  :「ひとりで行かせてくれ」
ラルフ :俺は俺の信念に基づいて依頼を遂行したい。
GM  :《PER》のチェックを。
ラルフ :36。
GM  :君の増幅された知覚は、この場に忍び寄るひとつの気配を
     感じ取った。
ラルフ :誰だ?!
GM  :出てきたのは青白い肌をした長身の男だ*
ラルフ :江南的九龍?
GM  :そのとおり。
     大龍*は君たちを視認すると、ベルトのポケットから注射器を
     取り出し、自分の胸に突き立てる。
アヤコ :ひ〜(笑) い〜や〜
レイファ:なんか、こいつら皆、アブない連中だよ。
GM  :ピストンを押し込んでゆくと、目に見えて大龍の上半身の筋肉が
     盛り上がり、変形してゆく。
ラルフ :う…生理的嫌悪。だが、逃げるわけにもいかないんだろうな。
エンジュ:ここは是非、少年漫画的展開を(笑)
ラルフ :それもひとつの解決策だぁな。
アヤコ :もし、時間的に矛盾がないなら、あたしがここでダメ押しを
     してあげよう*
     レイファがフェイクに攫われたの! 見失っちゃったのよ〜
ラルフ :…ということだ。シリウス、ここは俺に任せて早くレイファを!
GM  :では、シリウスは闇に消える。
     ラルフと大龍の対決だ。
     大龍が手元のスイッチを押すと、手にした刀がハウリングにも似た
     音をたてはじめる。
ラルフ :高速振動剣!*
アヤコ :触ったらスッパスパね。
ラルフ :どのみちこいつとはお近づきになりたくないので、先制で
     撃たせてもらいます。
     バトルライフルのフルオートで…クリティカル!
GM  :肩の肉がごっそり抉られた。だが、大龍は痛みを感じた気配はない。
ラルフ :ドラッグのせいだろうな。二射目、76。三射目、42。最後は…
     またクリティカルだぜ! チャートは9。即死のはずだ。
GM  :胸を7.62mm弾が突き抜ける。それでも、まだ前に進んでくる。
ラルフ :なんでだ!
GM  :先に振ってもらったけど、実際は同時攻撃なんで。
     【格闘回避】1/4。
ラルフ :ここは《LUC》を使っておこう。ノーマルまで戻して成功。
GM  :高周波ブレードのなぎ払いで君の前髪が薄く削ぎ落とされる。
     だが、その刃は君の身体に届くことはなかった。大龍は前のめりに
     倒れる。
ラルフ :頭部を完全に破壊してからシリウスを追うぞ。
GM  :では、君は気づいていい。上空のヘリが攻撃体勢に入っている。

   13 背水の陣

GM  :一方、ポトマック・ナチュラリウムに逃げ込んだアビスとホーク。
     三龍は間を詰めてはこないものの、無尽蔵の体力で追ってくる。
レイファ:うおおおーっ
アヤコ :ドスドスドス。
GM  
:というのが背後から聞こえてくる(笑)
アビス :逃げると言ってもな…
GM  :ホークもアビスもサイバーアイにIRビジョンが組み込んである
     ので周囲の様子が確認できる。
     行く手には人工の池があるようだ。
アビス :わかった。沈めよう。
     おれは池の縁に立つ。ホークは近くの木陰に入れ。
GM  :「了解」
エンジュ:まさに背水の陣ってやつだね。
GM  :では、三龍が来た。さすがに訝しんで突っ込んでは来ないけど?
アビス :ナイフを構えて挑発する。
GM  :では、近づいてくる。
アビス :掴まれる寸前で躱す。【格闘回避】は成功。ホーク、撃て!
GM  :では、ホークが三龍の背中にSMGを掃射して、池に叩き落とす。
     派手な音を立てて巨体が池に嵌まった。
アビス :公園の池なんだから、そんなに深くはないだろう。
エンジュ:でも、重いの着てるんでしょ? 浮いてこれないよ。
GM  :と、油断した頃合いにザバアッと水しぶきがあがる。
アヤコ :ひゃー
GM  :三龍復活!
     と思いきや即座に銃声が響いて銃弾が三龍の首を射貫く。
     ふたたび派手に水を撒き散らして、三龍は沈んでいった。
     「狙いどおりだ。兜を外してくるのを待ってたのさ」と、
     ホークが空になった弾倉を叩き落としながら言う。
ラルフ :…なんか変だ。
アヤコ :いつもの情けないホークじゃな〜い(笑)
レイファ:絶対に違うわ。こいつ、フェイク・ホークね!
GM  :あんたら、ホークに対する信用度ってものはないのか(笑)
     さて、ポトマック・ナチュラリウム上空を旋回していた黒いヘリの
     腹が開く。天井を突き破って何か落ちてきた。
     と、それは激しく炎を吹き出しながら炸裂する。
アビス :焼夷弾か。
GM  :夜の公園は灼熱の昼に取って代わられた。
アビス :戦場を、思い出す…

   14  脱出経路

GM  :では、エンジュは携帯端末を持ってジョーカーについて行くこと。
     ポトマック・ナチュラリウムの真下へ誘導してくれ。
エンジュ:急がないと皆、死んじゃう。
GM  :では、地下道を走っている最中…《PER》のチェック。
エンジュ:うわ、なんだ?!
     江南的九龍がここまで僕らの行動を読んでる?!
GM  :いや、さすがにそれはない。
     しばらく、人の侵入した形跡はない。人は…ね(笑)
     天井から巨大な吸血ナメクジが落ちてくる。
     なんとか直撃は回避した。
エンジュ:ミュータントってファーストセキュリティエリアにもいるのぉ?!
GM  :地下だし。
     さあ、別の道を探すか? ナメクジを退治してから行くか?
エンジュ:無視して通れない?
GM  :体長2メートルのナメクジだぞ?
エンジュ:そんなにデカいの?! 塩撒くよ、塩。
GM  :そんな装備はない(笑)
     ジョーカーはSMGで攻撃。《WIL》は低いので、撃たれた
     一匹は逃げた。
エンジュ:え…た、たくさんいるの?
GM  :あと2匹だ。
エンジュ:なら、ここはジョーカーに任せる。
GM  :武器もってきてるだろ?
エンジュ:だって、短針銃だよ。
GM  :それなら生物には有効だ。ここは狭いんだし、使えるぞ。
エンジュ:でもいいや。この敵ならジョーカーひとりで充分でしょ。
GM  :おまえ、何しについて来たんだ。
エンジュ:道案内だってば。
GM  :こいつは…。
     では、ジョーカーひとりでミュータント・ナメクジを撃退。
     先に進む。
エンジュ:あ、待って、ジョーカー。もうこの辺だよ。
GM  :メンテナンス用のハッチを開けた瞬間、熱風が吹き付けてくる。
     人工の草木で彩られた公園は炎の海と化している。
     有害な煙が渦巻き、視界もきかない。
エンジュ:僕はセイフティラング*にサイバーアイなんで、煙は大丈夫。
     携帯端末で皆の位置を確認して、ここへ誘導するよ。
     だけどシリウスだけは連絡手段がないんだよね〜。
     ジョーカーが勝手にシリウスを探しにいかないよう見張っとく。
GM  :では、アヤコとレイファだけ残ってくれ*
アヤコ :やだな。逃げ遅れたらしい(笑)

    15 炎熱回廊

GM  :時間的には、まだ爆撃が始まる前。
     アヤコは、レイファとフェイクを探して公園を走り回っている。
     で、ラルフがシリウスと別れて大龍を倒した頃かな。
     君は人工樹に縛られているレイファを見つける。
アヤコ :レイファ〜って…あ、声出したらマズいのかしら。
     こそこそ背後から忍び寄ろう。
GM  :後方から近づくと、レイファの前方には芝生広場があり、
     そこにロングコートのシルエットがうっすらと見える。
アヤコ :ロングコートってことはフェイクの方よね。
     ええと、そっちは無視して、先にレイファの方に行きます。
GM  :では、レイファも意識を取り戻していい。アヤコが助けに来たよ。
レイファ:ロープは解ける?
GM  :ロープじゃないんだな。ワイヤーで手首が括られている。
アヤコ :ワイヤー切る道具がないよ。
     ランドブラスターセットになんかあったっけ?
GM  :工具の中にか? そうだなあ…
レイファ:わたしの腰の後ろに単分子ナイフがある。
     取り上げられてなければだけど。
GM  :そのままにしてある。
     単分子ナイフを使うなら、あとはアヤコの《STR》でチェックだ。
アヤコ :あたし、あんまり《STR》高くないんだけど…えい。
GM  :では、多少時間はかかったが、レイファの右手が自由になった。
レイファ:あとはわたしがやる。アーヤ、ナイフを貸して。
GM  :レイファの《STR》なら問題ない。
     左手のワイヤーもブツリと切れた。
レイファ:よし、行こう。
GM  :ところが、まだ逃げられない。
     髪の毛が手の届かない高さの枝に巻き付けてある。
レイファ:ちっ。わかった、髪を切るわ。
アヤコ :ええっ、そんな。
レイファ:これはむざむざ捕まったわたしへの戒め。髪を切ります。
GM  :では晴れて自由の身になった。
     前方の広場にはフェイクが立っている。
     君らの動きはむろん、気づいているが、あえて干渉しない。
     もはや君たちが逃げようと関係はないようだ。
     彼の視線の先にはこちらへ向かってくるシリウスがいる。
レイファ:サイバーレッグから手榴弾を取り出しておく。
GM  :了解。シリウスはフェイクの手前、10mほどで足を止める。
     「今宵、おまえとおれとを引き合わせてくれた神に感謝しよう」
     シリウスは.357マグナムを構えるが、フェイクは動かない。
     「おまえは今夜、塵に帰る。《ケルベロス》のようにな」
     その言葉を聞いた瞬間、シリウスの表情が押し殺した怒気を孕む。
     「貴様、ケルベロスの何を知っている?」
     「特殊武装機動隊だ。今から、丁度7年前か…
      裏切りにあって全滅した、愚か者の集団だったそうだな」
     シリウスの中でふたたび何かが動くのがわかる。
     それは激しく弾けるような怒りではなく、高温の青白い炎とも
     形容すべき、静かな、だがすさまじいまでの奮りだ。
     シリウスが銃を握る手に力を込める。と、その瞬間、天井が砕け、
     燃え盛る破片が降り注ぐ。
アヤコ :キャア!
GM  :《シャンタク・バース》はサーモスキャナーを使って、的確に
     人間を狙って爆撃している。シリウスの目の前にも爆弾が落ちた。
     人の背丈を越える高さに炎の壁が吹きあがる。
     踏みとどまろうとするシリウスを炎の向こうから見据え、
     フェイクが微笑する。
     「懐かしい光景だな…まるで炎熱の回廊だ。
      シリウス、おまえは素晴らしい戦士だ。おまえと闘えることに
      おれの胸は高鳴り、血液が熱くなってくる。
      おれは今、生き甲斐すら感じている…
      おれは、また改めておまえに挑戦するぞ」
     焼夷弾の熱に煽られて、顔の特殊メイクが少し、崩れかかって
     いるのがわかる。
     そして、フェイクは踵を返し、背中で言う。
    「あばよ」
     その姿はそのまま炎の回廊の奥に去っていった。
レイファ:あいつ…
GM  :最初の焼夷弾を落とした後は、サーモスキャナーは使えない。
     《シャンタク・バーズ》は無差別爆撃に入る。
     君たちの周囲にも炎が迫ってきた。
アヤコ :これじゃ、追うのは無理よ。とにかく逃げましょう。


 
   16  緊急離脱

GM  :では、エンジュを除く皆に脱出ポイントまでの移動チェックを
     してもらおう。
     ラルフとアビス、ホークはそれほど爆心にはいなかったので、
     《REF》+《LUC》の平均+2D6で判定。
     アヤコとレイファは+1D6だ。
エンジュ:シリウスは?
GM  :レイファたちが連れてくるだろう。
レイファ:行くわよ、シリウス。
アヤコ :きゃあ、失敗しちゃった!
GM  :ではこちらでダメージ判定を…
     左腕に焼けた人工樹脂が滴り落ちてきた。
     HWダメージと《WIL》チェック。
アヤコ :熱つ、熱っ! 叩き落とす。
レイファ:アーヤ、走れる?
アヤコ : 大丈夫。それよりちゃんとシリウスを引っ張っていきましょう。
GM  :シリウスは全身傷だらけ。
     四龍とやりあったとき、相当、痛め付けられているからね。
     よく意識があるな、という感じだ。これまでの蓄積してきた
     疲労が、今になって響いてきている。
レイファ:なんなら担いでいくけど?
GM  :それには及ばん(笑)
     では、全員、地下道への入り口に到着した。
ラルフ :レイファ、無事か?
アヤコ :髪の毛、切っちゃったのよ〜。そりゃもうばっさり。
エンジュ:うわ、どうしたのさ。
ラルフ :無事ならそれでいいから。とにかく、ここを離れよう。
GM  :では、地下道を通ってポトマック・ナチュラリウムから離脱した。
     地上に出て振り返れば、半円形のドームが炎を吹き上げて崩れて
     ゆく。
エンジュ:あーあ、またファーストセキュリティエリアで大被害だ。
     第一級保安区も形無しだね。
     メガ=シティ側もそろそろ、威信にかけて調査するんじゃないの?
     ところで、フェイクは?
アヤコ :どっか歩いて行っちゃったよ。
エンジュ:他に出口があるのかなあ?
     でもさあ、なんか、フェイクを巻き込んでも構わないって
     感じの爆撃だったよね。
レイファ:わたし、あの男にもう一度、会いたいな。
アヤコ :え? どうしちゃったの?
ラルフ :フェイクは確信犯だ。改心させるのは無理だと思うぞ。
レイファ:ううん、改心させるとかじゃなくて…
     なんか、あの男、嫌いになれない。
GM  :(ほう?)
アヤコ :ええっ? そうかなあ。確かにシリウスとタイマン張れる強さ
     だけど、レイファの趣味にしちゃ若くない?
レイファ:別に、じじいだったら誰でもいいってわけじゃないわよぅ。
ラルフ :おまえ、自分より強い男が好きだもんな。
レイファ:そういうんでもなくって…
     まあ、いいや。あれでフェイクが死んだとは思えないし、
     きっとまた出てくるはず。
GM  :さあ(笑)
     とりあえずは《ワイルド・ギース》まで戻ってもらおうか。
     情報交換と、怪我の治療をしよう。
     ちなみに、疲労困憊のシリウスは《ワイルド・ギース》の
     戸口をくぐった時点で気を失って倒れてしまう。
レイファ:運んであげるわよ。
ラルフ :正気に戻ったらいやがるぞ。
レイファ:いや、先日のお返しということで(笑)
GM  :シリウスは下の階の治療用タンクに放り込まれて、以後、面会謝絶。
     他の人の負傷に関しては一週間程度で完治する。
アヤコ :あたしの火傷も?
GM  :メタルヘッド世界では細胞の急速培養による治療法が確立している。
     損傷した部分を切除して、新たに身体組織を生成するもので、傷痕
     も残らないよ。
アヤコ :よかった。
GM  :まあ、髪の毛までは元に戻らないが。
レイファ:アヤコも毛先がちょっと焼けちゃったね。一緒に美容院に行こうよ。
アヤコ :いいけど、あたし、ショートにはしたくないから整える程度かなあ。
レイファ:わたしはこの際、思い切って短くしてもらうよ。
アヤコ :えー、ベリーショート?
ラルフ :おいおい、美容院に行く前に、フェイクとシリウスの間で何が
     あったか教えろよ。実際、ふたりの対決を目の当たりにしてるのは
     君たちだけなんだから。
レイファ:あー、なんだっけ。
     フェイクがシリウスに「おまえも全滅した《ケルベロス》と同じ
     運命を辿れ」とかなんとか言って、それでシリウスが燃えちゃった
     のよね。
アヤコ :なんか、ふたりには昔の因縁があるっぽかったよ。
     だけど、そこに爆弾が落ちて来て火の壁ができちゃって。
レイファ:「あばよ」とか言って、フェイクは去ってったわ。
ラルフ :その瞬間に惚れたのか(笑)
エンジュ:《ケルベロス》って何だろう?
     アビス、なんか知ってる?
アビス :何故、おれに聞く?
エンジュ:全滅したとか言ってるから、傭兵部隊かなと思って。
GM  :アビスは《INT》チェックをしていい。
アビス :悪いが、記憶にないな。
エンジュ:ふうん。ま、過去のことに関して、僕らがあまり詮索するのも
     いけないのかな。ジョーカーの依頼も果たしたことだし。
ラルフ :なに言ってんだ。まだ終わってないじゃないか。
エンジュ:え、だって、ちゃんと生きて帰って来れたじゃん。
ラルフ :フェイクがまだ残ってるだろうが。あいつとのケリをつけない限り、
     シリウスは何度でも出掛けてくぞ。
レイファ:わたしもここで終わりとは思ってない。
     シリウスの回復を待って、話をしに行くわ。桃饅もって♪
GM  :桃饅…。
     それはそうと、戻って来た君たちから報告を聞いたオールドギース
     は「いささか腑に落ちない」と言った顔をしている。
エンジュ:なになに? 何が変なの?
GM  :「《シャンタク・バーズ》はともかく、《ナイト・ゴーンツ》が
      このネオ=アップルに残っていることは在り得んはずだ」
アヤコ :どうして?
GM  :「《ナイト・ゴーンツ》の基地となっていたのが、廃船《九頭竜》
      だ。三カ月前、わしらはそれを突き止めて《九頭竜》を沈めた。
      《ナイト・ゴーンツ》はそのときに全滅したはずじゃ」
エンジュ:ふうん。でも、アビスたちが倒したのって、格闘仕様の改良版だっ
     たんでしょ?
アビス :まあな。おれはオートプロテクターについてはよく知らんが…
GM  :形状は確かに別物だったよ。
エンジュ:開発中の別動隊がどっかにいたのかも。NASS*のビルとかさ。
GM  :「そういえば、お嬢ちゃん」
レイファ:なによ?
GM  :「ちょうどいいタイミングだから言っておくが…シリウスから
      話は聞いとるわい」
レイファ:ろくでもないこと吹き込まれてないでしょうね。
GM  :「お嬢ちゃんは自分のオートプロテクターを欲しがっているという
      ことだったが…」
レイファ:そうよ! じーさん、手に入れられるの?
GM  :「お嬢ちゃんは市販品で満足できるのかね?」
     オールドギースはプラスチックペーパーをひらひらさせる。
レイファ:設計図? オリジナルのオートプロテクターね!
     じーさん、作ってくれるの!
GM  :「基本のアイデアは出来上がっておる。お友達の分もな」
アヤコ :え? あたしの?
GM  :ラルフとホークの分もだ。
     「《ナイトメア》と本気でやりあうつもりなら、今の装備では
      心もとないだろう」
     アビスにはすでにハリーがいるので、オリジナルCS用のパーツを
     手配するということで代用させてもらう。
     エンジュには…そのうちなんかやるから(笑)
エンジュ:はーい。
GM  :「あとは、精密な採寸をさせてもらって作成にかかるだけだが…」
レイファ:作って♪ 作って♪ 早く作って♪
ラルフ :これ以上レイファを暴走させて収拾つくのか、GM?(笑)

   17 休暇の終わり

GM  :さて、君たちはポトマック・ナチュラリウム炎上以後も《ワイル
     ド・ギース》を作戦本部として使っているんだが…
エンジュ:ジョーカーも? オフィスは休業中?
GM  :まあ、そういうことだろう。
     ジョーカーもあれで事件が収まるとは思っていないようだ。
     で、各人、怪我の治療やオールドギースとの打ち合わせなどで
     一週間を過ごした。
     そして、週明けにニュース番組がふたたび異変を告げる。
     「たった今、ファーストセキュリティエリアにあるグローバル・
      ガード本社ビルの一角で爆発があり、職員数名が死亡する
      事件が起きました」
エンジュ:グローバル・ガード本社! CBI長官は無事かな?
GM  :「爆発があったのは、CBI第4課の調査係室です。
      死亡が確認されたのはA巡査、B巡査…。あ、たった今、爆発
      直前にかかってきた不審人物からの電話の録音データが入手
      できましたので、オンエアします」
     アナウンサーが黙り、スピーカーからノイズの多い不明瞭な
     音声が流れてくる。
     最初に、電話をとって応対する警官の声。
     それを遮るように男の声が言う。
     「CBI第4方面本部の諸氏にメッセージがある。
      おれの名はシリウス。シックス…ファイブ…」
ラルフ :フェイクだ。奴も動いたか。
GM  :警官が説明を要求するのを遮って、男はカウントダウンを始める。
     そして、0の声の代わりに爆音が入って通信は切れた。
エンジュ:どうやって爆弾を仕掛けたのかな。
     外からAT弾を撃ち込んだ、とかいうんじゃないんでしょ?
GM  :室内で爆発だ。
アヤコ :パターンとしては宅配便で送り付けるとか。
アビス :店屋物に偽装して届けるとか。
レイファ:警察で店屋物って言ったらカツ丼よね! 取調室ご用達。
GM  :そんなCBIはイヤだ(笑)
     ニュースに戻るぞ。
     「警察はこれを犯行声明とみて、犯人の特定を急いでいます」
エンジュ:またファーストセキュリティエリアだよ。
     《ナイトメア》って、もっと陰で動くもんだと思ってたんだけど
     なぁ。
ラルフ :《ナイトメア》じゃなくてフェイクだからじゃないのか?
エンジュ:まあ、今度のことはそうだけど、華僑ビルのときとポトマック・
     ナチュラリウムのときは思いっきり、子飼いの部隊を動員してる
     から、《ナイトメア》の作戦なのは間違いないんだ。
GM  :「警察がその情報を共通認識として持っているかが問題じゃな」
     オールドギースはカウンターに手をついて言う。
     「一方は正体不明の部隊、それに対して、フェイク=シリウスは
      自分が犯人だとメディアに宣告している。
      仲間を殺された警察は威信にかけてもシリウスを狩ろうとする
      じゃろう。これで、ネオ=アップルは巨大な檻と化したな」
レイファ:そんなものはブチ破ればいいのよ。
ラルフ :おまえ、まだ力押ししか考えてないのか。
GM  :君たちがそうやって騒いでいると、店の奥の扉が開く。
     立っているのはシリウスだ。
     シリウスはニュースを続ける画面を見据えてつぶやく。
     「どうやら、第2ラウンドのゴングが鳴ったようだな」

            (後編につづく)


 第7話(後編) 予告
 
 
なぜにと問う。ゆえにと答える。
 だが、人が言葉を得てより以来、問いに見合う答えなどない。言葉なき信念と行動こそが、百万の言葉を費やすよりも雄弁に語る時がある
 たとえ、それが銃弾を交わすことであろうとも。
 次回、『フェイクの日〜鎮魂歌が聞こえる〜』。
 生き残った者だけが、生き残った己を呪うことができる。
 

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