Back Ita Benri Touhi

 布にシュシュっとする感じの便利なお薬があります。そしてそれと同等の機能を主張する お薬もあります。そのお薬は多企業・多分野において同じブランドを用いて、 なにやらおしゃれ感覚を植え付けて皆で上手に売りさばいていきたい旨の オレンジ基調の品なのですが、除菌作用があるしアルコール系の物であるので 昆虫の類の皆様にはテキメン効果があると思われます。
 ということでアタック。
 霧圧に飛ばされるように力なく崩れ落ちる彼の勇姿。下手な薬物を与えたときのように ケツに火のついたマリオ宜しくノンストップで走りつづけるようなこともなく、 その場でもがいておられます。
 ここまで来れば残るはキャッチ&リリース。弓手にビニール袋、馬手に化粧紙をば 構えて奴さんが射程圏内にやってくるのを待っていた訳ですが、なんせその場でジタバタ なされております故にやってこないのであります。その間四つんばいになって伏せながら 待ち構える私の姿は、悶える彼にもまして勇ましかったことでしょう。
 しかし、戦いはあまりにも長すぎました。いや、永いといったほうが良いのかもしれません。 薬効成分が揮発したのか彼はなんとか立ち上がり、ゆっくりと、それでいて確実に 壁の方へと向かっていきました。壁を40cmばかり登ったところで僕は下方に構えた ビニール袋に向けて、化粧紙で彼を叩きいれました。
 僕の眼は潤んでいました。が、それは薬まいて低く伏せたから目に入って染みただけでした。