「おはよう、オーフェン。今日も寒いわね」
赤く燃え上がる暖炉。その側に座っていたスーツ姿の女が、食堂に入ってきた男に声をかけた。
「確かに雪も降っているしな」
黒髪、黒目、黒づくめの男が不機嫌そうに答えた後、女の方をにらむ。
「って、コギー・・・何でお前が暖炉の側にいるんだよ」
「フッ・・・甘いですな黒魔術士殿」
銀髪の執事キースが言い、それに背が低く、剣を腰に携えた地人ボルカンが勝ち誇ったように続ける。
「うむ、起きるのが遅かったのが貴様の敗因だ」
「おい副ダヌキども、何でお前達がココにいるんだ」
「みぎゃぁー!」
ボルカンの頭を手でつかみながらドーチンに聞く。
「僕たちの家は隙間から雪が入ってきて寒いんですよ」
「どっちかって言うと、アレは家じゃなくて小屋だろ」
オーフェンの言葉にドーチンはうなだれて言う。
「反論できません」
「オーフェン様、お飲物を持って参りましたわ」
オーフェンが声に反応して振り向くと、カップを持ったウエイトレス姿の女が立っていた。
「あぁ、悪いなボギー。・・・ところで何か変わった色をしているが?」
「はい、オーフェン様。キースから頂いたモノですわ」
その言葉を聞いて、オーフェンは口に持っていきかけたカップをテーブルへ置いた。
「あら、オーフェン様?お飲みにならないのですか?」
「そうですよ、黒魔術士殿・・・まるで私が毒か何かを入れたようじゃないですか」
天使のような笑顔で言ってくるキースを、あっさりとオーフェンは言い返す。
「きっぱりとそうだろうが!」
キースと口論しながら、ふと横を見るとドーチンが疲れた顔をして立っていた。
「どうしたんだ?ドーチン」
「い、いえ・・・オーフェンさん、・・・あの・・・兄さんが・・・」
と、言いながらドーチンがテーブルの方に目線を送る。オーフェンもつられて視線を送った。
すると、テーブルの上には空になったカップ、そしてテーブルの下にはコンスタンスとボルカンが転がっていた。
「アホかぁー!」
毒を飲んで倒れている二人に向かってオーフェンは叫んだ。
外はまだまだ寒そうだった・・・