第五回「俺に対する当てつけか」(後編)

 「ほー。今回はマジだな」
 「当たり前だ。いつもいつもやられっぱなしでいられるか」
といいながらポケットからみなれた革のグローブをとりだしてはめる。
 「おい、それは俺が今日なくしたやつじゃねえか。」
 「ああ、そういえば今日ははめてなかったわね。」
 「いや、きずけよ。」
 すでにオーフェンとコギ−がしゃべっている間に、ボルカンは両手にグローブはめて
準備万端だった。
 「ボルカン。貴様どこから調達してきやがった。」
 「ふ、親切な奴が俺様の人徳にひかれて献上したのさ。」
 「いってろ。俺のグローブのレンタル料きっちりと払ってもらうぞ。」
 そういいながらオーフェンは体を少ししずめる。
 「は、ふみたおしてくれるやる。」
といい、オーフェンにむかって突進する。
 ボルカンのくりだしてきた右拳を軽くさばき、オーフェンの手刀が首の付け根にあたっ
ておわりのはずだった。
 しかし、ボルカンの左手、いや正確にはグローブがオーフェンの攻撃をはじいた。
 そしてそのまま、ボルカンの意思とは関係なしに右手から攻撃が出される。
 ボルカンの攻撃を紙一重でかわしつつ後ろに下がる。
 オーフェンの頬から一筋の血が流れる。
 「オーフェン!」
 オーフェンのおもわぬ苦戦に声をあげるコギーに適当に手をあげる。
 「はっはっは。どうした黒魔術士、本気の俺様に手も足もでんようだな。」
 「ぬかせ。」
 どうやらボルカンは自分の力だと勘じがいしているらしい。
 「いくぞ、黒魔術士」
 再びボルカンが先と同じ単調な攻撃を繰り出す。
 (悪く思うなよ)
 今度はボルカンの動きを読んですばやく攻撃に移る。
 オーフェンの渾身の一撃を左グローブは軽く横に方向かえ、右グローブからの攻撃に
なすすべもなく吹き飛ばされる。
 「く。」
 思ったよりも鋭い攻撃を受け、よろよろと立ちあがる。
 「大丈夫。オーフェン。」
 みかねてコギ−がかけよってくる。
 「ああ。」
 「なにあれ、ドーピングでもつかってるの。」
 「いや違う。あのグローブのせいだ。大方キースの奴が細工したんだろうがな。」
 「じゃあ簡単じゃないの。」
 「え?」
 コギ−はオーフェンの耳元でごにょごにょとしゃべる。
 「なるほど。」
 「むだむだ、今日の俺様は絶好調。」
 「は、ごたくはいいからかかってきな。」
 「ふっ。これで貴様も年貢の納め時だ。」
 3度目の正直とばかりにつっこんでくるボルカンを軽くかわす。
 「はっ、むだなことを。」
 かわされながらわめくボルカンに足を少し出す。するとオーフェンの出した足に見事に
ひっかかり地面にダイブした。
 「いてて、この暴力黒魔術師め。扉を日曜大工でつくりこ、ろ、・・・」
 ボルカンが顔をあげると、顔は笑っているが目が怒っているオーフェンが立っていた。
 「さあボルカン、死ぬ前に言い残すことはあるか?」
 「ええっと、ごめんね。」
 「ごめんですむかー。」
 オーフェンの放った魔術がボルカンを黒焦げにした。
 「やったわねオーフェン。」
 「ああ。」
 オーフェンは黒焦げになったボルカンからグローブを取り返す。
 「どーせキースの奴が改造してボルカンに渡したんだろ。」
 「あれオーフェンなにかはさまっていたわよ。」
 グローブにはさまっていた小さなメモ用紙をみてみる。
 「えーと、なになに。証拠は隠滅するものです。えっ。」
 その瞬間持っていた急に燃え出した
 「あー。俺のグローブが。」
 あっという間に燃えたグローブを前にオーフェンはくずれおちた。 
<おわり>

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