トントンとリズム良く足音を立てて男が一階へと降りてきた。
男は20歳ぐらいで上から下まで黒でまとめられ、首からドラゴンの紋章を下げていた。それはこの大陸の魔術士の一般的な容貌であった。
「おはよう、オーフェン。」
下に降りてきたオーフェンに、朝食を食べているコンスタンスが言った。
「ああ・・・」
軽く返事をしていつものカウンターに座る。
「オーフェン、何か飲むかい?」
「ああ、適当に頼む」
バックアップの問いにオーフェンが答える。そしてふと横に置いてある手紙に気がついた。
「これは?」
「ああ、銀髪の執事がオーフェンに、と置いていったぞ」
「・・・俺にか」
いぶかしそうに手紙を開けて読んでいたオーフェンの顔がみるみる怒りの形相になっていった。
「あの、福ダヌキども!」
と、言いながら手紙を丸めて走って宿を出ていった。
人気の少ない昼頃の広場に着いた。
「おい、こら!福ダヌキどもっ、出てきやがれっ! 今直ぐに出てきて地面に顔を擦り
付けて謝れば、半殺しにしてゴミ袋に詰め込んで川に流すぐらいで許してやる!」
「それは死んじゃうと思うけど・・・。」
いつの間にかついてきたコンスタンスのつぶやきを無視して続ける。
「とっとと、出てきやがれっ!」
「はっはっはっ!踊れ踊れ!貴様は所詮、俺様の手の上で踊る人形なのだ!」
「ちっ」
何処からか聞こえてくるボルカンの声にオーフェンは舌打ちをした。
「・・・ねぇ、オーフェン、アレじゃないの?」
コンスタンスがオーフェンの服を引っ張りながら指をさす。その方向を見ると、建物と建物の間にドーチンが大の字になって、地面から3mぐらいの所で背中にボルカンを乗せて耐えていた。
「ふっ・・・見つかってしまっては仕方がない。しかし、この俺様がリンゴをすり殺すように・・・」
「に、兄さん・・・きゅ、急に立ち上がるとバランス・・・がぁ、ああーー!!」
ドシン!と大きな音をたてて、乗っていたボルカンごと地面に落ちた。
「おい、てめぇら・・・当然、処刑だ!」
オーフェンは腕をまわしながら二人の方へ近付いていった。
「ふっ・・・今日の俺はひと味違うぞ!」
と、言いながら、ボルカンはスクっと立ち上がって剣を抜いた。その後ろではドーチンが目を回していた。
「ほぉ〜、今日はマジだな・・・」
<つづく>