魔術士オーフェンはぐれ旅
第弐話「光差す庭」 ある日の昼。
俺は、何時ものように、マジクとクリーオウをつれて・・・
いや、勝手について来たと云うべきか・・・
ある山の中を歩いていた。
というのも・・・ある日のある朝。
「お師様!」
マジクが声を上げながら、急ぎ足で階段を登ってくる音が聞こえる・・・
俺は、その声と音に目を覚ました。
いったい、どうしんたんだ・・・こんな朝早くに・・・
俺は、シーツを捲り上げて、体を起こした。
それから、大きく背伸びと欠伸を同時にした。
カーテンを開けて、窓を開けて新鮮な空気を部屋に入れる。
良い天気だ。
「お師様!大変です!大変なんです!」
マジクがそう云って部屋に入るや否や、俺に一通の手紙を突き出した。
「読んで見てください!」
「ああ・・・」
俺はマジクに云われて、手紙に目を通した。
・・・
「・・・単なる依頼の手紙じゃないか・・・」
「でも、その依頼主が大変なんです!」
マジクは手紙の最後の部分を指差す。
・・・何々、アルカディア・ペーネイオス・・・
「誰だ?聞いたこと無いな・・・」
「知らないんですか?
山を一つ越えた街の外れに立っている豪邸の主ですよ!」
「ほう・・・」
「そのアルカディアさんがですね、ある依頼をしてきたんです!」
「で、その依頼とは・・・」
「お嬢さんの護衛なんです」
俺は呆れ顔を隠せなかった。
「・・・なんで、そんな依頼が?そいつは誰かに狙われているのか?」
「そうなんです、なんでも・・・」
「なんでも?」
「なんども、沢山の求婚者に狙われているのです!」
俺は有無を言わさずシーツを広げると、頭から覆い被さった。
「そんな、くだらん依頼を俺が受けると思っているのか?マジク」
「で、でも、報酬は欲しいだけだそうですよ?」
俺はその言葉に再び有無を言わさずシーツを捲り上げると、早速出発の準備に取り掛かった。
そして、数分で準備を終えると、直ぐに目的地へと発った。
かれこれ、4時間は歩いている。
そろそろ、目的地のアルカディア邸が見えても良いころなのだが・・・
周りは木、木、木・・・
単なる森でしかない。
まったく、目的地までなんて遠いんだ。
礼金はうんと弾んでもらわないとな・・・
俺がブツブツと呟きながら、山道を進んでいた。そのうち、いい加減、歩き疲れたのか、クリーオウの奴がぼやき始めた。
これは素直に休んでおいたほうが良いだろう。
最近のクリーオウは直ぐに、あの恐ろしい生物を突き出してくるからな・・・
「ここらへんで、休憩にするか・・・マジク、水筒を取ってくれ!」
「はい、お師様!」
マジクが水筒を手に取って、俺に手渡す。
俺は木陰に腰を下ろし、水筒の水を飲みながら、空を見上げた。
木々の葉の隙間から、強い光が差し込んでくる。
・・・実に良い天気だ・・・
クリーオウも水筒の水を飲みながら、あの生物と戯れている。
やはり、あいつはただ者ではないかもしれない・・・それからしばらく休憩をしていた俺の耳に、マジクの声が突然飛び込んでくる。
「お師様!あそこに、誰か、誰かいますよ!」
しかし、マジクが指差すところには誰もいない。
ただ、木々と草が生い茂っているだけである。
俺の角度で見えないだけか?
「なんか、若い女の人のようです。僕、ちょっと行って来ます!」
「行って来ますって・・・おい、マジク!」
しかし、マジクは俺の云うことも聞かないで、そのまま森の奥に入っていってしまった。
普通、こんな森の奥深くに若い女がいるか?
なにかの罠か、それとも幻か・・・
とにかく、いやな予感がする。
そんなことを考えていると、続いてクリーオウもマジクの後を駆け出してしまった。
「ちっ!」
俺も仕方なく、二人を追いかけた。その弐に進む