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一番嫌い、あんたの顔。
「ユーコ遅れるって。」
「マジ?昨日もまたねてたんじゃねーの、あの・・なんだっけ、ユーイチだっけ?」
「それ二つ前の奴だっちゅーの。いまはハルくん。」
「あの絶倫クン?ユーコも好きだよねぇ。」
「あいつヤリ魔だから。アッチ重視なの。飯の代わりに男のアレ咥えてるようなオンナなのよ。」
只今、午前一時。俺には下世話な会話が聞こえます。若い女の声です。
「男も男だよねー、あんまチョーシこくなっつーの。」
「そうそう、飛ばし過ぎると種切れるよぉ。」
ギャハハハハハ
ぼんやりした都筑、イライラする。何考えてんだ?昼時のファーストフード店。混んでいる。五月蝿い。
各テーブルには若い連中がそれぞれ好き勝手に食っちゃべっている。笑ってる奴。無表情を決め込んでる奴。テーブルいっぱいに化粧道具を広げる女。ポテトを頬張りながらポルノ雑誌を読む男。カウンターに座った男の舌打ちが耳に付く。密は無駄とも思える彼らのエネルギーが嫌いだった。実際は生きていることへの羨望なのだろうがそれを肯定する事はできない。
向かいのテーブルに座る女子高生の代名詞のような五人組みがこちらをチラチラと品定めしているのが見て取れる。隣のテーブルに座っている男がさっきからずっと都筑を見ている。店に入る前も声を掛けられてた。全く気が気じゃない。目が離せない。
都筑は作品だ
クラスで一番綺麗に咲いた花の根っこにね、グチャグチャになった子が座ってるの
先生、見えるでしょ?
「全く貴方は私の悩みの種です。」
都筑の手首をとって、巽が言う。細く白いそれは何の事は無いが、二人の足元には未だ乾かぬ夥しい量の血液が広がっている。薄暗い室内、散乱した書類。そして都筑はナイフを放さない。
「貴方が痛い思いしたって何も変わらないでしょう?」
叱られている子供の様。音も無く涙が零れた。
「怒らないから話して下さい、此の侭じゃ駄目です。」
今週三度目の自殺未遂。尤も自傷行為は今に始まった事ではないが。
綺麗過ぎる容姿から現実とは思えない茶番。涙を流す其の顔は凌辱したい程で。
ギブスでギチギチに固めた罪と罰。
もう駄目だって、はっきり言いなよ。
多分あんたは狂ってる。