都筑の部屋に二人は赴き扉をしっかりと閉めて彼らはソファに座った。互いに抱擁し合い、邑輝が都筑の瞳に応えてもう一度、外ではできない熱い接吻をする。鮮やかな唇、逞しい胸に都筑は収まる。首筋を食み、項に小さな痕を残し、邑輝は都筑を幾度も慰撫する。服を脱がせ、胸の突起に歯を立て、都筑をしなやかに感じさせる。都筑自身、覚えのない波のような快楽を腰と背中に受け、躰中が欲望のままに邑輝を欲していった。
「あ、…旦那様…巽に知られちゃう」
「今、彼は出かけています、まだ帰ってきませんよ」
性急な邑輝の声色と求めは、戸惑いを奏でる都筑の心を圧倒した。キスを終えてからの睦み合いに恥じらいを隠しきれない都筑は、やがて巧みな手先を施す邑輝の仕草に快感を覚え始めていった。全身の力が零れていくような感覚だった。
男に躰を触られるという行為に対して、都筑がとろりとした快楽に溺れ始めた。そして次の瞬間、邑輝は都筑の下肢に手を伸ばし、彼の分身を扱い始めた。
「…ンッ」
びくりと、戦き腰を退こうとしたが、邑輝は強引に硬く張り詰めるまで彼のものを上下に執拗に扱いた。そして
「あ、駄目…!」
それは数分ともたなかった。邑輝が口の中に都筑の張り詰めた切っ先を含み、舌で器用に扱いながら、更なる快楽を引きずり出してやると、ドクドクと熱い流れが沸き上がる。
「ア、アァッ!」
飛沫をあげて泉が震えながら湧き出て来た。頭の中に言いしれぬ閃光が走り、都筑は邑輝の髪を力いっぱい掴んで快楽を放った。だが、それも呆気なく終焉を迎える。既での所で結合に至らず、邑輝の動きは止まったのだ。自分をふわりと解放する白くて大きな両手が離れていく。
「…あ、旦那様?」
「さて、もう止しましょう。征一郎が帰って来る時間だ」
「旦那様…」
物欲しげに見つめる都筑から目を反らし、邑輝は着衣を整えできる限り、服の皺をのばしながら立ち上がった。いつも”征一郎”が洗濯していたその服を、何事もなかったと悟られぬように…。
「あの、待っ…て…」
去り行く邑輝にその声は届かなかった。
熱く疼く腰の熱に都筑は満足を得ていない。途中で放りだされたように感じた。部屋に一人残された都筑は躰にシャツしか掛けられぬまま、ソファに横になって目を閉じた。そして大きく深呼吸する。それは、意味深な溜息にも似ていた。
――どうしてあんなことしたんだろう…それに
躰中がより多くのものを求めている。その実感が都筑の思考を熱くさせる。
――俺、あの人のこと…好き、だから?なんだろう、この感覚は…
薔薇園からここまで、流れに流れてこんなことまでしてしまった自分をどう思ったらいいのか途方に暮れた都筑。
やがて、彼は昼の眠りにつく。
夕食だとノックをして呼んでも都筑はなかなか出て来なかった。痺れを切らした巽が扉を開け、都筑の寝姿を見て呆然とする。
――まったく、なんて恰好で寝てるんだ
都筑とは、初対面からしてお互い碌な姿を晒してはいなかったな、と苦笑しながら巽は彼を揺り起こそうとしたが…
――…!
何かが放たれた痕、首筋に残る紅い情痕…そしてシャツだけが腰から胸まで掛けられた裸身…
――まさか!
巽が床に屈み、拾ったものには決定的な証拠があった。それは愛用している邑輝のカフス。
「んっ…」
「…!」
都筑が寝返りをうとうとして身動ぎした。巽はソファから転げ落ちるのでは、と思い咄嗟に彼を支える。
起こすつもりであったのに、まるで今にも泣きだす赤子を諭すように静かに都筑を元の位置に正した。
――白い肌…微かに蒸気した頬…都筑さん、貴方まさか旦那様と?
都筑に負担のないように巽は覆い被さり、彼の唇に近づいた。何故そうしたのか巽自身も判らない。
そうして、軽く自分の唇を合わせる。時間が止まったような気分だった。だが、それだけでは飽き足らない巽…。
そのまま、巽はそこに座り込んで、都筑の裸身を前に自慰を始めた。
夕方も大分過ぎた頃、空腹で起き上がった都筑は何も知らないまま一人で夕食を取りに行った。巽も邑輝ももう、食事を済ませ各々自分の部屋で時間を過ごしていた。
夜の闇の狂操がまた再び…
「…っ!」
いつもより時間もかからず巽は慾を放った。下肢に顔を埋めてすっぽりと自身を口内で弄ぶ邑輝は、勢い良く放たれたぬめりを掬い上げて巽の蕾に運んでいく。ずぶりと入りこんでいた内部は戦く。
「――……ッ!」
「…さすがに、麻斗を見ていただけのことはありますね。貴方、彼の前で苦し気だったようですし」
「なっ…!」
まさか、という表情をした巽を邑輝はにやりと微笑み返した。夕食前、こっそりと都筑の前でした自慰を知られているのだ。あの熱が忘れられずに、快楽の全てを都筑に向けてしまった躰が、ずっと唸っているのを邑輝は察知していた。
「一度くらいなら抱かせてあげてもいですよ…そろそろ、仕えて来た褒美を何にしようか考えていた所でしたし」
自分の両脚が高く掲げられた。そして秘部に邑輝の熱がありありと侵入してくる。
「はっ…アッ!」
「…どんなご褒美がいいでしょうね……」
それ以上の邑輝の言葉を巽は聞き取れないほど、欲情に躍らされた。
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