新世紀GPXサイバーフォーミュラ〜疾風の伝承者〜
Round1「再会、そして・・・」
「ちょっと、誠一郎! 早く起きなさいよ! 今日はスゴウに行かなくちゃいけないんで
しょ!? 早く起きないと遅刻するわよっ!!」
「う・・・ん・・・。あと5分・・・。むにゃむにゃ・・・。」
「あと5分じゃな〜い!! は・や・く・お・き・ろ!!」
ドスッ!!
「ぐえっ!! いってーなぁ、もう・・・。肘落とすことないだろ!」
「やっと起きた・・・。時計見てみなさいよ! 何時だと思ってんのよ!!」
時計は既に9時を回っている。今日は10時までにスゴウのモーターホームへ行かなけれ
ばならない。モーターホームへは30分くらいかかる。支度して間に合うかどうか微妙な
所だ。
「げっ! やっべぇ・・・。レナ、急いで準備するぞ!!」
司馬誠一郎・・・。昨年度のオフシーズンに開催された特別レース、エクストリームスピ
ードの優勝者であり、このストーリーの主人公である。
「あたしはとっくに準備はできてるわよ・・・。まったく・・・。」
結城レナ。誠一郎の幼なじみでエクストリームスピードではFICCY主催のレースクイ
ーンコンテストで選ばれ、レースクイーンとして活躍していた。彼女もスゴウのレースク
イーンになるために誠一郎と一緒にモーターホームへ行くことになっている。
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ところは変わってスゴウのモーターホーム。中には史上最年少の11チャンプであり、本
編の主人公である風見ハヤト。その婚約者、菅生あすか。スゴウチームのオーナー菅生修。
ハヤトの父と共にアスラーダを開発したクレア・フォートランがいる。
「誠一郎か・・・。また彼と走れるのは嬉しいですね。しかも今度はチームメイトとして
一緒にやっていけるんですからね。今から楽しみですよ。」
ハヤトが嬉しそうに話し始める。
「あら、そんなこと言ったらアンリが妬くわよ?」
あすかが笑いながらハヤトに返す。
「ええ? めぐみちゃんにいたずらしようとして階段から落ちたやつの事なんか知らない
よ。ほんとにあいつは懲りないんだから・・・。」
頭をかきながら苦笑いを浮かべる。
「アンリは開幕戦には間に合わんからな。それに、ネメシスも眠ったままでは可哀相だか
ら、彼にもう一度乗せてやりたいと思ってな。」
修もため息をつく。アンリのいたずらにはほとほと困り果てているのだ。
「アスラーダと同スペックでハヤト君に勝った子ですからね。ハヤト君もうかうかしてら
れないわよ?」
クレアが微笑みながらハヤトに言う。ネメシスを使えるドライバーが来るのがかなり嬉し
いようだ。ネメシスは彼女が作った物だから当然と言えば当然だろう。
「確かにそうですけど、ライバルが増えるのは嬉しいものですよ。」
コンコンコン。ドアを叩く音がする。あすかが立ち上がりドアを開けた。
ドアの向こうには誠一郎とレナがいる。あすかは微笑みながら二人を向かい入れた。
「いらっしゃい、みんな待ってたわよ。さ、二人ともあがって。」
「あ、はい。失礼します。」
誠一郎とレナが中に入る。
「やぁ、久しぶりだね。ひとまわりたくましくなったかな?」
ハヤトが誠一郎に話しかける。
「あ、はい。ご無沙汰してます。あの時はどうもありがとうございました。オーナーもク
レアさんも、あすかさんもお元気そうで何よりです。」
前に一度会っているとは言え、憧れのハヤトを前に誠一郎はかなり緊張しているようだ。
「そんなに緊張しないで。これからはチームメイトなんだからね。」
ハヤトがぽんと誠一郎の肩を叩く。
「まだチームメイトと決まった訳ではないぞ、ハヤト。誠一郎、君がうちのチームで走る
のは私と勝負して勝ってからだ。いいな?」
修も立ち上がり二人の間に割って入った。
「修さん、そんな事言って理由を付けて誰かと走りたいだけなんでしょ?」
ハヤトがため息をつきながら修に言う。
「何を言う! これはれっきとしたテストだ!」
図星をつかれ修がハヤトを怒鳴る
「あはは、お二人とも全然変わってませんね。わかりました。テストはあいつを使わせて
もらえるんですか? あいつとも早く会いたいんですけど・・・。」
「そうね、それじゃあネメシスの所へ行きましょうか。誠一郎君、ついてきて。」
クレアが嬉しそうに誠一郎をネメシスのもとへ連れていく。
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ガラガラガラガラ〜
ガレージが開く。中にはアスラーダとガーランド。そしてネメシスが並んで置かれている。
「はい、これがネメシスのキーよ。はやくあの子に会ってあげて。」
クレアが微笑みながら誠一郎にキーを渡す。誠一郎はキーを受け取るとネメシスのもとへ
走り、キーを刺した。
「ドライバーチェックプログラム始動。網膜パターン確認。何か声を発して下さい。」
ネメシスが始動し、ドライバーチェックが始まった。
「ネメシス、久しぶり! また一緒に走ろうな!」
「識別完了。登録ドライバーのデータと一致。司馬誠一郎と確認します。
誠一郎、お久しぶりです。またあなたと走ることができて嬉しいです。」
「俺もだよ、ネメシス。今度はワールドグランプリだ! よろしくな!」
「了解。あなたの力になれるよう、私も全力を尽くします。」
「あらあら、その前に修さんに勝たなくちゃいけないでしょ? ふふふ♪」
口ではそう良いながらも、クレアも自分の作ったネメシスがちゃんと動いてるのを見てか
なり嬉しそうだ。
「勝ちますよ! こいつと一緒なら風見さんにだって負けません!」
「へぇ、大した自信だね。でも、僕だってアスラーダと一緒なら誰にも負けないぞ。」
いつの間にか後ろにいたハヤトに肩を叩かれ、誠一郎はドキっとした。
「あ、いや、これは言葉のあやって言うか・・・。」
誠一郎がかなり焦っている。ハヤトはそれを見てクレアと目を合わせて笑った。
「ははは、でもその意気だ! でも修さんは手強いからね、油断はするなよ!」
「誠一郎君、修さんの用意ができるまで、ちょっとフリー走行してきたら? ネメシスと
も久しぶりでしょ? ちょっとでも感覚を思い出しておかないとね。」
「はい、それじゃ行って来ます!」
誠一郎が張り切ってネメシスを発進させる。
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「コンディション、オールグリーン。全システム問題ありません。」
「よーし、次のコーナーでイナーシャルだ!」
「了解」
「行くぞネメシス! イナーシャル!!」
リヤを流し、爆発的なスピードでネメシスがコーナーを脱出する。
「ブースト・オン!!」
「ブーストポッド作動、第一次臨界点までカウントスタート」
ネメシスが一気に加速する。
「第一次臨界点まであと5秒。4・3・2・・・」
「行くぞ、ネメシス! スパイラル!!」
更に加速を増し、ネメシスが走る。
「ブーストカット」
「リフティングターンだ! サポート頼むよ!!」
「了解」
縁石を使いネメシスの車体が跳ね上がる。ネメシスがウイングとエフェクト・ファンを駆
使し、車体の向きを空中で変え、そのままコーナーをクリアする。
「さすがネメシス! これだけできればオーナーにだって負けないぞ!」