全ては・・・



神界ヴァルハラの宮殿を、一人の女神が歩いていた。

長く艶やかな金髪、凛とした雰囲気を纏った女性だった。

「フレイ」

「レイ」

金髪の女性−フレイ−は呼び止められ、振り返った先にいた女神を見た。

フレイの髪と相対する色、銀の髪をした優しげな女性−レイ−は笑顔でフレイに駆け寄った。フレイも自然な笑顔でレイの方へ歩み寄る。

「レイ、豊穣の女神がこんな所をウロウロしていていいの?」

「そういう貴方だって忙しい仕事から抜け出してこんな所にいていいの?」

お互いの顔を見合わせてくすくすと二人は笑った。

「オーディン様の側近なのに」

「いいじゃない。お許しは得たんだから。それより今日は外へ行ってみましょう」

「いいわね、今日の外は快晴でとてもいい天気よ」

二人は外への通路を歩いていった。楽しげに喋りながら歩く二人の美しい女神。

さながら絵のような風景だった。

「見て!綺麗!」

日の光を体中で受け止めてレイはくるりとフレイの方へ振り向いた。

一面の鈴蘭が、日の光で美しく映えて見えた。

フレイの金髪、レイの銀髪がそれぞれ日の光を反射して美しく輝いた。

「綺麗ね・・・本当に平和な風景・・・」

「フレイ、私はこんな平和がいつまでも続いて欲しいわ。貴女も私も、いつまでも笑っていられるような」

「わからないわ。でも、私はオーディン様も幸せな世界であってほしい。だから」

例えどんな役目でも果たしてみせる―――。

「フレイ、貴女は本当にオーディン様を愛しているのね・・・私は・・・」

「私は?」

「ううん。なんでもないわ、それじゃまたね」

レイは早足に走り去ってしまった。

その数日後、レイが何者かの子供を身籠もったという情報が入った。

生まれた子供の父親は ヴァン神族だった。

 

「一体どう言う事!?なぜヴァン神族の子を産んだの!?

「フレイ、私はあの人を愛しているの。だから彼の子が産めて幸せなの」

「馬鹿は言わないで!貴女はアース神族なのよ!?ヴァン神族は我らの敵!わかったわね!?

フレイはそう言い捨ててレイの部屋を出た。その日1日、苛立ちが収まらなかった。

「フレイよ、お前にレイを監視して欲しいのだ。その内ヴァン側に付かんとも限らん」

「承知しました」

フレイはオーディンに一礼し、玉座を出た。胸に不安がわき上がる。

最悪の結果が出たら レイを自分が粛清しなければならない。

どうか 最悪の結果が出ませんように―――。

フレイの祈りは届かず、数日後、レイの粛清が決定した。

 

「レイ!なぜヴァン神族に組みしたの!?

「どちらの種族も共存しあえる!私はそれを信じてる!」

「・・・残念だわ」

フレイの手元に青白い光が集まる。神技・エーテルストライク。

レイもそれなりの抵抗はした。それでも、彼女の力はフレイに及ばなかった。

血だらけで倒れたレイ。わき上がった感情を抑えきれずフレイはレイに駆け寄った。

「レイ・・レイ!」

「何を悔やむの?これが私の選んだ道、これが貴女の選んだ道。何も悔やむ事なんて無い」

レイは笑顔で血に濡れてしまった手をフレイに伸ばした。

その手を強く握ってフレイは涙目でレイを見た。レイは 親友だった。

「いいの・・・貴女は自分の愛の為に戦っただけ。私も同じ。あの子を、ロキをお願い・・」

レイの瞳は固く閉ざされた。フレイの瞳から涙が溢れた。

呼びかけても答えない親友だった女性。自分で殺した。

貴女は自分の愛の為に戦っただけ――

 レイの言葉が頭の中で繰り返される。涙を拭って、フレイはレイの遺体を大地に返し、

宮殿に向かった。

 

親友を殺めたのも 戦ったのも 全ては

 全ては 愛しい主神の為――――。

 


333Hitを踏んでキリリクとして月城銀月さんよりいただいた、
まだフレイが豊穣神になる前のお話です。

ああ・・・切ない・・・愛する主神と親友への思いの間で揺れ動くフレイ様。
「障害は排除jする」というオーラをゲーム中常に放ちつづけいた(ように見えた)フレイ様もこんなウラエピソードが。
やはりあの冷徹な仮面の所以は今回のような事の場数の多さからくるものなんですかね・・・Cエンドでもそうでしたし。
ここまでフレイ様に想われるオーディンが羨ましいです。まじで。


愛が成せる業、ですか。




月城様、このような素晴らしい小説をありがとうございました!