第三話
次の日。
俺、雪野ヒロオが所属している科学部の部室へと足を運ぶと、そこは科学部じゃ無かった。
明らかに学校の関係者じゃ無いと解る、黒服を着た人が出入りしていた。
彼らは科学部の機材を運び出し、パソコンが入っている(と思われる)段ボールを部室に運び込んでいる。
「な、何事ですか?」
忙しそうに動き回る黒服の一人を捕まえて、俺は問いかけた。
しかし、返答は無い。
「何、何なの?」
黒服達の邪魔にならないように気を使いながら、部室に入る俺。
ひょっとしたら、部長なら何か知っているかもしれない。
「部長ぉ〜、なんスか、これ・・・」
文化系部活の部長と言うよりは熊のような外見の部長は、部屋の真ん中にボーっと立っていた。
「あぁ・・・雪野か。もう俺は部長じゃ無いんだ。そして、ここも科学部じゃ無い。」
心ここに在らず、といった感じの部長は、虚ろな瞳で俺に言った。
「はぁ?」
「詳しくは、そこにいる人に聞いてくれ。」
元部長が顎をしゃくった方には、見覚えのある少女が立っていた。
傲然と胸を張り、作業を見守るのは・・・伊集院メイ。
彼女独特の制服を着こなすメイは、存在感があった。
「やぁ、メイ。」
少女に近寄りながら、声をかける。
「ヒロオか。どうしたのだ、こんな所で?」
「こんな所で・・・と言われても・・・俺、一応ここの科学部の部員なんだけど。」
「もう科学部ではない。電脳部なのだ!」
にこにこと笑うメイ。何がそんなに楽しいんだろうか?
「どうする、ヒロオ。校長には、科学部の部員を電脳部に入れる許可を貰ってある。電脳部に入るか?」
『入るか?』と、質問の形式ではあるが、メイの瞳は俺が電王部に入る事はすでに決定事項だと主張していた。
「どう・・・」
どうしようかな、と言いかけた俺。しかし、その台詞は彼女に阻まれてしまう。
「よし、入るがいいぞ!決まりなのだ!」
・・・強引だ。あまりにも強引過ぎる。
でも、嬉しそうに俺を見上げる少女は、もしここで俺が『入らない』と言ったら、泣き出してしまいそうな雰囲気だった。
・・・泣き出さないにしても、きっと後ろの従者が黙っていないだろう。
どうも、この傍若無人なお姫様を相手にすると、いつもの調子が出ない。
まぁ、いいか。パソコンに興味もあったし。
自分をそうムリヤリ納得させる。
「うん、入部するよ。で、部長は誰なんだい?」
なんとなく、誰が部長なのかは予想出来ていたけど、一応聞いてみる事にした。
「もちろん、メイなのだ!」
胸を張り、彼女はそう答える。
やっぱりね、という台詞をなんとか飲み込む俺。
ちょっとこの部の行く末が心配にはなるが、人の上に立つのを運命付けられた家柄の人間なんだし、大丈夫だろう。
でも、次のメイの言葉は予想外だった。
「副部長はヒロオなのだ!!」
メイ様の部屋へ
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