kitty on your lap


第二十話

aosen




−1−

「おはよ、シンジ!」

一週間ぶりに人間になったアスカの声で、僕は起こされた。

無機質な目覚ましのベルでは無く、人間に優しく起こされると、両親と一緒に暮らしていた時を思い出す。

「おはよう、アスカ。」

僕の事をゆさゆさと揺すって起こしてくれたアスカに、そう答える。

なんとなく『家族っていいな』と思った。

「おなかへったよぉ!」

『手のかからない家族』の方がもっといいな・・・

僕が起きたのが嬉しいのか、アスカはにこにこしている。

「起こしてくれて、ありがとう。」

そう言って頭を撫でてあげる。

彼女の笑顔はまるで天使みたいで、僕もなんだかほんわかした気分。

「じゃ、すぐにご飯作るから、待っててね。」

「うん!」

こうして、僕とアスカの日曜日が始まった。


−2−

いつも通り朝食を済ませ、出かける前に洗濯物を片付ける。

「はやくあそびにいこうよぉ!」

とせがむアスカを待たせて、なんとか家事を手早く終わらせる。

「今日は、公園に遊びに行った後、図書館に行こうか。」

「うん!」

部屋の中をどたばたと駆け回っているアスカを呼び止めて、今日の予定を伝える。

「としょかんって、たくさんほんがあるんでしょ?アタシ、ほんよむ!」

どうやら、本に興味はあるようだ。これなら、心配いらないかな?

僕にとってもアスカにとっても、楽しい一日になるといいな。


−3−

公園へと続く道を、僕達はゆっくり歩く。

爽やかな春の風と、降り注ぐ四月の太陽は、僕とアスカを穏やかに包む。

「いいてんきね!」

「うん、そうだね。」

きっと、こういうのを『幸せな日常』と言うんだろう。

てくてくと歩いていると、前方に見覚えのある後ろ姿が見えた。

あれは・・・ケンスケ。

その隣には、アスカと同い年くらいの女の子が一緒に歩いている。

「やぁ、ケンスケ。」

「よぉ、シンジ。」

声をかけあうと、僕とケンスケはお互いが連れている少女をじっと見た。

「はじめまして!アスカです!」

「はじめまして・・・マユミともうします・・・」

この前、河原で見かけた仔猫と同じ名前だ・・・きっと、アスカを見るてケンスケもそう思っているんだろう。

「「親戚の子が遊びに来ててさ・・・」」

同じ言い訳を、僕とケンスケが同時に口にした。

お互い、顔がちょっと引きつっている。

そんな僕らを見上げながら、アスカとマユミちゃんがくすくすと笑っていた。

彼女達に釈然としない物を感じたけれど、あまり深くつっこむと僕もケンスケに深くつっこまれそうなので、この会話はこれで打ち切られた。

「・・・あのさ、これからどうするの、ケンスケ。」

並んで歩く僕とケンスケの前を、少女二人は手を繋いで歩いている。

初めて会ったにしては、かなり仲が良い。

ひょっとしたらアスカは、同じ年代の友達が欲しかったのかな?

「公園に行く予定なんだ・・・そういうシンジは?」

「うん、僕達も公園。その後に昼ご飯食べて、図書館かな?」

時折、彼女達の笑い声が響く。

「俺とマユミも一緒でいいか?小さい子ってさ、どういう所に連れて行けばいいのか良く解らなくって・・・」

「構わないよ。」

それに、マユミちゃんとアスカが仲良くなってくれればもっと良い。

そんな事を話しながら、僕ら四人は公園へと向かった。





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