−1−
公園。しかし、日曜日だというのに、人は少ない。
ベンチに座り、僕とケンスケは缶コーヒーをすすっていた。
目の前では、マユミちゃんとアスカが遊んでいる。
公園に響く、彼女達の笑い声。それをBGMにして、僕とケンスケは日向ぼっこしていた。
「なんとなくジジむさい気もするけど、こういうのも悪く無いな。」
「そうだね、ケンスケ。」
晴れた空、白い雲。風は暖かい。
中身が半分くらいまで減った缶コーヒーを手で弄びながら、彼女達を見守る。
どたばたと元気良く走り回るアスカと、その後を追いかけるマユミちゃん。
「元気良いな、あの子達。」
ケンスケのその台詞に被るように、また大きな笑い声。
「そういえば・・・どうだ、シンジ。霧島とは、何かあったか?」
唐突なケンスケの言葉に、僕はコーヒーを吹いてしまいそうになる。
「何かって・・・何さ?」
「とぼけるなよ、霧島にメシ作ってもらったんだろ?」
ど、どこからそんな情報を・・・
「本人から聞いた。」
思っていた事が顔に出てしまったのか、ケンスケがそう答えた。
「別に、何も無いよ。」
嘘を付いても仕方無いので、正直に言う。
「何も、ね・・・この鈍感野郎め。」
その言葉には悔しそうな響きが混ざっていたような気がしたけど、アスカの方を見ていた僕には、ケンスケの表情は確認出来なかった。
「シンジ、シンジ!」
ジャングルジムのてっぺんから、アスカが僕に向かってぶんぶんと手を振っている。
僕も微笑みながら、手を振り返す。
「まぁ、いいか・・・まだ時間はあるしな。」
ケンスケの独り言の意味は、良く解らなかった。
−2−
昼になった。
遊び足りないと主張するアスカの手を引っ張って、ケンスケとマユミちゃんも連れて自宅へ戻る。
僕の家で、昼ご飯を食べる為だ。
途中にあるスーパーで、材料費を僕とケンスケで折半して、おかずを揃える。
自宅に到着すると、僕はマユミちゃんの様子がおかしい事に気付いた。
何かを我慢しているような表情で、顔色が悪い。
それをそっとケンスケに耳打ちすると、ケンスケは慌てふためき、マユミちゃんに向き直る。
「もう出ちゃいそうなのか!?」
「はい、もう我慢出来ません・・・」
トイレかな、等と考えた僕は、次の瞬間に信じられないモノを見た。
ぽん!という音と共に、マユミちゃんの頭に猫の耳が現れたのだ。
「な、なんでも無い!なんでも無いんだ、シンジ!」
マユミちゃんのネコミミを手で隠しながら、ケンスケは大声で言う。
「あぁ・・・そういう事だったのか。アスカ、耳出していいよ。」
事情を全て理解した僕は、アスカにそう告げる。
アスカも、ぽん!という音と共に耳を現した。
「かくすのたいへんだよね、マユミ!」
ケンスケは、呆気に取られていた。
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